2018年02月10日Sat [05:05] 中東/アラブ  

イスラーム主義

イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)
末近 浩太

岩波書店 2018-01-20
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さすがに岩波新書だと、アマゾンのイスラム教カテゴリーで1位になるな。中東研究とイスラーム研究の違いをあえて超えたという著者だが、イスラームを知らない中東研究者も中東を知らないイスラーム研究者も理論的には可能とはいえ、実際はいないだろうから、こうした啓蒙本では両方サービスするのが普通。著者はレバシリの政治が専門だそうだが、イスラーム主義を「あるべき秩序」というキーワード使って説明している。「あった歴史より、あるべき歴史」というのは韓国だが、イスラーム主義もそれに似た「正義」への帰結が目的化している風にも思える。「間違った現実」を破壊することが正当化されるのもそうした文脈だが、それがその集団内の枠内に留まらず、他の領域も破壊することが正義となると、当然軋轢が生じることとなる。十字軍にしてもアメリカにしてもそうなのだが、宗教に普遍性を認めて良いのかと不信神者は思うのであった。

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2018年02月04日Sun [05:45] 中東/アラブ  

図説イスラム教の歴史

図説 イスラム教の歴史 (ふくろうの本)図説 イスラム教の歴史 (ふくろうの本)
菊地達也

河出書房新社 2017-11-25
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ふくろうの本。東大人文社会系研究科の人たちが書いているみたいだが、これはイスラム研か。今に至るまで中田孝が唯一の入信者だと聞くが、宗教研究は枠外を担保した方が研究上、客観性が保てるということはあるのかな。ふくろうの本の性格上もあるが、一般信徒の生活とか、経済、政治といった話はなく、宗教上の問題に的を絞っている。編者がシーア派研究の人なのだが、シーア派とサラフ主義の対立が問題の根本であることが示唆される。

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2018年01月11日Thu [01:04] 中東/アラブ  

地政学から読むイスラム・テロ

地政学から読むイスラム・テロ地政学から読むイスラム・テロ
マテュー ギデール クレール ルヴァスール 土居 佳代子

原書房 2017-11-17
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原書房のフランス産図説シリーズ。こういうのはフランスではポリコレ的にアウトというのはないのかな。「イスラムは平和」という言説など一顧だにしない。日本とは違って、テロと向き合わざるをえない現実というものもあるが、問題はイスラムではなく、イスラム主義なのだという二元論が出来上がっている様でもある。宗教としてのイスラムを否定することができないのはカトリックよりもユダヤ教への配慮だろうが、だからこそ、イスラム主義の魔の手から善良なるイスラム教徒、フランス国民としてのイスラム教徒をどう防衛するのかというのが課題なのだろう。

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2017年12月28日Thu [06:08] 中東/アラブ  

ブラック・フラッグス

ブラック・フラッグス(上):「イスラム国」台頭の軌跡ブラック・フラッグス(上):「イスラム国」台頭の軌跡
ジョビー・ウォリック 伊藤 真

白水社 2017-07-26
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ブラック・フラッグス(下):「イスラム国」台頭の軌跡ブラック・フラッグス(下):「イスラム国」台頭の軌跡
ジョビー・ウォリック 伊藤 真

白水社 2017-07-26
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WPの記者らしい。イスラム国もオワコン臭いし、ザルカウイも死亡し、バグダディも死亡したとみられるので、これも歴史の領域に入るのかもしれんが、その内実は証言がこれから構築されていくことになるのだろう。現段階では取材できるソースも限られているのだが、それが裁判という形で公式化される可能性は低い。結局は血の決済ということになってしまう訳で、こうした物語はそれを正当化する材料となるに過ぎない。もしその辺りにヒントを探すとしたら、投獄体験というところにあるのかもしれん。ISの欧米出身者の少なくない数がその体験を共有し、その現場で感化された可能性は指摘されているのだが、シリアやイラクのその現場はそれ以上のトラウマとなって、その行動性に大きく影響を与えたとも思われる。生存権を争う統治者に統治される民は当然生存権など否定されてしまうのだが、剥き出しの残虐性を正当化するのもまた生存権なのである。

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2017年12月20日Wed [04:41] 中東/アラブ  

