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2014年05月31日Sat [00:27] エジプト  

エジプトを植民地化する

エジプトを植民地化する: 博覧会世界と規律訓練的権力エジプトを植民地化する: 博覧会世界と規律訓練的権力
ティモシー ミッチェル Timothy Mitchell

法政大学出版局 2014-03-10
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原著は1988年で、91年にペーパーバック版が出たとのこと。底本はそのペーパーバックだが、90年代前半には翻訳に着手し。96年には訳出が完了したらしいが、一旦出版が頓挫。2008年に出版の目処が立ったところで、訳者の大塚和夫が亡くなる。今回やっと共訳者の手でなんとか出版にこぎつけたらしいが、エジプト革命が追い風になったのだろうか。エジプト軍の嚆矢といった面では最近の情勢と関係ないこともないが、タイトルにある通り、オリエンタリズム的な部分が主題となっている。万博がその切り口となっているのは西洋による日本も含むオリエントの具象化であるのだが、エジプトでは文化の発見よりも再発見が成されたとのこと。

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2014年03月11日Tue [03:13] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

現代アラブ社会

現代アラブ社会: アラブの春とエジプト革命現代アラブ社会: アラブの春とエジプト革命
加藤 博 岩崎 えり奈

東洋経済新報社 2013-12-13
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何冊か出た「エジプト革命」まとめ本に対するアンチテーゼが出発点としてある様だ。あの革命は別にフェイスブックを駆使した若者たちによって成し遂げられたものではなく、ぶっちゃげ軍が動いた結果だというのはその後に起こったクーデターなどを見ても的を射ているかと思うが、それがエジプト、チュニジアだけで成功した理由であって、軍が動かなかったり、シリアの様に政権側が掌握していたりすると、騒乱や内戦になっても革命は成就しない。つまり革命とは市民が主役ではないのだが、市民が担い手の様に見せなくては革命とは言えないということか。

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2014年01月01日Wed [01:16] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

エジプト革命

エジプト革命 - 軍とムスリム同胞団、そして若者たち (中公新書)エジプト革命 - 軍とムスリム同胞団、そして若者たち (中公新書)
鈴木 恵美

中央公論新社 2013-10-22
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タイトルは平凡社新書と競作になったが、著者は平凡社の著者の弟子なのか。となると、当然「公認」なのだろうが、師匠が弟子に仕事を廻したのかな。一応、あとがきで謝辞は付いている。昨日もデモで人が死んだし、まだまだ現在進行形の出来事ではあるのだが、政変としては総括になっているので、時系列で整理できる。構造的に軍部+学生・市民対同胞団+サラフ主義の様に見えるが、そう単純なものではないことが分かる。人口の1割と言われるコプト教徒は政党結成が禁じられているので、同砲団やサラフ主義の様に選挙での政治勢力を確保できない。他にもエスニック的にはヌビア人がおり、無薔薇ク時代はその存在すら知られていなかった!シーア派も声を挙げる様になった。コプト教徒とヌビア人はエジプトに古くから住んでいるのでエジプト人としてのナショナル・アイデンティティを保つが、ムスリム同胞団とサラフ主義はそれぞれ別のイスラーム共同体、そして最近はナセル主義の亡霊とも言えるアラブ民族主義まで息を吹き返したというから正にカオスである。こうなると国を一つにまとめあげるには強権が必要であったのではないかという率直な意見が出てきてもおかしくは無いのだが、手綱を誰がどう握るかの決着は当分つきそうもない。

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2013年12月29日Sun [00:37] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

エジプト動乱

エジプト動乱―1.25革命の背景 (アジ研選書)エジプト動乱―1.25革命の背景 (アジ研選書)
伊能 武次

アジア経済研究所 2013-01
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アジ研選書なんてあったのか。年に3冊くらいしか出ていないみないので気が付かなかったのだが、このエジプトに関しても当初は別に時事ネタをつもりではなかったものの、途中で革命が始まって、情勢がどんどん緊迫してきたので、経済どころでは無いという風になったらしい。それでも当初の名残か経済ネタもあるのだが、実は革命が始まる前までのムバラク政権は経済が好調だったらしい。社会主義政策を採っていた時代に企業のほとんどが国有化されたなんてことがあったとは知らなかったが、大卒者の就職保証制度などもあったのか。企業が全部国有なら、それも可能なのだろうが、大卒どころか識字率の低さが問題であった時代は今回の様な革命は起こりえなかったのかも。

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2013年11月22日Fri [02:35] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

