世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ 対北朝鮮・中国機密ファイル
2008年07月16日 (水) 22:27 * 編集 *
対北朝鮮・中国機密ファイル―来るべき北朝鮮との衝突について対北朝鮮・中国機密ファイル―来るべき北朝鮮との衝突について
(2007/09)
欧 陽善

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著者の肩書きは「中国中連部アジア局」となっていて、中国国内での発表が出来なくなったので、日本でということになったらしい。そんな曰く付きの版権を「日本右翼」の文藝春秋が獲得できたのは不思議だが、訳者ではなく編者として名を連ねる富坂聰が取ってきたものらしい。富坂の書くものにはよく「中国政府筋」の情報が出てくるのだが、やはりホントにこの人は「党」に食い込んでいるのだろうか。香港でも出版予定とのことだが、まさか富坂が編者としてクレジットされる訳はないだろう。「原書」が存在しているとしたら、どこまで「編集」が入っているのかも知りたいところだ。日本的な解釈をつけることを避けた為、文春からはクレームが来たとのことだが、読んだら分かるように、これは最初から日本人読者を想定して書かれている様な感じもする。おそらく、この本が翻訳されて大騒ぎになるとしたら、韓国においてであろう。中国人の韓国人に対する感情は書かれている通りであることは否めないのだが、「知れば知るほど嫌いになる国」って、そのまま「嫌韓流」じゃないの。となると、「嫌韓」で日中が奇妙な共闘を組むことも考えられるが、「反日」の中韓共闘よりは、歪のないものなのかもしれない。中国にも孔子の何代目かに当たる学者(日本のアレよりはホンモノっぽいが)の様な金正日ファンがいるとは知らなかったが、それは日本の「金正日サポーター」とは違う論理である様だ。とはいえ、それがあくまでも特殊事例であることは、言うまでもない。80年代の北京で、中国人から北朝鮮を猛烈に蔑む言葉を聞いたことを覚えているのだが、南下すると、南下すると、意外に北朝鮮とは友好的で、私もよく北朝鮮留学生とも遊んだものだ。やはり「悪感情」は地理的に近い者同士が持つものなのだろう。それにしても、85年に日本人から情報を収集するために北京で初めて開業した焼肉レストランって、「モランボン」の事?あの当時に白カード無しの人民元で、焼肉食えるのも変な感じがしたが、そうだったのか。ウチラのバカ話も将軍様に筒抜けだったのか。同学の北娘を誘って繰り出そうとしてたTさん今どうしてるかな。
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■ 金正日とアメリカが手を結ぶ日 
2008年07月03日 (木) 21:50 * 編集 *
金正日とアメリカが手を結ぶ日―朝鮮半島から核はなくなるか金正日とアメリカが手を結ぶ日―朝鮮半島から核はなくなるか
(2007/12)
朱 燮日

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著者は中央日報のヨーロッパ特派員をしていた人らしい。そこがポイントらしく、世界情勢の枠内で北朝鮮情勢を語るというところが、韓国では特殊なことらしい。それで、「国際問題大記者」となったそうだが、散々ネタになった別の社の「国際問題大記者」よりは、外国勤務が長いからかか、まだマトモな感じがする。しかし、この称号って一種の資格みたいなもんなのかなあ。現在は「ル・モンド・コレア」編集顧問ということだが、これって「ル・モンド」と何か関係あるものなのだろうか。「世界日報」駐仏ヨーロッパ総局長も務めていたこともあるそうだが、韓国の「世界日報」は信者じゃなくても入れんのかな。日本のヤツもそうだけど、「民族派」イデオローグで集客して壷買わそうとしているのかもしれないけど。ということで、北にはかなり厳しめの様で、随所に民族的な希望的観測も顔を出すといった体裁。アメリカは将軍様の核戦略に既に屈服しているというのはオマヌケの様な気もするが、だからこそ、北は核放棄すべきだというリアリストらしい。訳者も日本は「拉致執着」を改め、アメリカ同様、まずは将軍様の顔を立てて、核を放棄させる様に仕向けるべきだとしているけど、それがリアリズムなのかしら。まあ豚もおだてりゃ木に登るというのはあるだろうが。
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■ 北朝鮮は、いま 
2008年06月17日 (火) 11:35 * 編集 *
北朝鮮は、いま (岩波新書 新赤版 1107)北朝鮮は、いま (岩波新書 新赤版 1107)
(2007/12)
北朝鮮研究学会

