![]() | タタ財閥―躍進インドを牽引する巨大企業グループ (2008/02) 小島 眞 商品詳細を見る |
カバーの人がラタン・タタか。それにしてもインパクトのある顔だな。インド人とイラン人と西洋人をミックスすれば、こんな顔になるんだろうが、タタ財閥っていうのは正にそんな企業。タタそのものを題材にしたホンは初めてみたけど、インドにとっては新日鉄とトヨタと松下とソフトバンクと三井物産を合せたみたいな会社だから、その影響力は計り知れない。流行のITも日本でもてはやされているインフォシスをTCSは凌駕しているらしいし、ミッタルからの防衛策で新日鉄がタタと組んだのは記憶に新しいところ。話題の10万ルピー車も無事完成し、飛ぶ鳥を落とす勢いなのであるが、90年代の「改革開放」以前は、タタが1人奮闘していたことを思い出す。当時は停滞するインド経済の代名詞みたいな存在であった訳だが、アフリカとか中東ではタタトラックが走っており、将来、インドが生産基地化すれば、インドから西半分は瞬く間に市場を占有してしまうであろうと感じたこともあった。結局、インドの経済躍進は「英語」という大英帝国の遺産が牽引しているのだが、民族資本の代表格であるタタが、海外においてもブランド力で勝負できる日は、インド経済のロードマップに入っているのだろう。その伏線としてCI戦略を着々と進めているらしく、社会的貢献度を基準としたタタブランド使用の整理が始っているらしい。タタはその気になれば、あらゆる市場を押さえることは可能なのだろうが、無制限に増殖すると、思わぬところで足をとられてしまうということはあるのだろう。著者は最後に、電力部門をポイントとしてあげているのだが、ここでタタがブランド化できれば、インド経済の未来も明るいのかもしれない。1900年代の初めに政治家が盗電を奨励したというのは、どこか数字が違う様な気がするが、未だに多くの世帯や、少なからずの工場が電力を盗電で賄っていることは知られている通りである。そこに政治家の利権が絡んでいることも想像に難くないのだが、インドでインフラを押さえることは一筋縄では行かない。電気、水道、電話といった公共設備の設置が容易であるか否かで、先進国かどうかの基準を量る人たちがいるが、たしかに、それは根拠があるものであろう。「先進国」に必要なのは、天才的な数学者ではなく、誠実な末端役人ということである。
















