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2020年07月18日Sat [17:51] 中東/アラブ  

越境する社会運動



明石の「イスラーム・ジェンダー・スタディーズ」。me too運動とイスラーム・ジェンダー問題は対立軸になるのかならないのかという議論「はイスラームは平和な宗教なのか否かという議論と似ているところがあるのだが、突き詰めればイスラーム社会に蔓延る「女性差別」は伝統なのか教義なのかということなのであろう。その象徴とされた女性器切除などはイスラーム圏だけではなく、他地域ににも他宗教にあるのだが、これをムスリマの「義務」や「権利」と位置付ける主張は主流ではない。社会運動として一般化するには、「人権」の普遍化が必要でもある。イスラエルの女性運動がパレスチナ女性と連帯するのもその文脈であるが、日本のフェミ界隈同様、政治色を排除できるほどの一般化には成功していない様である。興味深いのは在日パキスタン人2世以降の結婚事情であるが、そういう問題が顕在化する時の経過もさることながら、そのほとんどが見合い結婚であるというのは意外であった。男性の場合はパキスタンから女性を娶るケースが多数であることは想像に難くないが、女性の場合、在外パキスタン人の男性に嫁ぐケースが多いという。男性が仕事をして女性が支えるというパキスタンの価値観に従えば、日本語ができないパキスタン人が日本社会で仕事をするのは困難であるという判断があり、日本育ちのパキスタン人女性がパキスタンで暮らすという選択もまた難しいところがある様だ。日本社会で育ったパキスタン人が日本の価値観ではなく、パキスタンの価値観を結婚に求めるのはアイデンティティ的にもエスニックリバイバルだとしても自然であると思われる。

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2020年07月01日Wed [02:40] 中東/アラブ  

中東テロリズムは終わらない



よく知らんのだが、TBSの夜のニュースのキャスターをしている人らしい。筑紫の後継者なのかな。TBSの中東支局長だったそうだが、中東支局はロンドンにあるとのことでズッコけた。中南米はマイアミ、アフリカはパリを拠点とした方がフットワークは至便ということもあるのだが、中東間のフライトはそれなりにあるんじゃないのか。単純にフライト数で言えば、トルコ航空のイスタンブールとかエミレーツのドバイの方が利便性は高いはずなのだが、ロンドンには「イスラム過激派」も集結しているし、取材中に官憲に消される心配もない(とは言い切れない)ということなのかな。イラク戦争時代の話が多いので、その時代にいたのかなと思ったのだが、ロンドンに着いた日に例の後藤さん湯川さんの事件が報じられたそうだから、そんな昔でもないか。基本的にテレビなので、取材というより画を撮るのがメインなので、あまり書籍向きではない。

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2020年02月03日Mon [02:16] 中東/アラブ  

日本のイスラーム



年齢は非公表だが、90年代からイスラーム研究を続けていて、上智大学アジア文化研究所客員所員という肩書は飯山陽と被るな。こりらは現代書館、朝日新聞出版という左派系版元から出している人なので、ちょっと毛色は異なるのだが、読んでみると飯山陽に近いところも感じる。前著の感想にも☆3つ付けていたところをみると、イスラムは平和主義啓蒙派とは距離を置く池内飯山組にどちらかというと近い方なのかもしれない。「イスラーム」、「クルアーン」などの用語法とイスラーム歴史宗教解説という「義理」をまず果たしておいて、専門である日本とムスリムの邂逅に移る。エルトゥールル号事件をエピックとしたのは意外であったが、親日神話化されたこの話に野田正太郎は登場しているのだろうか。著者は国策であった戦前のイスラーム関係よりも80年代の出稼ぎブームを日本のイスラーム関係の最大のエポックと見ているのだが、女性のイスラーム研究者として出稼ぎムスリムと対峙した経験が単純なイスラーム至上主義に陥らなくなった要素ではあった様だ。そう書いてはいないし、既婚であったかもしれんが、日本人女性と結婚したいという願望をあらゆる人から直接的に受け続けると、ビザ目当て、結納金無し目当てであるという不信感は生ずるのは必然ではあるか。飯山陽などはそれを海外で受けてきたとも思われるが、「日本」というフィルターが欠けていれば、非ムスリム東洋人女性は「売春婦」といった色眼鏡が加わることも容易に想像はできる。かといって、著者(改宗しているかどうかは不明)がイスラーム批判をしている訳ではないし、日本社会の不寛容を糾弾してもいない。要は肩ひじ張って、イスラームを理解する必要はなく、自然体で対峙すれば良いというだけであるか。