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岩波新書の北モノで、韓国のインターネット新聞連載もの。監訳は今や貴重な北シンパの一人である石坂浩一。役者が揃ってるので、強烈なヤツを期待したのだが、意外と普通であった。この北朝鮮研究学会(北韓研究学会)というのは韓国の研究者の集まりで総勢400人を擁しているそうだが、宮塚先生の娘も留学した北朝鮮学部は今や幾つも設置され、北韓大学院大学なんてのもあるらしい。韓国が北朝鮮研究の最前線であることは当たり前なのだが、長年に渡って、公然と北朝鮮の研究など出来ない時代が続いていたこともあり、日米の北朝鮮研究の蓄積にはまだ及ばない面もある様だ。一応今でも国家保安法が生きていることもあり、明からさまな主体思想賛美には盧武鉉政権下でも逮捕者が出たりはしているらしい。とはいえ、主思派の影響力は韓国の「市民運動」のかなりの範囲に及ぶらしいのだが、当の北では「主体思想」は形骸化して、「先軍思想」に吸収されんとしているらしい。要は統治手段に過ぎないので、そこに思想もクソもないのだが、幾ら自分が作らせたとはいえ主体思想が金日成の「思想」である以上、正日も自分の「思想」にそれが命取りにならない範囲でシフトする必要もあろう。ともかくも「先軍」であるからに、軍隊を最優先にするということなのだが、それに対して韓国は「平和国家」として一方的に軍事を削減すべきという意見が学会で出ているらしく、石坂の狙いもソレなんだけど、日本が一方的に軍事削減したら、北の先軍政治というものは終わるとでも言うんだろうか。
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■ 国境の河 
2008年05月31日 (土) 22:53 * 編集 *
国境の河―中朝国境慟哭の岸辺に立って国境の河―中朝国境慟哭の岸辺に立って
(2007/11)
高山 秀子

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「ニューズウィーク日本版」の人か。と思ったら、2006年に退社とある。アメリカ式なのか年齢、学歴は一切明らかにしない人なのだが、お姉さんは71 歳、息子アレキサンダーは北京生まれということは分かった。お姉さんがチマ・チョゴリを着た理由も分かったが、個人的なことをつまびらかにしないとするなら、そんなことを説明する必要もないかとは思う。藤沢周平の評伝に次いで2作目の著作らしいが、ハルバースタム以外にも多くの日本側覆面取材者として、アメリカ人の著者に関わっているらしい。北朝鮮の問題も「東京支局」がカバーする関係上、取材を重ねた様で、その間に「個人的事情」で、「ハズバンド」を装わせたりして脱北者を救助してきたのだという。その辺の詳しい事情を明らかにできないことは理解できるのだが、写真つきの詳しい滞在記まで書いていて、「北朝鮮北部某市」なんてする必要があるのかな。これは新義州?まあ北では早朝に散歩するのがよろしいということは分かった。そんな感じであちこちボカしたバラバラの話を強引に一つにまとめたもので、死んだ赤ちゃんの腹の中に銅線を詰めて運んだという話以外には特筆すべきものはない様な気もする。上から下まで、脱北の難易度が下がり、それだけでは記事になる時代は終わってしまったので、その意味では貴重なものかとは思うのだが。
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■ 黄海道の涙 
2008年05月18日 (日) 12:15 * 編集 *
黄海道の涙―引き裂かれた母と娘の六十年黄海道の涙―引き裂かれた母と娘の六十年
(2007/07)
山田 寛

