世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ ビルマ商人の日本訪問記 
2008年06月01日 (日) 22:43 * 編集 *
びるま
ビルマ商人の日本訪問記 (別世界との出会い 2)
土橋 泰子

連合出版 2007-10
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連合出版の古書復刊シリーズ「別世界との出会い」もこれで読了。唯一の非西洋人の手になるこの本が、たぶん一番面白い。時代背景を考えれば当然なんだけど、やはり、「西が出会あう東」より、「東が出会う東」の方が安心して読める部分はある。これは1936年の話というから、226事件とかがあった年にあたるのだが、本格的に戦時体制に入ってるわけでもなく、ビルマ商人の眼に映った日本の姿はかくも洗練されたものであったのか。ビルマ語でビルマ国内向けに出されたものだから、啓蒙の意図が前面に出ていることは当然なのだが、著者が独立戦争中にアウンサンの下で働いたことを鑑みると、これがアウンサンの日本観にも影響を与えた可能性があるのかもしれない。国をイギリス人に支配され、インド人と中国人に経済を支配され、ラングーンの港に着けば、税官吏もインド人、クーリーまでインド人という状況では、日本人が国も経済も動かし、日本人が働くという至極当然な日本という国家も、アジアの例外であったことがよく分かる。そんな中でもマレー人とビルマ人が最低の状態であるとした著者も、独立後に、そのマレー人にすら大差をつけられてしまう状況に陥るとは想像だにしなかっただろう。その意味では著者が「日本という鏡」に託したビルマの未来は未だ映らずといったところだが、国民国家が完成するまでに強権を発揮することが出来るカリスマの不在が大きかったのだろうか。著者は1963年に亡くなったそうだが、ともかくも国の独立をみたことと、国が近隣諸国の経済発展から取り残される姿をみなかったことだけでも幸せだったのかもしれない。この書の初訳出は1980年から1983年まで鹿児島大学の紀要に連載されたものらしい。訳者はビルマプロパーの大ベテランの人みたいだが、当時からしても40年以上前の話のウラを丁寧に一つ一つ、とっていく作業を怠らず、感心してしまう。連載が3年も続いたというのは、こうした事情があったのかもしれないが、日本人訳者として、「日本人の美徳」というものを裏切ってはならないという風な圧力を、この本から感じたのもかもしれない。なお、ビルマ本の宿命である国名表記の問題についても明確であった。
「ビルマとは俺のことかとバマー言い」
# * ミャンマー/ビルマ * Comment (0) * Trackback (0) *
■ ビルマとミャンマーのあいだ 
2008年02月24日 (日) 21:12 * 編集 *
ビルマとミャンマーのあいだ―微笑みの国と軍事政権ビルマとミャンマーのあいだ―微笑みの国と軍事政権
(2007/10)
瀬川 正仁

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著者は「映像ジャーナリスト」という人とのこと。その本業の作品は全く知らないので、何とも言えないのだが、文章の方は第一作だったらしい前作のインドネシア編に続いて、このミャンマー編もかなり上出来である様に感じた。それも映像という蓄積があるからということなのかもしれないが、映像と文章、いずれも割に合わない仕事なら、両方合わせて少しでも負担を軽くするのが正解であろう。もっとも、どちらかが、どちらかの付属品の様な印象を与える作品は、読者も視聴者もひきつけないのだが、この著者は撮影が主であることを、ほとんど感じさせず、取材者と旅行者の境界も曖昧であり、読者の疑似体験としての旅行記という意味では、技巧的にも優れていると思う。ちょうど例の長井さん事件と出版時期がぶつかって、BSの番組でも取り上げられたりしたのだが、そうした「ジャーナリスティック」な視点でみると、拍子抜けさせる一方、軍事政権とかスーチーさんに収斂されている「ビルマ」という国を考え直させる好書であったのではなかろうか。80年代にタチレクで越境しなかったことや、ネピドーでのへっぴり腰といった決して無理をしない慎重な姿勢は長井さんと著者の運命を分けたと言えるのかもしれないし、著者が、いつの間にか現れる「ガイド」と「スパイ」をうまく使いこなしたことも、長井さんとの違いである様な気がする。また、美人姉妹や、コカンのタバコ話は私も身に覚えがあることだったので、感慨深いものがあった。マイノリティーを絶対的な「弱者」として捉え、返す刀で日本を式の思考は、ちょっと古臭い様にも思えるのだが、この世代の「ジャーナリスト」はそれが雛形である以上、それが自然なのかと思う。とにかく、この国はどう呼ぶかで、その人の政治的スタンスを表明させられるので、私もジャンル名を玉虫色にしてるのだが、このタイトルはうまく考えたねえ。
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■ ミャンマーの柳生一族 
2006年11月26日 (日) 22:17 * 編集 *
ミャンマーの柳生一族ミャンマーの柳生一族
高野 秀行

