世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ 黒龍江省から来た女
2008年07月24日 (木) 11:50 * 編集 *
黒龍江省から来た女黒龍江省から来た女
(2008/03)
永瀬 隼介

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例のインシュリン妻の話。著者は新潮で記者をしていたという事件モノなのだが、最近は小説に手を出しているらしい。祝康成という人は華僑系かと思っていたのだが、そうではない様で、小説にはこの永瀬隼介という名前を使っているらしい。よって、これもメタフィクション系なのかもしれないが、その絶望的な雰囲気はよく出していると思う。鈴木詩織にも何度も面会に行ったそうだが、雑誌に書かれると思って警戒されていたのだという。何でも詩織本人が手記を出そうと画策していたらしく、新潮の編集者にはその原稿が届けられたのだとか。この鈴木詩織や尹麗娜の様な「毒婦」が培われた土壌は中国なのか日本なのかについて、本人はもちろん、中国人もその責任は日本にあると考えるのが普通の様だ。中国人の拝金主義、残虐性や日本人の陰湿、堕落した資本主義のどちらかに罪を着せて、その犯罪も犯人も非人間的な表象にしてしまうと、やがて第二、第三の詩織が現れるというものである。加藤智大についても「格差」が主因ではなかったはずだし、宅間や酒鬼薔薇との類似性を指摘すると、詩織を「中国」に帰結してしまうとの同じく、犯罪が残したメッセージを見誤らせると思う。著者が方正県でみた現実が、想定していたストーリーを変更させたのかもしれない。詩織と日本人ヤクザの関係などみると、弱者を演じ切れなかった女という側面も見えてくる。強者としての中国人女性とは、中国人も女性も差別されているとされる日本という国に生きる中国人女性のプライドで熟成されたイメージなのかもしれない。
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■ 愛国経済
2008年07月23日 (水) 10:51 * 編集 *
愛国経済 中国の全球化(グローバリゼーション) (朝日選書 (842))愛国経済 中国の全球化(グローバリゼーション) (朝日選書 (842))
(2008/04/10)
吉岡 桂子

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これも分社後の朝日新聞出版の本だが、著者は朝日の元中国特派員だった人らしい。なんでもその前は山陽放送のアナウンサーだったとのことで、現在はワシントンのシンクタンクへ出向中なのだとか。前に同じ岡山大卒で、朝日を辞めて、フランスお菓子留学した人とか、NHKから朝日に転身してフランス出向といった女性記者の書いた本も読んだけど、朝日の女性記者枠って何かパターンがあるのかな。朝日の中国報道は最近、変わってきているけど、ちょっと前まで「人民日報」状態だったから、愛読している朝日の中でもこの人の署名記事は記憶に残っていない。別にベタ記事のまとめではなく、モンゴルとかにまで取材に行ってたりもするのだが、こんなこと実際は言っていないだろうなみたいな新聞記事的コメントが多用されていて、どうも引っかかる。記者としての訓練は受けているから、記事としては読みやすいんだろうが、底が浅い感じは否めない。十年前なら傑作だったと思えるけど、ネットの時代では、報道されているものを後追いしたのでは、新鮮味はイマイチ。まあ朝日に独自取材は難しいのだろうけど、中国であったアフリカ諸国首脳を一大に集めたアフリカ開銀総会をひいて、日本では絶対出来ないこととか書いた矢先に、横浜でアフリカ・サミットが開かれてしまったのは笑える。などと思いながら300ページも読んでしまったところ、終章に入ってガラリと雰囲気が変わった。著者の思いは終章に全て凝縮されていた様だ。それは反日デモの現場での心の叫びなのだが、新聞には書けなかったことを思い切り吐き出している。新聞記者として中国にどう向き合うかということは、自分が何者で、相手が何者なのかという問いであるのだろう。「愛国経済」という秀逸なネーミングには著者なりの「反日デモ」の正体を表している様だ。
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■ 中国のエネルギー構造と課題
2008年07月21日 (月) 21:36 * 編集 *
中国のエネルギー構造と課題―石炭に依存する経済成長 (九大アジア叢書 9)中国のエネルギー構造と課題―石炭に依存する経済成長 (九大アジア叢書 9)
(2007/10)
楊 慶敏三輪 宗弘

