2016年01月20日Wed [01:39] ハイチ  

黒いナポレオン 

黒いナポレオン: ハイチ独立の英雄 トゥサン・ルヴェルチュールの生涯黒いナポレオン: ハイチ独立の英雄 トゥサン・ルヴェルチュールの生涯
ジャン=ルイ ドナディウー Jean‐Louis Donnadieu

えにし書房 2015-10-27
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トゥサン・ルヴェルチュールの評伝が日本で出るのは初めてなのかどうか分からんが、日本では「ほとんど知られていない」ということになっている様だ。世界初の黒人独立国家というのもあくまで植民地史観の枠内でという留保がつくかもしれんが、その独立革命の英雄であるから、世界の黒人運動史とか、革命史でも傑出した人物として祭り上げられて然るべきだが、必ずしもそうではない。ハイチの他に父の出生の地であるベナンでは英雄だそうだが、フランスを含めて他国ではそれほど知られている訳ではないらしい。奴隷制度の時代というのもさることながら、生年月日を含めて経歴に謎が多いのは致し方ないだろう。ハイチ革命はフランス革命の副産物でもあろうが、その後の歴史で繰り返されることとなる革命国家、独立解放国家の破綻の嚆矢であったこともたしかである。

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2014年04月17日Thu [03:24] ハイチ | 本・雑誌 |読書メモ  

復興するハイチ

復興するハイチ ―― 震災から、そして貧困から 医師たちの闘いの記録2010―11復興するハイチ ―― 震災から、そして貧困から 医師たちの闘いの記録2010―11
ポール・ファーマー 岩田 健太郎

みすず書房 2014-03-08
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3.11以降、もはやその1年前に東日本大震災の10倍以上の死者を出した地震がカリブで起きていたこと想起する人は多くはないだろうが、一人単位まで正確な死者行方不明者を割り出している日本に対して、ハイチのそれは数字に10万人近くも「誤差」が生じている。そこに「遺体」の不平等を見ても復興は始まらないのだが、医師であり、著名なNGO活動家である著者が記す震災後のハイチの現状は復興の予感すら感じられない。今の東北経済を牽引している様な復興資金も復興事業もハイチには現実的ではなく、震災前から存在しなかった雇用が創出されることもない。著者がもう一つの活動拠点としているルワンダと比べてもその差が歴然としており、富裕層や海外在住者など投資の担い手となるハイチ人にとっても祖国は絶望の国である様だ。そんな国に進んで進出する外国企業も無かろうが、島を分け合っているドミニカ共和国をはじめ。周辺国との比較優位を何処に見出せよう。

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2013年11月27日Wed [23:23] ハイチ | 本・雑誌 |読書メモ  

地震以前の私たち、地震以後の私たち

地震以前の私たち、地震以後の私たち――それぞれの記憶よ、語れ地震以前の私たち、地震以後の私たち――それぞれの記憶よ、語れ
エドウィージ・ダンティカ 佐川 愛子

作品社 2013-08-27
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著者はハイチ出身の英語作家だが、別に地震が主題ではない。訳者があとがきで「危険を冒して創作せよ」という原題がなぜこの様な邦題になったのか弁明しているのだが、まあつまるところ版元が決めたことであろう。しいて言えば主題は移民芸術家のジレンマといったところで、危険を冒す創作とは、祖国の暗部を描くことであり、読み手が期待するオリエンタリズムに抗うことである。祖国の特殊性を売りにしながら、祖国の普遍性も主張しなくてはならないという作業は愛国者からも博愛主義者からも批判を受けるものになるのだが、祖国と居住国の距離を描いて、その遠さを近しきものと感じさせることが重要となるのだろう。つまりハイチの中にアメリカを発見させれば良いのだが、ハイチの地震とハリケーン・カトリーナの後で起こったことに距離を置くことを批判している。翻って、東日本大震災とハイチ大地震だと日本の特異性ばかりが強調されることになるだろう。それに異を唱える様な移民芸術が日本にないこともないのだろうが、それを普遍化することは難しい。

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東日本大震災に遭って知った、日本人に生まれて良かった (講談社プラスアルファ新書)東日本大震災に遭って知った、日本人に生まれて良かった (講談社プラスアルファ新書)
吉岡 逸夫

