世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ ハノイを楽しむ
2008年07月17日 (木) 23:01 * 編集 *
ハノイを楽しむ―六十を過ぎた女はひとり旅・滞在型ハノイを楽しむ―六十を過ぎた女はひとり旅・滞在型
(2007/11)
佐藤 玲子

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「ハノイを楽しむ」といっても、ハノイの話は4分の一ほどで、後はインド、東欧、パリとなっている。要するに、ごった煮旅行記なのだが、六十過ぎの女性一人旅というのがミソらしい。定年団塊パッカーは今や一潮流らしいが、「滞在型」というのがポイントなのだとか。なんでも現在の仕事は清掃員(パート)だそうで、女手一つで3人のこどもを育て上げたとのことで、「がんばった自分にご褒美」系の人らしい。映画情報誌や今井正の本などを編集製作したこともあるらしいが、生計は塾講師や経理事務員で立てていた様だ。連合出版には何かツテがあったのだろうか。その辺のことは何も書いていないのだけど、旅先で映画館に行くことを習慣としているらしく、これは私と同じ。たしかにハノイでは街中に映画館がなかったけど、郊外にはあったのか。それにしても、清掃員(パート)をしながら海外旅行を楽しむ人っていうのは、別に珍しくないのかもしれないが、インドなどで遭遇する同じ職業の人には、別に同情も共感もない様だ。まあ、そんなの当然か。
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■ ベトナム・ストーリーズ 
2008年06月22日 (日) 02:00 * 編集 *
ベトナム・ストーリーズベトナム・ストーリーズ
(2007/12)
神田 憲行

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この著者は90年代に、ベトナムでの日本語教師滞在記を出した人という記憶はあったのだが、その後も「著書多数」であるライターをしているとは全く知らなかった。黒田清の門下だそうだが、当然、ベトナム以外にも門戸を広げてる訳で、著者が書きたかったのは、「ベトナム・ストーリーズ」ではなく、最後の「長い『あとがき』にかえて」なのだろう。「読者と思いを重ねる」というのは、ベトナムのネタが尽きたことを図らずも明らかにしてしまった本文の言い訳の様にも聞こえるが、「潮賞」でデビューしたことに対する「長い」弁明の様にも思える。これでベトナムとの関係が「精算」できるのかどうか分からないが、書くべきことは書いてしまったので、ベトナムに居場所を求める旅は、とりあえず終了ということらしい。その書くべきことが「近藤紘一」であり、「サイゴンから来た妻と娘のその後」であったことは察しられるのだが、ベトナム人と結婚しなかったことは、近藤紘一を目標とする道から下り、ベトナムを居場所を求めることを断念する契機になったのだろう。「長いあとがき」でも、結婚した妻をベトナムに連れて行き、友人知人に紹介することを決めていたということを書いているのだが、ベトナム人との「付き合い」というものは、そういうものなのであろう。「いつこの街に帰ってくるのか」とベトナム人と別れるときに必ず言われるとのことだが、それは、いい年をした男が一人で旅をしていることを揶揄し、「いつ嫁さんを連れてくるのか」という意味なのだと思う。それがベトナム人なりの親愛表現であることは私も分かるのだが、そういうことを言ってくれるベトナム人の「知り合い」がいないと、やはりベトナムの旅は殺伐としたものに成りかねない。北朝鮮は知らんが、国境を越えて中国人の親切に涙する様な国というのも、相当な筋者である。ただ、ホーチミンではホーチミンが嫌われているというのは初めて知った。サイゴンはサイゴンなりの流儀があるのだろう。北は20年前の中国の感じがあったのだが、南は20年前のタイみたいなもんだろうか。
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■ はっちゃんベトナムに行く 
2008年05月20日 (火) 11:40 * 編集 *
はっちゃんベトナムに行く―自分さがしの旅はっちゃんベトナムに行く―自分さがしの旅
(2007/05)
服部 匡志

