2016年06月22日Wed [04:09] 環北太平洋  

北極読本

北極読本―歴史から自然科学、国際関係まで北極読本―歴史から自然科学、国際関係まで
南極OB会編集委員会

成山堂書店 2015-10
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南極OB会なんてあるのか。不定期に南極啓蒙本を出している様だ。OB会では南極Z号の思い出を語り合っているのかもしれんが、啓蒙本は当然ながら、「歴史から自然科学、国際関係まで」をコンパクトに網羅したものとなっている。南極OB会は昭和基地とかみずほ基地とかに閉じこもっていた人たちの集まりという訳ではなく、他国基地はもちろん。グリーンランドやシベリア、アラスカなどの北極圏にしばし趣いて研究した人たちの様だ。今、北極航路を巡る「新グレートゲーム」の時代に入っているが、とりあえず科学者の集まりなので、中国話は無し。

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2015年01月29日Thu [01:12] 環北太平洋  

北太平洋世界とアラスカ毛皮交易

北太平洋世界とアラスカ毛皮交易―ロシア・アメリカ会社の人びと (ユーラシアブックレット)北太平洋世界とアラスカ毛皮交易―ロシア・アメリカ会社の人びと (ユーラシアブックレット)
森永 貴子 ユーラシア研究所ブックレット編集委員会

東洋書店 2014-05-01
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久々のユーラシアブックレット。ユーラシアを越えてアラスカなのだが、その主役はロシア人。キャプテン・クックまで登場するのだが、クック一行はアラスカの先住民からはロシア人と思われて怖れられたらしい。ロシア人よりイギリス人の方がマシだったのかどうかについては後年に創作された部分にあるだろうが、共に先住民とは友好的接触をしたというのが公式史観である。

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2014年09月19日Fri [22:48] 環北太平洋  

クジラとともに生きる

クジラとともに生きる: アラスカ先住民の現在 (フィールドワーク選書 3)クジラとともに生きる: アラスカ先住民の現在 (フィールドワーク選書 3)
岸上 伸啓

臨川書店 2014-05-26
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臨川書店のフィールドワーク選書。やはり順不同で出る様になったか。全20巻のラインアップはかなり魅力的なのだが、ベテラン研究者が過去のフィルワを振り返るという形式は共通しているのか。この著者も80年代から留学先のカナダで先住民文化のフィルワをスタートさせたそうだが、このアラスカ捕鯨村のフィルワは比較的新しいものの様だ。カナダ側に比べて非先住民の住民が多いのは比較的人口が大きい街ということもあるが、辺境地であるが故、賃金が高く、アメリカ本土から労働移民を引き付けているかららしい。タイ人か韓国人が多いそうだが、必ずしも賃金だけの理由で移住してきた白人と違って、出稼ぎである彼らの先住民を見る目は厳しい様だ。クジラを食べるのは地元の人間だけとの事だが、反捕鯨派への警戒心は強く、解体現場などはクジラを食べることができる人間だけに撮影を許すのだという。

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2014年02月02日Sun [02:51] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

北極男

北極男北極男
荻田 泰永

講談社 2013-11-16
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電車男に引っ掛けたタイトルかもしれんが、海外は北極しか行った事がないというのもすごいな。日本にいる時はひたすらアルバイトで、お金が出来ると北極へというのは「北極こもり」とか「北極沈没」とも言えるものだろうが、こうして著書が出て、子どもたちのウォーク大会も始めたそうで、ようやく形が見えてきたんじゃないかな。角幡唯介とも一緒に行ったらしく、ジャコウウシの親子を射殺して食べた話などは角幡の本と被っている。尋常じゃないカロリー消費量ということもあろうが、やはり考えるのは食うことくらいしかなかろう。先日読んだメスナーの本では山では性欲があるが、そのうちに修行僧に様になると書いてあったが、北極ではどうなのだろうか。ムスコ殿は暑さや高さには反応しても寒さには弱そうな気もするが。

