2015年03月16日Mon [01:40] ベネズエラ  

カミーラと呼ばれた230日

カミーラと呼ばれた230日-ベネズエラで誘拐されて生還した私と、その間の息子達の行動の記録カミーラと呼ばれた230日-ベネズエラで誘拐されて生還した私と、その間の息子達の行動の記録
雨宮 洋子 雨宮 正明 吉岡 正和

東京図書出版 2015-02-12
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2003年にベネズエラで起きた日本人夫婦誘拐事件で生還した妻と解放交渉にあたった息子の手記。夫は殺害されてしまったらしい。息子の手記は原文スペイン語を翻訳したものとのこと。まとめたのは日本在住の妻の兄とのことだが、今になって出版するのは最近の事件との関連もあったか。もっとも、夫が殺されたのを知らずに230日も人質となっていた妻がようやく心の安寧を取り戻したということもあった様だ。夫婦がベネズエラに移住した経緯は分からんが、コロンビア国境のサンクリストバルで商店を営んでいたとのことで、資産家ではなく、実際の身代金支払いが幾らだったのかは不明である。日本大使館は一切身代金は払わない方針であることはこの誘拐多発地域でも徹底されていた様だ。

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2014年06月30日Mon [00:31] ベネズエラ  

ウーゴ・チャべス

ウーゴ・チャベス――ベネズエラ革命の内幕ウーゴ・チャベス――ベネズエラ革命の内幕
ローリー・キャロル 伊高 浩昭

岩波書店 2014-04-25
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その死を待って出したのかどうか分からんが、「ガーディアン」のアイルランド人記者による内幕もの。チャべスの評伝や社会ものは高文研や新日本出版から提灯ものが出ているのだが、岩波は今の時代さすがにそこまで品位は落とせないか。チャべスの遺産で食いつないでいる状態の今の政権が「チャべス批判」を出す可能性は低いのだが、カストロの義理も無くなった以上、いつまでテヘランとか北京の意向を汲むこともなかろう。ただ、ブラジルなどを見ても、バラマキを行った左派政権が経済情勢の変化に追いつくことが出来ず、本来の支持層である。中間、貧困層から突き上げを食うなんていう事態になっているから、急激なベクトルの変更は諸刃の剣になるか。チャべスはある意味古典的な独裁者タイプだったのだろうが、全体主義の信奉者ではなかったし、単なる家父長型の統治者であったのだろう。

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世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ: エル・システマの奇跡世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ: エル・システマの奇跡
トリシア タンストール Tricia Tunstall

東洋経済新報社 2013-08-30
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今や世界ブランドのエル・システマにこのタイトルは当てはまらないと思うが、原題はChanging Livesと至ってシンプルなもの。『ここに泉あり』みたいにオーケストラ自体が貧しいのではなく、貧しい家庭の子どもにもレッスンを施していることであって、財団自体の資金は潤沢になっているんじゃないかな。チャべスが死んで、アメリカから直接寄付がやり易くなったのかどうか分からんが、最近はヒスパニック系人口の増大で、アメリカから文化が輸出されるよりも、ラテン・アメリカの文化がアメリカに輸入されるというケースが多くなってきた。ラテン・アメリカ的貧困も今やアメリカの社会問題となっているのだが、それはエル・システマを受容する条件が整っているということにもなる。アメリカの貧困層に対してキューバが医者になる道を開き、ベネズエラが音楽家になる道を開くというのも何だか皮肉な話ではある。

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2009年05月11日Mon [12:59] ベネズエラ | 本・雑誌 |読書メモ  

エル・システマ

エル・システマ―音楽で貧困を救う南米ベネズエラの社会政策エル・システマ―音楽で貧困を救う南米ベネズエラの社会政策
山田 真一

教育評論社 2008-12
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ベネズエラの新しい音楽教育の潮流から、その中から100年に1人の才能と言われるドゥダメルやベルリン・フィルの最年少メンバーなどが誕生しているということは、クラシック「オンチ」の私でも聞いている話なのだが、それがチャべスの反ネオりべ政策とどう関係あるのかを具体的に知れたのは良かった。音楽教育の改革についてはチャべス以前どころか70年代から始まっており、初期にはメキシコなどラテン・アメリカ諸国の著名な音楽家を招聘したり、スズキ・メソッドを導入してインディへナの子どもたちを指導したりなんてことがあったらしい。それもベネズエラの石油経済を背景としたプッシュ・プル要因が絡んだ現象かと思うが、貧困層に音楽教育を施す様になったのはチャべス以降である様だ。現にドゥダメルは貧困家庭出身ではなく、「100年に1人の才能」が見出された訳だが、それより一つ下の世代である、ベルリン・フィル最年少メンバーであるルイースは母親が家政婦をしていた母子家庭の出身で、こちらが成功例の代表とされる。ブラジルやコロンビアでは黒人が成功するにはサッカーと音楽しかないという風にも言われるのだが、ベネズエラの場合、サッカーは最近躍進しているものの、貧困層の成功モデルというのは限られたものであった。ドゥダメルもルイースも白人であるが、クラシック界に黒人が中々登場しないのは、アジア人の活躍が顕著であることを考えれば、教育費用と関係していることは否定できないだろう。ただ、ロックに黒人が少ないのと同様、クラシック音楽との相性も良くないのかもしれない。もっとも早期の音楽教育が別ジャンルでも応用が利くだろうから、貧困から這い上がる手段としての音楽という図式はサッカー・システムと同じである。そこに教育的を認めるのはやぶさかでないが、サッカー以上に生存競争が激しい状況では挫折後のケアというのが気になる。「新キューバ」であるチャべス政策について、日本では批判的な論調が見られることは少ないのだが、これも礼賛系である。補論のベネズエラの歴史とかは余計だし、アリスティードをジャマイカの元大統領とするなど、芸術系教員の限界を示しているのだが、再び格差社会となった日本で音楽教育が果たす役割について考えるヒントにはなると思う。