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たしかに北朝鮮残留孤児とは聞きなれない話だ。中国にあれだけ残留孤児がいるのなら北にだって、相当数がいると思うのだが、大躍進、文革の中国を遥かに上回る北朝鮮の過酷な世紀を、日本人の血を引く者が今日まで生き延びることは困難というのは現実的な話であろう。この本の主人公となるのは「内鮮結婚」で、朝鮮に渡り、末娘と生き別れた女性なのだが、数年前に90歳で亡くなり、唯一この問題に取り組んでいたNPOも主宰者が高齢で亡くなってから活動を停止しているという。状況的に優先順位が、拉致被害者、日本人妻の順番になるのは致し方ないのかもしれなが、それさえも救出がままならない現実では、もはや絶望であると言われている残留婦人同様、残留孤児は生死の確認すらとれない状態であろう。日本人妻里帰り事業の時に露呈した通り、中国が使った「養父母カード」は、北では「将軍様カード」という逆効果しか生まないものしか使えない。こうなると拉致問題同様、日本側からの積極的なアプローチがないと北が自ら動くことはありえないだろう。著者はカンボジア問題を長くやった元読売記者なのだが、こうした個別の物語から世論を喚起することが有効なことに気が付いたのだろう。主論は最終章の「北朝鮮残留孤児」になりながら、あくまでも母と娘の物語ということで仕上げている。「内鮮結婚」の実体とか、小泉純一郎にも繋がる、横須賀小泉豆腐店の娘の一代記は読み物としても興味深い。
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■ 日本から「北」に帰った人の物語
2008年05月02日 (金) 01:25 * 編集 *
日本から「北」に帰った人の物語日本から「北」に帰った人の物語
(2007/11)
韓 錫圭

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新幹社が民団系なのかどうかは分からんが、とりあえず、総連とは距離を置いている在日系出版社の様だ。著者は在日北朝鮮帰国者の覆面らしいが、齢70にして、パソコンを習い、この「実話小説」を完成させたという。しかし、高校を卒業後に「帰国」したということは、手紙とかは書いていたにせよ、50年くらい日本語のブランクがあるということだが、慣れないパソコンを使って、ここまで日本語の「小説」が書けるものだろうか。といった疑問は野暮なことであって、オムニバス形式の読み物としてそれなりに面白く出来ているから、まあ良いでしょう。最後の物語は、文字通りの「実話系」だが、この人は帰国してから、男性週刊誌を読んで、研鑽を重ねたとみた。しかし、「帰国者」が現実にみた世界というものが、この通りだったのか、これ以上の悲惨だったかは、いずれ、歴史が明らかにすることだろうが、これが非現実的であったということは、まずありえないだろう。その辺は総連も、もはや庇いきれずに、「黙殺」という手段に頼るしかない。もっとも、その痛みを一番、痛切に感じているのが、総連の皆様であろう。そして、この本は坂中英徳が序文を、高柳俊男が、かなり長文の解説を書いていて、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」が何らかの関与をしている模様。ついでに黒田福美が坂中とともに序文を書いているのだが、この人は相変わらずのアホ丸出し。実際問題として、「拉致被害者」が特権階級であったことは事実であろうし、「家族会」が政治化するのも、それが「政治決着」の可能性がある範囲にある問題だということだ。しかし、在日の「帰国者」はもちろん、日本人妻の人たちは、もはや自力で脱出するしか法がない。その意味では、この本は「作戦」の一環なのかもしれない。とはいえ、左翼と右翼の代理戦争みたいになってしまった「拉致」問題だけに「北朝鮮」を収斂させずに、左も右も、総連も民団も、日本人も朝鮮人にも訴えられる北朝鮮人権問題のテーゼを創っていく必要はありそうだ。
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■ 私の祖国は世界です 
2008年04月14日 (月) 21:57 * 編集 *
私の祖国は世界です私の祖国は世界です
(2007/08)
玄 順恵

