![]() | ヒマラヤにかける橋 (2007/04/01) 根深 誠 商品詳細を見る |
文字通り、ネパールの山中に橋をつくるという話で、みすずっぽくない本なのであるが、中身も「感動ボランティアもの」とは、ちょっと違うもの。前に竹中工務店の社員がネパールに学校を作る本を読んで、実践編としては役に立つだろうなどと書いた記憶があるが、この山岳文筆家を生業としている著者も、その実践は「感動」とは、ほど遠いものだということを知らしめてくれる。いきおい、愚痴と挫折がメインになってしまい、「本職」のトレッキング話で埋め合わせはしているものの、これを読むとネパールに援助などしない方が良いのではないかと思う人が多いだろうから、逆効果といえば逆効果だ。援助の本質を考えれば、こういった本は百害あって一利くらいしかないかもしれないが、読書的には、青臭い偽善大会の話を聞かされるよりは百倍マシというもの。ネパール人のいう「パワーを見せつけてるんですよ」という言葉には感心したが、それも世間が「他者」で構成されている多民族、階層社会の宿命なのだろう。日本のお役所仕事は、最近の年金問題などで、大層評判が悪かったりするのだが、世界的にみれば、例外的に「機能している」役所を持つ国ということになるのではなかろうか。たしかに「パワーをみせつける」人は、かつての「お役人様」の時代の名残でいないこともないのだが、公務員が公僕として「世間」に吸収されてしまうと、パワーを見せ付ける理由も必要もない。世界的にみればネパールの役所が特殊なのではなく、日本の役所が特殊なのだ。かといって、日本大使館の事務方を融通が利かないと非難するのは筋違いではないか。「草の根資金援助」も国民の血税を使っている以上、大使のポケットマネーと同列に考えていることには納得がいかない。ただ、著者も病気になったり、借金を背負ったり大変だったことはたしかな様で、この本の印税をアテにしたり、冬中夏草の輸入を試みたりなんてことも、あとがきに記している。少なくとも印税を寄付するために新風や文芸から本を出すなんていう矛盾はない。そう言わずに、経済効果も算出して、「援助」から「投資」へと脱却することが、今後は求められるのではなかろうか。










