![]() | 核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実 (2007/11/13) ゴードン・コレーラ 商品詳細を見る |
「核を売り捌いた男」とはカーン博士のこと。著者はBBCの記者で、カーン個人の評伝としてではなく、カーンのネットワークの究明に努め、リビア、イラン、北朝鮮の旧「悪の枢軸」への核兵器移転の可能性を探っている。ということで、かなりの長編なのだが、BBCのアメリカ国務省担当特派員という身分が、こうした「情報戦」の役割の一端を担っている可能性というものはどうなんだろうか。カーンのあの「謝罪メッセージ」は、たしかに奇妙な幕引きにしか思えないのだが、はたしてCIAの圧力にパキスタン政府が応じたという筋書き通りなのだろうか。パキスタンの核が「対インド」を名目にして、インドの核が「対中国」を念頭にあったことを考えると、インドの核を容認し、パキスタンの核には厳しく対処するというアメリカの姿勢(当然ながら、日本のそれに準じている)は核のドミノ現象をインドで止めたいというところなのだろうが、実際には核のイスラーム化を一番恐れているのであろう。フセイン政権を力で打倒したことが、カダフィの決断を促したとするなら、イラク戦争にも意義があったというものだが、次のターゲットであるイランに全力を傾ける中で、北朝鮮が漁夫の利を得るのは、たまったもんではない。この本によれば、リビアの核はカーン・ネットワークに丸々依存していただけなので、その根元を断ち切れば、自主開発能力のないリビアは、西側が与えたエサに食らいつくより他はかった様だが、イランや北朝鮮はそう一筋縄でいくものではない。この時代に、カーン・ネットワークだけが独占できる技術や資材などがある訳でもなく、つまるところ、カーン・ネットワークが管理を逃れ、自由に行動できたことが、問題を複雑化させたということなのだろう。ただ、そうなると、なぜ、カーン・ネットワークが制約を受けなかったかということが問題になってくるが、これも9.11並みの陰謀論の世界と関係してくるかもしれない。ひょっとすると、リビアは最初から当て馬に過ぎなかったのではないかという疑念も生じてくる。









