2017年07月19日Wed [04:49] モンゴル  

モンゴル帝国誕生

モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る (講談社選書メチエ)モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る (講談社選書メチエ)
白石 典之

講談社 2017-06-10
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考古学のアプローチで歴史考証って感じかな。筑波はそもそも歴史・人類学研究科というセットになっているのか。チンギス・カンにしてもほとんどが実証などされていない伝承が積み重なって神話が定説化した様なものなのだろうけど、今更、チンギス・カンの遺体とか出てきたり、死んだ場所が特定されたりしたらそれこそ怪しいものになってしまう。伝説は伝説のままで良いというのは史実に実証を要する現代では受け入れられないのだろうが、今のモンゴル国内で発見するのは困難であろう。ロシアと中国に歴史さえ握られているというのがモンゴルの弱みであるが、その辺の期待が日本に対してあるのかな。

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2017年05月14日Sun [06:23] モンゴル  

スターリンとモンゴル1931-1946

スターリンとモンゴル 1931‐1946 (東北アジア研究専書)スターリンとモンゴル 1931‐1946 (東北アジア研究専書)
寺山 恭輔

みすず書房 2017-04-08
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前著に続き、これま重厚な書だけど、スターリンのこの姿はインパクトがあるな。ブリヤート族の衣装とのことで、モンゴル国のとは違うのかしれんが、その辺の知識は無い。これも常識なのかもしれんが、スターリンは民族政策に対する関心は並々ならぬものがあり、特にモンゴルに関しては著者が指摘している通り、中華民国に対して独立を認めさせなかったら、今、モンゴル国が存在している可能性は低いので、逆説的だが、モンゴル国の育ての親とも言える。実際、蒋介石に委譲することも、バルト三国の様に併合することもできたのだろうが、そうならなかったのは日本要因もあろう。モンゴルの警戒対象は日本だけに留まらず、中国に対してもあって、モンゴル統一を認めたら、その拡大範囲がブリヤートから極東まで及ぶ可能性もある訳で、現実的脅威は日本でも潜在的脅威の中国にはより大きな警戒心が必要だったのかもしれない。日本人と中国人の結託がスターリンの恐れるところであったのだろうが、ウランバートル在住の中国人は日本のスパイという位置づけだった様だ。

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2017年04月30日Sun [06:26] モンゴル  

日本人のモンゴル抑留とその背景

日本人のモンゴル抑留とその背景日本人のモンゴル抑留とその背景
ボルジギン フスレ

三元社 2017-02-22
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昭和女子大のシンポ本らしい。関係ないが、坂東眞理子は総長になって、学長は金子朝子さんという人なのか。昭和女子は朝子と縁があるな。インド独立の志士と日本人モンゴル抑留は関係ないこともないが、なぜに昭和女子大かと言うと、内モン出身の編者が教授だから。風響社から本を出しているけど楊海英系の人ではなさそう。モンゴルの当時の人口は72万ほどで、そこに2万も日本人を受け入れるとなると、労働力的には助かるが、供給できる食料が無い。結局1万2千人規模になったのだが、モンゴル側と日本側の記録では200人ほどの誤差があるらしい。処刑者も2名記録されているが、処刑原因は不明なのか。まあそれでもロシアよりはかなりマシであろう。タシケント伝説ほどではないが、ウランバートルの建設を日本人が担ったというのは現在でも言われていること。モンゴルでモンゴル人からそういう話を聞いたことは無いが、中国との関係いかんによってはモンゴルがそういうカードを作ってくるかもしれんし、日本がそう仕向けるかもしれん。とはいえ、ノモンハンでは日本が侵略者というカードもモンゴルの民族派や社会主義残党派は留保している。ウランバートルの丘の上にある日本侵略図に韓国人のツアー団がやってきて、嬉々として記念写真を撮っていたのを思い出した。

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2017年04月28日Fri [06:22] モンゴル  

田中克彦自伝

田中克彦自伝: あの時代、あの人びと田中克彦自伝: あの時代、あの人びと
田中 克彦

平凡社 2016-12-09
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書き下ろしなのか。83歳だから、そういう準備も必要なのだろうが、登場する人物は故人が多くなっているから、その時期を待っての出版だったのかもしれん。佐々木千世子という人は思わず検索してしまったが、開高健の小説は彼女が事故死した後に出たのか。開高もえげつないが、徹底的にダメ出ししていて、この小悦を褒めたC・W・ニコルにもその矛先を向けている。岸陽子は東京外語の同期らしいが、台湾から映画の買い付けに来るバイヤーの通訳で、教授より収入が多かったという。しかし、戦後10年くらいで、日本語の分からず、岸の大陸中国語が分かるバイヤーが台湾から日本映画の買い付けに来ていたのか。映画は統制産業だったから外省人がその役を担っていたのかもしれんが、どうも腑に落ちない話である。岸は田中とタメで、まだ存命だと思うが、ダンナの安藤彦太郎とは17も離れていたんだな。その辺では岡田英弘も出てきて、岡田の前妻も若い妻だったそうだが、家柄のいい人で、田中を毛嫌いし、岡田は完全に妻のいいなりであったという。結局、長い期間かけて、離婚に成功し、岡田は宮脇淳子と再婚するのだが、歳の差は21か。中国関係では同僚だった溝口雄三だが、東京外語で、研究に必要な西洋語を第三外国語で必修にしようとしたところ、自分は中国語だけで世界を渡り歩いている、西洋語などを勉強するのは植民地根性だと猛反対したのだという。たしかに中国研究ならそれでもいけるだろうし、岩村三千夫などは中国語もできなかったという話もあるのだが、モンゴル語とかになると、ロシア語、ドイツ語の文献が読めないと研究にはならなかった様だ。戦中戦後の話とか結構面白い話あり。

