![]() | 物語イスラエルの歴史―アブラハムから中東戦争まで (中公新書 (1931)) (2008/01) 高橋 正男 商品詳細を見る |
中公新書の例のシリーズなんだけど、イスラエルの歴史に限っては、色んな筋の息がかかってそうだな。この著者は60年代にイスラエル政府給費生としてエルサレムに留学した人らしいが、この分野では大御所ではある様だ。ユダヤ人が、果たしてパレスチナの地にイスラエルを建国することが妥当なものなのかについては、その根拠となっている「ユダヤ人の歴史」のロジックを認めるかのかという話になってしまうのだが、さすがに紀元前の話となると、例えその「歴史」が事実だとしても、それに先住性を認めるのは難しいと言わざるおえない。そこまで昔ではなくとも、コソボも問題も似た様なものであるからにして、今後もイスラエルをモデルとした主権主張の提起が各地でなされることになるかもしれない。とはいえ、紛争解決においては、双方の主張を聞くことが重要である以上、ユダヤ人の主張する「イスラエルの歴史」にも耳を傾ける必要はあるのだろう。しかし、歴史オンチにとって、「近代」に到達するまで250ページ以上というのは相当辛い。シオニズム運動くらいからは、なんとなくついていけるのだが、第一神殿時代とか第二神殿時代なんていうのは、正に「物語」の時代ではなかろうか。それにしても、ホロコーストにほとんど言及がないのもユダヤ本としては珍しい。イスラエルが、あくまで「世俗国家」である以上。イスラエルの歴史と、ユダヤ人の歴史というものは分けて考えるべきものなのかもしれない。その意味では「出エジプト記」の方が、「ホロコースト」より、建国神話としてふさわしいものなのだろう。
