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2014年01月02日Thu [23:55] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

北からの世界史

北からの世界史: 柔らかい黄金と北極海航路北からの世界史: 柔らかい黄金と北極海航路
宮崎 正勝

原書房 2013-11-21
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ミスター世界史教師みたいな著者なのだが、北からの世界史と言っても、世界史=西洋史の枠組みは外していない。日本がラッコ猟の重要性に気付いていれば、世界史の一頁にもっと早くに記載されていたのかどうか分からんが。動物の毛皮を交易物にするということは文化的に障壁があったのではなかろうか。そこへ行くと清朝はせっせと毛皮を集めていたのだが、この時代は北は満洲人のテリトリーだから、漢人の進出も北は限度がああって、むしろ活発化していたロシア人の進出の前に領土を奪われているだから、これも韜光養晦放棄の時期に入っているのかもしれん。一方、ロシアもアラスカまでは手が廻らなかったというのが悔恨の歴史になろうが、帝国時代はロシア人の居住に制限があったという。ソ連時代がアラスカを手放したことの大きさを一番痛感させられた時代だったと思うが、「帝国主義」を放棄した現在はそうした領土的野心はあまり無い様に思える。中国はたとえ民主化されたとしても、覇権主義からは自由になれそうにもないが。

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2013年06月21日Fri [01:19] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

北極海のガバナンス

北極海のガバナンス北極海のガバナンス
奥脇 直也 城山 英明

東信堂 2013-04
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このテーマのテキストはあまり無いから貴重なのだが、北極海でもやはり焦点は「中国問題」か。ただ、砕氷船による輸送は時間的には短縮になるが、コスト的には南回りににもシベリア・ランドブリッジにも現在のところ太刀打ちできないらしい。公海である以上、沿岸国が通行料を要求することは無いが、水先案内人のコストが高いらしい。砕氷船が多数就航する様になると、環境の影響というものも考慮されるのだが、南周りに比べて、CO2排出量は減るものの、この辺のことを言うなら原子力船の就航が最適らしい。一部マニアに知られているスヴァールバル諸島の論考が詳細。日本も条約加盟国として積極的に関与していくべしとのことだが、人が住んでいても無主地先占が認められたというのは、日本が抱える領土問題的にはどうなのだろう。

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2013年04月29日Mon [02:28] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

アグールカの行方

アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極アグルーカの行方 129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極
角幡 唯介

集英社 2012-09-26
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前2作より良いと思うが、やはり長いな。探検記は記録であるから、全てを詳細に記録してこそ価値があるというものだろうが、著者が開拓したのは体験的ノンフィクション探検記というものであるから、読み物に徹するならもっとコンパクトでも良い。ハイライトは麝香牛のハンティングだが、こうした解体技術は何処で身に付けたのだろう。1回や2回の体験では、この環境でこう手際良くはできないだろう。驚かされるのはその食欲なのだが、脂肪の消費が生命に関るので、高カロリー、高脂質の食事を大量に摂取する必要があるのだという。それだけ食べられるというか、ほとんど餓鬼の様に食べるのはそれだけ脂肪が燃焼されるということか。まあこうした状況では食事が最大の関心事ということにはなるだろうが。タイトルに冠したアグールカが誰だったのかということを突き止めることを命題にしていたのかと思いきや、それほど拘りがあった訳ではなく、その意味では探検の方がメインと言えよう。

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2011年04月26日Tue [00:49] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

