世界読書旅
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■ パンパの風趣に魅せられて 
2008年06月16日 (月) 01:43 * 編集 *
パンパの風趣に魅せられて―ブエノス・アイレス在住三十余年の体験記パンパの風趣に魅せられて―ブエノス・アイレス在住三十余年の体験記
(2007/06)
渡辺 弥

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副題に「ブエノス・アイレス在住三十余年の体験記」とある。ということで、70年代初頭の農業実習生から、アルゼンチンに生き残った人の回想記。まあ、三十余年もあれば、積もる話もあるのだろうが、500ページ超は幾らなんでも長すぎやしないか。何でも最初から、ドキュメンタリー物を書くために渡航したというのだから、その思いが結集したということなんだろうけど、四十社以上の出版社に問い合わせし、「外国居住者」という特殊性がプラスに作用し、多くの出版社から是非出版した方が良いと勧められたのこと。しかし、為替レートの関係で出版費用を工面できずにいたところ、この版元が危ない橋を一緒に渡ってくれる決断をしてくれたそうな。これはなんと言うか、別に「外国居住者」という特殊性がプラスして、多くの出版社から出版を勧められた訳でも、この版元が危ない橋を一緒に渡ってくれた訳でもない様な気もするのだが。たしかに、ブラジルなどと違ってアルゼンチン移民ものはあまり多くないし、軍事政権も、ワールドカップも、フォークランド戦争もリアルタイムで体験し人なのだから、貴重ではあるののだろうけど、そういったキナ臭い話は、ほとんどなくて、釣自慢とか、アサード大会とか、精米機の展示会をしたとか、そんな身辺雑事ばっかり。まあ、これが著者の体験した「ドキュメンタリー」だとは思うのだけど、「読み物」ではなく、「史料」としての価値があるのかもしれない。それにしても、その精米機の販売以外に、「三十余年」の間、この著者が何の仕事をしていたのか、よく分からんのはなぜだろう。「ワイフ」が日系人ということは分かったのだが、いつの間にか結婚して、子どもも出来ていたというのも不思議。
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■ 国家テロリズムと市民 
2007年07月01日 (日) 12:11 * 編集 *
国家テロリズムと市民―冷戦期のアルゼンチンの汚い戦争 国家テロリズムと市民―冷戦期のアルゼンチンの汚い戦争
杉山 知子 (2007/04)
北樹出版

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横書きの研究書。副題は「冷戦期のアルゼンチンの汚い戦争」ということで、久しぶりのアルゼンチン本なのだが、典型的な文献まとめ論文だった。著者はコロンビア大学で自己流にラテンアメリカ政治研究の基礎を築いたとのことで、実際にアルゼンチンに足を運んだのかどうかは分からない。ただ、ことラテンアメリカに関してはアメリカにいた方が研究資料は揃っているだろうし、英語資料なら尚更である。こうしたテーマの本が日本語で読めるということ自体が貴重なものであることは間違いないのだけど、テキストとしては使えるだろう。今では「汚い戦争」と言われてピンと来る人もそう多くはなかろうが、裏を返せば戦争とはキレイなもので、軍隊は他国と戦争するものだという前提がある。コスタリカで大きな誤解をしている人が多いのだが、あれも結局、外在的要因より内戦を危惧したもので、日本の防衛力まで否定した「平和原理主義」の物差しで見るのはおかしいのである。皮肉にも「汚い戦争」の終結点がフォークランド戦争となったのも、軍部が「汚い戦争」の意味を捉えていた結果であることは言うまでもないだろう。運悪くその相手がイギリスであったことで、「汚い戦争」の後援者であったアメリカの支持を得られることは叶わなかったのだが、軍部にしてみれば、「汚い戦争」のマニュアルを持ってきた国が、「人権外交」に転じたのでは反発もあろう。サッチャーが英軍単独で大勝したことに安堵したのはレーガンだろうが、あれがラテンアメリカ軍事政治の分水嶺になったことは言えると思う。最近になって、皮肉なことにチャべスの様な冷戦終結の落とし子みたいな政治家が軍部から出てくることになったのではあるが。

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■ アルゼンチンを知るための54章
2006年01月28日 (土) 06:55 * 編集 *
アルゼンチンを知るための54章
アルベルト 松本 Juan Alberto Matsumoto
明石書店 (2005/09)


