2016年10月12日Wed [05:03] マレーシア  

国家と対峙するイスラーム

国家と対峙するイスラームーーマレーシアにおけるイスラーム法学の展開国家と対峙するイスラームーーマレーシアにおけるイスラーム法学の展開
塩崎 悠輝

作品社 2016-06-20
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博論もの。同志社神学科だが、修士はマレーシアらしい。神学博士はイスラーム研究でもOKなのか。仏教はNGなのかな。マレーシアが日本から一番近いムスリムが多数を占める国というのはそう言われれば、そうなのだが、マレーシアは国家レベルのイスラーム国家とはいえ、複合民族世俗国家のイメージが強く、「テロ」とか「過激派」の話もほとんど聞かないから、イスラームの影響はインドネシアより小さい風にも思える。とはいえ、世俗国家はインドネシアの方であって、やはり、「過激派」は政治、経済の失敗が影響しているという言説に傾きがちである。タイやフィリピンの「過激派」は地域分離独立の問題でもあるのだろうが、ともすれば、マレーシアのムスリムはイスラームが国によって担保され、ムスリムは民族として、マジョリティの優位性を認められ、経済的安定も確保しているので、過激化する理由がないという風にもなってしまう。その上でマレーシアに於いて国家と対峙するイスラームとは何かというのは興味深い。植民地時代から独立前後まではメッカ帰りが、それ以降はエジプトのアズハル留学組が教義的指導層を形成しているそうだが、国家の側は一貫して、英国や米国といった西洋留学組がエリート層を形成。その辺に補完作用が働き、対立関係が先鋭化しなかったこともあるが、エジプト組はムスリム同胞団の影響が強いそうだし、今後、政治、経済で混乱が起きると、一方の側にベクトルが傾く可能性はあるか。

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2016年09月15日Thu [05:08] マレーシア  

雑誌から見る社会

雑誌から見る社会 (情報とフィールド科学 3)雑誌から見る社会 (情報とフィールド科学 3)
山本 博之

京都大学学術出版会 2016-03-25
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プロジェクト成果本らしいけど、元研究のダイジェスト版みたいな位置づけなのかな。60頁のブックレットで図版も多いから、全体像がよく分からん。マレーシア研究の人で、マラヤ時代の「カラム」というイスラム専門誌を題材にしていることは分かったが、それ以外の国や、雑誌、最近のものまで対象に入っていたのかどうかは分からん。イスラム専門誌といっても、別に宗教一色ということでは無いみたいで、時事ネタから、スプートニク時代は科学ネタ、宇宙人まで登場している。当時のマレー語雑誌の代表的なものだったのだろう。

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2016年08月12日Fri [04:28] マレーシア  

パワーシェアリング

パワーシェアリング: 多民族国家マレーシアの経験パワーシェアリング: 多民族国家マレーシアの経験
中村 正志

東京大学出版会 2015-12-23
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博論もの。アジ研の人で、在籍のまま、東大院に行っていたらしい。藤原帰一が指導教官で良かったのかどうか分からんが、平野聡も審査だったのか。アジ研仕込みなのかその計算式はさっぱり分からんかったが、マレーシア政治史の全体像としては先日読んだ日馬協会のヤツよりは分かりやすい。パワーシェアリングとは要するに多民族国家における力の配分ということみたいだが、そもそも民族を同一にしているから利益も一致しているのかという疑問は真っ当である。マハティールにしてもリー・クアンユーにしてもその民族のマジョリティを代表する出自という訳ではないし、その民族が一枚岩で見られるのはあくまで「他者」としての一般化に過ぎない。日本の「在日」などにもそのことが言えるが、南北対立が日本という土俵で戦われているという認識が無いから、問題の所在は日本にあると思われてしまい恒久化してしまう。マレーシアのパワーシェアリングはモデルケースとも捉えられていたが、ブミプトラ政策などはマジョリティ(と位置づけされる集団)の逆アファーマティブアクションみたいなものだし、そのモデルを表立って採用した国が他にあったのかどうか分からん。

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2016年08月10日Wed [02:45] マレーシア  

