世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ 台湾建国
2008年07月20日 (日) 21:37 * 編集 *
台湾建国―台湾人と共に歩いた四十七年台湾建国―台湾人と共に歩いた四十七年
(2008/02)
宗像 隆幸

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『台湾独立運動私記』はかなり面白い本だったと記憶しているが、出版から12年も経っているのか。その時も総統選の年だったが、その後の民進党の躍進と李登輝の台湾ターンは著者自身にも大きな変化をもたらした様だ。『台湾独立運動私記』の続編とも言えるべき本のだが、学生時代にたまたま知り合った台湾人と意気投合したことにより、人生を台湾独立運動に捧げることになった日本人もようやく報われたということなのだろうか。別に「偉くなりすぎた」とは言わないが、そうした青臭いドラマチックな部分がなくなり、かなり政治的な色彩の強いものとなっている。政治の中枢に入った苦楽を共にした仲間に著者も引き上げられたのだから当然のことではあろうが、『台湾青年』の終焉を象徴するような展開ではある。また、江沢民訪日の怒りの真相が「お詫び問題」ではなく、「台湾問題」にあったことを指摘しているのだが、末次一郎・小渕のラインで江沢民を怒らせることに成功したのが著者の功績だったとしている。「台湾制憲論争」に著者が貢献していることも初めて知ったのだが、一国の制憲問題に「同志」とはいえ、外国人が関与するのはどうだろうか。万が一制憲を成し遂げても、日本国憲法同様、外国人が作ったといった非難から逃れることはできないのではなかろうか。別に台湾のベアテ・シロタ・ゴードンになろうとしている訳ではないのだろうか、台湾人の「日本人」に対する許容度は、日本人のアメリカ人に対するそれに近いものがあるのだろうか。それにしても、偽装パスポート潜入はわりと最近の話だからヤバい感じはした。これも北朝鮮のソレと同一にすることはできないのだが、逮捕されて報道された方が世間の注目が集まって良いと腹をくくっていたとはなるほど。となると、事件にならずに報道されなかったのも「中国」の影に怯える政府の差し金か。
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■ 最高指導者の条件 
2008年07月12日 (土) 21:44 * 編集 *
最高指導者の条件最高指導者の条件
(2008/02/19)
李 登輝

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一応、馬英九も挨拶に行った様だが、この人も、もうすっかり過去の人の雰囲気が漂う。まあそれは元々、この人が望んでいた引退後の生活なんだろうけど、PHPからこんな本を出してしまうのは、まだまだやる気なのかなあ。もっとも、馬の当選を見越して先手を討ったのかもしれんけど、台湾版がどれだけ読まれることやら。引退後は、常々キリスト教の伝道師になりたいとは言っていたのだが、初っ端から宗教がかっていて、イヤな感じはした。これじゃあ宗教アレルギーのある日本の「愛国者」はひいてしまうんじゃないかと思ったのだが、押さえきれなくなったのか、著者一流の読者サービス精神なのか、後藤新平神格化をはじめ、小林信者とかが好きそうなことが、段々と多く出てくる。例によって、今の日本はダメだみたいな話なのだが、こういう「原日本人」みたいな人に言われると、「ウヨク」の皆さんはシュンとしてしまうものなのかな。最近、大陸批判が少ないのも、政治的配慮なのかもしれないが、日本に対しては政治的配慮というより、自分のアイデンティティの根幹に関わることなんだろうね。若い頃、10年間マルクス主義者だったことや、例のドイツ紙とのインタビューが仕込みだったことを告白しているのだけど、これって前にも明らかにしていたことだったけ。10年前だったら騒動だったろうけど、もはや何のタブーもなさそう。老人が晩年に自分の功績を誇るのは非難されるものではないと思うのだが、もう一度スポットライトを浴びる為に、死ぬ前に大陸電撃訪問とかやらかしそうな予感も。
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■ スピリチュアル紀行 台湾 
2008年06月24日 (火) 00:49 * 編集 *
スピリチュアル紀行台湾―魂をゆさぶる麗しの島スピリチュアル紀行台湾―魂をゆさぶる麗しの島
(2007/11)
光瀬 憲子