毎度お世話になっている「知るための」シリーズ。最近は単独執筆が多いのが気になる。どうもそのウラには持ち込み企画という事情がある様だ。作る方はその方がラクなのだろうが、読む方は複数執筆陣の方が変化があってよろしいかとも思う。まあ、まだ未刊の国の研究をしている人は是非ともチャレンジして欲しい。さて今回の著者は在日の日系アルゼンチン人だが、そんな読者の反応を気にしてか、ナショナリスティックにならず、母国の負の部分も隠さずに書くと最初に宣言。本人が律儀にもその自戒に忠実な為、悲惨な話ばかりになってしまって、ちょっと可哀想。この国は「脱南米入欧」していると「周辺諸国」や旅行者から嫌われていたりするのだが、私は好印象を持っている。少なくとも北方向の「周辺諸国」の様に、街角で侮蔑された様なことは一度もない。これは勝手に教育水準の高さが要因だと思っていたが、この本で、その「教育」の実態を知って驚いた。経済や政治の実態も暗い話ばかりで、これが事実なのだろうが、一応アルヘンティーノを代表しているんだから、ちょっとゲタを履かせても良かろうに。そんな著者が唯一「愛国心」を垣間見せるのが、自身も従軍したというマルビーナス戦争の章。ただ、「フォークランド戦争」という用語は使わないが、軍部の指揮責任はちゃんと追求している。一方、有名な「行方不明者母の会」など、軍事政権時代の真相究明を求める活動には疑問も呈している。これはバランスをとったのか、或は「軍人として戦場に行った者」の感覚なのだろうか。専門の日系人ネタをはじめ、日本との関係は詳細。出稼ぎ空洞化で、日亜学院で一番多いのは中国人生徒というのも、やはりそうかという感じだ。米国、カナダでもそうだが、移民先で日本語を学ぶ中国人が多い理由は調査に値すると思う。
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■ タンゴの国で盆踊り
2005年08月05日 (金) 13:52 * 編集 *
4896919319タンゴの国で盆踊り―シニアボランティアのアルゼンチン滞在記
牧田 繁子

洋泉社 2005-06
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シニアボランティアのアルゼンチン滞在記。王道の日本語教師ではなく、日舞というのは珍しい。なんでも日本語教師は応募者殺到で条件が厳しく、教師歴35 年の著者でも無理で、「若い頃」にたしなんだ日舞にしたとか。で、たまたまその需要があったのが日系社会があるアルゼンチン。よって著者の付き合いの範囲は狭い日系社会に限られる。57歳で初海外生活、元小学校教師という事を考えれば仕方ないところもあるのだが、現地社会への順応能力に欠け、アルゼンチン人に対する偏見丸出しの愚痴が多い。あくまでも本を出版する場合の話であるが、国を批判するのは良いとして、たまたま接点があった人だけを以って、その国の人全てを一般化する事は慎まなくてはならない。本題に戻ると、沖縄移民が多数を占める日系社会で、なぜ「日舞」なのかという問題提起の部分は良かったが、その結論にはちょっと疑問も残る。経済危機に関する記述も単純で、基本的間違いも多い。アルゼンチン本は貴重なのに、結局良かったのはタイトルだけ。
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■ 月の涙とアルゼンチン
2005年05月16日 (月) 20:23 * 編集 *
おすすめ!
月の涙とアルゼンチン―南米移住悲喜劇を越えて
竹内 佐知子
川辺書林 (2004/04)
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よくある駐妻の滞在記だなあ。と思って読み進んでいたら、いきなり何の前触れもなく旦那が死んでしまう。これにはビックリ。結局、紆余曲折あって著者はこどもたちと共にアルゼンチンに在留する事になるのだが、その後は前半の凡庸さがウソの様な、活き活きとした展開。「島唄」のアルフレッド・カセーロとの交流などには感動すら覚えてしまった。「死」が登場する物語は陳腐にもなるが、この話は、セカチューとか「愛と死をみつめて」の様な、死へのカウントダウンが全く無い分、本当の話だから当然だが、凄くリアルに「死」を考えさせられる。絶叫調ではなく、淡々と愛する者の死を綴る文章も良いね。
☆☆☆☆
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