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「情熱大陸」で放送された人らしい。あの番組に出る人は、それまでにどこかの媒体で特集されている「プチ有名人」だから、この人のその筋では知られている人なのだろう。しかし、帯の「6000人を失明から救った!」、「四浪して医学部入学」、「年収1億の道を捨ててベトナムで無償の治療をする破天荒人生」というのは、どうにもクサイな。副題は「自分さがしの旅」だし、まあ番組を視て「勇気をもらった」とか、「感動をありがとう」なんて言ってきた連中がいたのだろう。この手のもののお約束なのか、各章始めに教訓めいた言葉を付けているのだが、本人は、自分は特別な人間じゃないので、説教じみたことは言いたくないのだそうだ。じゃあ、黙って無償のボランティアを続けてればいいじゃないかとも思うのだが、そうは問屋は卸さないのも、完全無償の奉仕活動なるものはこの世に存在しないからであろう。ましてや医療関係はカネが無くては始らない。イラクの失明寸前の少年を日本に呼んだ話(橋田さんのヤツかな)は何百万も費用がかかったそうだが、たしかに、医者が現地に行けば、そのお金で何人も治療できるというものだ。それが出来ないのは医師免許の問題なのか、日本の診察に穴を開けることができない医療体制の問題なのかはよく分からない。著者が開業すれば1億円ドクターも夢ではないのかもしれないが、日本でフリーターをしてカネを稼いで、「アジア」で「自分さがし」というパターンは医師でもアリか。しかし、医師が末期患者である自分の肉親に酷い仕打ちをしたという話はよく聞くものであるが、それで、自分が医師になる決意をするもんなのかな。自分が医師になったら、その医者の気持ちが分かったりしないのかな。訴訟リスクを避けて、産科や小児科の成り手がいないそうだが、眼科はどうなんだろう。病院関係の人間関係のドロドロ話は、職場が一般人の「日常空間」とはかなり違うことにも起因しているとも思うけど、病院を辞めると言ったら、イキナリ殴られたなんていうのはスゴイな。躊躇するのが一般人、全く躊躇しないのが医者という話もあるけど、医者は犯罪者としても「優秀」な者が多いのは確か。
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■ 現代ベトナムの政治と外交 
2008年04月12日 (土) 01:44 * 編集 *
現代ベトナムの政治と外交―国際社会参入への道現代ベトナムの政治と外交―国際社会参入への道
(2007/05)
中野 亜里

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この著者の前の本はかなり良かったのだが、こちらは横書きのその論文版といったところで、淡々と事実関係を記していくのみである。ただ、ベトナム語の原書を駆使できる研究者はそういないだろうが、ベトナム政治の本自体が少ないので貴重なものであることがたしか。特に著者が拘っているのが、前著のタイトルでもあった「ベトナム戦争の戦後」についてであり、「ベトナムに間に合わなかった世代」として、ベトナムといえば、「ベトナム戦争」に拘泥しまいがちな、上の世代へのアンチテーゼもあるのかもしれない。もちろん著者が研究対象としている戦後も、カンボジア侵攻、中越戦争、ボートピープルなどは「ベトナム戦争」の戦後処理から派生した問題であり、占領軍に「戦後」を演出された日本の戦後とは大きく異なるものである。「民族自決」で勝ち取った「解放」が往々にして苦難の戦後を迎えるのも歴史に常なのだが、それにしてもドイモイが始まるまでのベトナムの戦後は「失われた10年」と言うべきものなのであろう。ベトナムが中ソの「覇権争い」の板挟みになっていたことと関係があるのだが、日本も困らされた中国からの「反覇権」要求を、そんなこと言ってる奴こそ覇権と一蹴しているのはさすが。結局、冷戦が終わって「ASEAN」の性格も変わり、収まるところに収まったという感じのベトナムだが、今後、タイとの関係がどうなるかも気になるところだ。「もはや戦後ではない」という時代が来て、人間もタイ並みになってくれることを期待しているけど。
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■ 建築のハノイ 
2007年10月14日 (日) 22:47 * 編集 *
建築のハノイ―ベトナムに誕生したパリ 建築のハノイ―ベトナムに誕生したパリ
増田 彰久、大田 省一 他 (2006/04)
白揚社

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タイトル通りの本だが、ハノイだけでは寂しいのでフエやサイゴンも入っている。元々、写真の人が企画した本らしく、文章は下請けという、普通の逆パターンとなっている。その点、写真だけ見てれば十分なのだが、例によってハノイでもガイドブック無しのブラ歩きしかしていない私には、あそこはこんな建物だったんだという感傷には浸れる。ハノイヒルトンも随分狭いもんだと思ったが、隣のアパートに侵食されていたのか。ロンビエン橋のエッフェル建設説は、やはり眉唾ものだったか。しかし、前にもどっかで書いたが、最近、隠れた人気の開平洋楼巡りも、ハノイでは新築の「洋楼」が至る所にあるので、興ざめしてしまう。そこに「越」と「粤」の近似性をも感じるのだが、広州とハノイというのも良く似た感じの街だ。ついでに言わせてもらえば、ベトナム人は十数年前の広東人といった印象で、これほど旅行者から評判が悪い国も珍しい。ボリとか、ベトナム戦争の影響で外国人への不信感が強いといった風説は、それなりに根拠があるのだろうが、広東人との付き合い私は、それほど違和感を覚えずに済んだ。やはり、タイとかラオスと比べるのではなく、広東省の続きと見れば分かりやすい。旅行者の評判と裏腹に、労働者の質が良いと言われているのも同様である。今のところ、中国が懐かしく感じさせられた国は、この国だけだ。とりあえず北朝鮮行きは当分御預けなので。
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■ ヴェトナムと組むメリットを知らない日本人
2007年05月31日 (木) 22:24 * 編集 *
ヴェトナムと組むメリットを知らない日本人 ヴェトナムと組むメリットを知らない日本人
柘植 久慶 (2006/07/27)
PHP研究所

