2018年07月05日Thu [03:55] 中東/アラブ  

アラブ革命の展望を考える 

アラブ革命の展望を考える―「アラブの春」の後の中東はどこへ?アラブ革命の展望を考える―「アラブの春」の後の中東はどこへ?
ジルベール アシュカル 湯川 順夫

柘植書房新社 2018-01-01
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レバノン出身の人で、原著は2015年らしい。現在ロンドン大教授とのことで、原文も英語なのだろうが、翻訳のせいかイマイチ締りが無い。シリアもエジプトも展望と呼べるほどの未来が描きにくくなっているのだけど、アラブ革命の余韻も余波もすっかり無くなってい待った感はある。2015年から状況が好転しているのなら、それで良いのだが、観光や石油に依存したままの経済構造だと、難民として人口を流出させるしかないか。民主主義のエネルギーでイスラーム主義を抑える目論見が「アラブの春」のシナリオにあったのか分からんが、ISが駆逐され、テロが収まったこととの相関性は無かろう。

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2018年07月04日Wed [01:34] 中東/アラブ  

メソポタミア発午前四時

メソポタミア発 午前四時 イラン・イラク戦争が問いかけたことメソポタミア発 午前四時 イラン・イラク戦争が問いかけたこと
坂田 憲治

幻冬舎 2018-05-17
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幻メディコンの自費ものかな。革命前テヘランの滞在記とバグダッド脱出記(イライラ戦争)。テヘラン大での研修(語学?)は韓国、中国勢が共に外交官で、日本人が企業派遣という時代か。中韓国交無い時代だけど、日中韓連合を組んでたらしい。中国は文革期もイランには公館があったんかな。ただ、後半の文明評論みたいなのは蛇足であって、中国人が民度が低いとかディスっている。最近の中国のイラン進出の事を言っているのだろうか。例のトルコ航空機脱出話もあるのだが、政府も日本航空も動かなかったが、一民間人がオザルに電話して話を着けたとのこと。とはいえ、バグダッド脱出の件ではアンマンまで日航が来たので、感激したとも。FAが全員男性だったのが、バンコクで女性に代わったので、思わず「日本の女はキレイだな」と。気持ちはわかるが、何かまとまりのない話である。

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2018年06月24日Sun [05:16] 中東/アラブ  

イスラム流幸せな生き方

イスラム流 幸せな生き方 世界でいちばんシンプルな暮らしイスラム流 幸せな生き方 世界でいちばんシンプルな暮らし
常見藤代

光文社 2018-05-17
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イスラム・エスノグラファーとは何ぞやとも思ってしまうのだが、一昔前にあった池内恵批判問題にも通じる部分がある様な。著者の前提として、日本人(或いは世界は)イスラムを恐いと思っている、危険な宗教であると思っているというのがあって、それは自身もそうだったからという告白もあるのだが、そうした世間の偏見をひっくり返す為に、イスラムは平和で、男女平等で、心優しい人たちだという事を説いている。まるでイスラムという均質な世界が、均質な人々の世界がある様な見方だが、その辺は全く留保が無いので、本気でそう思っているのかもしれない。池内恵批判の時もそうだったが、中東研究者が戦闘的イメージを払拭するという意図からから過度にイスラーム=平和を刷り込んでいたのだが、そう単純化できるものでもない。ムスリムは温かくて、日本人は冷たいというものでもないし、どの世界でもそういう人もいるし、そういう部分もあるし、そうでない人も、そうでない部分もあるというだけの事。

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2018年05月20日Sun [03:49] 中東/アラブ  

今日からできるムスリム対応

食のハラール入門 今日からできるムスリム対応 (栄養士テキストシリーズ)食のハラール入門 今日からできるムスリム対応 (栄養士テキストシリーズ)
阿良田 麻里子

講談社 2018-03-02
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タイトルだけ見ると、また中田孝に一括されそうなハラール・ビジネスものかと思ってしまうのだが、そうした批判を念頭にした「ムスリム・フレンドリー」に寄り添ったものであった。問題は日本人がハラール食品を用意しないことではなく、その表記がいい加減であるということであって、認証機関が乱立しているハラール認証を含めて、中途半端な表記はやめてくれということ。韓国の屋台で勝手にハラール認証をコピーして貼り付けているレポがあったが、中途半端な表記である方がハラールだと、信じてしまう可能性もある。とはいえ、ハラールかハラームを決めるのは神であって、買う人でも売る人もない。そこに束縛されるのではなく、あくまでムスリムにフレンドリーという立場で良いのだが、何を以てフレンドリーかというのも難しい。全ては神が決めることなのだから。