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2017年03月09日Thu [05:53] モンゴル  

「スーホの白い馬」の真実

「スーホの白い馬」の真実  モンゴル・中国・日本それぞれの姿「スーホの白い馬」の真実 モンゴル・中国・日本それぞれの姿
ミンガド・ボラグ

風響社 2016-11-10
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「スーホの白い馬」って、日本人の子どもは誰でも知っている物語なのか。私はタイトル以外は全然知らんのだが、幼稚園くらいで教わるものなのか。著者は内モンの人で、中国を介在させないモンゴルを知って欲しいのだという。日本人のイメージは朝青龍(今なら白鵬か)と、「スーホの白い馬」ぐらいだというのだが、「スーホの白い馬」は中国で改竄されたモンゴルの話なので、モンゴル人が大切に思っている馬を殺したり、有り得ない話が混じっているのだという。なんだか「ビルマの竪琴」と同じ匂いがするが、それは一概に中国の責任ではなく、日本は中国と同じく、モンゴルの宗主国であったのだから、日本式にされてしまったところもあると。楊海英と違って、モンゴル名の人だけど、内モンゴルのモンゴル人は誰一人、日本に対して悪口を言う人はないし、日本に対する高評価を誰もがするともいう。だから中国人とは違うということなのかどうかは分からんが、大学の先生とかだったら、中国人もそんな露骨な反日口などたたかんだろう。例のナントカ学園は知らんが、中国の大学の先生が日本の大学で中国の悪口を言われることはあるのかなあ。高評価はあまりないかもしれんが。

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2016年12月09日Fri [06:11] モンゴル  

おまえがガンバれよ

おまえがガンバれよ―モンゴル最高裁での法整備支援2045日おまえがガンバれよ―モンゴル最高裁での法整備支援2045日
岡 英男

司法協会 2016-10
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司法協会新書か。教材用なのかな。モンゴルの最高裁で調停制度導入を支援した弁護士なのだが、教材にしては結構変なものだった。自分語りで、プータローから弁護士になったいきさつを書いているのだが、新司法制度のおかげで弁護士になれたのだという。「おまえがガンバれよ」というのはモンゴル人に言われたのではなく、伊藤真に「頑張ってください」と手紙を書いたら、帰ってきた言葉なのか。英語も全くダメで、海外にも行ったことは無かったが、たまたま募集があったので、応募したらしい。モンゴル辺りだと、英語ができるより、日本語の方が良かったりすることもあるのだが、テレビでレギュラー番組を持っていたら、何で中国人なんか出すんだという視聴者からの生電が来て、この人は中国人ではなく、日本人だと司会者が生放送中に喧嘩をおっぱじめ、番組降板になったのだとか。

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2016年11月09日Wed [06:01] モンゴル  

モンゴル人の民族自決と「対日協力」 

モンゴル人の民族自決と「対日協力」-いまなお続く中国文化大革命モンゴル人の民族自決と「対日協力」-いまなお続く中国文化大革命
楊海英

集広舎 2016-09-03
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今度は集広舎か。岩波から縁切りされた訳ではない様だが、ようやく日本の世論の機が熟したという思いはあるのだろう。経済カード、発展カード、果ては反米カードでまた暗闇の「親中」時代に戻ってしまいかねないので、なりふり構わず一気に攻勢をかけている観もある。その辺はあとがきで爆発しているのだが、モンゴル民族が迫害の歴史を訴えている以上、リベサヨも歴史修正主義とは言えないだろう。反論するとしたら、敵対する右派と組んでいる点だが、マイノリティ反差別叫んでいるものが何も助けてくれないのなら、助けてくれる者と組むのも当然である。著者が中国にいたときに本当にこれほど強い民族意識を持っていたのかどうかの疑問はあるのだが、例え、それがエスニック・リバイバルであったとしても、呼び起こされた「記憶」があればこそである。文革は少数民族を標的にしたものではないという見方が主流だろうが、その根底に大漢族主義があったことは否定できない。中華民族という前提はあくまでオフィシャルなもので、一般的には大漢族主義的な共通認識があるのが現状であろう。モンゴルの場合、モンゴル国があり、内(みなみ)モンゴルでの人口割合、果ては歴史的共感という点でチベットやウィグルほど、ユーラシアでの国際的支持は得られないかもしれん。その意味では親モンゴル感情がある日本が頼みの綱であるということはあるか。

