![]() | イラクのキリスト教 スハ・ラッサム 浜島敏 株式会社 キリスト新聞社 2016-10-21 売り上げランキング : 62168 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
キリスト新聞社は賀川豊彦が創始者なのか、無教会からカトリックまで網羅するそうだけど、イラクのキリスト教は宗派関係なく一番ホットな問題なのだろう。著者は在英の人らしいが、96年に渡英した時にはイラクにキリスト教徒がいることを知って驚かれたという。湾岸戦争後で、イラク戦争前だがアジズ副首相がクローズアップされることもなかったか。皮肉にもシリアとISが原因となって、イラクのキリスト教徒が知られるようになったとしているが、ヨーロッパがシリアに関与せざるを得ないのは難民問題もさることながら、キリスト教徒の存在が大きいのだろう。本音ではキリスト教徒の難民だけ受け入れたいというのはあると思うが、そんなことができるのはエチオピア飢餓で「ユダヤ教徒」だけを受け入れたイスラエルくらい。まあキリスト教徒は国に帰れば危険というのはハッキリしているから、難民認定で有利ではあるのかもしれん。シリア内戦でクローズアップされたもう一つはシリア語の存在だそうで、元々シリア語を話していたキリスト教徒がアラブ化されたのか、元々アラビア語を話していたアラブ人がキリスト教徒になってシリア語を使うようになったのかははっきりしていないとのこと。いずれにしてもイスラーム到達以前の優勢言語はシリア語であるし、民族的に同じセム人種であるから、その枝分かれを突き止めるのは難しいであろう。


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![]() | 大統領(フセイン)の客人 池田 龍三 新潮社 2017-01-31 売り上げランキング : 257448 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
新潮社図書編集室は自費部門の様だが、アマゾンに4つもレビューが付いている。この時世で講演会に呼ばれることが多いみたいで、そこで販売しているのかもしれない。20年以上前、もしくはサダムが生きているうちであれば、自費でなくとも出版できたのだろうが、読んでなるほど、会社との縁が切れないと微妙な描写もあるか。住友商事のクウェート駐在の時にイラクで人質となった人だが、サダムと差しで話した日本人は中曽根と平山健太郎と著者の3人だけだという。他にも会った人の話は聞いた事があるのだが、この場合「本物」と推定される件に限ってのことか。小便をしたまま洗わない手で握手してやったそうだが、抵抗はその程度で、家族や人質仲間の為にもサダムに環境改善を直訴するのを優先させている。例のトルコ航空救援機などの「美談」は全く出てこない。日本大使館、住友商事のミスでクウェートからバグダッドに移送された様なもので、当時、単身赴任中だった所長がタイから女性を連れてきており、一緒に日本大使館に避難したが、タイ国籍の女性はタイ政府救援機で帰国したなんて暴露話も。帰国後、ニュースステーションに出た時に久米宏の誘導に乗らず、政府批判をしなかったら、CM中に台本を投げられたとか、土井たか子が人質解放を妨害したとか、結構出てくる。住友商事は定年まで勤めた様だが、何があったか分からんが、今でも子どもには大きな影を落としていると思っているようだ。



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![]() | イラク戦争は民主主義をもたらしたのか トビー・ドッジ 山尾大(解説) みすず書房 2014-07-10 売り上げランキング : 110270 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
原著は2012年だが、その後の「イスラム国」の出現を暗示する様な内容。イスラム国に関してはシーア派主体の政権に反発したスンニ派による権力の空白を埋めたという風に解説されることが多いのだが、どうもそう単純な話でもなく、シーア派の内部対立も激しく、シーア派もまた分派が多く存在するらしい。対するスンニ派が一枚岩ではないことは言うまでもないが、各勢力に武器が残されてしまった状態では力の論理がモノを言う戦国時代になるのは必然である。そもそも人口分布を以って「民主主義的」に政権を発足させても、それがシーア派の多数派支配になるのは自明のことであり、幾ら「少数派」に配慮する様に繕ったところで、実際は石油の利権を握ったものが勝ちなのである。イスラームにも民主主義の概念はあるというのも確かだろうが、そのイスラーム自体に統一見解が無いのだから、アメリカが理想とするような「民主主義国家」をイラクに構築するのは土台無理な話である。


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![]() | ロングウォーク: 爆発物処理班のイラク戦争とその後 ブライアン・キャストナー 安原 和見 河出書房新社 2013-11-27 売り上げランキング : 213242 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
イラクでの爆弾処理班の話は映画にもなったのだが、これはリアルな人が書いた本らしい。イキナリ自分は狂人であるという告白から入るのだが、PTSDの被害を声高に訴えるというよりも、イラクでの狂気体験を振り返っており、それは治療の一環として向き合ったものなのかもしれない。現場で金切り声を上げる女を殺すつもりだったとか、イラクは当然の如く胸糞の悪いところ以上の想いは無いのだが、戦争に正義だの名分だの真実だのを持ち出すのは大抵後付けのものである。