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東洋経済新報って、結構こういうビジュアル旅本を出してるな。この手のヤツって、売れないライターが企画行脚して仕事をゲットするものなのかと思っていたのだが、この著者の話を信じるなら、台湾とは縁が切れたと思ったら「もう一度台湾の本を書きませんか?」という話が舞い込んできたのだという。台湾ものの売り込みはナンボでもあったんだろうが、スピリチュアル系は、「おいしい、安い、カワイイ」を連発して終了という訳にはいかなかったのかもしれない。「心の闇を持つ女性が台湾に行って元気になって」といったコンセプトがあったのかそうか分からんが、この著者は台湾人と離婚する過程で相当なドロドロがあったらしく、裁判だの警察沙汰にもなった様だ。そこで「台湾とは縁が切れた」ということになっていたのだが、そこで「台湾」と「スピリチュアル」が結びついたという次第。基本的に三文旅本なので、詳しいドロドロが書いてある訳ではないのだが、台湾で自律神経失調症になってしまう日本人女性もいるんだな。日本で自律神経失調症になって旅本を出した台湾人女性もいたけど、外国で心療内科にかかって効果があるもんなのだろうか。その意味では、怪しさをウリにするスピリチュアルの方が普遍的なのかもしれん。
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■ 愛する日本の孫たちへ 
2008年06月02日 (月) 19:02 * 編集 *
愛する日本の孫たちへ (かつて日本人だった台湾日本語族の証言集 1)愛する日本の孫たちへ (かつて日本人だった台湾日本語族の証言集 1)
(2007/04)
猪股 るー

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桜の花出版の本も久しぶりだけど、ココはホンと一環しているな。また例によって、台湾日本語族の話だけど、猪股るーという人が聞き手となっている。なんか台湾人っぽい顔立ちの人なんだけど、元々、韓国留学組で、2002年のワールドカップを契機に台湾に転向したらしい。大陸留学組の台湾転向はよく聞く話だけど、韓国留学組が転向する先もやはり台湾か。たしかに大陸でも韓国でも留学前に、過剰な思い入れがあると、反日パワーとか、ベタベタ人間関係とかの返り討ちにあってしまうものなのだが、そうした傷ついたココロを癒してくれるのが台湾という国なんだろう。その意味では、日本に「嫌韓」とか「反中」感情が拡がれば、いざ現地に行ってみれば「そんなに悪くもねーじゃん」なんてことになって、韓国とか中国の株も上がるというものである。韓国でも中国でも、実際に日本人と接していたり、日本に行ったことがある人は、日本を高く評価する傾向があるのだが、恋愛にしてみても、最初キライだった人が、その人の意外な一面を発見して、どんどん好きになるなんてことが多いかとも思う。その意味では台湾と日本の関係はビミョーな所があるのだが、台湾人が日本を愛してくれるのも「中国」のお陰であることは否定できない。ここに登場する人たちの世界では、言ってることは至極真っ当なことなのだが、やはり、人間ドロドロしたものがあった方が面白いのかもしれん。しかし、グアテマラでコーヒー農園をしたという人の話は面白いな。当時は共産主義と独立派は半ば共闘してたんだね。まあ弾圧される者の受け皿として「主義」は重要ではなかったということなんだろうけど。
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■ 夫婦純愛 
2008年05月21日 (水) 12:04 * 編集 *
夫婦純愛夫婦純愛
(2007/10/16)
金 美齢

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ダンナの周英明が亡くなって1年経ち、ようやく気持ちの整理がついたらしい。たしかに周さんという人は人の良さが顔にも滲み出た人だったのだが、妻が亡き夫のことを書いたということを割り引いても、正に「仏」と「鬼」の夫婦だったんだなと感じ入る。金美齢も若かりしき頃は色々あったみたいだが、この人がダンナであったからこそ、もっていたところもあるだろう。しかし、この夫婦は普段の会話も日本語だったのか。『台湾青年』は創刊以来、一貫して日本語らしいのだが、昭和30年代の台湾留学生の会話も日本語が普通であったのか。福岡生まれの周や、大阪にいたという金の様な日本語を半ば「母語」とする学生も多かったんだろうが、当時の状況では、「國語」でも「台語」でも使用に政治的な意味合いがあった訳で、在日留学生が日本語を使うというのは、ある意味ニュートラルな選択だったのかもしれない。金美齢は「日本国籍疑惑」などもあったのだが、ここでははっきりと否定している。しかし、イギリス留学の際はパスポートはどうしたんだろう。前夫と息子の話は知らなかったが、最近公開した話なのだろうか。台湾のマタハリなんて言われていたのは、さもありなんだけど、馬英九政権になっても、うまく立ち回れるかな。
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■ 台湾経済入門 
2008年05月08日 (木) 01:23 * 編集 *
台湾経済入門台湾経済入門
(2007/06/21)
渡辺 利夫