アラスカの詩 極北に生きる人びと

極北に生きる人びと―アラスカの詩極北に生きる人びと―アラスカの詩
星野 道夫

新日本出版社 2010-12
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星野道夫の作品集がなぜか新日本出版から全3巻で登場。星野が共産党支持者だったとは聞かないが、クジラの騒動と関係あるのだろうか。写真も文も既出のものの寄せ集めみたいだが、全集が既に新潮社から出ているみたいで、底本はそれを用いたと記してある。底本と言っても別に翻訳ものではないのだが、そのまま流用したということでもなく、こちらは漢字振り仮名付きのジュニア向けバージョン。元はジュニア用ではなかったと思うが、岩波ジュニア新書とかちくまプリマーなども漢字の振り仮名がなければ、新潮新書なんかよりずっとオトナ向けみたいなのが結構あるから、その境界線は元々曖昧なもの。話自体は70年代なのだが、読書生活は当時の中高生の方がずっと大人びて、実生活では現在の中高生の方が大人びている(精神的にではなく実体験として)のだろう。新日本出版も中の人は高校生時分に資本論などを読んだ人たちなのだろうけど、今のリアルは先住民とか環境か。

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2010年10月26日Tue [01:10] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

私の名はナルヴァルック

私の名はナルヴァルック私の名はナルヴァルック
廣川 まさき

集英社 2010-08-26
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開高健ノンフィクション賞でデビューさせた新人は誰も育たないものだから、集英社も焦りがあったのかもしれないが、六年目で第2作の受賞者を「熱き旅行作家」はないだろう。前作と同じく、ただ女性一人でアラスカに行きましたというだけの話なのだが、本人も「作家」としての自覚があるのは不思議だ。地球環境とか核実験とか調査捕鯨問題とかとか一般ウケしそうなテーマを掲げている訳だが、どれも中途半端で、そのテーマ自体の取材は一切無いので、まあウルルンと変わらん話。日本の調査捕鯨反対が持論というのは結構だが、そのきっかけが白人に言われたからというのは情けない。海外で人種差別に遭った事もなければ、歴史認識で批判されたこともないというからショックだったみたいだけど、鈍感でなければ、「日本人女性」としてブランド扱いされてきたのかな。そうした白人には弱いタイプだと、「エスキモー」に対しては安心できるのかもしれんね。エスキモーの名前をもらったところで、同胞扱いされていた訳ではないと思うが、この極地の村で黒人の人口の方が多いってホンマかいな。若者が働かないから出稼ぎの黒人やフィリピン人が増えるというのは分からないでもないのだが、そんな外部からの人口が地元を凌駕するほど、職があるのか。よく分からんけど、こういう所って先住民の保留地とかになってはいないのだろうか。捕鯨の写真を撮ることを禁じられたからとのことで、写真は一枚もなく、帯の写真はレインボーブリッジと思しき所をバックにエスキモーの格好というギャグみたいなものになっているのだが、実際はかなり開けた街だったのかもしれないね。

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2008年09月30日Tue [09:23] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

北の民の人類学 

北の民の人類学―強国に生きる民族性と帰属性北の民の人類学―強国に生きる民族性と帰属性
煎本 孝 山田 孝子

京都大学学術出版会 2007-01
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横書き論文集。京大出版会だが、京大関係者は一人だけで、みんぱくとこの分野をリードする北大関係者が多い。北の民といっても、定番のアイヌ、イヌイットや極東ロシアはもちろん、満洲族にモンゴルまで入っている。満洲族と内モンは留日博士の執筆だが、本人の民族は不明。漢人との関係性が重要なテーマではあるが、満洲族も内モンでは、民族主義者としてもこれを避けて通ることはできないだろう。「モンゴルの文様」の執筆者は名前からして蒙族(この表記は一部では差別となるらしい)なのだが、こちらは博物館の展示物の解説みたいで、あまり面白くないのだが、こうしたテーマは政治的に無難ではある。イヌイットはやはりアイデンティティ問題がメインで、都市イヌイットには興味深い動きが見られるのだが、こうしたアイデンティティの問題が顕在化するのも、確立された民主主義と自由主義社会という条件が必要なのであろう。その辺りはサハやデニス・ウザーラの事例と比較してみると面白い。ソ連という共同体では事実上、その構成が多民族である「ロシア人」が極北の地で特権化することはなく、むしろ先住民に学ばない限り生きる術がなかった点は留意すべきだろう。中国みたいに「少数民族」として国家に認定されたり、カナダみたいに「先住民」として国家に保護されることもない極北ロシアで、民族問題が噴出していない(様に思える)ところは興味深い。