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九大アジア叢書も置いてあるところがなかなか見つけられないのだが、普段、立ち寄らない技術書棚に一冊埋まってた。この楊慶敏さんという人は九大で学位をとった人らしく、これもその博論が元らしい。三輪さんというのが指導教授の様で、二人の共著になってるが、三輪さんが書いたのは序章と付け足しみたいな「石油編」、コラムといったところで、中身のほとんどが、楊さんのもの。別に単著でもよさそうなものだが、そうは問屋が卸さなかったのか。で、中身は中国の石炭政策であって、九州大学石炭研究資料センター教授だった三輪さんが「石油」を加えて、「中国のエネルギー構造と課題」になった次第。中国の炭鉱と言えば、かつての圧制ヤマの本場、九州も顔負けの地獄一丁目の世界なのだが、女性の楊さんは果敢にも「個人炭鉱」の実態調査に出たらしい。国営の重点炭鉱などは、それなりに最新鋭の機械や安全対策が施されているみたいだが、これも、大手と中小、社員と下請け、孫請けといった間の格差社会が広がっていた筑豊を髣髴させる構図である。それにしても三輪さんはコラムでリースマンの日記をわざわざ取り上げるのは、どういう意図か。

「わたしと議論している日本の学者は果たして、中国で現在進行しつつある事態をどれだけはっきり把握しているのだろうか」

『日本日記』(1969)の抜粋だそうだが、後の世代の中国研究者にとっては、この時代の中国研究者に対するアンチテーゼが出発点であるケースは多そうだ。
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■ 中国で成功するマーケティング 
2008年07月20日 (日) 11:03 * 編集 *
中国で成功するマーケティング中国で成功するマーケティング
(2008/04)
大橋 直子

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博報堂のマーケティング本らしい。博報堂が対象として位置づけている「パワー生活者」とは世帯月収6千元以上の人たちとのこと。当然顧客は日系企業であろうから、そんなトコかと思うが、生活、住居、クルマ、美容の複数の市場調査を基にした報告書みたいなもの。具体例として登場するのは高級マンションに住む上海の富裕層ばかりで、この辺は「アドバイザー 莫邦富」の意向が関係していると思われる。そんな「パワー生活者」のライフスタイルなどには興味はないのだが、買い物において、店員の言うことを参考にすることは皆無というのは思い当たるフシがある。日本の様な「カリスマ店員」などが登場する余地は全くなく、客は店員を自分たちより文化程度の低い人間としてみているので、その知識やアドバイスなどを期待することは全くないのだという。また、自家用車の保有者が運転手と間違えられ無い様に服装には気を使っているというのも考えさせられるものがある。日本でも昭和30年代くらいまではそういう光景があったのだろうか。そういったことがマーケティングの参考になるのかどうか分からんが、莫の言う「中国人の心を掴むマーケティング」というのは、資本主義の権化みたいなものを言うのだろうね。
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■ メタル・ウォーズ
2008年07月19日 (土) 01:48 * 編集 *
メタル・ウォーズメタル・ウォーズ
(2008/02/15)
谷口 正次

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著者は元小野田セメント常務で、退職後に「資源・環境ジャーナリスト」に転向したという人。技術畑の出身だが、お偉いさんになっただけあって、戦略的な話ばかりで、技術的な話はあまりない。まあビジネス書だから、それは当然なのだが、ビジネスにしても資源・環境にしても、中国を外したテーマは今やほとんど成立しない。この本の副題も「中国が世界の鉱物資源を支配する」。ということで、「中国」と「メジャー」の二本立てになっている。中国の資源囲い込み狂騒については、「中国脅威論者」ならずとも、世界的なイシューとなっているのだが、こう証拠書類よろしく、ポンポン突きつけられると、「メジャー=西洋諸国」の策謀以上の重大な責任が中国に生じていることを否定するのは難しい。タングステンなど、中国が生産を占有しているレア・メタルの多くは、中国が安値攻勢をかけたため、他国の鉱山が採掘をやめたものだという。つまり、中国にだけしか存在しないものではなく、採算性の問題から、中国が占有することとなったという多くの工業製品と同じ構図の話であるのだが、筑豊にペンペン草が生えている様に、一度、廃坑となった鉱山を再開するのは困難なのである。釧路の炭鉱や、新潟の石油といった、「試験的」に保存された「日本の資源」に、スポットライトが浴びる日が来るとは思わなかったが、開発コストがかかるこうした「水もの」の世界では、市場を押さえたら勝ちという教訓を石油のメジャー支配から中国も学習したのだろう。その意味で、アフリカで狂奔する中国の意図を見極める必要があるかと思うのだが、あちこちの国で中国人が襲撃され、殺害されても、確信犯如く政策が全くブレない国に太刀打ちできるものではない。拉致や誘拐などモノの数に入らず、人間の命は虫より軽いのである。などと思ったら、最後に「魔法の虫」の話が出た。この「虫」を使うと、自然を破壊することなく、危険な作業を伴うこともなく、資源を効率的に採掘できるのだという。そんな「虫のいい話」があるかと思うのだが、課題とされる都市鉱山の効率回収と含めて、日本の「失われた鉱山」を再開する手がかりとなるかもしれない。
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■ 二十世紀中国の革命と農村
2008年07月17日 (木) 06:57 * 編集 *
二十世紀中国の革命と農村 (世界史リブレット 124)二十世紀中国の革命と農村 (世界史リブレット 124)
(2008/05)
田原 史起