講談社 2012-02-21
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この著者も東京新聞では完全に異質な人なのだけど、左遷から編集委員に昇格できたのか。前著のイルカ本が評判になったこともあるのだろうが、これも直球なタイトル。内容は日本とハイチ半々くらいなのだが、しかし、幾らなんでもこのカバーといいハイチ人に失礼ではないかな。たしかにハイチ人もそれは認めるところかとは思うのだが、被災者であることには変わりはないんだし、第三者が言うならともかく、それを日本人が言ってはオシマイという気がしないでもない。ただ、日本でも復興支援金が問題になっているし、フクシマの件もあるのだが、被災者の声が政府に対する圧力として機能するというところはこれから普遍的に参考にされるべきであろう。日本の首相がコロコロ変わるのは国民のレベルが高いので、政府が甘えることができるからというのには同意。どうも、そのことが日本の汚点とする言説が蔓延っているのだが、強い指導力を持つリーダーを置くことを忌避しているのは国民の選択だし、国民不在で仁義なき政治抗争に明け暮れる「大国」など見ると、よほど日本人に生まれて良かったと思うのだが。

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2012年01月31日Tue [00:14] ハイチ | 本・雑誌 |読書メモ  

ハイチ震災日記

ハイチ震災日記 〔私のまわりのすべてが揺れる〕ハイチ震災日記 〔私のまわりのすべてが揺れる〕
ダニー・ラフェリエール 立花 英裕

藤原書店 2011-09-21
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ここぞとばかりに溢れている震災ものとか放射能ものはどうも読む気にはならんのだが、ハイチなら読む。これも震災特需で翻訳されたものには違いないんだろうが、原書もフランスで出たのが2011年らしい。向こうにも特需が生じたのかもしれんが、この著者はハイチ出身でケベック在住の作家だそうで、「吾輩は日本作家である」などという著書もあるらしい。とはいえ、日系ハイチ人とかではなく、芭蕉に傾倒した人の様で、何でもハイチの日本に対する親密度は高く、他のハイチ人作家にも東京を舞台にした作品があるのだという。これは全く知らんことだったのだが、同じ島国で地震国ではあるから、まあ共通点が無い訳ではない。ハイチ人は地震以前に経済問題とか独裁政治とかまあ色々あって、在外人口が相当な割合になり、著者もそのうちの一人なのだが、日頃ディアスポラと後ろ指差される人間が、地震の時にたまたまた居合わせたことで高貴な人間に祭りあげられるなんてことを書いている。著者自身がそうだった訳だが、本当はその場にいなかったのに自分はいたと言い張る人間がいるそうな。そうしたことに違和感があるのか、その作風からしてそうなのか分からんが、およそ目撃した悲惨な現状とかそういうものはあまりなく、淡々と若い頃の思い出と地震後の日常を記している。

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2010年11月19日Fri [16:03] ハイチ | 本・雑誌 |読書メモ  

ハイチ 復興への祈り

ハイチ 復興への祈り――80歳の国際支援 (岩波ブックレット)ハイチ 復興への祈り――80歳の国際支援 (岩波ブックレット)
須藤 昭子

岩波書店 2010-10-07
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これも岩波ブックレット。今回の地震で図らずも名前が全国区になってしまった須藤昭子シスター。評伝の類は別に出ているのかも知れんが、アフガニスタンの中村哲の時と同様、岩波はとりあえずブックレットか。聞き書きには違わないのだろうけど、忙しい中、新書分の容量でも話すのは難しいから、このくらいが良いのかもしれない。何せ著者は1927年生まれというから83歳か。日本でも僻地は医師のなり手がいないので、80を過ぎた老医師が介護されながら診療しているなんてケースが多々あるみたいだが、さすがに後期高齢者にハイチは酷だろう。耐性菌どころかコレラが蔓延ともなると、医師として予防の徹底はしているだろうが、このトシだと危険過ぎないか。医師である前に宗教者であるみたいから、運命は神に預けてあるのだろうけど、後継者はおらんのかね。しかし、地震にしてもハリケーンにしてもドミ共側ではなくハイチ側ばかり直撃するのはなぜだ。

