2015年04月22日Wed [02:30] パキスタン  

パキスタンでテロに遭いました

パキスタンでテロに遭いましたパキスタンでテロに遭いました
野上 あいこ

彩図社 2014-06-24
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2012年にイスラマバードからフンザに行くバスに乗ったところ、途中で襲撃されたらしい。背景はスンニ派とシーア派の対立とのことだが、どちらの側が何を以って襲撃したのかは分からん。死者等犠牲者の数も分からんが、とりあえず同乗の大学生などに助けられ、無事帰還。過激派系の観光業に打撃を与えるテロだったら、真っ先に射殺されていたのだろうが。乗客の多くは逃げ押したみたいだし、後で見つかったスーツケースからは現金が抜き取られ、パスポートだけが無事だったらしい。そのためお金が無くなりその後のホテル代などが払えなくなってしまったそうだが、こういう貴重品はスーツケースに入れておくものなのかな。肌身離さずだと逆に危険ということか。

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2014年10月24日Fri [23:36] パキスタン  

パキスタン政治史

パキスタン政治史―民主国家への苦難の道 (世界歴史叢書)パキスタン政治史―民主国家への苦難の道 (世界歴史叢書)
中野勝一

明石書店 2014-08-28
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タネ本があるみたいだが、複雑怪奇なパキスタン政治史を現場感覚の無い人間が頭に入れるのは難しい。政治家が暗殺される割合が高い国というランキングがあるのかどうか分からんが、パキスタンは間違いなく上位に来るであろう。政党政治の体をなしてはいるものの、実際は政党は氏族集団で構成されておるところが大きいらしく、そうした「家」同士の抗争が政治の場に持ち込まれて血生臭い仁義なき戦いを展開しているらしい、この様な価値観の世界では政治家は世襲であり、貧しい民衆の子が出世するには軍人になるしかない。この辺は戦前の日本とも共通するところだが、それゆえ、軍部は一定の民衆に支持基盤があり、強権化する。

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2014年08月07日Thu [02:12] パキスタン  

ムスリムNGO

ムスリムNGO―信仰と社会奉仕活動 (イスラームを知る)ムスリムNGO―信仰と社会奉仕活動 (イスラームを知る)
子島 進

山川出版社 2014-04
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山川の「イスラームを知る」だが、パキスタンがメイン。東日本大震災の時に有名になった大塚モスクもパキスタン人が中心であったが、こうした在日パキスタン人たちが、本国でNGOを立ち上げるケースも多々あるらしい。ムスリムNGOというと、同胞団系とかサラフィー主義系など組織力や資金力に長けたより宗教的な中東の一派を想起するが、パキスタンのそれはNGO大国として知られているインドやバングラデシュなどと共に南アジア的なものらしい。

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2014年01月24日Fri [02:19] パキスタン | 本・雑誌 |読書メモ  

武器より一冊の本をください

武器より一冊の本をください 少女マララ・ユスフザイの祈り武器より一冊の本をください 少女マララ・ユスフザイの祈り
ヴィヴィアナ・マッツァ 横山 千里

金の星社 2013-12-05
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マララ本は自伝も翻訳が出たみたいだが、こちらはイタリア人が書いたYA向け評伝か。カバーはわざと混同させている様な気もするが、少女らしい面影の自伝に対して、こちらはローティーンとは思えないような貫禄ぶりだな。イタリア語の原題はマララ物語みたいなものだが、邦題は国連演説を意訳したものか。ペンと本が武器になると言っているのだが、タリバンはマジで子どもに武器を渡しているので、そうした背景も説明が必要であろう。タリバンは言ってみれば「先軍思想」みたいなもので、今はシリアでも洗脳しやすい子どもをターゲットにしているらしいが、アフリカとは違って、女は兵士として使えないから、言う事聞かない奴は殺すという風になってしまうのだろう。

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2011年11月24日Thu [00:42] パキスタン | 本・雑誌 |読書メモ  

