![]() | コロニアリズムの超克―韓国近代文化における脱植民地化への道程 (2007/10) 鄭 百秀 商品詳細を見る |
このタイトルは別に姜尚中にあやかろうとした訳ではないんだろうが、姜とは大違いの硬質な本だった。著者は在日ではなく韓国出身の様で、これが日本語では初の著書になるみたい。博論ではなく、既出の論文をまとめたものらしいが、金史良を中心とした植民地朝鮮日本語文学の終戦前後の葛藤を論ずる。前に読んだ台湾日本語文学の同じテーマの本は「大日本帝国のクレオール」だったのだが、タイトル(台湾の方は、英語原書なので日本語タイトル)からして、韓国と台湾では日本語コロニアル文学の受け止められ方がかなり違うことが窺える。金史良のテキストは読んでいないので、よく分からないのだが、大陸で抗日戦線に参じたことにより、「親日」のみそぎを済ませたという評価が韓国ではあるのだろうか。芥川賞の次点となったのも、その出自が影響したのではなく、候補になったこと自体が朝鮮出身作家ということが関係している様だ。当時の状況は今の中国の「中華民族」政策と類似したものがあろう。金は越北後に金日成賛美の作風を残しているらしい。光復後に林和ら植民地作家たちと座談会を開き、日本語の創作活動について「総括」したとのこと。台湾と違って、朝鮮語へのスイッチがスムーズだったことは、「日帝がハングルを禁止した」という言説だけではなく、作家と読者の教育言語も再検討する必要がありそうだ。著者は李御寧を「自民族中心主義」と捉えている様だが、韓国出身のニューカマー研究者が、日本で朝鮮人作家による「コロニアリズム文学」に出会うことは新鮮なことなのかもしれない。