変わるエジプト、変わらないエジプト

変わるエジプト、変わらないエジプト変わるエジプト、変わらないエジプト
師岡 カリーマ エルサムニー

白水社 2013-10-19
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この人の本を読むのも随分と久しぶりなのだが、語学本は出していたのか。エジプト情勢の変化でお鉢が廻ってきたということでもないのだろうが、元は「季刊アラブ」に連載していたものらしい。ということで、アラブ初心者向けではないのだが、芸能ネタとかは韓流とか華流とかのファン身内話などと通じるものがあるな。ちょっと驚いたのはお父さんが1915年生まれだということ。さすがに存命ではないみたいだが、著者は1970年生まれなので、日本人の母親と年の差は結構ある様だ。エジプトには年の離れた純エジプト人の兄姉がいて、爾来エジプト人として育ったそうだが、たしかにフィフィよりはエジプト人らしい。同胞団には警戒心があるのもそうなのだが、特定の勢力への肩入れはしていない。多数派である世俗派は混乱をもたらしているバランスの変化に戸惑っている状態であろう。相対的に豊かなキリスト教徒を差別している実感は無いというのはイスラム教徒の本音だと思う。

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2013年10月19日Sat [23:53] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

ムハンマド・アリー

ムハンマド・アリー―近代エジプトを築いた開明的君主 (世界史リブレット人)ムハンマド・アリー―近代エジプトを築いた開明的君主 (世界史リブレット人)
加藤 博

山川出版社 2013-08
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これも山川世界史リブレット人。エジプト政変を受けての人選ではないだろうが、やはり、アラブは王制しか安定の道は無いのかという観はある。最後の王様がアレだったこともあり、エジプトでは王政復古の声は無いのだろうが、ムハンマド・アリーがアルバニア人だった様にその正統性よりも開明的であるか否かが問題なのだろう。総督や王という象徴を失ったエジプトで現在それに代わるものとして機能しているのが軍。軍が開明的ならクーデターも開明的であるのか。

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2013年06月22日Sat [23:47] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

女ノマド、一人砂漠に生きる

女ノマド、一人砂漠に生きる (集英社新書)女ノマド、一人砂漠に生きる (集英社新書)
常見 藤代

集英社 2012-12-14
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ノンフィクションを銘打った新書を出しているのは集英社だけか。独立レーベルへの試験期間なのかもしれんが、ノンフィクション新書はそこそこ売れ筋になるんではないかな。小説が新書に採用されないのは慣習だと思うが、ノンフィは既存の新書に良く混じっているから、専門レーベルがると分かりやすい。非常勤講師より厳しいだろうノンフィ・ライターの救済措置にもなるだろうが、どうも最近は書き手の悲哀自慢みたいなものがお約束になっているのが辛い。この著者は写真の人で、フィルワではなく密着取材であるのだが、砂漠で密着したところで、ほとんど変化が無い一日に悲鳴を上げている。女ノマドに密着できるのは女だからではあるのだが、こういう風土では男たちにとって、外人女性は隙があろうかなかろうが、常に隙あらばの対象とされるので、これとも戦う。文化人類学的なフィルワだと「高貴な野蛮人」として、そうした俗な部分は隠蔽されるものなのだが、ノンフィ作家は悲哀が勝負なので、そうした野蛮もバシバシと。

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2013年04月26日Fri [00:58] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

エジプトの自画像

エジプトの自画像: ナイルの思想と地域研究 (東京大学東洋文化研究所研究報告―東洋文化研究所叢刊)エジプトの自画像: ナイルの思想と地域研究 (東京大学東洋文化研究所研究報告―東洋文化研究所叢刊)
長沢 栄治

平凡社 2013-03-26
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ヒムダーンというエジプト人地理学者は全く知らなかったのだが、エジプトを代表する知の巨人だそうで、その著作を通してエジプトとは何かを論考する。エジプトの灌漑政策と2本立てだが、灌漑もまたエジプトにとって大きな自画像であり、ナセルがアスワンハイダム建設の財源確保の為にスエズ運河を国有化したという現代史もある。アジア、ヨーロッパ、アフリカの三つの円が接している所がエジプトであるが、その円が交わっているのではなく、各方向へ引力が働いているという理解は面白い。土壌はアフリカで、文化はアラブというナセルのアラブ民族主義のイデオローグともなった人らしいが、イスラーム主義と民族主義の間の齟齬はまだ決着がついていないか。

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2012年12月12日Wed [23:45] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