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こりゃまた如何にもなタイトルだが、自称「世界市民」の本当の祖国が、「将軍様の国」であることのカモフラージュになっていないから苦笑してしまう。著者はご存知、小田実の「未亡人」なのだが、このタイミングで本を出せるのも大したものだ。岩波だし、まあ中身は想像通りのものなのだけど、阪神淡路大震災や南北首脳会談が、在日のターニング・ポイントとして何度も何度も言及されるのに対し、文字通り見事に、「拉致」の「ら」の字も見当たらない。北の核疑惑で、「日本人男性による」チマ・チョゴリ事件が頻発し、総連に対する弾圧が激しさを増すと訴えているのに、小泉訪朝などは全く無かった様な具合なのは不思議だ。著者は「世界市民」だから関係ないのかもしらんが、日本の文化は朝鮮人が伝えたもの、日本を作ったのは朝鮮という、例のトンデモ歴史認識を延々と披露しているのだから、冗談でなく、「世界」の起源は朝鮮であるという認識なのかと疑ってしまう。おそらく、自分の言っていることの矛盾に気がついていないんだろうが、それは毛沢東と金日成を崇拝して、「拉致」発覚後も、最後まで「総括」をすることなかった小田の脳天気なご都合主義と通じるものがある。こうしてみると、小田の受けた戦中の教育と、著者の受けた戦後の朝鮮学校の教育というものが同質の性格を持っていたことに留意する必要がでてくる。たしかこの二人は20以上もの年の差カップルであったが、受けた教育のトラウマと反動という点で共通思考があったのかもしれない。金日成もその息子も天皇をモデルにしている様に、右翼と左翼は所詮は近親憎悪をやってるに過ぎないことは言うまでも無いけど、朝鮮では右翼も左翼も民族主義と儒教というう同じ土台に立っているからややこしい。ただ、その点、日本の「サヨク」は「世界」というベールを被らなくてはならないから大変だ。もっともその「世界」が版元の雑誌でなく、「世界」を名乗る某宗教団体であることを示唆するところもある。その意味では、朝鮮人の恩師に「日本人にも良い人がいる」と言われて小田と結婚を決意したという箇所には考えさせられるが。それにしてもドイツ、中国は善、日本、米国は悪という単純化をその土地での生活を経験しながら構築できるのも、政治的な覚醒の賜物だろうか、宗教的洗脳だろうか。しかし、何度も往復したはずの北朝鮮での日々は全く登場しないのも不自然だ。版元の都合か総連の都合か、或いは北で暮らす親戚の都合かは分からない。ただ、著者が投げかける問いに日本人や米国人が答える義務があるなら、著者も読者の同義の問いに答える義務があろう。
「あなたは朝鮮民主主義人民共和国軍特殊部隊が日本人を拉致した時に何をしていましたか?」
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■ 北朝鮮の不思議な人民生活 
2008年04月01日 (火) 00:33 * 編集 *
北朝鮮の不思議な人民生活―他では見られない貴重写真満載で綴る、北朝鮮人民の〈衣・食・住〉 (別冊宝島 (1359))北朝鮮の不思議な人民生活―他では見られない貴重写真満載で綴る、北朝鮮人民の〈衣・食・住〉 (別冊宝島 (1359))
(2006/10)
不明

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別冊宝島も、読み物系は「リアル」として独立させる様で、「別冊」の方は、文字通りビジュアル中心の、軽い感じのものになっている。もっとも、「本家」の宝島がいまどうなっているのかは、20年以上前に読者引退した者にとって、サブカルからエロ転向以降は分からない。それでも別冊は私の読書趣味引っかかるものが多々あり、たまに見つけたは読んでいる。それにしても別冊がこれで1359号というのはスゴイ。今となってみれば、別冊宝島で「朝鮮総連」を出したことが、「総連」タブーを切り崩し、拉致表面化への糸口になったと思う。大げさに言えば、それが小泉訪朝に繋がったのだが、発売当時の朝鮮総連からの圧力は相当なものだったらしい。その後「同和」にも挑戦したり、「社会党」や「警察」も打ち崩したりもしたのだが、「皇室」はまだかな。そんな歴戦の雄が今さら「北朝鮮」でもないのだが、そんなこんなで、旧宝島系のキッチュな作りとなっている。となると、呼ばれるのは、レインボー通商さんであり、宮塚先生なのだが、そろそろ博物館でも作ってもらいものだ。ただ、読み物系も後半に数本投入されており、すっかり宝島系ライターに落ち着いた李策の万景峰号乗船記などもある。朝大出身のこの人のレポートは妙に説得力があるのだが、実のところ総連の「中の人」も心のうちは、李策と大同小異なのであろう。総連の「世間」では、カミングアウトなど不要な自明のことなのかもしれない。宝島もその気があるが、北に幻影を見ているのは日本人だけという意味では、「日本は孤立している」と言えるのかもしれない。
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■ 北朝鮮へのエクソダス 
2008年03月20日 (木) 01:33 * 編集 *
北朝鮮へのエクソダス―「帰国事業」の影をたどる北朝鮮へのエクソダス―「帰国事業」の影をたどる
(2007/05/08)
テッサ・モーリス・スズキ