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まあ著者が著者だから、大体内容は想像出来たんだけど、やはり極私的ベトナム話。そのまんまの「私的ヴェトナム観光案内」なんて章もあるが、他の章も、コラムは当然として、歴史、経済、雑学、地政学に至るまで皆私的になっているのもすごい。一応「グリーンベレー」の一員としてベトナム戦争(ラオス内戦?)にも参加したことになっているので、その当時のベトナム話が基準になっている。ベトナムに間に合わなかった世代としては、この辺りはまあまあ面白いとは思いし、興味深くもあるのだが、「敵ながらあっぱれ」的思考で北ベトナム軍を評価するのは、アメリカの職業軍人の思考と通じるものがある。というか影響されたものなのかもしれない。しかし、フランス外人部隊の教官まで務めた男がフランス語を解さないというのは不思議な話だし、ベトナム語のうんちく話も漢字語対象ばかりなので、種本参照っぽい。とりあえず、最近の著者の「敵」は中国にある様で、この本の出発点もそこにあることは痛いほどよく分かる。反中国としての親インドという本は結構流行りだが、「敵の敵は味方」という思考なら、ベトナムもインドと双璧であるべきであろう。本来ならロシアがここに来るはずだが、国士的発想では「戦略的パートナーシップ」は認められない。その点、オールド反共主義者である著者がベトナムと組めというのは、画期的なことなのかもしれないけど、ベトナム人の気質は「小中華」ならず、「第二中華」な様な気もするんだが、どうだろう。

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■ ベトナム戦争の「戦後」
2006年04月13日 (木) 01:36 * 編集 *
ベトナム戦争の「戦後」
中野 亜里
めこん (2005/10)


これは結構な優れものだった。硬めの「知るためのシリーズ」といったところだが、ポイントを「戦後」に絞ってること以外は、執筆陣は各自、思い入れがあるテーマを選んで書いている様な感じ。編者の中野亜里さんという人は初見だが、一人で4本を担当(更にはじめにと、あとがきも)しており、相当ベトナムには期するものがあったのだろう。それは何かと言うと、ベトナムの脱神話化であり、神話とは戦争と平和である。一定より上のの年代の人にとってベトナムとはベトナム戦争、若い人にとっては女性に人気の観光地という共に表面的なイメージでのみベトナムが認識されていることに不満がある様だ。ということで、「テト攻勢」の裏で解放戦線が行った凄まじい粛正や、その解放戦線の現在の評価など、未だ「べ平連」を引きずる人たちに冷や水を浴びせる様なことも書かれている。また現在の暗部についてはベトナム人が忌憚なく書いており好感が持てる。NGOものも、いわゆる「人権話」だけでなく、統一の時、南のNGOはどうなったかなどという誰も教えてくれない様な事を書いてくれているので嬉しい。こんな感じで、「正史」からこぼれ落ちたものを丁寧に拾い上げている。流石にめこんさんはいつもの渋い仕事だ。
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■ 季節の中で
2006年03月09日 (木) 16:54 * 編集 *
オススメ!映画
季節の中で
季節の中で
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パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン (2004/09/17)
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季節の中でというと、め〜ぐーる〜というムネオ応援団の歌を思い出してしまう世代なのだが、こちらのアメリカ映画だけど、ベトナム映画の方は映画としてかなり完成度が高いものとみた。脚本も含めて非常に素晴らしい映画であることはたしかなのだけど、例によってツッコミを入れるとすると、シクロも花売りも外人が適正価格というのは変。製作総指揮もしているらしいアメのおっちゃんの娘と50ドルのねえちゃんは同じ人かと思った。その方が面白いのに。で、あのホテルは四つ星らしいけど、50ドルってホテル代はどうしてんだろう。シクロレースが出た瞬間もう読めたど、ネグリジェも買ってるし、200はギリギリかも。あれがアオザイではにところにベトナム系アメリカ人の意地は感じる。まあ、そんなそうでもいいことは、ホントにどうでもいいと感じるほど、よくできた映画だと思う。
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■ これならわかるベトナムの歴史Q&A
2006年01月26日 (木) 15:18 * 編集 *
これならわかるベトナムの歴史Q&A
三橋 広夫
大月書店 (2005/07)
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著者は中学校の先生ということで、教科書の副読本みたいな感じのQ&A方式のベトナム歴史読本。元祖マルクス原理主義派の大月書店さんの出版で、著者もそっち系の人の様。韓国の歴史教科書を訳した人らしく、植民地収奪論に固執している感じ。大月さんも脱マルクスという事で精いっぱい客観的な構成に努めたあとは窺えるが、ベトナム人民の敵としてフランス、日本、米国、ポルポト、中国の記述があるのに、ソ連の影はやはり皆無。国際情勢の流れを無視して、こうした民衆の抵抗史観だけを刷り込むのもまた問題ありだろう。
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■ コウノトリの歌
2006年01月03日 (火) 17:40 * 編集 *
映画
SONG OF THE STORK コウノトリの歌SONG OF THE STORK コウノトリの歌
ドー・ハイ・イエン ジョナサン・フー グエン・ファン・クアン・ビン