集英社 2006-03-17
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早稲田探検部出身作家という点では末席にいるんだろうけど、船戸与一とか西木正明とかの小説はあまり読みたいとは思わないが、この著者の本はかなり面白い。それが純ノンフィクションなのか、「メタフィクション」なのかは分からぬが、フィクションである「国際冒険小説」はちょっとカッコ悪い気がしないでもない。そんなモノホンの「冒険派」(中国からミャンマー経由陸路カルカッタも達成)である著者が先輩の船戸与一に誘われて大名旅行を敢行したのがこの旅行記。大名が漫遊したミャンマーは江戸時代ということで、当時権力を欲しいがままにし、後に失脚したキン・ニュン一派を柳生一族に準え、スー・チーを徳川家の千姫とする。この辺にはちょっと強引さを感じるし、人によっては不快に思うかもしれないが、船戸の小説とセットで連載、初版文庫が約束された立場では、こうした迎合路線が必要だったのかもしれない。ただ、ミャンマー/ビルマにさほど思い入れがある訳ではない私は素直に面白く感じられたし、ある意味、分かりやすい事実確認であった。トレーダーズ・ホテルに泊まり、ガイド、通訳(柳生一族)にチャーターした4駆での大名旅行でも、得意の麻薬王ネタやゲリラ系ネタはキチっと入れてきてるし、トレーダーズ・ホテルは初代麻薬王が作ったものとは初めて知った。麻薬王が三代とも中国系というのは如何にもだが、表舞台(裏舞台というべきか)から降りたクンサーが悠々自適の生活というのも知らなかった。前に中国人がクンサーを「中華英雄」と持ち上げた本を読んだ時は流石に途中で放り出してしまったが、山奥で遊ぶところがないから投降したとか、軍事オタクだから最新武器を揃えたというのは、金正日じゃないけど、民族主義は私利私欲の道具と割り切っている者のスゴさを感じる。また、いつも気になる読書大国ミャンマーについても言及している。それは他に娯楽が無いからというのは当たっているかとも思うが、現実逃避という側面もあるのではなかろうか。ミャンマーで読まれるのは外国の作品が多いらしい。日本ではほとんど知る人がない武田鉄矢の映画が当たったというのはその延長線上にあるものだろう。
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■ 『ビルマの竪琴』をめぐる戦後史
2006年04月28日 (金) 06:27 * 編集 *
『ビルマの竪琴』をめぐる戦後史
馬場 公彦
法政大学出版局 (2004/12)
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『ビルマの竪琴』がビルマを舞台にしながらビルマではないことは、ようやく「常識」として認識されているが、この本はそうした「事実誤認」は自明のこととし、この作品とは正反対とされている竹山道雄の思想言説と、『ビルマの竪琴』の真のテーマであったはずの「和解」を巡る戦後史を論じたもの。私は不勉強にして知らなかったのだが、竹山が当初想定していた舞台は「シナ」であり、和解の相手も「シナ人」であったらしい、ところが何だか「リリー・マルレーン」に着想を得た様な話であるが、「シナ」と日本では共通の歌がないことに気付き、ビルマに舞台を移したとのこと。ただこれも「シナ」を共産党が掌握しつつある時期に執筆されたこととも無縁ではなかろう。戦後、時代に抗し反共主義を貫いた竹山だが、「東側」の消滅と、中国の和解が困難な現在の状況は、彼の主張の正しさを証明するものでしかない。しかし、相手が同じ「文明価値」を信じる英国に代わったとしても、未だ完全な「戦後和解」は成っていないのが現状だ。竹山が『ビルマの竪琴』を一人歩きさせたのも。この辺の読みには自信がなかったからではないかとも思う。このテーマでは最近、『戦後和解』という優れた新書が出たが、こちらの著者である小菅信子に著者は日英関係は依拠したらしく、その考察は興味深い。小菅は日中関係の方も洞察感があるのだが、日中和解については著者は同じく友人である溝口雄三や孫歌に依拠しており、私的には不満が残る。竹山が生きていたら、これには異議を唱えるだろう。著者が主張するのは思想信条を超えた和解だが、それを望まぬ相手との和解は困難であると言わざるおえない。
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■ ミャンマーという国への旅
2006年01月05日 (木) 11:05 * 編集 *
ミャンマーという国への旅ミャンマーという国への旅
エマ ラーキン Emma Larkin 大石 健太郎