図説ツタンカーメン発掘史

図説ツタンカーメン発掘秘史図説ツタンカーメン発掘秘史
レナード コットレル 前田 耕作

原書房 2012-10-01
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ツタンカーメン展はその効果はともかくテレビCMまで打ってるくらいだから、かなりカネが動いているんだろうけど、便乗本も結構出ているみたいだな。これなどは原書は1965年で、著者も40年前に死んでいるそうだから、正に発掘したものだろう。著者はBBCのディレクターでユネスコなどと共同作業していたそうだが、この当時だとまだエジプトなどに文化財は任せられないから、英国様に任せるのが当然という雰囲気だったんだな。ていうか今でもそうなのかもしれんが。

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2012年09月25日Tue [02:11] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

現代エジプトを知るための60章

現代エジプトを知るための60章 (エリア・スタディーズ 107)現代エジプトを知るための60章 (エリア・スタディーズ 107)
鈴木 恵美

明石書店 2012-08-21
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エジプトの知るためのはこれが初か。国の格から言えば、シリーズ初期に出てもおかしくはなかったのだが、随分と引っ張ったものだ。満を持してということなのだろうけど、チュニジアとリビアが革命前にフライングしてしまったものだから、ちょっと情勢を見ていたのかもしれない。ただ、ムバラクはわりと高評価なところもあって、不正蓄財というがそれは嫁一族のことであり、ムバラクは自身の一族とは何があったのか分からんが疎遠であったそうで、一族で選挙で落選した者もいるという。鳩山や石原姓の縁戚も落選しているから、そんなの普通かと思うが、エジプトでは選挙一族みたいなのが政治を支配していたという。ムバラクの嫁は母親がイギリス人とのことだが、サダトの嫁も母親がイギリス人ださうで、それがステータスになっているのかもしれんが、妙なトコまで踏襲している。ヨルダン国王は母親がイギリス人だし、アサドの嫁はイギリス生まれだったかな。別にアウンサンスーチーのダンナみたいなMI6の差し金ではないだろうが。

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2012年09月14日Fri [12:48] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

古代エジプト三〇〇〇年史

古代エジプト三〇〇〇年史 (ビジュアル選書)古代エジプト三〇〇〇年史 (ビジュアル選書)
吉成 薫

新人物往来社 2012-06-22
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ツタンカーメン展便乗ものらしいけど、なんかエジプトもまたヤバくなってきて、やっぱ中国と一緒で、古代だけの話にするのが無難なのかなあ。両方ともそうした「栄光の歴史」がナショナリズムの担保にはなっているんだろうけど、ただ、この時代はイスラム教も儒教も関係ないんだよね。血生臭いという点では確実に今より上だろうけど、感情を傷つけたとかの理由で外国人を襲ったりなんてことはなかったんじゃないかな。名誉というものが王だけではなく大衆が共有するものになったのはそう古い時代のことではないかと思うけど、肉体的ドレイになりたくない者は精神的ドレイとなって前に進むしかないのか。

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2012年08月22日Wed [00:33] エジプト | 本・雑誌 |読書メモ  

アラブ革命の遺産

アラブ革命の遺産アラブ革命の遺産
長沢 栄治

平凡社 2012-04-22
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というタイトルだし、最近新書で「エジプト革命」をやった人なので、ジャスミン本かと思ったのだが、ユダヤ系エジプト人の共産主義運動というディープなテーマの研究書だった。しかも本文5百頁越えで読了グロッキー。エジプトのユダヤ人が今どのくらい残っているのか知らないのだが、国交もあることだし「隣国」に移住するのはそれほど面倒なことではなかろう。かつては相当な数のユダヤ人人口がエジプトにはあった様だが、エジプトの共産主義運動潮流のほとんどがユダヤ人により形成されたとなると、陰謀論ではないがその背後関係を訝しく思うのは自然である。しかし、当時の先鋭思想であったマルクス主義は外来思想と外来言語に通じた者の専売特許みたいなものであり、ある意味ユダヤ人が運動をリードしたのは歴史の必然ではあったのだろう。もっともユダヤ人というアイデンティティはこの時代のエジプトにおいて自明のものではなかった様で、萌芽期を「ユダヤ段階」とし、成熟して「インターナショナル」となるというのが正しい道であった様だ。シオニズムと国際主義が矛盾するものでなかったことは一時期のソ連の政策をみても分かるのだが、イスラエル労働党も基本的には今でも国際主義であろう。サダト時代まではそうした国際主義と親和性があった時期がもあったが、ユダヤ系エジプト人共産主義者は徐々にイスラエルという「シオニズム」と一線を画す必要性も迫られてくる。改宗や外国籍放棄といった道も歩むのだが、共産主義運動自体が内部対立、セクト化などもあり隘路に嵌った状態で指導者は「思想家」となる訳だが、最後の方はもうぐったり。

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