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イマドキ、台湾経済などを専門にするのは変人にみられるのかどうか知らんが、もうウジャウジャ出てくる中国経済モノに対して、台湾経済の本は、その経済規模を考えると驚くほど少ない。台湾経済はもはや中国経済の一部とするのは、政治的文脈を除いても否定しきれないところもあるのだが、ここは、さすがは拓大。勁草から入門を出してくれた。とは言っても、渡辺利夫先生の言うところの「初心者向けの入門」だから、トーシロの相手をする様なブツではない。総統府経済顧問も、「台湾中小企業白書」の執筆者も参加しているから、「大主内、小主外」のカラクリを明かしたり、「民主化と貿易改革」とか、「省籍矛盾が組み込まれた社会政策」なんてのもある。「小主外」は台湾経済発展の原動力と言われ続けた中小企業による輸出貢献率なのだが、82年の73%をピークにして、 2005年には17%まで下がったのだという。どうもその数字自体が政策にあわせた道具であった様だ。国内投資に関しては、政府がコンサルタント料を負担する形で、近代的にさせたりなんて政策もあるらしいが、国連脱退にあたり、中国国際商業銀行(最近、本土化でまた名前が変わったらしい)を民営化したのは、海外にある支店と資産を大陸が接収することを恐れたからだというのは知らなかった。社会保障制度が、実質、外省人の為の制度だけだったというのも驚きだが、国民党員、公務員でしか生きる術がなかった外省人の救済的意味も反映されたものだったとのこと。その点、全国民を網羅する社会性保証制度が整ったことが、本土化への道筋をつけたとも言えるのだが、それは李登輝時代に入ってからの話であり、最初の総統選挙に李が勝てたのも、そうした背景があったことを考慮せねばならないだろう。そういえば、馬英九が台北市長選挙に勝ったときは、全市民へメールアドレスを付与するなんて公約があったことを思い出したが、アレは結局どうなったのだろうか。総統になったら、全国民にメルアドでも渡すのだろうか。そしたらコキントウからメールが来たりして。
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■ 屋台で食べつくそう!台湾ごはん 
2008年04月20日 (日) 01:16 * 編集 *
屋台で食べつくそう!台湾ごはん屋台で食べつくそう!台湾ごはん
(2007/12/19)
撮影 あずみ、はっとり☆きょうこ 他

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竹書房の本か。台湾ものも白夜書房とか竹とか色々あるな。いずれにしても、どうでもいい観光本なのだが、はっとり☆きょうこという人はNHKや民放でアナウンサーをしていたが今は沖縄でフリーアナウンサーをしているとのこと。「つのだ☆ひろ」みたいに☆に意味がある訳ではない様だ。撮影は竹富島出身、 1985年生まれ日台ハーフの「あずみ」。こちらの苗字がないのは意味があるのかもしれない。ただ、台北と淡水の夜市の屋台メシをパチパチしただけの本なんだけど、値段が書いてあるのはエライ。夜市食いはその辺もポイントなはずだが、台湾も結構高くなったなあ。まあ、それでも自炊するよりは安くあがることは確かだろうけど、観光夜市だけ残して、後はシンガポール、香港の様に政府が屋台の自然消滅を図ることになるんだろう。毒ギョーザとかダンボール肉まんみたいな事件は、舌が肥えてる台湾では起こりえない(マズイ、インチキ→誰も買わない)から、食の安全面からいうと、屋台の方が安心なんて皮肉なこともあるんだけど、この本の提供は中華航空か。別の安全面が気になる。
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■ らくらく台湾一周旅行 
2008年04月06日 (日) 01:08 * 編集 *
らくらく台湾一周旅行らくらく台湾一周旅行
(2007/10/22)
松田 義人