中東世界データ地図 

中東世界データ地図:歴史・宗教・民族・戦争中東世界データ地図:歴史・宗教・民族・戦争
ダン スミス Dan Smith

原書房 2017-09-25
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原書房はこの手の版権獲得に熱心だな。アトラスも担当している平和問題の大御所らしいが、中東専門家ではない様だ。第3版だそうだが、初版もそんなに前では無いような感じ。紛争国しか載っていないという文句も来そうだが、紛争国ばかりなのだから仕方ないといいたとこtろか。キプロスは外すことにしたとしているが、キプロスも紛争中ではある。

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2017年12月14日Thu [05:03] 中東/アラブ  

ヨーロッパ文明の起源

ヨーロッパ文明の起源: 聖書が伝える古代オリエントの世界 (ちくまプリマー新書)ヨーロッパ文明の起源: 聖書が伝える古代オリエントの世界 (ちくまプリマー新書)
池上 英洋

筑摩書房 2017-11-08
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ちくまプリマー。古代オリエントの話なのに、ヨーロッパ文明がタイトルになっているのは、古代オリエントを尊重している様で、ヨーロッパ文明が現代文明として上位にあるということか。ちくまプリマーで、西洋史ものを幾つか出している人なので、その起源はということになったのだろうが、ちょとおテーマを広げすぎた観はある。聖書の科学的研究は欧米では現代学問としても盛んに行われている訳だが、人間が900年も生きていたといった史実の解明は厳しいだろう。

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2017年11月15日Wed [05:43] 中東/アラブ  

国際テロリズム

国際テロリズム:その戦術と実態から抑止まで国際テロリズム:その戦術と実態から抑止まで
安部川 元伸

原書房 2017-03-23
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日大危機管理学部教授。元公安調査庁か。さすがに理論ではなく、ケース・スタディ中心である。9.11などはもはや歴史といった感があるが、各国の情報機関は徹底研究しているんだろうな。当時よりサイバー戦の度合いが高くなっている訳だが、ネット上でのリクルートにページを多く割いているのは日本の大学生に一番危機管理が求められるところであるからであろう。特に生きる希望と術を見失った若い女性が狙われやすいのは、最近の事件でもそうなのだが、今のところ、言語がその壁となって日本ではIS戦士や「性奴隷」のリクルートは及んでいない(ように思える)。慶応の教授みたいに教え子を洗脳してしまうケースは今後も可能性があるのだろう。

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2017年09月28日Thu [04:25] 中東/アラブ  

戦場を歩いてきた

(131)戦場を歩いてきた: カラー写真で読み解く戦場のリアル (ポプラ新書)(131)戦場を歩いてきた: カラー写真で読み解く戦場のリアル (ポプラ新書)
佐藤 和孝

ポプラ社 2017-08-08
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意外と著書が少ないんだな。山本美香もウィキでは4冊となっているので、これで並んだ形だが、山本に関しては日テレの人がそれだけを補足する様に寄稿している。元々、写真畑というか、ハンディカム以前から活動していたみだいが、もうちょっと早く生まれいればベトナムにも間に合った人。ポスト・ベトナム組はアフガニスタンに流れたのだが、ベトナム以上に過酷な現場だから、ここを生き延びれば、恐るるものはないか。売るのが写真からビデオに変わっただけで、そのビジネス形式は変わらんのだが、イラクにしてもシリアにしてもカネがかかるし、写真と違って、物語も編集もいるから、とりあえず撮ってから売りこむのにはリスクがあるか。ただ、機材の軽便化と安価供給、何より発表媒体が多様化したのでVJの参入障壁は非常に軽くはなっている。テレビ局も企画書通すよりもユーチューブやフェイスブックで探して交渉したほうが責任問題も無いし、今後はそういう流れになっていくか。

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2017年09月24日Sun [05:30] 中東/アラブ  

