世界読書旅
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■ 幸福大国ブータン 
2008年05月03日 (土) 11:45 * 編集 *
幸福大国ブータン―王妃が語る桃源郷の素顔幸福大国ブータン―王妃が語る桃源郷の素顔
(2007/10)
ドルジェ・ワンモ・ワンチュック

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副題が「王妃が語る桃源郷の素顔」となっているが、著者は正確には「元王妃」、2006年に退位した前国王には4人の妃がいたそうで、その一番年長の人らしいが、現国王の母ではない模様。冒頭のカラーページに、「婚礼の儀の王妃たち」という4人の王妃の写真が載っていて、五女、四女、著者、三女となっている。ということは著者は次女ということなんだろうけど、ん?「王妃」が姉妹?「王女」と勘違いかと思った。どうも、前国王は四姉妹を一気に嫁に貰った様で、それが慣習らしい。四人妻というと、イスラームが有名だが、一気に四姉妹と結婚するなんて話は聞いたことがない。昔、周潤發の映画で姉妹に惚れて二人と結婚する為にイスラームに改宗するなんてフザケタ映画(それを除けば映画自体は面白い)があったが、湾岸は知らんがブルネイ国王だって、嫁が古女房になってから、若いのを貰うというパターンだろう。しかし、日本でいまどき、六人姉妹なんて家はそうないと思うが、そういう家系は「縁起もの」として、お妃候補として四人ぐらいまとめて面倒みてもいいんじゃないかな。まあ、そんなことしたら「女性天皇」論者に怒鳴られそうだが。で、本の話に戻ると、「語る」となっているくらいだから、テープ起こしものなんだろう。ただ、著者には父の話をもとに家族の歴史を描いた前著があるらしい。そんな「語り」を原書の半分くらいと、佛教大学(京都のね)での文字通りの「語り」である講演記録を加えたもので、訳者は例によって今枝由郎だが、原書は仏語ではなく、当然ゾンカ語でもなく英語らしい。しかし、「お」とか「こ」が異様に読みにくいフォントを使っているのはなせだ。まあ王家の人の話だから、例のGNHに沿ったユートピアを語っているに過ぎないのだが、ネパールの王政廃止がいよいよ現実味を帯びてきた今、国内のネパール系の問題は、そんな悠長なことを言っていられない状況であることはたしかだろう。シッキムやチベットといった「兄弟国」が大国に併合されて久しいし、人民解放軍とインド軍の越境行為も続いているらしい。ネパールとチベットの状況次第では、ここで印中代理戦争が勃発する可能性もゼロではなかろう。その防波堤が「幸福パワー」というのも、如何にも頼りないのだが、さすがに「無防備宣言」みたいなアホなマネはしていない様で、著者の息子(元王子となるのか)も、両親の反対にも関わらず、国土防衛隊に志願したのだとさ。
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■ 21世紀仏教の旅 ブータン編 
2008年02月21日 (木) 22:59 * 編集 *
21世紀 仏教への旅 ブータン編 (21世紀 仏教への旅)21世紀 仏教への旅 ブータン編 (21世紀 仏教への旅)
(2007/06/29)
五木 寛之

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またこのシリーズを読んでしまったが、今や仏教作家として活躍しているらしい五木にとっても、ブータン仏教は未知の世界だったらしく、伝道者ではなく、旅行者としての視点で書いているので、読みやすかった。やはり、この人は紀行文の方が性に合っている。ブータンの第一印象が日本に似ているというのも、その印象が後に180度変わるというのも、かなり一般的な視線であると思う。この旅でも今枝由郎が付いていた様だが、高僧の教えに帰依するのではなく、対話に拘っているのも、TV番組という性格もあるが、五木がブータン仏教を異質なものとして捉えていることの表れだとも感じた。「なぜ、人を殺してはいけないのか」というという問いには陳腐なものも感じるが、人がトシをとり、宗教的になってくるのも、こうした明確な答えを出せない問いに対する煩悶があるからなのかもしれない。もっとも、高僧や博士も75歳の作家からそんな質問を受けたことに戸惑いを覚えたかもしれない。行く前は大分、高山病について心配していたそうだが、75歳の五木寛之がこうして、テレビ伝道を引き受けるのも作家のカルマというものなのだろうか。
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■ ブータンと幸福論 
2007年10月09日 (火) 23:02 * 編集 *
ブータンと幸福論―宗教文化と儀礼 ブータンと幸福論―宗教文化と儀礼
本林 靖久 (2006/12)
法藏館

