2015年11月04日Wed [00:07] アルジェリア  

アルジェリア人質事件の深層

アルジェリア人質事件の深層: 暴力の連鎖に抗する「否テロ」の思想のためにアルジェリア人質事件の深層: 暴力の連鎖に抗する「否テロ」の思想のために
桃井 治郎

新評論 2015-10-09
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著者はアルジェリアの現調だった人らしい。早い時期に草稿は出来ていたらしいが、出版が決まったのはやはり一連の「イスラム国本」商戦が始まったからか。安倍が声を荒げてセラル首相に強攻策を採らず、米英の支援を受ける様に迫ったというのはキャメロンからそう言われたからの様だが、英国が頼んでも聞かないものを日本が言ってどうなるものではない。その後にアルジェリアで大きなテロが起きていないということをどうとらえるかは議論があるところだろうが、仮に米英の特殊部隊が投入されたとしても犠牲者は必ず出ただろうし、外国の部隊を入れたということでテロリスト側だけではなく、アルジェリアの国民の側の政府に対する信用は決定的に悪くなるだろう。例えどんな理由があっても暴力に走ることは許されないという原則は普遍ではなく、テロリストを国家が英雄化している国もある訳だから、現状では権力に抗する暴力は手段として許容されているということは言えるのだろう。

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2015年10月28日Wed [00:03] アルジェリア  

アルジェリアの闘うフェミニスト 

アルジェリア 書影-196x300アルジェリアの闘うフェミニスト
ハーリダ メサウーディ エリザベート シェムラ Khalida Messaoudi

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1995年というから原書は20年前。「アラブの春」とは関係なく、FLN政権時代にFISから殺害指令を出されていた人らしい。本人はFLN政権後の野党である世俗政党で国会議員を務め、去年まで文化大臣だった様だ。アメリカに亡命したこともあり、アルジェリアの女性人権活動家とし有名な人とのこと。イスラム国とかアルカイダ系の台頭でアルジェリアで、再び身の危険が迫っているのかもしれんが、基本ナショナリストで、ベルベル人ということもあり、汎イスラーム、汎アラブとは相容れないフェミニストだから、欧米受けは良いかもしれん。フランス語やアラビア語アルジェリア方言が逆に武器になっている点は興味深い。

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2015年06月23日Tue [10:29] アルジェリア  

三重スパイ

三重スパイ イスラム過激派を監視した男三重スパイ イスラム過激派を監視した男
小倉 孝保

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著者は毎日記者だが、取材相手には金を払わないというポリシーだが、社規があるらしい。それがどうして、この主人公が洗いざらし取材に応じたのか分からんが、とにもくにもこのアルジェリア人はメディアに売り込むことで生活の種も安全も得ているということは分かる。虚栄心や自尊心といったものもその中に入るだろう。つまりはこの手の話を額面通り受け止めて良いのkという問題は残るのだが、これも「ノンフィクション・エンターテイメント」の一類か。 その意味では話が売れる時期に売っておくということでもあるが、大使館や警察に出向いて私をスパイにしてくださいと名乗り出る人間をこの「業界」が採用することがあると分かっただけでも収穫だ。まあ実のところ、事実は小説より単純なんだろうな。

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2013年01月14日Mon [01:01] アルジェリア | 本・雑誌 |読書メモ  

アルジェの檻

アルジェの檻アルジェの檻
西野 雅徳

風詠社 2012-06
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こんな事件があったとは知らんかった。著者の略歴は無いし、登場人物も仮名らしいが、「山陽」は実在する「山陽」かな。著者は既に退職していて、主要な登場人物も多くが亡くなっているから、自費で書き残しておくということになったらしい。その後もインドネシアとか中国で日本企業が政府高官に賄賂を渡して捕まるなんて事件が相次いだということもあったのだろうが、教訓を残すというより、色々と書きたいもやもやがあったと見える。自費だから国士的な思想を盛り込むのは構わんとも思うが、アルジェリア側の問題よりも捕まった日本側の部長のトラブルメーカーぶりの方が印象に残る様になっている。日本大使館は課長だった著者クラスとの折衝を拒否したとかで、この当時(今もそうかもしれんが)の大使館を頂点とする海外日本人ムラ社会が現地の慣習よろしく身分社会を形成していたことは記憶に覚えがある。サダム・フセインのクウェート侵攻はクウェートが執拗に借金返済を迫ったから起きたものとしているのだが、そうなのか。結果借金がどうなったのか分からんが、長期的にみれば戦争被害を補ってもまだ余りうる利益をクウェートが得たことは確かだろう。

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2012年04月07日Sat [01:33] アルジェリア | 本・雑誌 |読書メモ  

アルジェリア戦争

アルジェリア戦争 ─ フランスの植民地支配と民族の解放 (文庫クセジュ966)アルジェリア戦争 ─ フランスの植民地支配と民族の解放 (文庫クセジュ966)
ギー ペルヴィエ 渡邊 祥子