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2008年11月29日Sat [02:21] ハイチ | 本・雑誌 |読書メモ  

ハイチの栄光と苦難

ハイチの栄光と苦難―世界初の黒人共和国の行方 (世界史の鏡 地域)ハイチの栄光と苦難―世界初の黒人共和国の行方 (世界史の鏡 地域)
浜 忠雄

刀水書房 2007-12
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刀水書房は歴史フェチには渋いラインアップを揃えているのだが、樺山紘一を編者に、「世界史の鏡」というシリーズを始めた様だ。全101冊で、もう一期51冊のタイトルが発表されているのだが、一体全冊揃うのはいつになることやら。これはAの6という符号なのだが、先陣を切っての発行みたい。ハイチが一発目というのもまた渋い。著者の浜さんは、前に2冊のハイチ本を出しているハイチ研究の第一人者だけど、第二人者はいるのかな。他に私が読んだのは、ジャーナリストもんと、滞在もんか。それで、前に出した本をベースにした入門編となっている。それは必然的にそうなったのか、このシリーズの趣向でそうなったのかは分からないが、なんでも勤務する大学の学生に「カリブ」と「ハイチ」について知ってることのアンケートをとったところ、惨憺たる結果になったらしい。しかし、カリブについて知ってることを書いてもらったら、4つが最高で1人。セロも全体の10%くらいの11人って。一位が「海賊」の80名というのも何だか。ハイチについては3つが1人、ゼロが70人かよ。平均0.4で、「黒人」と書いたのが4人。しかし、「トゥサン・ルベルチュール」と書いた神もいるから侮れない。「小さい国」なんてのもあったらしいけど。私なら「トントン・マクート」。これは南米人がハイチで連想するもの。先生は、このように、知識が大変乏しく、カリブに旅行したことある学生はおそらく皆無でしょうとか言ってるけど、北海道の大学はそうなのかな。カンクンとかキューバには結構、学生さんが来てたけど、「トゥサン・ルベルチュール」を知ってるコが1人でもいれば、全員合格で良いんじゃないかな。高校の世界史にでも出てくるんだろうか。とか何とか言ってる先生も、ハイチとの出会いは大学院に入ってからだそうで、フランス革命からハイチ独立戦争に流れたらしい。という訳で、世界初の黒人共和国の誕生史を中心に、学生さんに優しくレクチャーという感じなのだが、風土的には同質のマルティ二クとかグゥアドループがEUで、ハイチが世界一、二を争う最貧国というのは、どうにも世の中の不公平を現している現実である。残念ながら、プエルトリコのアメリカとか、オランダ領アンティルみたいに、「宗主国」から独立しない方が経済的には幸福であるのは事実であろう。もっとも、左半分のドミ共にまで大差をつけられているのだがら、やはりフランスならずとも、それはアンタらの失政が原因じゃないのとは思ってしまう。その辺と関係しているらしいアリスティド失脚は、フランスとアメリカが仕組んだものという可能性を著者は匂わせている。たしかに、このケースは日本にとって他人事ではない。さすがに、金正日を失脚させて、アフリカに亡命させるなんて芸当は出来ないが。

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2008年08月11日Mon [12:22] ハイチ | 映画 |DVD  

ミラクルバナナ

映画
ミラクルバナナミラクルバナナ
小山田サユリ 山本耕史 緒方拳 アドゴニー 長谷川初範, 錦織良成

BMG JAPAN Inc.(BMG)(D) 2007-08-08
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緒形拳をハイチまで連れてったのか。設定が強引過ぎるが、ガキ映画ではこんなもんだろう。しかし、もっとうまく脚色できなかったもんかねえ。

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2008年04月28日Mon [01:26] ハイチ | 本・雑誌 |読書メモ  