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2018年05月06日Sun [06:10] 中東/アラブ  

映画で旅するイスラーム

映画で旅するイスラーム 知られざる世界へ映画で旅するイスラーム 知られざる世界へ
藤本 高之 金子 遊

論創社 2018-03-15
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イスラーム映画祭はユーロスペースでやっているのか。フィルセンだったり、フリーパスだったりなら観に行くけど、単片1,400円はヴェーラの2本立てより割高感はあるな。何本か観たのがあるから、日本公開作品で字幕付きのを映画会社から借りてきているのかな。特定の国がスポンサーではないし、日本イスラーム協会が映画の宣伝をするとも思えんので、イスラームというより、映画研究側の企画の様だ。ざっとあらすじ読んだだけだが、やはりイラン映画が圧倒的に面白そう。この世界の映画大国はエジプトだが、彼の国にも脚本検閲があるらしい。検閲は映画の質を下げるどころか、逆に上げるというのは逆説的であるが、映画作りの実際を知っている人にとっては容易に頷ける事。

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2018年04月23日Mon [05:25] 中東/アラブ  

イスラーム思想を読みとく

イスラーム思想を読みとく (ちくま新書)イスラーム思想を読みとく (ちくま新書)
松山 洋平

筑摩書房 2017-10-05
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近影を見ればすぐ分かるし、ムスリム名もなって、日本ムスリム教会の理事でもあるそうなので、ほぼ間違いなくムスリムなのであろう。新書とはいえ、ちくまだし、またクルアーン解説かなと思ったのだが、意外や意外に一般向けの分かりやすいものであった。ムスリムであるということは別にその代表者でも代弁者でもないので、イスラームは平和な宗教であるとか、アメリカが悪いとか日本死ねなんて事は言わない。ISもアルカイダもおそらくボコ・ハラムもムスリムであるということを否定しない。それは日本赤軍を非国民だと言うようなものであって、酒を飲もうが豚カツ食おうが、本人がムスリムであればムスリムなのだという。そういった意味ではムスリムの方が寛容性があるとも言えるのだが、モスクの代わりに神社で祈ったりするムスリムもいる訳で、キリスト教(の一部)や共産主義、自称リベラルなどといった人たちの方がよっぽど教義に囚われている。

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2018年04月22日Sun [05:06] 中東/アラブ  

中東・イスラーム世界の歴史・宗教・政治

中東・イスラーム世界の歴史・宗教・政治――多様なアプローチが織りなす地域研究の現在中東・イスラーム世界の歴史・宗教・政治――多様なアプローチが織りなす地域研究の現在
髙岡 豊 白谷 望 溝渕 正季

明石書店 2018-02-28
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オムニバス論集。中東と言えるのはシリア紛争とIS関連のポスト・イスラーム主義のラスト2章くらいで、あとはムラービト朝、スペイン領モロッコ、アルジェリア、ベルベル、古代エジプト、アフガニスタン、現代トルコ、現代アメリカ・ムスリム、タイ南部、モロッコと広義の「イスラーム世界」か。まあ日本ではイスラーム=中東ということになっているし、自分もイスラームものはジャンル分けでは中東アラブに押し込んでいるので、一般読者向けではないが、一般版元である明石としては妥当なところ。マグレブ関係が多いのはマグリブ研究の人が多いからなのだが、上智にはマグリブ専門教授が私市、白岡と二人いるんだな。マグリブは女性も入りやすい土地(あくまで中東に比べてだが)なので、若手研究者は女性が多数派を形成しているのは他の地域研究と同様。モロッコのベルベルの割合は40%で、アルジェリア20%、チュニアジア2%といったところみたいだが、国境を超えた民族運動の動きは無いらしい。ベルベルの民族運動というか、ナショナル以外の運動自体が未だに微妙な国もあるし、アラブ人間でも、マグリブ3国に連帯意識は希薄なので、それも無理ないか。

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2018年04月04日Wed [05:35] 中東/アラブ  

一神教とは何か 

一神教とは何か: キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために (平凡社新書)一神教とは何か: キリスト教、ユダヤ教、イスラームを知るために (平凡社新書)
小原 克博