ハピネット・ピクチャーズ 2004-11-26
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ベトナムで観れなかったベトナム映画をお家で観賞。史上初!ベトナム側から描いたベトナム戦争というパッケージがインチキなのは当然としても、何だか韓国映画を更に劣化させた様な陳腐な話だった。アメリカ兵の描き方などは、中華思想を脱した国として、狭隘な復讐心しか認めない隣国との違いを見せてくれるが、それ以外は途中挿入される当時の実写フィルムだけで構成してくれた方が良かったんじゃないのという感じ。まあ宣伝教育がベースながらも、恋愛あり、友情あり、戦闘あり、更には一瞬ヌードもサービスして、資本主義映画の文法には沿っている。この国はまだ検閲ありだったと思うが、旧共産圏の伝統芸である制約の中での表現は最後の方にチラっと。
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■ ベトナム 戦争と平和
2005年11月28日 (月) 00:43 * 編集 *
400430962Xベトナム戦争と平和―カラー版
石川 文洋

岩波書店 2005-07
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今年で戦後30年のベトナム戦争。「戦場カメラマン」の生き残りである著者はイベントやら何やらで結構忙しそう。これも記念モノの一つであろうが、写真メインの新書なので、全面的に今までの蓄積に頼っている。爽やか系の表紙とうって変わって中身はグロ系写真が多い。肝臓を切り取られ政府軍兵士に食べられてしまう解放軍兵士なんてのもある。カラー版という事で写真が色あせないのが良い。「十七度線の北」のカラー写真も珍しい。こちらの表紙の少女の25年後の姿もある。この著者は本文でも正直に書いている様に北ベトナムのシンパなので、内容は政府の公式見解に沿っているのだが、それもまた当時のマスコミの雰囲気を伝えてくれる。ただ相棒の本多勝一ほど偏向はしておらず、その当時がどうだったかは知らぬが、カンボジア紛争や中越戦争でもクメール・ルージュや中国を擁護する事はなく、人民解放軍によって破壊されたカオバン省の街の写真もある。本当の戦場を知る者は得てして、抽象的な「平和」論はナンセンスだと悟るものだが、この著者には全くそういう傾向は見られない。それもまた凄い事だと思う。
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■ ベトナム戦争を考える
2005年09月30日 (金) 04:06 * 編集 *
4750321222ベトナム戦争を考える―戦争と平和の関係
遠藤 聡

明石書店 2005-05
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今年は戦後60年だが、ベトナムではサイゴン陥落をベトナム戦争終結とするならば、戦後30年という事になる。もっとも、その後、中国の「懲罰戦争」やら、カンボジアとの紛争があったりして、ベトナム人にとっての「戦後」はドイモイ政策導入後の事かもしれない(米国に逃れた旧南ベトナム政府系の人たちによる亡命組織は今も健在らしいが)。かつて「ベトナム」という言葉は「戦争」と同義であったが、そんな時代に生きた人たちは甘酸っぱい思い出と共に「べ平連」や「ホー・ティー・キュー」を語るであろう。石川文洋撮影のこの本の表紙の少女に「筑豊の子どもたち」を重ねた人もいるであろう。私自身は正に「戦争を知らない子どもたち」の世代なのだが、ベトナム戦争時に少年期を過ごしたというこの著者も、そうした記憶は併せもっていなかったらしい。なんでも普通のサラリーマンであったのが、「何かを求めて」インドへ旅したのを機に、ベトナム研究者になってしまったという著者の自分語りは興味深い。そうした背景の著者であるから、「抵抗史観」に流される事もなく、非常に客観的にまとめてあり、ベトナム戦争の全体像を知るには最適な本といえる。ベトナム戦争本体はもちろん、そこから派生した難民、カンボジア問題、「戦争の記憶」を廻る動きなども押さえてある。大学の講義録が基になったらしいが、材料が全てを提供してあるので正に「ベトナム戦争を考える」にはうってつけの本だ。さて夏休みには、かつて「王子野戦病院」であった図書館にベトナム戦争関連の本を読みに行くとするか。
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