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山川の世界史ブックレットも遂に第郡に入ったのか。全36巻で中国もの5つ。今回はわりとバランスに配慮したラインアップになってるけど、こういうのは受験需要と関係あるのかしら。まさか、「農村は都市を包囲する」とか、三農問題などがテストに出るなんてことはないのだろうが。ということで、著者は読書は「革命」ないしは「農村」とおいキーワードのどちらかに導かれて書棚に手を伸ばしたと想像しているらしい。まあ、私の様な、「そこに中国本があるから」という理由で読んでしまう輩は想定外ではあろう。専門は中国農村研究だそうだが、前の人は中国環境研究専門だったし、この世代くらいからは、誰でも留学の機会も言語習得の道も得られるので、「中国屋さん」も何かしら専門化する必要がある様だ。著者は昔と違って最近の日本の研究者は、都市出身者が多くなり、農村にシンパシーを感じていないとしているのだが、こと中国研究に関しては、それは「毛沢東」にシンパシーを感じていないということと同義ではないかと思う。今も昔も中国農村研究は中国研究の亜流の位置に貶められているとも思う。その名誉挽回という訳ではなかろうが、90ページのブックレットで、革命前から現在までの中国農村の動きを一気にまとめている。「チェン村」や「中国農民調査」の様な地に根ざしたフィールドワークは日本人研究者には難しいところがあるのだろうが、さすがに書物の国だけあって、史料から農村にアプローチすることは十分可能である様だ。ただ、それで「郷紳」から「幹部」までの為政者の人となりを知ることはできても、その主人公であるはずの農民の姿は一向に見えてこない。やはり、「農村」にシンパシーを感じるものと、「農民」にシンパシーを感じる者は別物ということなのだろうか。
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■ 中国汚染
2008年07月16日 (水) 01:53 * 編集 *
中国汚染――「公害大陸」の環境報告 (ソフトバンク新書 69)中国汚染――「公害大陸」の環境報告 (ソフトバンク新書 69)
(2008/03/15)
相川 泰

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このタイトルで、『「公害大陸」からの環境報告』という副題も付いているので、オドロオドロ・ジャーナリズムのものかと思ったら、中国環境問題が専門の鳥取環境大学准教授という人が著者だった。前に読んだ『環境共同体としての日中韓』の中国を担当した人だそうで、とかく政治、思想、経済といった事情に左右される環境運動を普遍的なものにしていこうとする立場にある様だ。一昔前は中国で「環保」というと、西洋にかぶれた連中を意味していたこともあった(日本でも当時人気の鈴木保奈美が反エコ主義で話題になった)のだが、最近活発になった「環保」の中国化は、それがまったなしの状況になったことも、西洋的な市民意識が確立したこともあるだろう。とはいえ、やはり政府が、経済的成長より、公害対策にベクトルを向けたことにより、利益追求型の大企業を苦々しく思っていた市民にそのお墨付きを与えたということが大きい楊に思われる。周恩来が水俣病に関心を寄せたことが中国の公害対策のスタートだったらしいが、それを思えば、この辺にも環境版「新左派」と「新自由主義」の二項対立の構図が見えてくる。「公害大陸」の現場報告は、もはや多少のことでは驚かないのだが、政府としても、それが中央批判に向かわない限り、報道が征伐することに期待しているフシもあろう。そうした中国人の「環境」をめぐる意識の変化などは興味深い。なんでも中国の環境法は日本より先進的なものだそうで、日本語が読める中国人研究者はとかく、そのことを自慢するそうだ。問題の根は法に人が追いつかないことであるが、ステレオタイプした感もある「法治社会」と「人治社会」の縮図が、ここにも見られる。中国と日本との関係において、中国が被害者になることはあっても、加害者になることは考えなれないという中国人の感情が議論を難しくしている話もなるほどである。日本の公害被害者だけでなく、中国の公害被害者を招き、中国政府関係者の前で報告させたということはたしかに画期的なものだったろう。市民同士の連帯というアナクロ的な手法は、双方の政府や企業が「グローバル戦略」の中で野合している以上、それと対峙する上で必要なものなのかもしれない。
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■ 21世紀の図書館 世界のなかの中国の図書館
2008年07月14日 (月) 23:39 * 編集 *
としょ
21世紀の図書館―世界のなかの中国の図書館
川崎 良孝

