世界読書旅
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■ 赤い春 
2008年07月02日 (水) 11:12 * 編集 *
akai.jpg
赤い春―私はパレスチナ・コマンドだった
(2007/10)
和光 晴生

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この著者は無期懲で確定しそうだから、今後出所の可能性はあるのだが、罪が罪だし、団塊のトシでは佐藤優みたいに華々しい第二の人生を送るという訳にはいかないだろう。その辺を達観しているのか、裁判闘争の一環としてではなく、本人が言うように、長い間使っていなかった日本語のリハビリとか、卒業できなかった大学の卒論の代わりという意味の方が強いと思う。事情が全く異なるのだが、蓮池さんの今の仕事にも、そんな意図がある様にも感じる。このトシになると送ってきた人生を喪失したものと割り切ることは難しいであろうが、「喪失」した時間を赤裸々にすることが、更なる「喪失」を招くことも十分承知しているのだと思う。その名を世界に轟かせた日本赤軍のパレスチナ・コマンドの生活がどんなものかを知る上では貴重なものなのだとは思うが、そこに「日本赤軍」や「パレスチナ」の姿が描かれている訳ではない。むしろ日本赤軍やPFLPの党派性とは距離を置いて、世界中から集まったコマンドの中で居場所を探そうとしている自己を俯瞰した形である。つまるところ、日本赤軍やPFLPの持つ党派性というのは、日本政府や、アメリカ帝国主義や、ソビエト共産党や、中国共産党や、日本共産党や、PLOのそれと変わらないということを体感してきたということなのだと思う。ゲバ棒とヘルメットを捨てて、ネクタイを締める生活を40年続けることで得るものは、ネクタイの代わりにコマンド頭巾を被ったことで失うものより大きいのだろうか。
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■ 五月のガザ 
2008年05月19日 (月) 11:45 * 編集 *
五月のガザ (MouRa)五月のガザ (MouRa)
(2006/09/16)
押原 譲

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著者はいわゆる「フォト・ジャーナリスト」という人らしい。自分の写真事務所を持ち、フランスの通信社の東京駐在カメラマンとして、紛争地帯を廻っているとのことだが、あまり日本のメディアには出てこない人なのかもしれない。ガザ地区の取材日記であるこの本は自分の企画だろうか。写真が多いので400ページ近い日記も読みこなすことはできるのだが、正直言って、「煽情ジャーナリズム」の類。パレスチナの様な生と死が身近な地に行けば、誰しも不条理を感じるのは事実だろうが、この手の「戦場観光もの」ばかり溢れていると、もう十分といった気がしてくる。全ての元凶をイスラエルやそれを支えるアメリカ負わせることは可能だし、パレスチナの現状を直視すれば、それを否定する材料が乏しいだろうということはよく分かるのだが、この不条理の現実も、また複合的なものなのではないかという感もある。「ジャーナリスト」という職業の人たちは「正義」という錦をまとう必要があるのだが、それは偽善とか独善といった副作用を伴うものであろう。
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■ ガーダ 女たちのパレスチナ 
2008年03月07日 (金) 02:12 * 編集 *
ガーダ―女たちのパレスチナガーダ―女たちのパレスチナ
(2006/04)
古居 みずえ