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![]() | 劣化ウラン弾――軍事利用される放射性廃棄物 (岩波ブックレット) 嘉指 信雄 振津 かつみ 佐藤 真紀 小出 裕章 豊田 直巳 岩波書店 2013-08-03 売り上げランキング : 55274 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
岩波ブックレットなので、キャンペーンものではあるのだが、劣化ウラン弾もフクシマ効果で反対派が勢いずいているのかな。小出はここにも顔を出しているが、宇井純みたいに私大の教授になるつもりはないのかな。京大にはあと何年いれるのだろう。劣化ウランは何で劣化なのだろうと思っていたのだが、要は核の残りカスを利用したものなのか。正に環境に優しくない3Rなのだが、原料がタダ同然となると、費用対効果の問題か。

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![]() | 終わらないイラク戦争 フクシマから問い直す 嘉指信雄 勉誠出版 2013-03-20 売り上げランキング : 525656 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
反イラク戦争運動もフクシマで息を吹き返した形か。劣化ウランの問題は前々から言われているのだが、どうも書き手が運動圏の人たちばかりというのが、引っ掛かる。高遠、志葉玲、豊田直巳といった「イラク・マフィア」の人たちは脱原発運動を草刈り場にしているのかな。イラク国際戦犯民衆法廷なるものが開かれていたとは知らなかったが、そこで小泉を戦犯として裁くというのはどういう論理かよく分からん。しかも判事が韓国人と在日というから、なんで日本より多く派兵した自分トコの大統領は起訴されないのよと思うのだが、それはノムヒョンだからか。結局、小泉は日本軍国主義の象徴として「アジア侵略」の罪もまとめて、ブッシュ、ブレア、アロヨと共に有罪を宣告された様だが、「勝者への裁き」は東京裁判の分もやってくれないかな。原爆によって日本は降伏したという認識みたいではあるが。

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![]() | 現代イラクを知るための60章 (エリア・スタディーズ115) 酒井 啓子 吉岡 明子 山尾 大 明石書店 2013-03-19 売り上げランキング : 310141 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ついにイラクが出たか。このシリーズ、行ける行けないはあまり関係ないのだろうが、30年前のバグダッドには日本人が1万人住んでいたというから、日本人でもイラク経験の蓄積がある人はかなりいる訳だ。イランイラク戦争のときに日本大使館に勤務していたという人のコラムがあったのだが、孫崎かいな。イラン大使の前はバグダッドにいたのか。別に人事だから節操が無いということもなかろうが、ロシアスクールが中東廻りして、反米になって、媚中になるとか情報屋はやることがよく分からん。孫崎と酒井啓子が勤務で被さったことがあるのかどうかも知らんが、民主党議員になった大野元裕も書いている。国内のシーア派住民が「ペルシア人」と見られた一方、イラン南部のアラブ系が呼応しなかったことが、サダム・フセインのイランイラク戦争の誤算ではあるのだが、軍歴の無い人間が戦争指揮の失敗を取り戻すには新たな戦争での成功しかなかったか。軍歴のあるヒトラーは成功体験で新たな戦争への歯止めが効かなくなった訳だが。



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![]() | 山本美香という生き方 (日テレbooks) 山本美香 日本テレビ出版部 日本テレビ放送網 2012-12-21 売り上げランキング : 52191 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
日テレは死んでも使い捨て。特別に採録するとかで、山本が昔出した本の転載がほとんど。故人の評伝を期待した人にとっては詐欺みたいなものだろう。佐藤和孝とは不倫だったこと(その後夫とは離婚)、40歳の時に子どもを産まないことを選択したことといったプライベートの記述はあるのだが、そこにストーリーがある訳はない。転載されているのは一躍全国区となったバグダッド陥落の話なのだが、ジャーナリストとして評価されるレベルのものではなかろう。賞を獲ったも確か映像の方だったと思うが、当時のパレスチナホテルでもロイターとTVEは自社人員が犠牲になっており、今回の山本美香を日テレがこういう形で追悼するというのはどうも違和感が。