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岩波系の日本研究者として知られている著者だが、朝日から出したのは何か「配慮」が働いたのだろうか。帯にある「驚愕の新事実!!」が何を指しているのか分からないのだが、それが「帰国事業」の責任の全てを日本政府に帰すことであるとしたら、正直言って違和感がある。正にそこには「批判的想像力」を働かせなくてはならないとも思う。それで北朝鮮政府や総連を免罪する訳にはいかないし、当時の日本政府や日赤が「帰国事業」に熱心に取り組んだから、拉致や制裁についてものを言う資格はないと言わんばかりの言説は悲劇の連鎖を断ち切るといった好意的な見方はできず、むしろある種の政治的意図を帯びたものにも感じる。「帰国事業」も過去の問題ではなく、現在の問題とどう繋がっているかを考えるべきだろう。その意味では、当時と変らぬ体質を維持している北朝鮮、総連には著者が批判してやまない「日本の歴史認識」と同質の構図以上のものがあるのではなかろうか。日本人向けに学術論文臭さを消した本を英語で書くということが、何を意味するのか、そこに啓蒙的な意図があるとは断言できないが、「帰国事業」あっての「帰国運動」であったとしても、「帰国運動」あっての「帰国事業」であっても、悲劇の本質は変らないだろう。寺尾五郎が批判された様に、日本人が「帰国事業」に手を貸したことはキューポラの映画を観ただけでも分かることだが、特に岩波や朝日が運動に熱心だったことは「時代の精神」で済ましてしまうのだろうか。悲劇の本質が「帰国したこと」にあるのか、「帰国した先」にあるのかを熟慮しなければならない。前者と後者の責任がより重いのか、その悲劇が現在進行形なのはどちらなのか、「デモクラシー」も「自由」もない国とはどこのことなのか。現実を見据えて「批判的想像力」を働かすべきであろう。
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■ 北朝鮮はなぜ潰れないのか 
2008年03月11日 (火) 22:39 * 編集 *
北朝鮮はなぜ潰れないのか (ベスト新書 157)北朝鮮はなぜ潰れないのか (ベスト新書 157)
重村 智計

ベストセラーズ 2007-07-19
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さすがに一時に比べてテレビでお目にかかる回数は減ったのだが、本は定期的出してくる。鍵は「石油」にアリというのは。もう何年も言い続けているコトなのだけど、この自信満々ぶりは一体なんだろう。拉致被害者がテレに出ている北朝鮮評論家は一人を除いて皆、信用できないと言っていたとか、嬉しそうに書いているけど、ホントにその一人が重やんのことなのだろうか。終章はもうほとんど、自分だけが知っている、自分だけが正しいという「俺様世界」なのだけど、この辺は韓国を愛するあまりに、メンタルが韓国人化してしまったのではないかという気もする。てなことを書くとそれが日本人の「韓国人蔑視」だなんて言われそうだが、「無限実行」とか、「以心伝心」が日本人の悪い癖で、それが対北交渉の失敗の原因としているなら、著者だけに情報が集まるのも「韓国式」だからだ思わざるおえない。もっとも、他の報道は全部ダメで、KKベストセラーズの本を信用しろというのはイマイチ説得力に欠けるのは事実なのだが。今回のヒットは、金正日はもう死んでいて、実は影武者がずっと演じているとか、将軍様は80年代に何回も日本に遊びに来ていて、だから正男にキツイこと言えなかったといった情報なのだけど、これは講談社現代新書では書けなかったのかな。とはいえ、『韓国から通信』批判とか、拉致被害者関連は相変わらず筋が通っててイイね。「某大手出版社」とか抑えていたのに、最後に方に怒りが収まらなくなったのか、岩波とか朝日とか名指しになってしまったりもしている。「北朝鮮バッシング」を非難している人たちは、かつて「韓国バッシング」をしていた人たちだというのは至言だけど、その根元に「朝鮮人蔑視」があるというのも頷ける。実のところ、民団の人たちより、総連の人たちの方が「北の同胞」に対する侮蔑感は強いんではないか。いずれにしても、真剣に同胞を思いやっているとはとても思えん。総連には、だいぶイジメられた様だけど、そろそろKCIAとの関係も書いてくれないかな。
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■ 万歳!将軍様 
2008年02月27日 (水) 21:34 * 編集 *
万歳!将軍様―北朝鮮ジョーク集万歳!将軍様―北朝鮮ジョーク集
(2007/04)
キム ジョーダン