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著者はアジアプレス所属で、これは自分の通訳だったパレスチナ女性を主人公に撮った初監督作品の書籍版ということらしい。アジアプレス、女性、パレスチナといったキーワードだけで著者のスタンスがどこにあるかは分かってしまうのだが、日本にはイスラエル側に立って、ハマスを非難する様なジャーナリストというのは存在しているのだろうか。中国とか北朝鮮ではここ数年の「逆コース」がすごいものがあるが、ことパレスチナに関しては60年代から時代が止まってしまっている感がある。まあ言われているほどユダヤのマスコミ影響力は大したことがないということなのかもしれないけど。別に私はイスラエルを支持している訳でも何でもないのだが、こうした無垢なる被害者あるいは抵抗者としてのパレスチナ人という描き方にはどうもステレオタイプ的なものを感じるし、取材対象者にここまで接近してしまうと、もはや報道とか記録という概念が成り立たないのではという気もする。男が入り込めないイスラム女性の記録という意味では貴重なのだろうが、こんなこと言ったらその筋の人に怒られるかもしれないが、逆に女性であるがゆえ、対象に距離感を置くことに無頓着なのではないかとも感じた。ひと昔の運動論としての「連帯」であれば、それで良いのだが、今やパレスチナ人も政治ではなく、宗教の大義を旗印に戦っている部分が多いのではないか。そうなると「連帯」するのは自ら改宗してジハードに馳せ参じる覚悟がないと務まらんのではないか。そんな気骨のある「ジャーナリスト」がどれだけいるか知らないが、「反米」だけで連帯しようと思っても、「宗教心」もなく、「愛国心」もない人間を生まれた時から闘っている人たちがそう簡単に信用するとは思えない。そうである以上あくまでも「他者」に徹するべきだと思うのだが、どうだろうか。
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■ エドワード・サイード OUT OF PLACE 
2007年12月28日 (金) 21:52 * 編集 *
エドワード・サイードOUT OF PLACEエドワード・サイードOUT OF PLACE
(2006/04)
佐藤 真、中野 真紀子 他

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サイードの本だけど、サイードが書いた訳ではなく、インタビュー集だけど、サイード本人のインタビューはなしという不思議な本。これはなんでも同名のドキュメンタリー映画の採録シナリオと登場人物のインタビューを収録したものらしい。こんな映画が作られていたとは全く知らなかったのだが、作ったのは日本人で、サイードにまつわる人たちや土地を中東やアメリカに訪ねたものらしい。日本人がこんな映画を作るというのはパレスチナ人が丸山眞男の映画を撮る様なものだろうか。サイードという人は非欧米系の知識人の間では大変もてはやされているが、どうも本国(この場合アメリカ)や欧州では評価が異なるらしい。ただ、この採録インタビューにはそういったことは出てこないし、おそらく本編でも「知の偉人」を讃えるものに過ぎないのだろう。日本には死者に鞭打つ習慣はないので、これでいいのかもしれないが、これでは問題提起にならないのではないかという気がする。同じく本国より海外で知名度が高いノーム・チョムスキーが頻繁に登場しているのだが、そのバイナショナル構想というのはパレスチナ側からもイスラエル側からも相手にされないという、机上の空論である現実はちゃんと直視しなくてはならないのではないか。その辺に実情を知らずにサイードを盲目的に崇拝する第三国の人間の甘さを感じるのだが、どうしてサイードの主張と現実が乖離しているかというところに「知識人の使命」と「知識人の驕り」が表裏一体であることが如実に現れていると思う。
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■ 母と子でみる パレスチナ 
2007年08月12日 (日) 22:34 * 編集 *
パレスチナ―非暴力で占領に立ち向かう パレスチナ―非暴力で占領に立ち向かう
清末 愛砂 (2006/01)
草の根出版会