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![]() | 現代イラクのイスラーム主義運動 -- 革命運動から政権党への軌跡 山尾 大 有斐閣 2011-12-14 売り上げランキング : 628951 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
博論ものだが、著者はイラク戦争後に研究を始めた世代だという。ということはつまり研究の要である現地調査というものが物理的に難しいということなのだが、「菊と刀」の様な手法をとった訳ではなく、シリアに留学したり、ロンドンのイスラーム主義政党の事務所に通ったりなんてことをしたらしい。さすがにそんなところに出入りしている東洋人ということでテロリストに間違われて拘束されたなんてこともあったそうだが、かつての亡命反体制陣営も内戦状態の祖国に帰国する道を選ぶ者はそう多くはないのかもしれん。イラクのシーア派は実は改宗した者がほとんどで、ワッハーブの攻勢に対抗して、布教に力を入れた近年に大幅に増えたらしい。イランイラク戦争時にはイランの側に立って同胞と戦った者も多かったのだが、そもそもイラクという国家ナショナリズムの文脈では同胞という意識はなかったのかもしれない。それこそがイラク崩壊の主要因の一つではあるのだろうが、クルドは事実上独立している訳だし、アメリカが支援する寄せ集め政権がイラクを国民国家として完成させるのは不可能に近いんじゃないかな。


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![]() | 55人が語るイラク戦争――9・11後の世界を生きる 松本 一弥 岩波書店 2011-09-30 売り上げランキング : 325433 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
朝日の夕刊一面でやっているシリーズのやつか。色んなテーマで結構長くやっているけど、他にも書籍化されたものがあったかな。このイラク戦争のも読んでた記憶はあるのだが、中身はあんまり覚えてなかった。書き直しになってるのかな。分量的にも長くなっている観が。紙面では(年齢)が付いていたと思うが、こちらはナシ。岩波のPCに従ったのかもしれんが、あの年齢つける習慣はいつから始まったものか。その岩波で書籍化されたからではなく、朝日だから元々そうだったのかもしれんが、登場人物は一方の側に依拠したもの。まあブッシュとか小泉とかネオコンが出る訳がないから、中々、賛成派の「市民」というものはおらんだろうけど、飯島には断られたとのこと。石波が出てるけど、この人は小泉指示だったっけ。高遠さんは大活躍だが、例の金平パウエル発言スクープは自衛隊賛辞の方がメインではなかったのか。パウエルは三人組とか人間の盾日本人のことなど全然知らなかったみたいだし。朝日は日曜版かなんかで山形浩夫の高遠批判を載せたことはあったのにな。


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![]() | 生き抜いた私 サダム・フセインに蹂躙され続けた30年間の告白 パリソウラ・ランプソス レーナ・カタリーナ・スヴァンベリ 久山 葉子 主婦の友社 2011-09-14 売り上げランキング : 241434 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
サダムの愛人告白本。死んでから数年経って、もう残党の恐怖も薄れたのか、経済的事情なのかは分からんが、現在スウェーデン在住らしい。ギリシャ系のイラク人というのはそれほど多くはないのだろうけど、そうしたヨーロッパの香りのする上流階級の娘ということで、若き日にサダムに見初められたらしい。まあ、このストーリーを額面通り受け取る訳にもいかんのだが、大筋というものはあるのだろう。サダムよりウダイの鬼畜ぶりが印象的なのだが、それも愛人の息子との摩擦とかそんな生易しいものではない。ギリシャからわざわざ子どもを連れて戦時下のイラクに帰国したり、娘を残して、犬を連れてイラクを脱出したりと分からん行動もあるのだが、これも男女関係とか家族関係とかが絡む第三者に理解できない部分なのであろう。サダムの娘婿がヨルダンに亡命した後、なぜか帰国して射殺されるなんて事件があったことは思い出したが、家族を人質にとるのは北朝鮮と同じ方式。

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![]() | イラク戦争を検証するための20の論点 (合同ブックレット) イラク戦争の検証を求めるネットワーク 合同出版 2011-03 売り上げランキング : 188086 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
怒涛の如く出ていたイラク本も最近はご無沙汰なので、こんなのも。極左の合同出版なので、初めに結論ありきだkら、検証も糞もないんだけど、鎌田實ってこんなトコにも顔を出しているのか。フクシマの件でまた売れているけど、創価殻も極左からも出すのか。ピースボートとか高遠さんとかその筋の人もいるけど、酒井啓子さんもイラクとなるとなんでも顔を出すなあ。まあイラク本でこの人の言葉を寄せれば、それでお墨付きを得たことになはなるんだけど、何も高遠さんと共演しなくても。今更、引退した小泉ばかり責め立てるのも結構だけど、一時は凌ぎを削った大野が民主党議員になったんだから、その方面でなんかアクション起こしたらどなんだろう。かつてフセイン支援コンサートに出た喜納昌吉は落選中だけど。

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