マレーシア国民のゆくえ

マレーシア国民のゆくえ―多民族社会における国家建設マレーシア国民のゆくえ―多民族社会における国家建設
モハメド・ムスタファ・イスハック 岡野 俊介

日本マレーシア協会 2015-09
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日本マレーシア協会の配布本みたいな感じだったので、アマゾンの取り扱いは無いかと思ったのだが、紀伊国屋が発売元になっているのか。この手のものでは珍しい博論ものだが、著者はマレーシアの国際関係学会の創始者であり会長であるとのこと。首相の外交顧問の様な立場にもあるみたいだが、博士号はリーズ大学で、如何にも政府広報といった風でもない。マハティールのコメントが裏表紙に掲載されているのだが、日本マレーシア協会だから、マハティールのお墨付きの一書なのだろう。とはいえ、マハティールを称揚したり、アンワルを悪魔化したりといった中国的プロパガンダとは違うもの。ルックイースト政策も日本はただワンオブぜムで名前が出ているだけで、英国にマレーシアの民族政策を理解させるというのが主目的であろう。考えてみれば、マレーシアがこういう「多文化共生」型を採用したのも英国の影響と言えなくもない。

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2015年09月12日Sat [00:16] マレーシア  

英語化するアジア

英語化するアジア―トランスナショナルな高等教育モデルとその波及―英語化するアジア―トランスナショナルな高等教育モデルとその波及―
吉野 耕作

名古屋大学出版会 2014-09-13
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タイトルから予想していた内容と違って、マレーシアの大学ビジネスの考察であった。もっとも「英語化するアジア」がその前提であることは間違いない訳で、英語であるからこそ、ビジネスとして成り立つのである。元々、マレーシアは大学が少なく、華人などは大学進学とは留学することであった訳だが、マレー人にとっては留学するには費用や文化事情などで負担が大きかった。そこにマレーシア国内で英国の学位が獲れるといったビジネスが隆盛し、予備校などをカレッジ化した連携大学が作られていったらしい。やがて、それが中国とインドネシアという大市場に目をつけ、手続、文化的、経済的に負担が少ないマレーシアへの留学生を大量供給していったとのこと。その後オーストラリアやアメリカ、ニュージーランドといった国の大学が直接留学生獲得に乗り出し、衰退していったが、現在は中東や南アジア、アフリカといったところのイスラム圏からの留学生にシフトしていつ様だ。山口福祉大学東京校とか酒田短期大学みたいな留学ビジネスは英国にも結構あるみたいで、表向きではないが、英国で働けるとか、居住資格を得られるといったことを売りにしているらしい。マレーシアはそのステップとして利用されているとのこと。

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2015年02月19日Thu [00:56] マレーシア  

ハラルをよく知るために

aasa.jpgハラルをよく知るために
ユミ・ズハニス・ハスユン・ハシム

日本マレーシア協会 2014-08
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マレーシアの当局が作ったガイドブックを翻訳したものか。紀伊国屋のコードで、日本マレーシア協会が発行元となっている。そもそもハラル認証をビジネスと捉える事に関しては批判もあるみたいだが、こういうボーダレスの時代にあってはムスリムの至便性も考慮せねばならんだろう。ビザ免解禁後のマレーシア人観光客は右肩上がりであるそうだが、たとえマレー系の日本旅行が大衆化しても、日本のハラル認証普及と相関関係が生ずるとは思えん。むしろ最近増えている日本血筋のムスリム向けの啓蒙本か。

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2015年01月28日Wed [01:52] マレーシア  

マレーシア航空はなぜ消えた

マレーシア航空機はなぜ消えたマレーシア航空機はなぜ消えた
杉江 弘

講談社 2014-07-08
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この事件本はこれとオカルトのが1冊出ているだけか。この著者も当時テレビによく呼ばれて、その流れで本もということになったのだろうが、まさかその後立て続けにウクライナの件やエア・アジア機墜落が起きるるとは思ってもみなかったろう。今も機体は見つかっていないのだから、当然真相は闇の中なのだが、想定されたケースを検証しながら、どれも決め手に欠くというのが結論か。テロにしても、ハイジャックにしても、自殺にしてもなぜ6時間も飛び続けたのかというのが引っ掛かるみたいだが、異常事態においては何が起きても不思議はなかろう。

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2014年10月30日Thu [08:48] マレーシア  

決定版「ハラル」ビジネス入門

決定版「ハラル」ビジネス入門決定版「ハラル」ビジネス入門
アクマル・アブ・ハッサン 恵島 良太郎

幻冬舎ルネッサンス 2014-09-03
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たしかにハラルビジネス本が最近乱立気味だが、決定版を銘打ったのは著者がマレーシア貿易公社から独立してハラルビジネスに取り組んでいるだからか。留学生として来日して24年とのことで、日本語には不自由しないのだろうが、共著者となっているのはマレーシアで起業した日本人。こちらの方はレンタルオフィスとハラル認定日本食レストランを営んでいるとのことだが、ほとんどハラルとは関係ないマレーシア起業話である。実際、国の事業としてハラルビジネスをしているのはマレーシアだけなのだが、ハラルとマレーシアのビジネスPRといったものか。もっとも、宗教的かつ個人的な問題であるハラルを金儲けの道具として使うということには色々と批判も出ているみたいだが、中途半端に浸透すると逆に問題が起きやすいかも知れん。