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このシリーズには隠れた名作がたまにあるので、チェックはしているのだが、これは活動家の本だからダメもとで読んでみた。結果やっばダメ本だった。まあ出版社の傾向はあっちなんで、これでいいんだろうけど、母と子でこんなオルグ本読まされたらたまらんだろう。徐京植が最大の思想的柱なんて公言してんだから、どんなもんだか察しがつくのだが、結局、活動家の人たちって、一番大切なのは「運動する自分と組織」なんだなと今さらながら思い知らされた。連帯だとか「被害者の痛み」などといったキレイごとは言うが、パレスチナ人やその文化に敬意を払う様なところは全く感じられないし、単に「抵抗」という枠の中でしかその存在理由を認めないのは、型こそ違えど、傲慢さに違いはない。所詮は「ベトナム観光公社」に過ぎないのではなかろうか。また著者はジェンダー関係が専門だそうだが、女性の話がほとんど出てこないのはどうしたことか。アラブの文化風土を考えると、こうした点にも地元パレスチナ人と非イスラム外国人運動家たちの距離を感じさせられる。私は個人的な事情もあって、イスラエルという国にもユダヤ人にも良い印象は全く持っていないのだが、この著者の反シオニスト宣言は薄っぺらいものに思った。どんな理由であれ、無実の人を巻き添えにする「自爆テロ」を肯定してはならない。著者が日本の「アジア侵略」をうんぬん言うなら、岡本公三だって日本人の原罪ではないか。ましてや「自爆攻撃」という用語で誤魔化せというなら、旧日本軍の特攻隊を肯定することにはならんのか。師匠の徐京植の拉致ダブルスタンダード論に影響されてるのか知らんが、いくら「罪深い民族」だからといって、日本人やイスラエル人に生存権がないはずはない。
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■ パレスチナの歴史  
2007年07月25日 (水) 11:52 * 編集 *
パレスチナの歴史 パレスチナの歴史
奈良本 英佑 (2005/07)
明石書店

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シオニズムの多様性を認識せよ。
シオニストというと何か右翼的響きがあるが、イスラエルの主流は労働シオニズムであり、政権も長く担当した労働党は社会主義インターの一員である。右翼に近いのが修正シオニズムで、宗教シオニズムは少数派である。パレスチナ問題の対応もバラバラなこうした各シオニズム間をまとめるのがホロコーストの「記憶」なのか。
パレスチナもまた一枚岩ではない
現在ではすっかりPLOとハマスの二極になってしまったが、この歴史もまた複雑だ。最初に生まれたのがANMで、これはアラブ・ナショナリズムが色濃く、アラファトが創設メンバーのファタファがパレスチナ・ナショナリズム系。PLOはそれらを抑える穏健組織としてスタート。PLOは当初から統制装置としての役割を担っていた。
オスロ合意はPLOの生き残り作戦
湾岸戦争でイラクに肩入れしたために、アラブ王制国家からの資金がストップし、存続も危うくなった。何やら日朝交渉に似ている。PLOが勢力を失うと、出て来る勢力は過激派である事が自明のイスラエルもその話にのった。

かなり親切な本で、重要文書の抄訳も付いている。初心者も入門から一気に中級まで行けるのではなかろうか。
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■ パレスチナから報告します
2006年01月24日 (火) 13:33 * 編集 *
パレスチナから報告します 占領地の住民となってパレスチナから報告します 占領地の住民となって
アミラ・ハス くぼた のぞみ

筑摩書房 2005-05-10
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著者はイスラエル人ジャーナリストで、ガザ地区やヨルダン川西岸のパレスチナ人地区に住んで、取材を続けている人らしい。そして、取材には中立はありえないと宣言しており、左派という立場に自覚を持っている。当然、現在のシャロン政権には批判的で、イスラエル軍の蛮行を辛辣に告発している。こうした点は、イスラエルに圧政国家のイメージを持つ人には中々理解出来ないであろうが、イスラエルは元々左派が優勢の国家だ。シオニズムにはギブツなど社会主義的要素も内包しているし、西欧的リベラル思想の系譜に属する国民性といえる。正にそうした面が欧米社会がイスラエルとアラブ諸国を区別する際の標識となっている。少なくとも、この著者の様な「良心の声」がある以上、イスラエルには言論の自由も民主主義も確立していると認識され、「TK生」などではなく、彼女が本名で活動し、自由に媒体に登場する事は、「われわれの側」と同じ価値観を有する国家と感じさせるのに十分だ。ひょっとしたら、イスラエルという国はそこまで計算して、著者の様な「反イスラエル」ジャーナリストの活動を自由にさせているのではないかと疑ってしまうのは、これもまた下司の勘ぐりか。さて、そんな第2次インティファーダの時期から始まるこのルポに漂うのは、虐げられた民の中に飛び込んでこそ、真の声を拾う事が出来るという信念。これは上野英信を起点に、鎌田慧他、その後の日本の「ルポライター」にも大きな影響力を持った思想だが、そうした空気を受け継いでいる人がイスラエルにも存在するというのは貴重である。まあ、この著書はそうした空気を理解しないと読みにくい本なのだが、第15章「若いイスラエル兵士へのインタビュー」だけでも読んで欲しい。ここだけQ&A方式の文だが、このインタビューが、この著書の本質であると著者が判断したのだろう。あるいは兵士の本質か。
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■ パレスチナ
2005年11月13日 (日) 22:34 * 編集 *
4623041263パレスチナ―紛争と最終的地位問題の歴史
阿部 俊哉