京都大学図書館情報学研究会 2007-07
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発行が大学の研究会で、発売は日本図書館協会というよく分からん本なのだが、10年前に出た『21世紀図書館新論』という中国語の図書館学のテキストが原書で、改定した英語版を翻訳したものらしい。著者は日本に留学して図書館学を修めた人ということで、日米欧、マレーシア、台湾など著者が見聞した世界の図書館を例にとりつつ、中国人民向けに図書館学を啓蒙していこうというもの。先日、フィルセンでGHQが作った「格子なき図書館」という啓蒙映画を観たのだが、現在の中国の図書館にそこまで「世界」との格差がある訳もなく、中央館・分館式や業務委託などが参考になるだろうといったところ。現在は先進国と遜色がないレベル(価格も)まで上がっているのだが、中国の本はかつては馬糞紙みたいなものが多く、蔵書管理が大変そうだ。群馬と埼玉の県境の山村に24時間営業の図書館があるとは知らなかったが、去年ビル化した東京の二つの区の中央図書館は夜10時まで開館とのなったので、私の様な図書館通いには大変都合が良い。今月新装オープンのK区中央図書館は、建物がナイスだけど、場所が不便だから10時までにはならんかな。このK区は区域全体の共通コードで、蔵書が図書館ごとの割り当てになっていなく、A図書館蔵書で借りた本を、T図書館に返すと、そのままT図書館の蔵書になるという珍しいシステムなのだが、果たして新システムではどう変わるのだろうか。
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■ 現代中国の社会と福祉
2008年07月13日 (日) 10:55 * 編集 *
genndai.jpg
現代中国の社会と福祉
(2008/03)
王 文亮

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前に出した中国格差論が好評だったのか、仲間と仕事を分かちあおうとしたのか分からんが、ミネルヴァからこの編者の第二弾が出た。編者の4章の他に、中国人の女子院生と、日本人女性研究者が2章づつ。あと、中国人2人と、日本人一人が一章づつの全11章。タイトル通り、社会系と福祉系で、執筆者の所属もその関係の様だ。全員が日本国内の大学所属で、このテーマは政治、歴史、民族、宗教といった「敏感」なところとは距離を置けるので、扱いやすいものなのかもしれない。中国は崩壊することもなければ、ナンバーワンになることもないというのは、政府の公式見解と同様なのだが、海外の現実も中国の現実も知っていれば、そう認識するのが妥当なところだろう。そうした「妥当」な見方を指南するには、軽くまとめてきているので良いテキストだと思うのだが、中国人執筆者のものには、所々に個人的な体験が入っていて面白い。編者が書いた第3章は「性意識」なのだが、88年の「人体写真展」の話が出てきて懐かしかった。編者も、好奇心を抑えきれず、首を長くして見学し、「人体芸術」葉書を2ケース買って保管していたのだという。前に読んだ「セックス文化大革命」より後の世代だろうが、来日して、しばらくはAV漬けになったクチであろう。第5章では中国ニート、中国パラサイトの概説。この親の世代が、それを支えるだけの経済力を持っているという点はポイントであろうが、なけなしの年金をむしりとられ、家出してしまった老人の話などもある。宵越しのカネはもたない「月光族」というのは分かりやすい。ハケン、ワープアが格差社会のキーワードみたいになってしまったが、農民工の請負工事とか、地方政府の沿岸工場斡旋なんてのは、言うなればハケンみたいな話である。ワープアについてはまともに給料だけで働いていれば、十三億総ワープアになるはずだが、収入が一口しかないのは「自己責任」という認識は浸透しているだろう。この辺が「第三世界」たる所以なのかもしれないが、国家主席の月給は数万円だったはず。小平がパリの土産に買えたのはクロワッサンだったという話は今は昔だが、江沢民の懐を満たせたのは著書の「印税」だったらしい。胡錦涛はよく分からんが、毛沢東が皇帝然とした生活を送れたのには、ちゃんと資金的裏づけもあったということだね。
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■ 国情報告 経済大国中国の課題
2008年07月12日 (土) 01:31 * 編集 *
国情報告経済大国中国の課題国情報告経済大国中国の課題
(2007/12)
胡 鞍鋼

