世界読書旅
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■ テヘランでロリータを読む
2008年06月26日 (木) 11:47 * 編集 *
テヘランでロリータを読むテヘランでロリータを読む
(2006/09)
アーザル ナフィーシー

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すっかり有名になってしまった本だが、全米で大ベストセラーというのもさることながら、タイトルだけでも圧勝したというところもあるだろう。読んでみて、これは「小説」であるということは分かったのだが、著者の意図も自分なりの「英文学」を書いてみるというところにあったのだと思うのだが、読者は、これを「ノンフィクション」と受け止めたことが、このブームに繋がったのではなかろうか。「テヘラン」と「ロリータ」、つまり「イスラム原理主義」と「西洋退廃文化」という対比に白黒決着をつけたことを含め、この本はアメリカのイラン・イメージと齟齬を生じてはいない。アメリカのイラン・イメージは「米大使館占拠事件」のショックから抜けきれない「イスラム原理主義者」に支配された危険な国というものであるこては周知の通りなのだが、その一方で、シャー時代の親米的な世俗主義国家の時代の記憶があり、それを後押しする在米イラン人コミュニティーも強力なのである。言わば「革命」で「アメリカ的価値観」が失われたという意味でキューバと同質のイメージなのだが、その「喪失感」をテーマにしたのが、この作品であるという訳だ。文学のテーマとして「喪失感」が受けるのは、消費社会が進行している国でみられる村上春樹のブームをみても分かると思うが、「自分たちと同じ価値観を持った人間」を異国で見つけることは、読者にとってアイデンティティの再発見みたいな意味があるのだろう。この著者がシャー時代の価値観を体現した人物であることは説明するまでもないが、そこに「枷」が生まれ、文学的成功をもたらした側面もあろう。その意味ではソルジェニーツィンや戦前日本のプロレタリア文学と同じ構図なのだが、それが決して「告発文学」にならないのところは、著者の文学的素養とイランの文化水準の高さを表していると思う。
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■ イランの温泉を求めて 
2008年04月12日 (土) 10:46 * 編集 *
イランの温泉を求めて―ペルシア1万キロの旅イランの温泉を求めて―ペルシア1万キロの旅
(2006/05)
川崎 義巳

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これまた変わったテーマの本だが、著者はツムラで商品開発を長年していた人なのだという。現在は「NPO法人健康と温泉フォーラム」専門委員なることをしているらしい。そこでイラン副大統領直々にイランの温泉地の調査、分析を要請されて、イラン全土の温泉をくまなく廻ってきたというお話。この本は文芸社から出ているが、調査が自腹なのか招待なのかは不明。温泉の分析については巻末に数ページまとめてあり、あとは著者の「泉流」と旅行記録なので、文芸社っぽい内容ではある。ただ、「正誤表」が挟んであったのがちょっと意外。温泉の飲用と禁忌に関することなので下手すりゃ命に関わるということもあるのだろうが、文芸は正誤表を出すんだ。編集すらしないという新風はそんなもんは放置だろうけど、追加料金として請求してたりして。どうもイスラム圏と温泉は似合わん感じがするのだが、暑そうとか海パンがイヤと言うよりも、観光とかエロとかがセットになった日本の温泉文化と、純粋に療養の為で、文化ではない温泉との違いが何か引っかかるのかもしれない。日本の温泉で裸の付き合いをしたという(たぶん全裸にはなっていない)イラン副大統領の思惑は分からんが、これを読んでも、イランまでわざわざ温泉に浸かりに行きたいとは思わんね。
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■ イラン 世界の火薬庫 
2008年02月12日 (火) 00:17 * 編集 *
イラン  世界の火薬庫 (光文社新書 303)イラン 世界の火薬庫 (光文社新書 303)
(2007/05/17)
宮田 律