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2019年11月29日Fri [14:52] 中東/アラブ  

イスラム世界を訪ねて



かもがわ。野外活動教育をしている人みたいで、日教組関係なのかどうかは分からん。初っ端から反米かませるけど、これはアラブ世界に行けばそう言われるということだけではあるか。その後、原爆を落とされた日本はなぜアメリカに従属するのか、原爆を落とされた日本が西洋化せずに経済大国になったのはスゴいと左と右では言われることが違うのだが、大方のアラブ人はどっちも言わんだろうから、発信者がそう聞こえたと思っただけの話である。そもそも共産党とイスラム教が相容れる訳もない(その辺は中国もソ連も日共も同じ)のだが、日共はパレスチナ支援もしていないということで、多文化共生というタテマエにはなっている。例によって、子どもをダシに使う訳だが、アメリカがーとならないのは教育テキストになるからか。

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2019年11月08日Fri [15:00] 中東/アラブ  

国家を食べる 

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朝日を退職してもう12年。77歳になるのか。さすがに新規取材ものではない様だが、代表作の「アフリカを食べる」をその他バージョンで作ってみたという感じ。中東、北アフリカの飯ものに加えて、カラシニコフ爺さんが作ってくれた料理まで入れてある。何でも食う、出されたものは食べるというのが海外取材系ジャーナリストの鉄則なのだが、年取れば、食も細るし、病気の食事制限も出てくる。70過ぎて紛争地行けというのは酷であろう。

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2019年11月03日Sun [14:07] 中東/アラブ  

紛争地の看護師

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白川 優子
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国境なき医師団の宣伝ものであるので、かなりメディアに取り上げられた様だ。甘レビュも総絶賛で46も。ジャーナリストになりたかったというのも、戦場の現実を伝えたいからということであったので、これでその希望は叶えられたか。その希望を伝えるためにジャーナリストに会いにいったところ、軽くあしらわれたということで、もしかしてあの広河かと思ったのだが、後半に広河の映画の話が出てくるので、違う人なのだろう。監修したという川上泰徳でもないか。戦争や仕事の話ばかりでなく、自分の話を書くというのがこの種の本の決め手であるのだが、その辺は押さえてある。

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2019年09月24日Tue [16:07] 中東/アラブ  

外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?

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内藤 正典
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内藤正典のYA本は前にもあったと思ったのだが、ミシマ社とちくまプリマーか。いずれもイスラーム関係であったが、今回は幅をもう少し広げている。背景として、移民受け入れ政策、研修生制度問題、ヘイトスピーチ等々があったのだろうが、韓国、アジア関係のシマは荒らさず、持ち場であるドイツの事情を中心に未来像としての日本社会と外国人の話など。ただ、クルド人難民が大きなイシューとはいえ、欧州の様に中東系ムスリムが日本の外国人のマジョリティになるといった現実は考えにくく、ムスリムに限っても、近似性があるインドネシア人や、バングラデシュ人などの南アジア系が大量に移民してくるという事もなさそう。ベトナムやネパールがこれからも継続して来日するかは分からんが、宗教に起因する軋轢、衝突といったものが日本で深刻な社会不安を引き起こす可能性は大きくなさそう。ドイツのトルコ人にしても、家族呼び寄せ→在独コミュニティの拡大→二世以降のアイデンティティ不安といったプロセスを踏む訳だが、同じプロセスであった在日朝鮮人、中国残留孤児、日系ブラジル人といった定住社会の日本のプル要因が関係性が白紙の国に発動するのかというのも疑問ではある。留学生の就職、定住化といったところが一番しっくりくるところだが、それとて、一大エスニック社会を形成するには数十年単位が必要であろうし、いすれにしても、欧州で起きていることが、日本で起きるかどうかは微妙ではある。

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2019年09月12日Thu [14:29] 中東/アラブ  

