![]() | カダフィに狙われた男 浮貝 泰匡 戎光祥出版 2011-11 売り上げランキング : 25120 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
カダフィ本も企画は立てられているんだろうが書き手が不足かと前に記したのだが、こんな本が出てた。カダフィの死を待って出されたのかと思いきや、10年前に自費出版されたものに陽の目が当たったらしい。著者は元ニチメンのトリポリ駐在ということで、著者がカダフィ政権に苦渋を強いられた記録かと思ったのだが、カダフィに狙われた男というのは著者のビジネスパートナーだったリビア人で、1980年にミラノで刺客に暗殺されたとのこと。著者自身はカダフィのクーデター時にリビアを離れたので、リビアでの体験記は主に王国時代のもの。当時は酒はもちろん、アラブ人女性(ただし非リビア人)と合コンなどもしたらしい。自費出版後、33年ぶりに暗殺されたビジネスパートナーの息子とも再会するのだが、これは自費出版のおかげではなく、英語ホームページを作ったからだったとのこと。その息子もリビアに戻り、行方不明になったらしいが、まだ高齢の著者がリビアに入っていける状況ではないか。

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![]() | 南地中海の新星リビア―高まる日本への期待 同友館 2009-07 売り上げランキング : 553758 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
小池百合子が共著者となっているが、実際は小池が登場するのは最後の対談出会って、本体のほとんどは畑中美樹の手によるものなのだろう。この人の出版ペースもかなり早い。カダフィの変節はサダムフセインの最期を目の当たりにしたからとも言われるが、中国やチャベスと組んだところで自分が主導権を握れる訳ではないので、AUの盟主として欧米に対峙した方が得策というもの。その意味ではカダフィの変節は妥協の産物とも言えるが、スイスのような非EUに対しては妥協する必要もない。例のモスク建設禁止でスイスに対してジハードを宣告したという話もあるが、それは息子夫婦逮捕事件が伏線となっていたのか。非欧米の経済大国日本に対してはその分、期待しているところもあるのだろうが、かつて阪神大震災は米国に追従した天罰だとした「狂犬」がその発言を撤回したという話は聞かない。小池百合子はカイロ時代に通訳としてリビアに行った経験があるらしいが、これまでの国会議員の訪リビア記録が掲載されている。誰も天罰発言は問題にしていないんだな。


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![]() | リビア物語―世界遺産と大砂漠の旅 滝口 鉄夫 論創社 2007-01 売り上げランキング : 480214 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
本題が「リビア物語」で、副題が「世界遺産と大砂漠の旅」。まあ、内容的にはその通りなんだけど、これはあんまり入っていけない一品だった。著者は写真家の人らしく、写真も結構、挿入されているのだが、なんだかガイドの説明をずうっと聞かされている様なつまらなさを感じないでもない。歴史ものが好きな人にはいいんだろうが、「カルタゴ物語」ではなく、「リビア物語」なら、もっと「旅」の話をしてもよかろうに。写真家が「歴史」を語るなとは言わんが、どこかアンバランスにも感じる。これが観光振興に方向転換したリビアの招待旅行なのかどうか分からぬが、未だにリビアの取材には不自由なところが多そうだ。そろそろリビア社会に深く切れ込んだリビア本を読みたいものだが、無難な「歴史」しか、まだ手が出せない状態なのだろうか。

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![]() | 砂漠の思想―リビアで考えたこと 野田 正彰 みすず書房 2005-02-25 売り上げランキング : 122,549 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
1990年に出版されたリビア紀行記の再版。何故に15年も経って、みすず書房から再版となったのかについては、「要望が多かったから」だという。たしかにリビア本は数少ないし、カダフィ屈服記念として、往時のリビアを窺うには貴重な書であろう。しかし、それ以上の理由は、なさそうというのが正直な感想。著者は精神科医兼著述業との事で、最近は陳真さんの伝記なんかも書いている人。この89年のリビアの旅はノーベル平和賞に対抗した「カダフィ人権賞」の審査員としての訪リというから、何やら怪しい香りも漂う。もっとも著者は当時、入国が難しかったリビアに入る手段として、その機会を利用したに過ぎないとしている。基本的には遺跡見物がお目当てだった様で、精力的に古代ローマの見物に勤しんだ様だ。その幾分、時代を感じさせる紀行文が中心だが、最後に、すっかり忘れていたカダフィの教典「緑の書」について触れているのは良かった。北のチュチェ思想と同じく、独裁国家のトンデモ教典の類いであるが、カダフィは投降後、この教典も引っ込めたのだろうか。とりあえず、転向したなら、阪神大震災時に言い放った日本国民に対する暴言も撤回すべきだ。

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