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中東もの新書の帝王、宮田律先生がついに光文社新書も制覇。「イラク」で懲りたのか、光文社もさすがに田中宇に書かせる様な愚は犯さなかったけど、元々「イラン」は著者の専門。さすがに、うまくまとめてある。イラン人は自国を、アメリカやイギリス、日本などと同等であるべきだと考えるのは、精神的優越感と現実とのギャップから来るものなのだろう。この辺は朝鮮半島と似たメンタルなのだが、アフマディネジャドの最近の火遊びは北朝鮮の様なタダの遠吠えという訳でもない。アメリカが執拗に攻め立てるのも、大使館事件のトラウマやイラクシーア派への影響力への懸念よりも、今や数少ないイスラエル排斥の旗印を下ろしていない国であるということが理由なのだろう。著者はイランの核がイスラエルを標的にすることはありえないとしているが、それはおそらく正しい。サドル派もイラクとそれほど関係が深い訳ではなく、むしろタリバニ大統領がイランの支援を受けてきた経緯もある。ヒズボラを除けば、テロリストの供給源となっているワッハーブ派やデオバンド派、或いはムスリム同胞団にとっては、シーア派のイランはあくまでも異端だ。イラン人がテロの犯人として捕まったという話もあまり聞いたことはない(五十嵐教授の事件もまだ未解決だけど)。イランが非アラブである以上、湾岸の盟主になることはないし、むしろ孤立しているのが現状であろう。大国志向のイランにとっては、パキスタンの様な国に核を先に持たれたことが、やはり核に拘る理由なのだろう。少なくともパキスタンを「イスラム世界初の核」として歓迎する見方はないのではないか。「世界の火薬庫」もその実、堂々と掲げている「革命輸出」を一つとして成功させたことはない。「民主守護輸出」を力づくで実行してきたアメリカに対するコンプレックスも、こんなところから来ているのかもしれない。
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■ シーア派イスラーム 神話と歴史 
2007年11月20日 (火) 00:31 * 編集 *
シーア派イスラーム―神話と歴史 (学術選書 23)シーア派イスラーム―神話と歴史 (学術選書 23)
(2007/04)
嶋本 隆光

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京都大学学術出版会というと、敷居が高そうな研究書っぽいが、これは「学術選書」というシリーズ。前に九大の新書を読んだが、京大は選書か。東大とか慶應といった大学出版会大手が正統派のハード路線を堅持しているのに対し、こちらはソフト路線だ。たしかに、素人でもとっつきやすいのではるが、そこは「学術選書」、やはり予備知識がないと、付いていくだけで精一杯だった。第一章と終章は、現代の事柄なので余裕なのだが、さすがに「神話と歴史」はペルシャの長い人名ばかりで混乱してしまう。各章に「結論」ではなく「まとめ」が付いており、初心者向けだとは思うのだが、京大の学生さんでもこれを覚えるのは大変だろう。とはいえ、イランにおけるシーア派の許容がそう昔のことではないことと、国家権力と結びつくことによって「シーア派」が国民に浸透したということは理解できた。そこに「神話」が介在しても、国家のお墨付きがあれば「歴史」という公的なものになってしまうということは、「近隣諸国」との間に「歴史認識」問題を抱える日本にとっても課題として残るものなのだが、そうなると「イランのシーア派」なのか「シーア派のイラン」なのかという視点も必要なのではないかと思う。イラン国外のシーア派の状況については、イラクの混迷をみても「シーア派」というものが一枚岩でないことが分かるだが、コムの形成も「シーア派」をアラブ的なものからの脱却という理由があったらしい。イランが政権基盤として「シーア派」の独占を図ることにより、イラン国外でシーア派が「異端化」してしまうという状況には、どこか挫折した「アラブ民族主義」と同質のものも感じる。
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■ イラン人は神の国イランをどう考えているか 
2007年05月28日 (月) 20:49 * 編集 *
イラン人は神の国イランをどう考えているか イラン人は神の国イランをどう考えているか
アーザル ナフィーシー、アッバス キアロスタミ 他 (2007/02/22)
草思社