自己検証・危険地報道 

自己検証・危険地報道 (集英社新書)
安田 純平 危険地報道を考えるジャーナリストの会
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安田純平の自己検証をジャーナリストの会が検証する訳でもなく、危険地報道の正当性をアピールする場になっている。日本社会が安田を糾弾するから、自分たちは守るという意図であるのは分かるが、ジャーナリストであれば例え仲間であっても報道の正確性に関しては常に疑問を持つべきではなかろうか。政府はウソを付いていて大手メディアは忖度しているが、自分たちは真実だと言われても何が真実なのか、実際に現場で見たことが真実なのかというのもやはりその発信者の信用度、共感性から判断するしかない。その上でプロパガンダが成り立つ訳だが、実際に現場に行き、拘禁までされた人にプロパガンダ性が感じられるとなると、「ジャーナリスト」の信用度がここまで低下したのは何故かという問題も考えなくてはならない。

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2019年08月17日Sat [02:07] 中東/アラブ  

アラブ音楽 



文庫クセジュ。楽天の書影だとやけにカバーが黄色いな。底本が1988年だそうだが、初版は1971年と、もはや半世紀前か。当時のフランスでは「アラブ音楽」は一エスニック伝統音楽みたいな扱いだったのだろうが、フランスのポップ音楽シーンに於いてアラブ音楽は未だにそんな感じなのだろうか。イスラームにとって音楽は宗教的にどういう扱いなのかよく分からんが、とりあえず、音楽が禁忌であるという事はない。ISも音楽は使っていたし、サウジアラビアにも歌手はいるのだろうけど、スーフィーと音楽に親和性があるところから、スーフィーズム自体をイスラームの文脈ではどう捉えるかということと関係してくるか。

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2019年08月15日Thu [14:04] 中東/アラブ  

一神教と戦争



最近の橋爪大三郎は対談づいている観が。同じ新書であれば、コスパ的にこっちの方が圧倒的に高いとは思うが。イスラムに限らず、別に中国でも韓国でも良いのだが、「専門家」の語る「日本人は知らない」「世間一般の認識を正す」という啓蒙主義的前提が空回りしている現状では、中田孝の様な理解されようが理解されまいが、我道を貫くのみというオタク道の方が共感は得やすい土壌はあるかもしれん。コミケ参加でその辺との親和性が高い事も証明はされているのだが、事、違うオタク間で戦争になった時の処理のシステムが構築されていない点は問題ではあろう。イキナリ火炎バーナーで燃やすなんていう荒っぽいマネは常人にはできんが、戦場で敵の戦闘員という認識があれば戦闘行為であるので、論理的矛盾は無い。宗教間の戦争には論理的正しさがあるが、国家間の戦争には論理的矛盾があるというのは確かではあるか。ナショナリズムやイデオロギーが宗教化する所以ではある。

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2019年06月21日Fri [19:38] 中東/アラブ  

わたしは12歳、爆撃される悪夢を見る。



合同出版のいつものやつ。子ども向けだから、子どもを主人公にしているのか、活動家だから、子どもを出汁にしているのか分からんが、子どもを使うのは左翼の特徴ではある。シリアやイエメンの子どもを助けるという名目で米国、ロシア、サウジアラビアがそれぞれ空爆している訳だから、ある種のブーメランである。子どもは子どもで、ISに入って、イスラムの大義を名目に西洋や堕落した王政に復讐を誓うかもしれん。日本の子どもに自分たちの恵まれた環境を自覚させる学習効果はあろうが、そこに恵まれた者と恵まれない者の格差意識が生まれないとも限らん。

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2019年05月15日Wed [04:08] 中東/アラブ  

イスラム10のなぞ 



中東新書帝王、ラクレは初かな。もう中公新書本体からはお呼びがかからないだろうけど、新書制覇も岩波だけは最後に残ってしまうか。一時期反米ものばかり出して猛アピールした観もあったが、原点のイスラム啓蒙の方に立ち戻っている。イスラームは本来は平和の宗教という「前提」も最近の学者は善しとしないのだが、それこそ平和の宗教なのに、テロだの戦争だのが多発しているのかという謎の答えが書いている訳でもない。アメリカやイスラエルの攻撃に対する反撃とすれば聞こえは良いが、暴力の矛先は国家と関係ない人たちや、ムスリム同士にも向かっている。本来は妻は4人までで、10人いたムハンマドだけは例外という規定も、某国王の子供200人とか聞くと、あれれと思う謎にも答えている訳ではない。

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