知られざる素顔のパキスタン

知られざる素顔のパキスタン―日本人ビジネスマン奮戦記知られざる素顔のパキスタン―日本人ビジネスマン奮戦記
氏原 やすたか 波勝 一廣

共栄書房 2011-08
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日本文芸アカデミー大賞というものを受賞したそうだが、ふくろう博士がやっている賞なのか。ふくろうヨイショ本とか、池田大作ヨイショ本なんかが受賞している怪しいものだが、竹中平蔵とかジェンキンスとか日野原とかも受賞させているのか。まあ色々と繋がりはあるんだろうが。で、これは飛鳥建設の駐在していた人の話を三一書房から海外ものを何冊か出している「作家」がまとめたもの。ということで共著ということになっているのだが、形としては駐在の一人称。団塊の人で70年代から海外に出ていた人なので、タイトルからして昔懐かしの「知られざる」外国記といったところ。例によってパキスタンってどこにあるのなんて話から始まるのだけど、11年も住んでいれば「素顔」と言えるものを見たのもたしかかもしれん。キリスト教信者らしいのだが、この年代でイスラム圏に駐在に出た人は何かしらの宗教が便宜的にも必要だったのかな。そうした背景があるからか分からんが、パキスタンに関しても、イスラム教に関しても割と冷めた見方。11年も住んでいると思い入れみたいの往々にして強くなるのだが、西洋人的な合理感覚に近いものがあるのだろう。現地に来る日本人女性旅行者を批判するのはパキスタンものでは定番なんだけど、そんなに多いのか。フンザは多そうだが、カラチとかラホールなんてのは女性に限らず、日本人旅行者には鬼門だったりするんだけどね。

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2011年07月31日Sun [13:31] パキスタン | 本・雑誌 |読書メモ  

苦悩するパキスタン

苦悩するパキスタン苦悩するパキスタン
水谷 章

花伝社 2011-04
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オ様暗殺前の出版だけど、これだけ世界の不安定要素になっている国なのにパキスタン本は数が少ないな。インドとは比べるもないが、自分の読了数でもスリランカ、バングラデシュよりも少ない。紛争はアフガニスタン、歴史はインドに食われているところはあるのだろうが、そんな中、やたら詳細なパキスタン政治状況を綴った本が出た。著者は元在パキスタン公使で、大使ものの系譜に入るんだろうが、大使まではいかず、トルコ、ドイツ公使などを務め、定年前52歳で教授職に転出しているので、元々研究肌の人だったのかもしれない。元が一橋の院の講義ノートということで、さすがに学部と違って濃密なのだが、自身は一橋の学部卒で、大学院に教授tとして戻ってきた様だ。パキスタンの状況に関してはほとんど戦国時代みたいなもので、国民国家形成に関してもインド以下の水準と言えるだろう。タリバンを育てたのも元はと言えば、インドを牽制する為だそうだが、カシミールももはや地元民よりも「外人部隊」が主力になっているらしい。経済的にも今後インドには水をあけられる一方になろうが、かといってこればっかりは核の様にインドに対抗して経済を成長させるというのは難しい。

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2010年12月06日Mon [17:57] パキスタン | 本・雑誌 |読書メモ  

タブー

タブー―パキスタンの買春街で生きる女性たちタブー―パキスタンの買春街で生きる女性たち
フォージア・サイード 太田まさこ

コモンズ 2010-10
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イスラム圏でも売春が普通にあることは知られていることで、石井光太もその辺をテーマにした本を出しているのだが、実際に行って体験することは出来ても、学術調査という形で体系的に調べるのは困難を伴うだろう。著者はアメリカで教育を受けたパキスタン女性でNGOを主宰している人らしいのだが、告発調のものではなく、好奇心が先行している感じ。もっともパキスタンの様な社会では告発風にしたくてもできない事情はあろう。女性がその地区に行くというだけで許せない男たちは多いかと思う。そうしたことが関係しているのかどうか分からんが、テーマが売春なのに、売春そのものの記述は驚くほど少ない。パキスタンの伝統(といっても建国50年くらいだが)なのか、古今東西の普遍的なものなのか、売春は芸能と結びついているという点は興味深い。日本も言うまでもなくそうだったのだが、踊りや通常女性が奏でることはないらしい楽器の稽古に励む女性たちの話がメインとしてもよかろう。著者はこれを日本のゲイシャとパキスタンにだけ見られる現象だというのだが、そんなことはないと思う。植民地の女性を根こそぎ軍隊が拉致して、従軍慰安婦にした日本の例が一番おぞましいともしているのだが、やっぱそういう風に伝わっているんだね。だからパキスタンの方がマシと言っている訳ではないのだが、眼前の売春婦達には同情も共感もない様だ。インドだとネパールから連れてこられたりしているので、パキスタンもアフガニスタン出身者が多いかと思うが、そうしたシステム的な話はない。