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この版元は仏教書を出しているところの様で、著者も仏教畑の研究者らしい。ブータンのGNH国民総幸福の論理は方々で語られている通りなのだが、どうも浮世離れした感じは否めない。もっともブータンという国自体が浮世離れした国である以上、何も矛盾はないのだろうけど、日本の様な俗世間の国に生きるものがGNHを賛美してしまうのも、どこかオリエンタリズムの香りがしないでもない。もっともこれは国王が言い出したことだし、この本を読んでもブータン人のコンセンサスがある様なので、それには値しないことは確かなのだが、家族が支えあって、自然の中で伝統的な生活を送るといったことが、普遍的な「幸福」であるのかどうかについては疑問が残る。もちろんブータンでもネパール人問題があったり、インドや西欧文化の流入があったり、はてはJICAに絡んだ汚職事件もあったりと、「幸福」の形も単元することは難しくなっている様だ。ただ、その「国民総幸福」が仏教の裏づけがある以上、同様に「宗教による幸福」を謳う「神のご加護の帝国」や「イスラム原理主義」の国、「儒教先軍政治」の国に比べて平和的なイメージを残すのだろうか。カンボジア、ベトナムなどをみても仏教徒は平和主義者という訳にはいかないのだが、チベット仏教はその桃源郷イメージと結びついているので、「国民総幸福」と言われても説得力を感じるところがあるのだろう。日本の原郷が農村にあった時代は、それは日本にも応用できる理念であったのかもしれないが、今の時代にあっては、もはや「幸福」の裏づけもカネで計るより仕方ないことも確かである。その意味ではホリエモンやセショーの様な人は、まだ「幸福」を信じる人なのだろう。昔、ある人から「あなたは幸福を探しているんですよ」と言われてドキッとしたことはあったが、「幸福」なる価値を金科玉条にするのは違和感がある。ほどよい「不幸」があってこそ「幸福」を感じることができるのではないかという気もするのだが。
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■ ブータンにみる開発の概念 
2007年08月13日 (月) 10:15 * 編集 *
ブータンにみる開発の概念―若者たちにとっての近代化と伝統文化 ブータンにみる開発の概念―若者たちにとっての近代化と伝統文化
上田 晶子 (2006/05)
明石書店

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博士論文ものらしい。とはいっても英国博士なので、原文英語を翻訳したとのこと。前半は論文らしい用語解読と調査方法説明が続く小難しいものなのだが、いよいよ本題のブータン・フィールドワークが登場する後半は一転して、さらりとしたレポートと言った感じの二段構成。こうしたフィールドワークものに付き物の「調査の困難」が全く感じられないというのが、ひとつのポイントとなるが、それは、著者が明らかにしてる様に、インフォーマントの殆どが英語を解すことが大きかった様だ。この言語問題については詳しく聞きとりをしているのだが、英語教育を受けた者とゾンカ語教育を受けた者の間では前者が西洋志向(近代化肯定)、後者が保守志向(伝統文化肯定)といった傾向が表れるものの、それが表象に過ぎないことも検証している。高等教育を自国語のみで行うという環境が実は多くの国にとって羨望の対象であることは、日本の「英語教育推進派」の人たちには見えていないのだろうが、ブータンの英語教育組にも「道具としての」英語と割り切った見方が多い様だ。また、海外帰国組を中心として所謂「エスニック・リバイバル」の動きがあるのも世界的傾向と同じである。「調査の困難」を回避できたのは他にも、都市部と学生しか調査対象としていな点にもあろう。農村を見なければブータンを見たとは言えないことは著者も往々にして分かっていることなのだが、非英語社会であることはもちろん、非識字率も高い農村では「開発の概念」の答えを見出せないと思ったのだろうか。また、非チベット系を調査の対象から外しているのも気にかかる。チベットとシッキムの「悲劇」を語らせる関係上、都合が悪い事態にはなるし、外国人の調査の制約はあるかと思うが、あくまでも国民国家の道を堅持するブータンの現実を見据えるには欠かせないものかと思うがどうだろう。その辺りと関係しているだろうけど、英国人が指摘したという「日本人であること」がやはり調査の困難を回避できた一番の大きな要因であることも窺える。
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■ ブータン仏教から見た日本仏教
2005年10月13日 (木) 21:05 * 編集 *
4140910321ブータン仏教から見た日本仏教 NHKブックス
今枝 由郎