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白夜書房というと、色々とお世話になった諸兄も多いかと思うが、この場で白夜の本を紹介できるのも感無量である。ところが、これが物凄くフツーな旅行もの。発行人も末井昭と出ているから白夜で間違いないのだが、なんでも著者の編集屋さんが趣味の台湾旅行の話をしたところ、じゃあ本を出してくれということになったらしい。表紙はなぜかイヌのイラスト。「桃」から中国服を着たイヌが出て、空に浮かんでるみたいな感じ。これは「桃太郎」と「狗が去って豚が来た」の「狗」と「孫悟空」をかけて、台湾を俯瞰しているイメージなのだろうか。だとしたら、結構高度なものなのだが、リリー・フランキー作らしい。、そんな訳でカネをかけるところはかけているのだが、そうした台湾事情に、著者の関心が向かうことはなく、ただひたすら凡庸なガイドブック旅行を実行するのみ。なぜか一人旅風に書かれているので、大のオトコが小人国とか、海水浴に一人で行くのもなんなのかなと思ったけど、どうもカメラさんとか連れが何人かいたらしい。となると、辻褄が合わない箇所が幾つか出てくるのだが、まあいいだろう。耳にハエが入って医者に行った話くらいしか変わったところがないのだが、白夜の編集者でも、健全なガイドブック旅行をするというのも、また真なりであろう。実のところ、台湾ファンの人は、「恋人」を裏切れないマジメな人が多いのである。その「恋」が一方的なものかどうかについては、諸説あるところだが、いいオトナをメロメロにしてしまう台湾という国も、また「海千山千」の楽園である。
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■ 大日本帝国のクレオール 
2008年03月16日 (日) 03:37 * 編集 *
大日本帝国のクレオール―植民地期台湾の日本語文学大日本帝国のクレオール―植民地期台湾の日本語文学
フェイ 阮 クリーマン 林 ゆう子

慶應義塾大学出版会 2007-10-31
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なんかベタなタイトルだが原題は、Under an Imperial Sunで、これもベタだった。副題が「植民地期台湾の日本語文学」で、著者は台湾出身の原書英語らしい。読んでいて全く翻訳臭さを感じさせないのは、訳者の力量もさることながら、著者が日本語でも多く論文発表している人ということが関係しているのだろう。ハワイ大から原書は出ているらしいが、幾らハワイでもこの方面のテーマに明るい人はそう多くないはずで、文化説明や、植民地事情説明といった部分は翻訳でカットされたとのこと。それにしても、ポスト・コロニアル方面は移民研究者の得意とする分野であるのだが、日本語世代の両親を持ち、自ら日本語文献にも当たれる著者にとっては正に己の道といったところであろう。その意味では「大日本帝国のクレオール」の血筋を引いている者といえるのだが、こうした「植民地文学」を研究対象とすることについて、ドイツの学者から、ドイツではナチス時代の文学研究をするものはいない、過去を反省していないとの批判を受けたのだとか。このドイツ人学者の発言は彼の国のPCに則ったものなのかもしれないが、過去を自らと切り離し、断罪することにより、「被害者」の道徳的優位を共有することにより、自己解決を図る西洋的合理主義の嫌らしさが滲み出ている。研究者としての著者は困惑より嫌悪を感じたのは明白だが、戦後の台湾において、「日本語文学」が辿った運命も、そうした一方的な「正義」による否定にあったことは確かである。過分に政治性を帯びたポスト・コロニアル研究が敬遠され、同時代の歴史と作者の内面性を重視する、「ポスト・ポスト・コロニアル」研究が主流になってきたことは、文化研究の流域においては、ようやく「帝国」の時代からも、その後継者ららんとした「政治の季節」からも、自由な時代を迎えつつあるということではなかろうか。その点を縛り付けてきた「国家」と「文化」に複合的なアイデンティティをもつことが「クレオール」であるなのか、「国家」と「文化」から必要なものだけ借用し、新たなるアイデンティティを作り上げるのが「クレオール」なのかは、はっきりしない。「文化」というものに「固有」なものなど一つもなく、「伝統」と称されるものの全てが、「借り物」であるのは疑いもないのだが、失われつつある「文化」を保護することを主張しながら、人為的に「文化」を抹殺してしまう「政治的正しさ」の支配下では、新たな「クレオール文化」は創造されない。
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■ 片倉佳史の台湾新幹線で行く台南・高雄の旅 
2008年03月03日 (月) 21:37 * 編集 *
台湾新幹線で行く台南・高雄の旅―片倉佳史の 台湾中・南部ディープガイド (Taiwan通 2)台湾新幹線で行く台南・高雄の旅―片倉佳史の 台湾中・南部ディープガイド (Taiwan通 2)
(2007/04)
片倉 佳史