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反米大統領チャベス―評伝と政治思想 反米大統領チャベス―評伝と政治思想
本間 圭一 (2006/10)
高文研

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版元自体が「反米」を社是にしている様なところなので、「反米大統領」チャベスの評伝も出す。と思いきや、著者は読売のリオ支局(通常、中南米全域をカバー)だった人。ということで、出版社が期待するようなチャベス提灯本とはならなかったが、それでも、地球の裏側、米国の裏庭の南米で眈々と進む「逆コース」を代表する人物の人となりを伝えるには十分だろう。チャベスの手法自体は割合オーソドックスな南米型ポピュリスムを体現しており、「反米」も「資源ナショナリズム」も「貧しき者へのバラまき」も数多の例を踏襲したものである。反米の作用としてのキューバ接近もそうであろう。その意味ではブラジルのルーラ政権の様な「政経分離」的プラグマティックな政策とは異なる。それも「石油」という担保があるからであり、支配層として君臨し続けてきた経済界と一貫して対立してきたという背景もある。そこにチャベスの信念があるのか、或は限られた選択肢の一つとしてその道を選んだのかは分からぬが、やはり考えておかなくてはならないのは、クーデターに失敗して、囚われの身になった経験であろう。そのことによって政治的に「正当性」を得たということが言えるのだが、それが南米人にとって一つの雛形である「キューバ革命」の記憶を呼び起こしたことは疑い様がない。事実、それがきっかけでカストロと深い絆で結ばれる訳だが、正に「歴史は無罪を宣告するだろう」を地で演じてみせたのだ。後に「逆クーデター」で再び囚われの身となるのだが、死に体だった政権基盤を、それにより生き返らせることにも成功した。間近に迫った選挙では支持率が磐石な状態にあるらしい。ただ、この男に「歴史が無罪を宣告」するにはまだ早い。本家のカストロは執行猶予状態だが、チャベスは逆転有罪の可能性もまだまだある。


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2007年01月08日Mon [21:22] ベネズエラ | 本・雑誌 |読書ノウト  

太鼓歌に耳をかせ


博士論文ものだそうだが、これだけ対象に思い入れが強いものも珍しいだろう。何たって574ページもある大作なので、それだけで感心してしまうのだが、そのテーマがベネズエラのカリブの港町サンミジャンにおける文化運動となると、よほど関心がある人でないと、この長編を読み遂げるのに難儀するであろう。著者はソニーのベネズエラ駐在員から研究者に転じたという人で、それもこのサンミジャンとその文化運動のリーダーであるヘルマン・ビジャヌエバという人物に入れあげた結果というところの様だ。よって対象への批判性といった面に欠けているとも言えるのだが、こうした仕事はおいそれと誰でもできるものではないので大変貴重なものであることは間違いない。前に何かの研究書で、日本のラテンアメリカ研究者は600人というのを見て、驚いた記憶があるのだが、最近こそチャベスのお陰で脚光を浴びているものの、ベネズエラに関する論文自体、あまりお目にかかることがない。ましてやサンミジャンという町は私も聞いた事が無かったし、アフロ・ベネズエラ文化に関しては、600人の日本人ラテンアメリカ研究者が手をつけていないものだったのかもしれない。一般的に南米最強の東洋人差別があると言われているこの国は、研究者も旅行者も近寄り難い(ギニア高地を除く)イメージがあるのだが、ソニーという南米で神懸かり的ブランド力がある会社の駐在員なら、それなりに楽しく過ごせたのかもしれない。一方、主人公であるビジャヌエバと率いるサンミジャン民俗文化救済会が、商業主義とは一線を画す活動を継続してきたことは、著者の「転身」にも影響があったのだろう。巻末に50人ものインフォーマントの写真と略歴を載せている(なぜか一人は写真掲載拒否)のも、著者が対象に謝意を表すというより、敬意を表したといった感じがする(うち数人には自分にとって文化の師というキャプションが付けられている)。とはいえ、それがこの研究を支えた動機であり、屋台骨になっているのであれば、オリエンタリズムや、文化的高みに立った学者さんの研究より遥かにマシであることもまた然りなのである。

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2005年05月18日Wed [22:11] ベネズエラ  

カリブの風にのって

カリブの風にのって―ベネズエラで暮らす
矢木 信男
葦書房 (2002/03)
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よくある日本人学校教師滞在記。南米一の産油国として繁栄を誇ったのも今は昔。駐在日本人連中はどんどん撤退中。葦書房の出版というのは渋いが。

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