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2009年03月03日Tue [13:37] パキスタン | 本・雑誌 |ノンフィクション  

ジハード戦士 真実の顔

ジハード戦士 真実の顔――パキスタン発=国際テロネットワークの内側ジハード戦士 真実の顔――パキスタン発=国際テロネットワークの内側
津守滋 津守京子

作品社 2008-07-17
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著者はパキスタンを代表するジャーナリストらしい。ムジャラフから賞は受け取れないと、「全パキスタン新聞社協会賞」の受賞拒否をしたという硬骨漢らしいのだが、たしかに、これではムジャラフとか、ISIというよりも、数多のジハード組織に命を狙われるんではないかという「全パテロリズム大全」。とにかく群雄割拠の「イスラム過激派」を網羅していて、十派一からげに「アルカイダ」で済ませてしまう西側マスコミを一喝している感じ。はじめにを書いている人はそういう意味で、レヴィの本などを批判しているのだろうが、本文はむしろ西側マスコミ向けにテキストを提供しているといった趣もある。イスラムにもパキスタンにも精通していない欧米メディアには実用的なものだろう。ただ読者的には、百科事典を読まされている感じで、名作として名高い『タリバン』の様な面白みはない。『タリバン』を書いたのはアハメド・ラシッド という人だが、これは「はじめに」を書いている人とは別人かな。翻訳者はクウェート、ミャンマー大使を経験した外務省OBで、これは珍しい「翻訳の大使もの」。宮田律から原書を入手したとのことだが、それも「らしい」話ではある。娘さんは帰国子女となるのだが、ちゃかり父娘共訳にしている。ということで、外人が日本の新左翼セクト史などを読んでも理解し難いだろうが、パキスタンの場合、治外法権の地域があったりして「戦国時代」そのままなので、これを一度に理解するのは難しい。ダニエル・パールを誘き出すのは、いとも簡単だったなど犯人は豪語しているそうだが、そりゃそうだろう。その中で、パキスタンのクリケット・チームが宗教化しているという話だけは興味深かった。クリケットは、あちらでは、ぶっちぎりの国民的スポーツである訳だが、パキスタン・チームの南ア出身のコーチが大会で負けた後、殺害されたことは記憶に新しい。それにも宗教的ウラがあることを窺わせているのだが、キリスト教徒やヒンズーも代表チームに入っていたのか。ラマダンで断食しながらプレーというのは、教義的には微妙なところなのだろうが、宗教が原因で負けたという声が出たりするのも、国民的スポーツたる所以なのだろう。

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2008年09月24日Wed [23:28] パキスタン | 本・雑誌 |感想  