平凡社 2018-02-17
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同志社神学部の一神教センターを立ち上げた人なのか。その後、良心学センターに鞍替えしたそうだが、「良心」は「正義」同様に要注意キーワードではある。正義の為の暴力は否定しているし、キリスト教世界の不寛容も問題にしているが、日本の宗教的寛容の本質は無関心であると批判している。日本は多神教であるから、キリスト教が根付かないという説は根拠がないとしているのだが、同種の文化的背景がある韓国ではそうではないとする。キリスト教徒の「良心」優越性をどう解釈するかの限界が生じていることは否めない。国家神道を否定する立場は政教分離の原則ではなく、歴史性に立脚している様だ。キリスト教徒イスラームの一神教間の相互理解の必要性を日本の現状に当て嵌めれば、歴史認識になるのであろうが、それが片務的であることに多くの人は不満を抱いていると思う。

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2018年03月20日Tue [05:07] 中東/アラブ  

池上彰の世界の見方 中東

池上彰の世界の見方 中東: 混迷の本当の理由池上彰の世界の見方 中東: 混迷の本当の理由
池上 彰

小学館 2017-08-01
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しかし、この人もよく続くな。選挙には頑として出ないのが好感度なのかもしれんが、大学教授の肩書を保持し続けるのもタレント色を薄める狙いなのか。講演は最高クラスなのだろうが、こうした公立高校での講演は二次利用が前提だから、ロハか。NHK時代は別に特派員をしていた訳ではないのに、なぜか国際問題評論家みたいになっているけど、資料集めとインプット係は雇っているのだろうか。

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2018年03月19日Mon [06:06] 中東/アラブ  

地政学から読むイスラム・テロ

地政学から読むイスラム・テロ地政学から読むイスラム・テロ
マテュー ギデール クレール ルヴァスール 土居 佳代子

原書房 2017-11-17
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原書房のフランス本テキスト。地図で読むシリーズと似ているのだが、地政学になったのは何か支障があったからなのかな。フランスにおけるテロの頁もあるが、ガチでテロと対峙しなくてはならない以上、地政学的見地が求められるか。フランスに限らず、欧州出身者がテロに走るのは、インターネットにより「母国語」で直接情報を吸収できる様になったことが大きい。70年代であれば左翼ゲリラに走っていただろう人間が「イスラム戦士」になるのは行き場のないエネルギーと鬱積した社会への不満を抱えた若者にとっての福音の様なもの。

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2018年03月14日Wed [09:11] 中東/アラブ  

アラジンとお菓子

『アラビアンナイト』から アラジンとお菓子『アラビアンナイト』から アラジンとお菓子
ムナ サルーム レイラ・サルーム エリアス Muna Salloum

東洋出版 2017-12-24
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東洋出版ということは自費か共同なのかな。シリア系カナダ人父娘が著者らしいが、訳者の料理研究家の企画だろうか。「アラビアンナイト」も例によって、読んだことはないのだが、色恋話ばかりというのは古典のセオリーではあろう。その中に出てくるお菓子をピックアップして、レシピとともに紹介という趣旨なのだが、アラブに菓子文化が発達したのは、酒を飲まないので、甘党ばかりだからというのが定説だけど、どうなんだろう。元駐チュニジア大使とその夫人がカタカナ表記に協力したとのことだが、元チュニジア大使の夫人はチュニジア料理研究家なのか。

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2018年02月10日Sat [05:05] 中東/アラブ  

イスラーム主義

イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)イスラーム主義――もう一つの近代を構想する (岩波新書)
末近 浩太

岩波書店 2018-01-20
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さすがに岩波新書だと、アマゾンのイスラム教カテゴリーで1位になるな。中東研究とイスラーム研究の違いをあえて超えたという著者だが、イスラームを知らない中東研究者も中東を知らないイスラーム研究者も理論的には可能とはいえ、実際はいないだろうから、こうした啓蒙本では両方サービスするのが普通。著者はレバシリの政治が専門だそうだが、イスラーム主義を「あるべき秩序」というキーワード使って説明している。「あった歴史より、あるべき歴史」というのは韓国だが、イスラーム主義もそれに似た「正義」への帰結が目的化している風にも思える。「間違った現実」を破壊することが正当化されるのもそうした文脈だが、それがその集団内の枠内に留まらず、他の領域も破壊することが正義となると、当然軋轢が生じることとなる。十字軍にしてもアメリカにしてもそうなのだが、宗教に普遍性を認めて良いのかと不信神者は思うのであった。

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