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書名に名前を冠しているとは著者も出世したものだが、やはり根強いファンが存在するのだろうか。さて新幹線が開通したということで、台湾ガイドブック業界も一つのビジネスチャンスを迎えた訳だが、そこはこの著者。そう一筋縄では終わらない。タイトルになっている台湾新幹線も台南・高雄もメインテーマではなく、ほとんど新幹線とは関係なく西海岸の小さな町の紹介がズラッと並んでいる。もしかしたらこの辺がタイトルに「片倉佳史の」が付く理由なのかもしれない。「JTBの」だったら、新幹線一色だったろう。こういうガイドブックはかなり有用なのではあるが、やはり著者の言うとおり何かテーマでも決めないと、なかなかこうした旅もこなせるものではない。しかし、高雄が「打狗」からというのは知っていたが、民雄が「打猫」から来ているとは知らなかった。「満州」なんて所が恒春にあるとも知らなかったが、潮州移民が移り住んだ「潮州」と違って、これは「満洲」とは関係なさそう。東西南北のうち、一つだけまだ行っていない「台西」と併せて、次はこの辺に行ってみようか。
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■ 私のなかのよき日本
2008年01月31日 (木) 11:56 * 編集 *
私のなかのよき日本―台湾駐日代表夫人の回想五十年私のなかのよき日本―台湾駐日代表夫人の回想五十年
(2007/04/07)
盧 千恵

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前にダンナの許世楷と一冊出しているのだが、これは単著。鳥居民に勧められて書いたなんて話もあるが、やはり大使夫人であるだけに品の良さが漂い、中国批判とか台独方面は控えめ。タイトルから分かるように、その分、日本礼賛が多めなのなのだが、それは外交儀礼というより、自身のアイデンティティにも関わることなのだろう。著者は1936年生まれで、小二まで国民学校に通ったとはいえ、「光復っ子」の世代である。しかし、日本語から中国語への移行期と白色テロの恐怖の時代に「中国人教育」を受けてきた訳だから、「私のなかのよき日本」を保持してきた世代でもあろう。1956年に留学の為に来日するのだが、親の世代に日本の女子教育神話が顕著だったことも窺わせる。そんな中国人だか日本人だか分からない台湾人が、政治的に自由な日本で台湾人意識というものに出会うことになるのも必然なのだが、この人の場合、あくまで許世楷という存在経由なので、かなり受身である。出会った相手が中共派だったら、そのまま大陸行きの可能性もあっただろう。その点、二人の出会いは運命的ではなく意図的なものだったのかもしれない。似たような経歴の金美齢には「日本人性」より、むしろ「中国人性」を感じるのだが、この著者は台湾人女性の日本語族にありがちな「女学校気質」みたいなものも感じる。「私のなかのよき日本」とは今の日本が悪しき世の中になっているという意味もあるのだろうが、日本人が失ったものを私は今も保持していますという自負には、黙って頭を下げるしかない。
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■ トオサンの桜 
2007年11月29日 (木) 12:58 * 編集 *
トオサンの桜 散りゆく台湾の中の日本トオサンの桜 散りゆく台湾の中の日本
(2007/01/30)
平野 久美子

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『多桑』はもう十年以上前の映画になるのか。「トオサン」という呼称が映画の中だけではなく、台湾で一般的なものかどうかは疑問があるが、「トオサン」ものはSAPIOの小学館ならずとも、読者層が固いものはあるのだろう。この著者が「トオサン」ものというのも、意外な感じもするが、『週刊ポスト』連載だったらしく、時間も労力もおカネもかけた取材であったことは、巻末資料からも読み取れる。台湾での「トウサン」たちとの遭遇は私の世代でも、どこか腑に落ちないものを伴うのだが、著者の世代だと尚更であろう。彼らが郷愁する「日本」とは、我々が否定してきた「日本」であるという事実は返事に窮するところが多い理由なのである。よく「日本語世代」の人たちが、日本人に「日本語お上手ですね」と言われて怒ったなんてエピソードがあったが、それが「植民地時代に自分たちの言語を奪われたからだ」というオチになってしまうのは、韓国ではどうか知らんが、少なくとも台湾では不自然なものだ。日本語で話すことになぜか負い目を感じる日本人という存在自体が、彼らには奇妙に感じられるのだろう。事実、彼らはこうであり、著者が外省人栄民に言われたという「彼らは日本人に親切にしたくてしょうがない。他のアジア人に対してはそうではない」というのも、的を射たものなのかもしれない。その「アジア人」に「シナ人」も入るのだろうが、それは日本の蒔いた種であると同時に、「中国」が蒔いた種でもある。228から白色テロの間に「植民地統治に批判的であった知識層」まで処分してしまった結果、現在の日本懐古が優勢になったという見方もあるが、人間トシをとれば、自分の人生に意味づけをするものなのではなかろうか。もはや絶滅種になろうとしている「日本人」をありのまま抱きしめるには、私には「日本」が足りないのである。
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