NHK出版 2005-06-30
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著者は留学してフランスに帰化し、ブータンにも十年間在住した仏教学者として知られており、この本はそうした自身の遍歴と、研鑽を重ねた結果、生じた日本の仏教に対する違和感をまとめた本。いわば自分史と「葬式仏教」批判本であるのだが、これが仏教に対しては門外漢の私が読んでも結構面白かった。日本仏教の問題点は仏教徒ではない(と認識している)私が指摘するのは筋違いなのかもしれないが、僧侶が妻帯したり、経典が漢語のままだったり(よって意味不明の暗誦となる)、セクト化したり、金儲けに勤しんだりというのは、他の国の仏教徒からみると異様に映るであろう。お墓を作るのは日本の仏教だけという記述もあり、これにはちょっと驚いた。ただ、そうした世俗化が日本の特徴であり、日本人に宗教意識が希薄な点はその経済発展と関連があると見る事も可能であろう。しかし、ブータンがその発信源であるGHPの観点では、それはあまり意味がない(ブータン国王はGHPという価値観が独り歩きしている現状には違和感があるらしい)というのが著者の見方。そして著者が指摘している最大の問題点は、経典の日本語化がなされていない点なのだが、それが仏教を僧侶のものだけにして、「教え」の不在を招いているというのには納得する。その点で印象に残るのが著者の中の「師」との出逢いで、その存在の大きさなのだが、私の中での「師」の不在が、人生の大きな喪失を招いている事は認めなくてはならない。宗教意識がない人間は何かに「帰依」する事には警戒するものだが、こうした点は不利になろう。
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■ 現代ブータンを知るための60章
2005年08月21日 (日) 13:33 * 編集 *
4750320854現代ブータンを知るための60章
平山 修一

明石書店 2005-04
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海外本最強の「知るため」シリーズ。遂にブータン編まで登場。明石も本気で全世界制覇を狙っているのかもしれない。しかし、仕事に手抜きはない。この本も完璧な内容だ。パッカー派には敷居が高いブータン観光だが、この本を読めば、その国のイメージが形成できる。ほぼ全編がお勉強箇所であったが、印象に残った情報をメモっておこう。

*ブータンにない職業=芸能人、花屋
*ブータンで一番通じる言語=ヒンディー語
*名前に男女の区別なし
*一夫多妻OK、一妻多夫は消滅(チベット系は可)
*ブータンの併合も狙っていた中国
*夜這いは親公認
*反インドゲリラも活動

やはりこれは一日200ドル払っても、行かないといけないかな。
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■ ブータンの政治
2005年05月18日 (水) 23:23 * 編集 *
ブータンの政治―近代化のなかのチベット仏教王国
レオ・E. ローズ Leo E. Rose 山本 真弓 乾 有恒
明石書店 (2001/12)
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原書はだいぶ前の出版らしいが、大学教授とその学生が一生懸命翻訳した成果本。
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