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「国情報告」と言っても、原題は『中国崛起之路』ということで、別に外国向けに中国の国情を報告したものではなく、国内向けに「中国加油」したもの。ということで、日本版は岩波。「崛起」という語は、海外に誤解を与えるということで、最近は「台頭」に言い換えが指導さえている様だが、国内では、まだ使用しているのだろうか。海外といっても、漢字を使用するところは限られていて、日本人はこんな言葉よう使わんし、別に配慮する様な国でもないので、台湾を意識したものだろうか。てなことは、あまり内容とは関係ないのだが、その平和的台頭とか、和楷社会とか、ウィンウィンといった、中国政府のスローガンに沿ったものではあることはたしか。名前から分かる通り、鞍山出身の著者は、最近の「新左派」を代表する経済学者だそうで、その意味では崛起を平和的台頭に変換するイデオローグとも言えるだろう。中国における国情研究とは、「経済」の地方分権化にブレーキをかける立場にもある訳だが、「先富論」が経済発展も社会格差も産んだとすれば、小平も「その功績が失敗に勝る」と評されてしまう日が近いのかもしれない。著者は戦後ドイツと日本を平和的台頭のモデルケースとしているのだが、中国共産党と自民党を同じ「政権与党」と位置づけているのは、やはり無理があろう。「野党」の挑戦を受けない「与党」は、「合法的」挑戦者とないうる勢力は海外に求めるしかない。果たしてそれで「平和的台頭」が達成できるのだろうか。
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■ 塼塔 
2008年07月10日 (木) 23:03 * 編集 *
せん塔―中国の陶芸建築せん塔―中国の陶芸建築
(2007/09)
柴辻 政彦

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鹿島の本ということで、建築系なのだが、著者は陶芸系の美術評論家らしい。そんでもって「塼塔」とは「中国の陶芸建築」で、よく仏教遺跡とかでニョキニョキ建っている「宗教的塔建築」を指すらしい。当たり前のことなのだが、レンガも土で出来ている訳だから、その建築物は陶芸建築ということになるのだが、建築物にしても陶器にしても、制作されてから時が経ち、日常の用に供さなくなってから、「芸術作品」としての価値が出るというものであろう。著者は80年代から、中国の塼塔を訪ねる旅を続けていたそうだが、その時分には、物置として使われたりしていて、管理人が見せるのを渋っていたものも多々あったそうだ。そんな塼塔を巡る「中国の旅」を写真満載で、時に戦前の記録写真などを交えながら解説していくというもの。評論家らしく、余計なエピソードを混ぜたりすることは、あまりしないのだが、サソリを食う話で始まり、酒を飲んで酔っ払う話で終わるという起と結だけ「余計な話」にしているのも面白い。それにしても、いい感じで「廃墟」になっていたり、「物置」にされていた方が、塼塔も印象的である。「芸術作品」として認められると、修復され、観光化されるというプロセスを辿るのだろうが、この種のものは文革期に倒すのも大変だったのだろう。
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■ 中国ニセ食品のカラクリ
2008年07月09日 (水) 02:07 * 編集 *
中国ニセ食品のカラクリ中国ニセ食品のカラクリ
富坂 聰

角川学芸出版 2007-12-14
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これも「ギョーザ前」の本みたいだけど、去年ポストに連載されたいたものらしい。最近は新潮からも出してるけど、「週刊ポスト」ということは、中国担当で入社した文春はとっくにやめていたのかな。中身は中国メディアの記事の寄せ集めみたいなものだけど、この人は誰かさんたちと違って、語学力も取材力もあるから、ちゃんと行ってる。ただ、行くのは報道された現場ではなく、一般的な場所が多くて、中国国内ではあまり「潜入」はしない様だ。食の問題や汚職、環境問題といったところは、中国メディアでもホットなもので、ダンボール肉まんがCCTV発だった様に、政府としてもメディアを使って圧力をかけている側面があるから、日本のマスコミに対しても表立って阻止はできないだろう。ギョーザの時もあの手この手で、収拾させようとした訳だが、国内メディアの引用を使われては仕方がない。その点、民族問題や台湾問題、民主化、人権、或いは「歴史」認識問題といった、国内メディアも管制下においている問題は国外メディアに対しても圧力をかけやすい。そうしたテーマには著者が手を出さないのは、単に興味の対象ではないからなのか、あくまで主体を「中国人」におきたいからなのか、気になるところだ。
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