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2008年02月10日Sun [00:57] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

北方民族歌の旅 

北方民族 歌の旅北方民族 歌の旅
(2006/12)
谷本 一之

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著者は道立北方民族館館長で、民俗音楽学者という人。美唄生まれで、ハンガリーとカナダに一年居住した以外はずっと北海道在住らしい。付録されている年譜をみると、北海道教育大学学長他、地元の役職がズラリと並び、正に北海道の名士的存在なのだろう。この本も道新からであるが、新聞掲載のものなどを集めた雑文集。とはいっても、アラスカから、カナダ、グリーンランド、シベリア、カムチャッカ、ウラルと幅広く、最後にハンガリーを加えている。元々、バルトーク研究から始めた人らしく、そこからアイヌ、そして北方民族全体へと音楽採譜の旅が拡がったらしい。なんでもハンガリーにはバラートシという人類学者がいて、樺太、千島でアイヌ民俗資料を収集していたらしいが、戦後の社会主義体制で、この人は全体主義者だとされてしまったらしく、著者がハンガリー滞在中には公開が叶わなかったという。アイヌ民俗資料収集といえば、貴重な蝋管が発見されたポーランドのピウスツキが知られるが、東欧世界の「極東」イメージは帝国ロシアと帝国日本の国境にあったことが窺われる。その点、北海道生まれの著者は、アジア系マジャール人の地に「極西」を感じたのかもしれない。どうも学校地理の世界地図の影響か、シベリアを西とするとアラスカとかカナダは日本を挟んで反対側に位置するような感じがするのだが、冒頭に載っている北極点を中心とした地図を見ると、「極東」は日本を飛び越えてカムチャッカから先、ベーリング海峡になり、アラスカがアメリカ領になって以来、そこが「東」と「西」が出会うところということになろう。そのまま北極海を海岸線に進むと、グリーンランドを経由してフィンランド、ウラル山脈に至るわけで、「環北太平洋」もこの地図を見ればイメージが沸きやすい。幼少の頃、アンカレッジ空港で食ったうどんなども思い出したが、北極点にハブ空港を作れば便利だなという気もする。もっとも、そんなことしたら地球温暖化ごときの騒ぎじゃすまないけど。

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2007年12月23日Sun [13:26] 環北太平洋 | 本・雑誌 |読書メモ  

イヌイット 

イヌイット―「極北の狩猟民」のいま (中公新書)イヌイット―「極北の狩猟民」のいま (中公新書)
(2005/11)
岸上 伸啓

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著者は日本を代表するイヌイット研究者。といっても全部で何人いるのか知らんのだが、この方面はとにかく女高男低のイメージがあるので、貴重な男性研究者として頑張ってほしい(とかいって実は女性だったりして)。で、こちらは新書ということで、入門っぽい作りにはなっているのだが、従来の「文化人類文化人類」した民族ものとは違って、我々現代世界に生きる人間が等しく抱える普遍的な問題を、イヌイット(この呼称の是非については、しつこくなるのでパス)社会もまた抱えていることを痛感させてくれる。渋い変化球ながらズドンと直球が決まった感じがした。最初に本勝の例の古典を持ち出すのだが、最後に本勝の時代と現在の変化はどうだ?と、うまいまとめ。その点では特に都市イヌイットの話があって良かった。文化人類学屋さんは基本が自然讃歌だから、こういうものには目を瞑ってしまうのだが、著者はむしろ、こっちの方により関心がありそう。でも、それよりスゴかったのが、前に「世界の食文化 極北編」を読んだ時も衝撃だったイヌイットの母乳汚染の話。こちらは前より詳しく書かれているので、是非必読。かなり考えさせられる。クジラとか毛皮とかでピーピー言って、極北の民を追いつめてきた緑とか平和とかの連中にはシロイルカの刺身でもごちそうしてやりたい。

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