ミネルヴァ書房 2004-11
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JICAの人が書いたパレスチナ問題についての論文。この題材については、さすがに百年近く紛争を続けているとなると、もはや紛争史の「古典」と化している感がある。そうした事から日本でも種々のパレスチナ本が出ているのだが、伝統的なパレスチナ人民抵抗論か、米国、国連などが関与した国際政治の枠内での「政治問題」として論ずるケースが多く、その後ろ側にいる本来のアクターの姿はイマイチ掴みきれなかった印象がある。この本ではそうした歴史、戦争、交渉、テロといった「ニュース」となる基本事項は網羅しながらも、PLOが世俗主義を貫く理由や、警察人口の割合はパレスチナが世界一とか、パレスチナ難民の国籍はどうなっているの?など、なるほどそうだったのかと思わせるトリビアも満載。パレスチナ入門編としては敷居が高いが、復習、難易度アップへは最適。
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■ パレスチナ難民キャンプの瓦礫の中で
2005年08月24日 (水) 14:47 * 編集 *
4794208251パレスチナ難民キャンプの瓦礫の中で―フォト・ジャーナリストが見た三十年
広河 隆一

草思社 1998-05
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90%くらい読み終えてから、ネタニヤフ政権の頃までの話で終わっているのに気付き、おかしいなと思い、発行年を見ると1998年だった。基本的に4年以上前の本は読まない派なので、がっくり。この著者はPLOシンパと知られているが、草思社も当時はこのテのものも多く出していた事は感慨深い。ただ、この本は回想記で結構面白かった。アウシュビッツという皇室なんかと比べ物にならない世界最強のタブーにも挑戦のかまえだけは見せているし、それもキブツ出自だけあって、単純な反ユダヤ思想という訳ではない。おそらく労働シオニズムから先鋭化したイスラエルの平和運動家辺りに近いのではないか。
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■ 世界化するパレスチナ/イスラエル紛争
2005年08月05日 (金) 01:37 * 編集 *
4000270281世界化するパレスチナ/イスラエル紛争
臼杵 陽

岩波書店 2004-05
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しかしパレスチナものは岩波が多いな。これは普通の解説書。
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■ 地図にない国からのシュート
2005年07月13日 (水) 02:20 * 編集 *
4000238191地図にない国からのシュート-サッカー・パレスチナ代表の闘い-
今 拓海

岩波書店 2003-08-27
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サッカーパレスチナ代表のルポ。W杯一次予選も惜しい所までいったし、南アW杯はマジに狙えるかもしれない。トルコは西欧のトルコ系選手を発掘してW杯3位までいったが、実はチリやアルゼンチンにはパレスチナ系選手が数多くいたりする。
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■ パレスチナの声、イスラエルの声
2005年06月06日 (月) 17:28 * 編集 *
現地ルポ パレスチナの声、イスラエルの声―憎しみの“壁”は崩せるのか
土井 敏邦
岩波書店 (2004/04)
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タイトル通りパレスチナとイスラエル市民のインタビューで構成。岩波らしくどちらも融和主義者ばかり登場。これを以って「パレスチナの声、イスラエルの声」とするのは無理がある。副題の「憎しみの“壁”は崩せるのか」が初めにありきなんだろうけど。
★★
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