![]() | グアムと日本人―戦争を埋立てた楽園 (岩波新書 新赤版 1083) (2007/07) 山口 誠 商品詳細を見る |
名誉教授ものが多い岩波新書にあって1973年生まれの著者というのはかなり若い方だと思うが、その辺が本来の岩波であれば、日本占領中の話で完結してしまうこのテーマを「戦後」中心に持ってこさせたのだろうか。しっかり「大宮島」の過酷な日本支配から始まり、来たなと思ったのだが、一章も終わらぬうちに終戦となって、「横井さん」の話になる。横井さんが亡くなられたのは最近だった思うが、著者は「ヨコイさん」のボケキャラをテレビで目撃できた最後の世代だろう。小野田さんにその座を奪われるまでヨコイさんはスターだった様だが(私のスターは中村輝夫)、お見合い結婚した横井さんの新婚旅行はグアムだったとは知らなかった。それが帰国してから1年後の話というのもスゴイが、当時の新婚旅行メッカであった宮崎かその座を奪いとるために仕掛けた観光宣伝だったらしい。「ヒョーショージョー」のパンナムなどが一役かったらしいが、当の横井さんは不満タラタラだったとか。まあそうだろう。そんな感じで戦後グアム観光史が続くのだが、「ロンリー・プラネット」に言及して「地球の歩き方」の登場を一つの時代の幕開けとしているのは、パックツアーでなくバックパッカーで海外デビューするのが当たり前となった世代がいよいよ学術界でも主流になりつつあることを感じさせられる。なんでも著者もこれを持ってインド、東南アジアに行ったクチで、グアムにゴルフに行く父をバカにしていたのだという。オーストラリアに留学する時に、グアム乗換え(COだな)した時も、パックツアー客と一緒にされるのがイヤで外に出る気などなかったのだとか。そんなパッカーの意地は大学准教授の今では無意味なものだろうが、「歩き方」から消された「大宮島」の歴史や戦争遺跡をツアー客に啓蒙することで密かな抵抗としている様だ。巻末には岩波新書らしからぬミニガイドもついている。しかし、JALパックとかのツアー客や、「日本人の教会」で式を挙げるカップルが岩波新書をスーツケースに押し込むことはあまりないだろう。その昔、ペルーで持っていた岩波新書を毛沢東語録だと思われて軍隊に捕まった日本人なら知っているが。