ジハード主義

ジハード主義――アルカイダからイスラーム国へ (岩波現代全書)ジハード主義――アルカイダからイスラーム国へ (岩波現代全書)
保坂 修司

岩波書店 2017-08-24
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左派系から出すことが多い人なのだが、ポジション的には池内恵に近いんじゃないかな。少なくとも単純な反米や親パレスチナとは一線を画しているし、イスラームが平和な宗教だとも言っていない。イスラーム世界の代弁も啓蒙もしないので、相対化はできている。石油系シンクタンクは国益基本だから、そうなるけど、今の北朝鮮擁護派も体制擁護ではなく、アメリカという基軸で考えるから、矛盾が生じる。著者が指摘する通り、アラブ世界、イスラーム世界の反米は観念的なものであるから、実際の生活ではアメリカを選ぶという人が多い。ジハード主義者はそうした矛盾を突いているのではなく、ジハードの対象にアメリカが収まったからというだけの話である。敵はシーア派でも、共産主義者でも、多神論者でも不信心者でも良かったのだろうが、アフガニスタンで戦った兵士たちの仕事場を新たに見つける必要があったのだという。アフガン・アラブは実際にはアラブ系アフガニスタン人と訳すのが適当なのだそうだが、そもそもが失対事業であったのだから、ホーム・グロウンも、IS兵士の供給源も同じ水脈であるとは言えるだろう。イスラーム法学者や国家の権威などが「神」を超えることなどないのだから、経済的に恵まれていたとしても、鬱積した現世の不満は洗脳に対して脆弱なのである。

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2017年09月13日Wed [05:23] 中東/アラブ  

となりのイスラム

となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代
内藤正典

ミシマ社 2016-07-17
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これが出てたのも知らんかったが、ミシマ社のは直取の関係か、あまり図書館には入らない。賛否あろうが、難解表現を駆使する自己満本は作らないという姿勢は良いのでは。これも誤解されているイスラム観を是正したいというよくあるパターンで、内藤さんがずっとやってきた事なのだが、コーランがどうのとかムハンマドがどうのではなく、宗教色を廃したもの。イスラームが宗教であり異教であるという部分を抜くことで、ムスリムと同じ目線に立てるというのはあろう。同志社でも大学ではそういうことをやってきているのだろうけど、キリスト教ではバックはだめだけど、イスラム教はOKだよといった下ネタアプローチは効くと思う。キリスト教徒というか白人女は動物的で屈辱だからバックはさせなというのは勝目梓だったかの小説にも出てきたが、内藤先生は体験談として書いているのかな。日本人でも嫌がる人はいるが。昔、大学の授業で、LGBT活動家がゲストで来たことがあったんだけど、学生が引いてしまって、活動家さんがセックスのこと、聞いてください。話しますんで。と言ったものの。教室はKYになってしまった。なんてことがあったが、今の子たちはそんな風にはならんか。

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2017年08月22日Tue [05:55] 中東/アラブ  

帝国の復興と啓蒙の未来

帝国の復興と啓蒙の未来帝国の復興と啓蒙の未来
中田 考

太田出版 2017-07-19
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カリフ制の対立軸としての領域国民国家システム批判はイスラーム世界で正論とされるのだろうが、そのコンセンサスがイスラーム世界でも得られていないのは領域国民国家による利益享受が矛盾を孕んでいないと判断されているからなのだろうか。或いは矛盾が否定できないからこそ、利益享受者がISなり、タリバンなり、カリフ制を標榜する集合体を援助しているのだろうか。そのカリフ制が偽物だとしても、カリフという存在意義は担保しておきたいという一種のノブレスオブリージュ的な行為かもしれないが、それも自身に危害が加わらいという前提においてである。帝国も共産主義も領域国民国家システムを道具としている訳だから、その矛盾には普遍性があると言えるのだが、宗教やイデオロギーの領域争いが現行の国民国家の領域争いより良きものになるとも思えん。

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2017年07月29日Sat [05:48] 中東/アラブ  

アラブ人の世界観

アラブ人の世界観──激変する中東を読み解くアラブ人の世界観──激変する中東を読み解く
水谷 周

国書刊行会 2017-05-24
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最近再刊した吉村作治の「アラブ人の頭の中」にカウンターを仕掛けた訳ではないのだろうけど、水谷周はなんちゃってムスリムの吉村と違って、モノホンの教徒なのだろうか。外交官でデンバー総領事までしたという経歴は著書の略歴から抹消しているけど、日本ムスリム協会理事というのが現職か。WIKIでは同一人物だが、デンバー総領事の水谷周って別の人なのかな。最近はイスラーム教とアラビア語の研究書を出し続けているのだが、トランプの中東政策の章もあるから、やはり元外交官か。中東という呼称に関してヨーロッパ中心主義だという批判が現地の側からあるのかと思っていたのだが、そんなことは全く無くて、アル・ジャジーラでも頻繁に使うし、エジプトなどでも現地機関名に多いのだという。日本も戦後しばらく、極東放送とか、極東選手権とか、結構使っていた様なのだが、現在はほぼ淘汰されたのと対照的である。それには理由があって、アラブ世界からみれば、西洋は辺境であって、東洋が中心であり、中東というのは正に的を射た呼称なのだという。

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