これも明石の世界歴史叢書シリーズの一冊。前回読んだエジプト編より、現代の記述が多くて嬉しい。それもエジプトとレバノンの歴史の差と言ったら失礼だが、副題は「フェニキア人の時代からハリーリ暗殺まで」となっており、フェニキア人なら古代エジプト人にも対抗できそうだし、現代がナセル、サダト、ムバラクしかないエジプトと違って、レバノン現代史はまあ賑やかなこと。記憶に新しいハリーリ暗殺は「テロ支援国家」シリアとの関連もあって、事故関連くらいしかニュースにならない大国エジプトよりニュース頻度が多いくらいだ。で、こちらの著者は元レバノン大使で、現バングラデシュ大使。またまた大使ものだが、この人は中国も韓国もミャンマーも英国もOECDも国連にも勤務し、外務省海洋課長や、法務省入管審査課長なんてのも経験して、エール大でMAというから、まあこちらも賑やかな外交官人生だ。レバノン大使と言えば、この人の後任か前任にあたるのが例の目立ちたがり屋Aだけど、こちらはいたって実直な人っぽい。一応300ページ読み終えたけど、慌ただしい人生を送っている訳ではない私は未だ整理がつかない。キリスト教徒もマロン派以外にギリシャ正教、ギリシャカトリック、アルメニアなど色々ある様だし、イスラムもスンニとシーア以外に異端のドルーズがかなりいる。そこにシリアをはじめ、イスラエル、PLO、イランといった血の気が多い近隣諸国がめいめい勝手に加担してしまうんだから内戦になるのも必然だ。しかし、復興の兆しを見せ始めたレバノンをイスラエルが攻撃したのは、経済的ライバルの出現を恐れたからというのは知らなかった。ポール・アンカがレバノン系だというのも知らなかったけど。ついでに言えば、重信メイの父親は実は日本人という話があるが、どうなんだろう。