ハイチ いのちとの闘い 

ハイチいのちとの闘い―日本人医師の300日ハイチいのちとの闘い―日本人医師の300日
(2008/01)
山本 太郎

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日本人医師のハイチ滞在記で、産経新聞夕刊(大阪はまだ夕刊が出てるのかな)に連載していたヤツらしい。だから、という訳ではないのだが、命の大切さを説教したり、途上国の貧困問題を涙ながらに訴える一方、先進国のボランティア(つまりテメーのこと)を賛美したりといった調の陳腐なものではなかった。第一、この著者は確かに医師なのだけど、別に向こうへ人助けの医療行為をしにいった訳ではなく、「カポジ肉腫・日和見感染症」という現地の研究所に出向していたらしい。ハイチがエイズ発祥の地と疑われていることは初めて知ったが、アフリカが起源とされている成人T細胞白血病という病気を引き起こすウィルスは、ハイチと何故か日本の九州、沖縄、北海道地区が感染地域になっているらしい。それを以って日本人の祖先はアフリカにあるという仮説も立てられているそうだ。まあ徐福よりはマシかも知らんが、アフリカが起源というと白人と一緒なのはイヤ(黒人ならイイ)。黒人もまさか自分たちが日本人の祖先だとは考えないと思うのだが、著者が親しくなったハイチ人の同僚に、日本について知ってることアル?と聞いたところ、かなり意外な答えが返ってきたことも書いている。これは特殊なケースなのだろうが、アフリカ起源説といい、この日本人少女の話といい確かに意外な答えだ。どっちも島国だし、ハイチという国は意外と日本に近いのかもしれない。そんなことが関係しているのか、最悪の治安、観光資源ゼロ(と言われている)、ボストン並みの物価という、ハイチ人すら大多数が国外脱出せんとしている国で、身重の妻を呼び寄せたり、著者はそれなりに生活を満喫していた様だ。結局、例のアリスティッド亡命の騒乱で、ハイチを去ることになるのだが、日本大使がドミ共に逃げても、航空便が再開されるまで、「ノルウェイの森」の英訳本や、さだまさしの「風に立つライオン」などを鑑賞しながら、じっと自宅待機していたそうだ。最後の機内で女の子にキャンディーを貰う話は出来すぎなのだが、ラストシーンのシナリオ的には悪くない。しかし、これはハイチに行く意欲を更に減退させてしまうな。いつか噂の「ハイチ弁当」というヤツも食ってみたいのだけど。

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2007年09月13日Thu [12:17] ハイチ | 本・雑誌 |読書メモ  

慟哭のハイチ 

慟哭のハイチ―現代史と庶民の生活 慟哭のハイチ―現代史と庶民の生活
佐藤 文則 (2007/07)
凱風社

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珍しいハイチ本ゲットと思ったら、99年に出た本の改訂版らしい。その原本は読んだ記憶があるのだが、内容はほとんど覚えていなかったところをみると、大幅に改定したのか、脳内記憶媒体から消去したのかどっちかだが、たぶん後者だろう。新書ブログの方で、前に読んだことを忘れていて、また読んでしまい、そのまま気が付かずに、感想二度上げなんてアホ丸出しをしたことがあるのだが、表紙イメージで記憶できる単行本では、今のところそんな失態はない。しかし、ハイチ本という特殊テーマなのに、内容を覚えていなかったというのはショック。まあ、著者のせいにしたいところだが、「アメリカ在住フォトジャーナリスト」という肩書きだけはなんとなく記憶があった。そんなことで再生本だから、べべ・ドクの時代からアリスティドの時代が中心になっており、トントン・マクードや解放の神学といったキーワードも懐かしい。如何にも「フォト・ジャーナリスト」といった「潜入系」のスタイルもなんか古きよき時代を思い起こさせる。「ジャーナリスト=ハイエナ論」もかつては勲章の様なものだったが、逆に拉致され、身代金ビジネスの餌食になってしまう時代にあっては、ミイラ取りがミイラになってしまうとはこのことであろう。その辺とも関係してくることだが、街で声をかけて来た青年をガイドに雇ったり、顔見知りになった露天商の姉ちゃんにカネを貸してくれ言われて、20ドル貸したりと、結構この著者は「意外」な行動をしている。それが取材の種になるのなら安いもんだし、断ったらその場でドン!という危険性もあるから、それで良いのだろう。タダの旅行者だと、こういう国では疑心暗鬼で過ごさなくてはならないのだが、昔、インドで会った日本人旅行者に、声をかけて来るインド人を全て信用してみる実験を敢行した人がいたことを思い出した。その結果をここには書かないが、授業料が安いか高いかも、生命あっての話である。

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