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さあ、あなたも「世界一住みたい国」で幸せに暮らす計画を立ててみよう!さあ、あなたも「世界一住みたい国」で幸せに暮らす計画を立ててみよう!
藤村 正憲

ゴマブックス 2014-05-31
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例のイスカンダル計画PR本。たしかにカネがそこそこあって、国内に何の柵もなければ、ジョホール・バル移住も楽しいかもしれんが、年金暮らしでなければ、シンガポール就職かマレーシア起業なので、そう簡単ではない。多いのが教育移住みたいだが、これも実際は父親が日本に残って母子でイスカンダルへというのがパターンみたいだし、先日、TVでやってたパン屋開業などはかなり厳しそうだった。そもそも「世界一住みたい国」がマレーシアという人がどれだけいるのか分からんが、ジョホール・バルを深圳にしようとすれば、中国みたいに国内から規制かけるほど人やカネが集まることもないから、いきおい、海外からかき集めるしかないか。

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2013年12月27日Fri [00:18] マレーシア | 本・雑誌 |読書メモ  

ドリアン王国探訪記

ドリアン王国探訪記: マレーシア先住民の生きる世界 (フィールドワーク選書)ドリアン王国探訪記: マレーシア先住民の生きる世界 (フィールドワーク選書)
信田 敏宏

臨川書店 2013-11-12
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臨川書店の「フィールドワーク選書」というシリーズが始まったのか。小長谷有紀とかのも出るみたいだが、民博系の企画かな。この著者も民博の人だが、ボルネオでのフィルワ話は学生時代の90年代のものらしい。その当時は研究者になれる目処が無かったらしいが、そうした原点のフィルワ記録を集めたシリーズなのだろうか。マレーシア先住民のイスラム化に関しては植民地時代に宣教師を送り込んで片っ端からキリスト教に改宗させてきた欧米社会は批判しにくいことだろうが、ここに来てキリスト教の巻き返しがあるというのはイスラム国家であるマレーシアがアニミズムを宗教と認めていないからなのかな。

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2013年07月09日Tue [23:28] マレーシア | 本・雑誌 |読書メモ  

マハティールの履歴書

マハティールの履歴書マハティールの履歴書
マハティール・ビン・モハマド 加藤 暁子

日本経済新聞出版社 2013-05-14
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2008年に出した回想録の抜粋と、1995年に日経で連載された「私の履歴書」を合体させたものらしい。両方とも日本関連の記述を中心とししているので重なる部分が多い。ただ、現役時代と引退した時代では記述に微妙な違いもあって、「履歴書」ではEAEG構想でアメリカと揉めている時にベイカー国務長官とサロン姿で会見したら、後で何か言われた様だとしているが、「回想録」ではハッキリと野蛮人扱いされたと書いている。白人に対する不信感が日本への過剰な思い入れに繋がっている印象は否めないが、9.11の陰謀論を研究して対抗の手段にしようともした様だ。マハティールももう88歳というから、リークアンユーとどっちが先に逝くかといった歳ではあるのだが、パン屋をしているそうだし、先日視たトニー・フェルナンデスが主人公の「島耕作のアジア立志伝」でも健在ぶりを見せていたか、まだまだいけるかな。昔は強面のイメージで、こんな笑顔の写真はあまり見た事がなかったのだが、年とって丸くなったということはあるのかな。

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2013年02月18日Mon [01:14] マレーシア | 本・雑誌 |読書メモ  

マレーシアでロングステイ

マレーシアでロングスティ 最新版 (大人の海外暮らし国別シリーズ)マレーシアでロングスティ 最新版 (大人の海外暮らし国別シリーズ)
永田 聡子

イカロス出版 2013-01-30
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先日読んだマレーシア・ロングステイ「公式本」とは違うのかな。今までイカロスの専売特許だったから対抗して「最新版」をぶつけてきたのかもしれんが、内容は驚くほど瓜二つだな。小金持ちの退職夫婦がゴルフ三昧なんてのは私の様な人間にとってはどうでもいい話なのだが、「大人の海外暮らし国別シリーズ」を謳っているので、それが大人の海外暮らしのあるべき姿なのだろう。人生でやりたかったことなんてそんなものかもしれん。

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