越境の人類学

越境の人類学―在日パキスタン人ムスリム移民の妻たち越境の人類学―在日パキスタン人ムスリム移民の妻たち
工藤 正子

東京大学出版会 2008-05
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博論もの。「在日パキスタン人ムスリム移民の妻たち」という副題が付いている。修論は在英パキスタン人についてだったらしく、研究テーマが日本にシフトししているし連続性は保たれている。「妻たち」にフィールドを移したのは、同性として、「夫たち」より調査の利点があるがことが関係しているのだろう。もっともそれ以上に、「妻たち」が同じ日本人であることが大きいと思われる。日本人の妻を持つ在日パキスタン人はほぼ例外なく、流暢な日本語を話すし、英語での調査も可能だろう。しかし、女性研究者の調査にはパキスタン人男性としても、ムスリムとしても壁があったことは確かであろう。改宗してムスリマとして生きる「在日パキスタン人の妻たち」が社会から見えない存在であることや、ビザ不要の時期に来日して、現在まで在留し続けるパキスタン人と結婚した妻たちの年齢が著者と近いこともその理由となった様だ。一言で言えば、彼女たちが社会から「見えない存在」になっている原因を追究する論考と言えるのだが、ビザを要因とした結婚、イスラームにおける女性の扱いといった、とかくステレオタイプに陥ってしまう話を声高に否定するのではなく、その可能性も含めて、内実の多様性を紹介することで、日本人同士の結婚、非ムスリム同士の結婚同様、一筋縄では語れない「結婚」と「家庭」という問題を相対化することに成功している。日本では宗教的実践が難しいという声もあれば、皆がほっといてくれるので、イスラームの実践はしやすいという声もある。いずれにしてもイスラームの問題に帰結できるのだが、「ボーン・ムスリム」がイスラームとパキスタン或いはその出身社会の慣習を混同している点は興味深い。これは「スカーフ論争」と同種のものだろう。また「娘の教育」というのはこうした家庭の重要な課題となっている様で、娘はパキスタンに送って「日本の女の様にさせない」というのが、多くの家庭で共通する認識なのだという。たしかに日パハーフの息子はよく見かけるが、娘はあまり見かねない。その是非は議論の対象になるべきだろうが、ムスリムとしては問答無用の自明なことなのであろう。女子の性教育や体操着を拒否することがクルアーンの教えに合致してるのかもしれないが、「女性」を見えなくしてしまうことは宗教というより、文化的なものとも思われる。学術論文である以上、宗教に関わる問題については慎重な姿勢が窺えるが、いすれにしても優れたものであることはたしか。著者自身の入信の予定はないらしいが、それも博士という「自己実現」があったからだろう。離婚や日本人以外の第三国人の妻たちについても調査があればよかった。在日パキスタン人の妻として、フィリピン人やロシア人、中国人などの事例がかなりあるのだが、彼女たちに対しては明らかに日本人妻に求められるものとは違う傾向がある様にも感じる。

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2008年05月16日Fri [12:01] パキスタン | 本・雑誌 |読書メモ  

核を売り捌いた男 

核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実
(2007/11/13)
ゴードン・コレーラ

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「核を売り捌いた男」とはカーン博士のこと。著者はBBCの記者で、カーン個人の評伝としてではなく、カーンのネットワークの究明に努め、リビア、イラン、北朝鮮の旧「悪の枢軸」への核兵器移転の可能性を探っている。ということで、かなりの長編なのだが、BBCのアメリカ国務省担当特派員という身分が、こうした「情報戦」の役割の一端を担っている可能性というものはどうなんだろうか。カーンのあの「謝罪メッセージ」は、たしかに奇妙な幕引きにしか思えないのだが、はたしてCIAの圧力にパキスタン政府が応じたという筋書き通りなのだろうか。パキスタンの核が「対インド」を名目にして、インドの核が「対中国」を念頭にあったことを考えると、インドの核を容認し、パキスタンの核には厳しく対処するというアメリカの姿勢(当然ながら、日本のそれに準じている)は核のドミノ現象をインドで止めたいというところなのだろうが、実際には核のイスラーム化を一番恐れているのであろう。フセイン政権を力で打倒したことが、カダフィの決断を促したとするなら、イラク戦争にも意義があったというものだが、次のターゲットであるイランに全力を傾ける中で、北朝鮮が漁夫の利を得るのは、たまったもんではない。この本によれば、リビアの核はカーン・ネットワークに丸々依存していただけなので、その根元を断ち切れば、自主開発能力のないリビアは、西側が与えたエサに食らいつくより他はかった様だが、イランや北朝鮮はそう一筋縄でいくものではない。この時代に、カーン・ネットワークだけが独占できる技術や資材などがある訳でもなく、つまるところ、カーン・ネットワークが管理を逃れ、自由に行動できたことが、問題を複雑化させたということなのだろう。ただ、そうなると、なぜ、カーン・ネットワークが制約を受けなかったかということが問題になってくるが、これも9.11並みの陰謀論の世界と関係してくるかもしれない。ひょっとすると、リビアは最初から当て馬に過ぎなかったのではないかという疑念も生じてくる。

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2007年06月19日Tue [00:32] パキスタン | 本・雑誌 |読書メモ  

生贄の女ムフタール

生贄の女 ムフタール 屈辱の日々を乗り越えて 生贄の女 ムフタール 屈辱の日々を乗り越えて
ムフタール・マーイー (2006/08/26)
ソフトバンク クリエイティブ