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2016年09月03日Sat [02:59] モンゴル  

逆転の大中国史

逆転の大中国史 ユーラシアの視点から逆転の大中国史 ユーラシアの視点から
楊 海英

文藝春秋 2016-08-11
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文春か。さすがにこの手のものだと馬場公彦は動かせんだろうけど、楊海英が日本の中国研究者は中共シンパばかりというのは、現代というより、古代に関してのことだったのかもしれん。ただ、中共も自身が関わらない古代に関しては「歴史修正主義」の縛りはそれほどキツくはなく、岡田英弘も橋本萬太郎も中国で一部評価が高い。さすがに宮脇淳子辺りは岡田嫁としても存在を認識されていないかもしれんが、楊のこのアプローチも大漢族主義批判、多民族国家の見地から言えば、学問的に許容されるものかとも思う。

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2016年07月13日Wed [03:07] モンゴル  

新モンゴル紀行

新モンゴル紀行: ザナバザルの造りし美仏のもとへ (とんぼの本)新モンゴル紀行: ザナバザルの造りし美仏のもとへ (とんぼの本)
菊間 潤吾

新潮社 2016-04-27
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とんぼの本。ワールド航空サービスの代取が著者で、ホテルPRとかも載っているのだが、とんぼだから別にタイアップということでもなく、新潮から旅本を何冊も出している人らしい。これも観光スポットというより、 ザナバザルという仏像製作者の作品紹介が中心。「東洋のミケランジェロ」とも呼ばれているらしいが、仏像なのにこのエロさは何だである。エロ仏像という世界があるのかどうか分からんが、カジュラホみたいな剥きだしのエロではなく、「エロティック」の方。菩薩像だけではなく、阿弥陀如来とかも作っているので、邪心があった訳ではないのだろうが、それ風のレプリカはやはり大量に出回っているらしい。

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2016年01月14日Thu [01:35] モンゴル  

現代モンゴル読本

現代モンゴル読本現代モンゴル読本
佐々木 健悦

社会評論社 2015-11-30
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最初の方をよく読んでいなかったので、読み終わってから気づいたのだが、2013年に出たものの親版なのか。この著者の本は何冊か読んでいた事は覚えているのだが、ブログを見ると旧版も読んでいて、2段組み400頁超のものを2時間以上かけて再読していたとはガッカリである。ただ、前の本より頁数が増えているし、前の感想を見ると、内容も幾分違ったものの様なので、加筆改訂は相当されているのかも。前の本のアマゾン・レビューは最低評価が一つのが一本あるだけだが、それを書いたというのはモンゴル在住の人の様で、けちょんけちょんにけなしている。今回の本には在モンゴル日本人社会内で軋轢が生じていること窺わせる記述が何か所かあるのだが、著者と在モ日本人社会との間で何かトラブルでもあったのだろうか。角川映画の件かもしれんが、「親日国」モンゴルに最近移り住んだ日本人と、著者の様に社会主義時代からモンゴル語を勉強して、その流れを汲む国営通信社に勤務した左翼的立場の人とはスタンスの違いがあったのかもしれない。

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2016年01月10日Sun [03:10] モンゴル  

ジョークで知るモンゴル

ジョークで知るモンゴルジョークで知るモンゴル
オクチャブル ツェレンジャルガル

新潮社 2015-03-31
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新潮社の自費部門か。ただ訳者はモンゴル大使館の外交官の人で、文化予算から出ているのかな。モンゴル大使館と付き合いがった世界蒙古斑協会日本支部代表という弁護士が勧めた企画らしいが、世界蒙古斑協会とは何ぞやと検索すると、統一教会傘下の蒙古斑同族連合なるものばかりヒットして、例によって、それに世界平和をくっつけた「蒙古斑同族世界平和連合」なるものが統一教会の新たなカルト戦略の中心になっている様だ。韓国の人種主義選民思想には変わらんが、モンゴルは統一教会の餌食になっているので、大使館まで浸食されているかと思うと心配である。

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2015年12月16日Wed [01:54] モンゴル  

日本陸軍とモンゴル

日本陸軍とモンゴル - 興安軍官学校の知られざる戦い (中公新書)日本陸軍とモンゴル - 興安軍官学校の知られざる戦い (中公新書)
楊 海英

中央公論新社 2015-11-21
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岩波から縁を切られたのかどうか分からんが、結局岩波新書は一冊も出ずに、扶桑社新書とかに行ってしまったので、どうなることやらと思っていたのだが、中公新書で復活か。内容的にはここ最近取り組んでいるもので、中公もそれをリクエストしたのだろうが、モンゴル民族主義、中共批判、日本評価のみならず、日本批判も入っているのは中公新書ということで、バランスをとったのだろうか。それも「狗が去って、豚が来た」という台湾言説と似た文脈なのだが、中国の方が日本より残虐であるというところに主眼を置いている。中国が日本人の残虐性を殊更取り立てることに対して、苛立ちがあるという点では日本人と利益を共有するのだろうが、日本人がそれに対して抗議をすることができないのに対し、モンゴル人は抗議する正当性がある。そうした立場がその種の人たちに利用されやすいということは確かであるが、研究という学術的裏付けを武器にしている以上、ウイグル人やチベット人の運動体とは一線を画すことができるか。

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