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そろそろ出るなと思ってたら、やっぱり出てた「北朝鮮ジョーク集」。そんでもって編者は「キム・ジョーダン」韓国系イギリス人だって。どうせ、そんな人間の存在自体がジョーダンなんだろうけど、これだけ「自虐系」のネタばかりだと、とうてい「韓国系」の編者が作ったとは思えない。もっとも、これは北朝鮮人から収集したものということになっているのだが、北朝鮮の住民にそんな余裕も、そんな自虐もないことは周知の通り。あるとしたら、アネクドート黄金期のソ連留学経験者とか、外国生活を知る幹部連中だろうが、キューポラの時代に帰国した在日の人はこんなセンスはなかろう。もっとも、元ネタがバレバレのものが多いし、金日成の悪口を言ったら、「国家機密漏洩罪」なんていうのは古典中の古典ではないか。「日本の戦前ジョーク集」とかも売れているらしいが、さすがに完全デッチアゲは出来ないから天皇ジョークはないだろう(読んではいないけど)。北朝鮮の人がそのオヤジを崇めても、金正日を崇拝していていないことは間違いないが、ジョークの対象になるにはそれなりに親しみがないと難しい。将軍様など、侮蔑するか、必要なければ無視するかのどっちかではなかろうか。まあ、本自体がジョーダンなんだから、そんなことはどうでも良いのだが、こういう欧米風の「どうだ面白いだろう」的な無理矢理ジョークは、「癒し」をジョークなどに求めない「アジア人」には合わないな。やっぱり、文化とかセンスとかクソ食らえの「ギャグ」の方がメンタル的に合うような気もする。やっぱり「世界の日本人ジョーク集」とかが売れているのも、日本人の「自虐」とか、「欧米崇拝」も関係あるのかしらん。
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■ 将軍様の鉄道 
2008年02月16日 (土) 20:43 * 編集 *
将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情将軍様の鉄道 北朝鮮鉄道事情
(2007/01/17)
国分 隼人

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DVD付きの北朝鮮鉄道本。でもウチの図書館ではDVDは貸出不可。クヤシー!ということで本体だけ頂いたのだが、鉄オタ向けなのか、北朝鮮マニア向けなのかよう分からん。そもそもテツと北フェチは同じ人種の様で似て非なるものなのかもしれない。しかし、北朝鮮が最後の社会主義国秘境と呼ばれて久しいが、北は最後の鉄道秘境国でもあったこと感じさせられた。そもそも「秘境」に鉄道は走らないものだから、鉄道国が秘境国になることもないので、テツの人からみれば、鉄道網というものが存在しながら、観光に制限があり自由に乗車できない国というのが鉄道秘境と言うべきものなのだろう。そもそも「秘境鉄道」をウリにする様な国とは次元が違うのである。リピーターが大半を占めるという北朝鮮ツアーマニアの少なからずの人たちは北朝鮮グッズ収集を目的としているらしいが、その中に北鉄道マニアがいたとしてもその目的を達成するのは困難である。私も北訪問記の類はかなり目を通している方だと思うが、外国人が自由に切符を買って自由に乗車するということに成功した例はまだ知らない。一人切符を買うところまで成功した人(宮塚先生だったかな?)がいたが、普通は駅構内まで潜りこめれば大成功、大半はホテルの外に一歩出たところで捕まるという体たらくである。この著者は北朝鮮の時刻表(レインボー通商で売っているのかもしれない)をベースに鮮鉄、満鉄の時刻表、韓国で出された北鉄道本を駆使してこの本を完成したらしいが、北京から平壌までの乗車経験はあるらしい。その辺は軽く触れられているだけで、自身の北朝鮮滞在記がほとんどないのも、テツとして納得がいかないものだったからかもしれない。その意地で完成させた本だとすれば、鉄ちゃんの底力というものを存分に見せ付けられたとも言える。
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