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文庫クセジュだが、珍しく訳者あとがきとは別、第三者による解説が付いていて、元々自分で訳すつもりだったという私市正年が書いている。何でも40年前に書いた卒論がアルジェリア戦争だったそうで、その頃は日本語では数冊しか関連書物が無かったという。それは現在でもあまり変わらん気もするのだが、村松剛の従軍記なんて逆に今では読むのが難しくなってるんじゃないのか。「アルジェの戦い」とかはかなりヒットしたと聞いているし、当時全盛だった左翼御用達映画な訳だから、アルジェリアに関しては現在より認知度が高かったと思う。今年は記念すべき独立50周年ということで、現地ではそれなりに盛り上がっているかと思うが、非同盟パワーなど忘却の彼方で、「アラブの春」でも蚊帳の外だったアルジェリアの現在の認知度は未だ引退したジダンとセットになっている程度。著者はこの方面の大御所らしいが、やはりフランス人である以上、「歴史認識」の壁というものがあるらし様だ。それも日本みたいに「進歩派」対「保守」とかウヨ対サヨみたいな二項対立なら分かりやすいのだが、国内にコロンだのハルキだのピエノワールだのFLNムジャヒディーンだの色んな圧力組織を抱え、右翼も左翼も一枚岩でなければ、在仏アルジェリア人の反体制派などもあるから、「謝罪」も「歴史清算」も曖昧にしておけているといったところか。

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2011年10月26日Wed [01:14] アルジェリア | 本・雑誌 |読書メモ  

美しきアルジェリア

美しきアルジェリア 7つの世界遺産を巡る旅 (地球の歩き方GEM STONE)美しきアルジェリア 7つの世界遺産を巡る旅 (地球の歩き方GEM STONE)
地球の歩き方編集室

ダイヤモンド・ビッグ社 2011-10-01
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アルジェリアはアフリカ一の大国というのは本当で、面積はアフリカ第一位(日本の6.3倍)人口も3489万というから堂々の大国である。石油も出る。しかし相変わらず古い人間には「アルジェの戦い」、最近はジダンのイメージしかないのはどういうこっちゃ、アルジェリア本も知るためのに次いでようやく2冊目である。しかし歩き方Gemか。独裁政党が選挙を認めて実行したところ、政権陥落が確実になったので、急遽、軍部がクーデターを起こし独裁が続くなんてビルマみたいなことをした国なのに、お隣で始まり、もう一つのお隣が血生臭い結果に終わった「アラブの春」にもなぜか目立った呼応もなかったか。遠く離れたビルマはビビって「民主化」を始めたというのに。まあそんなこんなで旅行はOKということなのだろうが、ビザは相変わらず居住地での取得のみか。フランスとかモロッコで取れる様にしたら、もうちょっと観光客も来ると思うのだが、少なくともこのグラビアを見る限り、「美しいアルジェリア」って大げさでもなかった。タイアップはカタール航空。

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2009年06月06日Sat [14:10] アルジェリア | 本・雑誌 |感想  

アルジェリアを知るための62章

アルジェリアを知るための62章 (エリア・スタディーズ)アルジェリアを知るための62章 (エリア・スタディーズ)
私市 正年

明石書店 2009-05
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マグレブの大国アルジェリアの本が遂に登場だけど、やはり「知るための」か。チュニジアが出ればマグレブ揃い組みだけど、エジプトはなぜまだ出ないのか。日本でアルジェリア本があまり出なかったのは、行くのにビザが面倒、危険だった、在日アルジェリア人も少ないといいたところに理由が求められると思うが、この本の中でも私市正年が、20年前に学生が提出した卒論をみて仰天したというエピソードが載っている。それは55年から85年までの朝日新聞における中東報道の変化を分析したもので、驚いたのは60年代はアルジェリアに関する記事がトップであったということだそうだ。この世代の人間でない私でも「アルジェの戦い」が、「イージーライダー」とか「卒業」と並ぶ時代を象徴する映画と称されていることを了解しているのだが、当時のアルジェリアは後のベトナムや現在のパレスチナ同様に、「市民」レベルで「連帯」する対象であったことがよく分かる。独立後は失政という訳でもないのだろうが、社会主義化もイスラム化も中途半端で経済が破綻し、テロの温床、反政府運動弾圧といったお決まりのパターンを踏襲したが為に、遠い極東の「市民」はあれだけ熱をあげたアルジェリアのことをすっかり忘れてしまった。ベン・ベラなどはホーチミンとかゲバラと並び称されるヒーローだったのだが、まだ生きていることに驚く人も多いのではなかろうか。そんな日本とアルジェリアの関係は天然ガス関係で活発だった時期もあって、卒業生が語る日本人学校の記憶などは興味深い。ジダンを単なる「アルジェリア系」とだけ認識している人にも有用な情報が書いてある。カップヌードルのコマーシャルに出ていたジダンがイスラム教徒なのか、アラビア語を喋れるのかといった疑問自体がナンセンスなものなのであろう。「アルジェの戦い」でもアルジェリア人たちがイタリア語で喋るのを奇異に感じたのが、あれはフランス語にしてもアラビア語にしてもそれぞれ問題があったのかもしれない。イタリア語が中立的な言語であるかはどうかは別にして、独立後「正式アラビア語」を国の言語としたアルジェリアは言語の断絶という意味で台湾の戦後と似た様な問題を抱えたことが窺える。再び戦争でも起きない限り、アルジェリア本が爆発的に増える可能性も低いので、貴重な書物として所蔵しておきたい。

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