晶文社 2005-08
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このタイトルは言い得て妙だと思ったら、原題は"Secret Histories"で、副題が"Finding George Oewell in a Burmese Teashopというオーウェルのビルマ時代の足跡を訪ねる話だった。この手の話は1ジャンルとして確立しているのだが、何で呼ぶか忘れたし、不精なのでリンクしないが、私の読書記録にもこの筋のものが幾つもある。しかし、ちょっと毛色が違うのは、この著者はアメリカ人の女性ジャーナリストで、その題材が「ミャンマーという国」のジョージ・オーウェルなので、ありがちなノスタルジア一辺倒ではなく、かの国の警察国家ぶりや、欧米社会のアイドル、アウン・サン・スー・チーの動向をたっぷり伝えている。ビルマが意外な読書大国であることも記されているが、地べた本屋さんの多さには私もかつて感心したものである。これは近隣諸国の露天にはあまり見られないもので、中にはかなりハイレベルな書物を揃えた店もあり、炎天下に排気ガスにまみれて、ソ連時代のロシア語書籍を読みながら客を待っている店主の素性などが気になったりした。現在の「ミャンマー」が『一九八四年』の世界であるかどうかはさておき、やはり一筋縄ではいかない国であることは確かな様だ。
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■ ミャンマー 東西南北・辺境の旅
2005年08月31日 (水) 13:56 * 編集 *
4839601550ミャンマー 東西南北・辺境の旅
伊藤 京子

めこん 2002-11
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こちらも旅行記風ガイドだが、本当に東西南北辺境、可能な限り紹介しているのですごい。
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■ ミャンマー 仏教遺跡の宝庫を歩く
2005年07月24日 (日) 03:03 * 編集 *
4822222292ミャンマー―仏教遺跡の宝庫を歩く
邸 景一 「旅名人」編集部

日経BP社 2003-12
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旅行記の体裁をとったオールカラー構成のガイドブック。このシリーズ結構売れているらしい。
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■ 中国人ムスリムの末裔たち
2005年06月29日 (水) 16:12 * 編集 *
4093895376中国人ムスリムの末裔たち―雲南からミャンマーへ
やまもと くみこ

小学館 2004-05
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タイトルだけではよく分からないが、かつて雲南省に住んでいたムスリムが南下してミャンマーに定住している。今ではミャンマー政府に少数民族として認められているそうした中国にルーツを持つムスリムの調査記。著者は思うところがあって大学を辞め、今はフリーの研究者だそうだ。
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■ 日本からみた祖国ビルマ
2005年06月18日 (土) 22:54 * 編集 *
4876481954日本からみた祖国ビルマ
マウン・ミンニョウ 重田 敞弘

草の根出版会 2004-04
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こちらもミャンマーではなく、「ビルマ」派。難民認定で日本に暮らしているだから当然か。
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■ 生命の森のひとびと
2005年06月10日 (金) 16:28 * 編集 *
4652011407生命の森の人びと―アジア・北ビルマの山里にて
吉田 敏浩

理論社 2001-04
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著者はライフワークとして、ビルマ少数民族と連帯している人。やはりあの辺りに日本人の原型があるのだろうか。
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■ ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー
2005年05月21日 (土) 03:38 * 編集 *
ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー
田辺 寿夫 根本 敬
角川書店 (2003/05)
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通常2〜3日以内に発送


こちらはミャンマーではなくビルマ。反軍事政権の人は「ビルマ」にこだわるが、日本語の「ビルマ」は英語の「バーマ」からではなく、ポルトガル語の「ビルマニア」由来らしいので、新英語名「ミャンマー」に合わせる必要はないとのこと。なんだか「シナ」論争に通じるものがある。
★★
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