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これも、またそそられるタイトルだが、評判になった『テヘランでロリータを読む』の派生本らしい。テヘランでロリータの方は、まだ読んでいないのだけど、なんでもこの本の編者はナボコフの研究者であったことから、テヘランロリータの著者の目にとまり、二人の発案で、この本が出来上がったのだという。ということで、当のアーザル ナフィーシーがトップバッターとして登場する。しかし、その「イラン人」のほとんどが「海外組」なので、別にイランが「神の国」だと思っている訳ではなく、むしろそうしたステレオタイプに反発を感じていたりもする。ちなみに編者はパリ生まれの在米イラン人で、原題は”My Sister,Guard Your Veil; My Brother,Guard Your Eyes"という気の利いたものである様だ。その意味ではこれが「イラン人」の考えだというものとは違うのであろうが、日本における北朝鮮以上にアメリカで偏見にさらされているだろうイランを、どう在米イラン人が溶解していくかという文脈で読むべきものなのであろう。『テヘランでロリータを読む』がアメリカでベストセラーになったのも、その辺にポイントがありそうだが、別に王党派ということでもなさそうな登場人物たちは、現体制の擁護をする訳でも、返す刀でアメリカを批判する訳でもなく、イランでは乱パが盛んで、酒もクスリもやるとか、働く女性が多いとか、果てはパンクロック、服飾倒錯(コスプレか?)、テレビの実録番組の発祥地はイランである(具体的説明がないので真偽は不明)とか、宗教国家、核、テロ、女性差別、反欧米といったイメージを崩すことが命題といった感じもした。この辺は日本における北朝鮮支持者の弁論とは異なるところだ。イランが伝統ある民主主義国家であり、女性の社会進出が進んでいて、人々はその実「親欧米」であるというのは事実なので、パンクロックの起源がイランというのは疑わしいが、乱交パーティーが盛んというのも十分ありうるだろう。もっとも、北朝鮮でも一部ではそういう可能性もあるかもしれない。そんな中、異色なのが「キャーロスタミー」監督の見解。この中ではキャーロスタミーが一番、世界的に知られた存在だろうが、そうした自信からなのか、イラン人がイラン的であることが普遍に近づくといった自然体を感じた。キャーロスタミーが9.11の後、ビザが出ず、ニューヨーク映画祭に参加できなっかたなんてことがあったが(この件で怒ったカウリスマキも参加拒否なんてオマケもあった)、イランでも欧米で評価が高いという理由で、当局から圧力を受けているという。たしかに『桜桃の味』は宗教的にちょっと問題になりそうな感じはしたが、政治色がないということ自体が問題なのだろうか。ハリウッド映画はみてますか?何年もみてません。という受け答えには笑ったが、イランで観衆に受けているのは「ハリウッド風」の映画であるという現実も、一体「普遍」とは何なのかということを考えさせられるものである。
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■ イランを知るための65章
2006年01月22日 (日) 14:33 * 編集 *
イランを知るための65章イランを知るための65章
岡田 恵美子 鈴木 珠里 北原 圭一

明石書店 2004-10
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ようやく出た「知るため」のイラン編。章も多くナイス。それにしても何故イラン研究者は女性が多いんだろう?
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■ ペルセポリスII
2005年11月19日 (土) 03:43 * 編集 *
4901784668ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る
マルジャン・サトラピ 園田 恵子

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舞台がウィーンに移ったこともあり、第二弾は結構ぶっ飛んで、マリファナも「不純性異性交遊」も登場。でも、やはり本人のセックス描写はパス。帰国してからの革命防衛軍との攻防はまあ面白い。ただいかんせん下手なのか、上手いのかよく分からないあの絵にはどうも違和感がある。命懸けという点は敬服に値するとは思うが。
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■ ペルセポリスI
2005年08月03日 (水) 00:11 * 編集 *
490178465XペルセポリスI イランの少女マルジ
マルジャン・サトラピ 園田 恵子

バジリコ 2005-06-13
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如何にも西欧受けしそうなイラン人女性漫画家の回想記。たしかに素材も著者もレアだし、興味深いのだが、マンガとしてのレベルはどんなもんでしょう。ただ、これも命がけの側面があるから、意義のある事であるとは思う。
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■ 例えばイランという国
2005年07月21日 (木) 03:05 * 編集 *
4797423617例えばイランという国―8人のイランの人々との出会い
奥 圭三

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フツーの旅行記だが、意外と面白かった。
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■ 物語 イランの歴史
2005年06月24日 (金) 23:56 * 編集 *
4121016602物語 イランの歴史―誇り高きペルシアの系譜
宮田 律

中央公論新社 2002-09
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タイトル通りの中公新書「物語歴史」シリーズ。イランのオフィシャル・ヒストリーをそのまま採用している様な気もするが。
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■ イラン映画をみに行こう
2005年06月08日 (水) 14:04 * 編集 *
イラン映画をみに行こう

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単なるイラン映画の紹介本なのだが、海外で評価される映画と、国内で人気を博す映画にギャップが生じるのは、かつての日本映画もそうだが、「第三世界」の映画に共通する事であろう。
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■ 太陽は、ぼくの瞳
2005年06月03日 (金) 03:16 * 編集 *
映画
B00005HWZS太陽は、ぼくの瞳
モフセン・ラマザーニ ホセイン・マージゥーブ サリム・フェイジィ マジッド・マジディ

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この監督の「運動靴と赤い金魚」が大好きなので、期待して観た(ビデオだけど)。前半は例によってほのぼの調で進むのだが、後半に突然、重苦しい展開になってビックリ。(外国でウケている)イラン映画は検閲の関係もあり、こどもを使って政治を脱臭したり、セリフではなくシーンで語らせるという、映画的に高度な手法が発達しているのだが、その醍醐味は十分味わえる。映画一つでその国のステレオタイプをガラッと覆してみせるのだから、イランの映画人も大したものだ。
★★★
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