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これは欧米で売れ筋ジャンルとして定着しているらしい、イスラム女性の人権蹂躙告発もの。パターンとして、ただの「ひ弱き被害者」だけでは駄目で、欧米の「先進的」な価値観を身に付けることで覚醒し、イスラム社会の後進性にフェミニズムの先進性をコントラストに描き、闘う姿勢を全面に出したものが、やはり評判になる様だ。このムフタールさんの訴えは妥当なものだと思うし、パキスタンの部族社会がこの様なものであることは事実として疑いはないのだが、こうした欧米経由(著者が通訳を通して話したものをフランス人がフランス語でまとめたらしい)の翻訳本を同じく「野蛮」の側の一員とされている日本人が読むというのもなんか違和感があったりもする。十二歳の弟が強姦容疑で逮捕され、その身代わりとしてレイプされたというのも、酷い話というか、理解の範疇を超えた話なのだが、イスラム社会は欧米にも存在するので、最近の趨勢なのか、それが宗教的では文化的な悲劇だということが強調される。主人公は熱心なイスラム教徒であり、女性の教育や社会進出、女性の保護はコーランの教えと矛盾しないとする。問題はその土地の文化の後進性にあって、イスラム教の伝統とは無関係とする。たしかに正論である。しかし、我々がよその国の価値観に基づいた「いい日本人」と「悪い日本人」に勝手に選別されることに反発を覚える様に、パキスタン人もまた(或はイスラム教徒もまた)反発を感じているかもしれない。問題はその他者の価値観が「人類普遍」のものなのであれば良いのだが、実際にその他者がしている事は、それ以上の人権蹂躙であって、お前にいう資格などないし、自分の汚点を隠す為の偽善と見られてしまうことにある。まあ異文化理解なんてものは絵に描いた餅に過ぎないことは確かなんだろう。


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2005年11月05日Sat [02:16] パキスタン | 本・雑誌 |読書メモ  

誰がダニエル・パールを殺したか?

4140810300誰がダニエル・パールを殺したか ? (上)
ベルナール=アンリ・レヴィ 山本 知子

NHK出版 2005-03-27
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4140810319誰がダニエル・パールを殺したか? (下)
ベルナール=アンリ・レヴィ 山本 知子

NHk出版 2005-03-27
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ダニエル・パール記者殺害事件については、故人の嫁さんの本も出ているのだが、途中で嫌になって読むのを止めてしまった。これはそのリターンマッチとして読んだが、嫁さんの本より長い上下巻2冊ながらも、結構面白かった。著者はその嫁さんと同じフランス人で、かなりの大物らしい。こちらの本では、晩年のサルトルのお気に入りながら、耄碌したサルトルと論争して、現在も批判を続けていると海老坂先生が立腹している。なんでもフランス大統領の特使も務めるエライ人ながら、哲学、小説、映画と多岐に渡る創作活動をしている人らしい。その大物ぶりは初っ端から披露される。カラチに到着して、タクシーの運転手に宗教を聞かれると「無宗教だ」と答え、運転手は絶句。ご他聞に漏れず、この人はユダヤ人なのだが、後半にはマドラサに於いてでも同様の答えをしている。これはセオリーに反するが、「常識」についても考え直す必要がありそうだ。さて、物語は実行犯とされるオマル・シェイクに焦点を当てて進むのだが、その核心は悪名高きISIにあり、オマルはその指令によって動き、ISIはまたアルカイダとも連なるというのが著者の結論。これが荒唐無稽なのか、それなりに根拠がある事なのか、この本を読んだだけでは何とも判断が付かないが、海老坂先生が指摘する様に、この著者の特徴は文章のテンポが良く、非常に読み易い点(私が読んだのは翻訳だが)であり、生きた言葉を用いているので、何となく同意してしまう。著者自身の言葉も、対峙するムスリムの言葉も、少なくとも発言としては平等に扱っており、ドバイのサウジ人弁護士の発言などは何だかものすごく説得力があった。著者はこれを小説と銘打っている様なので、もしかしたらそうした細部には創作が含まれているのかもしれない。そう考えれば合点がいく。ただ、殺害のシーンはビデオを繰り返し視たとの事で、おそろしくリアルな描写であり、取材に協力したパール記者の両親もさぞかし困惑しているのではないか。

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