2016年10月30日Sun [04:19] ロマ/ジプシー  

ロマ「ジプシー」と呼ばないで

ロマ 「ジプシー」と呼ばないでロマ 「ジプシー」と呼ばないで
金子 マーティン

影書房 2016-09-30
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影書房か。李信恵とかと同列に置きたいのだろうが、やはり無理がある。この本の事例だと、差別ではなく迫害である。警官に射殺されたとか、落書きで誘きよせ爆弾を破裂させて殺害したとか。在特会にそこまでやらせることができれば世界へのアピールにもなるのだろうが、例え「殺せ」と叫んだところで20人程度ではどっちがマイノリティなんだか。観光客がワサビを多く盛られたとか、チケットの名前が差別用語だとかが「テロ」だとしたら、ロマはどう受け止めるのか。「ジプシー」も自称の場合があるし、「ロマ」に違和感を持つ人たちもいるので、ポリティカル・コレクトネスの強制化はどうかと思う。マイノリティの中のアクティブな部分をその集団の代表と位置付けるのはマジョリティ側に差別があるのではないのか。

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2013年02月18日Mon [00:58] ロマ/ジプシー | 本・雑誌 |読書メモ  

あるロマ家族の遍歴

あるロマ家族の遍歴―生まれながらのさすらい人あるロマ家族の遍歴―生まれながらのさすらい人
ミショ ニコリッチ 金子 マーティン

現代書館 2012-09
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ロマ研究でインサイダーによるものが少ないのは、アカデミックの場にロマ人材が少ないからかと思っていたのだが、ロマ社会では内部の事情を外部に漏らすことは御法度で、「立ったまま埋めてくれ」のインフォーマントはロマ社会から追放されたらしい。もちろん時代や国などによって事情が変わるだろうし、今はだいぶ「世俗化」しているのが現状かと思うが、この1941年生まれのユーゴ出身の著者の自叙伝は画期的なものだったらしい。ユーゴから兵役逃れで国境を越え、オーストリアに辿りつくまでの話も克明なのだが、登場人物は全て実在で実名であると断っているののも珍しい。国境を越え、無一文で言葉も出来ず、知り合いもいないという場合は日本人ならどうするか。そういう状態を想像できないかもしれんが、陸続きの大陸ではそういうことは日常茶飯事な訳で、この著者の場合、とにかく同胞を探すということで解決していく。おそらくそれが一番効率的なのだろうが、その為には何処に行っても同胞がいる、同胞社会は受け入れるという前提が必要な訳で、そうした条件を満たす民族というのは限られているのかもしれない。

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2012年07月02日Mon [02:09] ロマ/ジプシー | 本・雑誌 |読書メモ  

図説ジプシー

図説 ジプシー (ふくろうの本/世界の歴史)図説 ジプシー (ふくろうの本/世界の歴史)
関口 義人

河出書房新社 2012-05-24
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河出ふくろうの本。このシリーズにしては珍しく知った名前の人が著者となっていて、非学者系も珍しいな思ったのだが、今は関口義人も大学講師なのか。シリーズの性格上、十八番の訪問記はなくて、リバプール大のライブラリーで史料を蒐集したらしい。そこのスタッフの写真をあとがきに載せているのもこの人らしいが、音楽関係は大分絞ったのではないかな。その中でジプシーキングスを大きく取り上げなくてはならなかったのは不本意だったのかもしれない。このシリーズは西洋史が多数を占めているので西洋絵画趣味で埋め尽くされているものが多いのだが、これは文化人類学系の写真が多くて「図説」が珍しく効いている。ロマとドムの人口統計が出ているのだが、トルコの7万人と3万人というのはヨーロッパ側(イスタンブール)とアジア側に住む人口の違いということなのか。ブラジルのロマ人口91万というのはルーマニアに次いで世界第2位で多過ぎる気がするけど、アルゼンチンは圏外というのも変だな。

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2011年10月12日Wed [00:39] ロマ/ジプシー | 本・雑誌 |読書メモ  

千年の旅の民

千年の旅の民―〈ジプシー〉のゆくえ千年の旅の民―〈ジプシー〉のゆくえ
木村 聡

新泉社 2010-12-06
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新泉社はこの手の本が多いな。ジプシー訪問記は関口義人のが好きなので、過剰に感情移入するものはイマイチに感じてしまうのだが、こちらの著者は写真が専門の人なので、写真が多く助かる。こういうのは「撮影料」というのが気になるのだが、ゼロならゼロでそう記してくれると良い。ロマで無い者がロマの格好をし、泥棒や売春やらを行う。営利的目的なのか、偽装的なのか、果てはロマの評判を落とす為の差別的なのか分からんが、十分あり得る話である。日本でも「マネー、マネー」とか「カネカネキンコ」とか言う日本人強盗がいるが、街宣右翼の在日陰謀説はちょっと無理がある様な。ロマ女を買春した話も出てくるのだが、実際に「噂通り」だったのかどうかは書かれてはいない。関口本だと売春する様な女はロマの中でも淫売扱いで、実際は処女性を重んじる伝統社会ということになっているのだが、これも宗教同様、その居住国に準じた価値観が多いかと思われる。ロマ語で水はパニか。ヒンドゥー語と一緒だな。

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2011年05月21日Sat [15:03] ロマ/ジプシー | 本・雑誌 |読書メモ  

ジプシーを訪ねて

ジプシーを訪ねて (岩波新書)ジプシーを訪ねて (岩波新書)
関口 義人

岩波書店 2011-01-21
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この著者のこれまでの著書はいずれも完成度が高く、新書のスカウトはあるだろうと思っていたのだが、いきなり名門岩波デビューか。ただ本人も断っている通り研究者でもなくジャーナリストでもない立場で、書籍化されたとはいえ、おそらくは大幅な持ち出しであったろうこれまでの取材旅行の資源を活用したまとめ本になってしまったがゆえ、これまでの著書を読んでいない人たちからは不満の声が出ている様だ。その辺アマゾンレビューで、どっちもどっち的な発音矯正をされたりと災難だが、これまでの著書に親しんできた私などは、それまで明かされていなかった著者の経歴の一端や、ジプシーにはまっていくきっかけなどが分かって興味深かった。取材の裏話なども著者個人に興味が無い人にはどうでもよい話なのであろうが、ここまで詳らかに取材方法を明かしているのもジャーナリストでも研究者でもない人間が如何に取材を成し遂げたかというハウツー本的要素がある。「ジプシー・キングスがどの様な音楽か知っていた程度」の状態からジプシー・ミュージック、はてはおそろしく多様性があるジプシー世界の本質を探り当てるまでになった軌跡が著者の読者へのメッセージになっているのではなかろうか。

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ナチス体制下におけるスィンティとロマの大量虐殺―アウシュヴィッツ国立博物館常設展示カタログ日本語版ナチス体制下におけるスィンティとロマの大量虐殺―アウシュヴィッツ国立博物館常設展示カタログ日本語版
金子 マーティン

反差別国際運動日本委員会 2010-02
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アウシュヴィッツでロマを常設展示することに関してはユダヤ側と一悶着あったとも聞くが、加害性を問われ始めたポーランドとしても、ホロコーストの相対化という意味でユダヤ以外のチャンネルは開く必要があったろう。ユダヤとロマの共闘が実現しているのかどうか分からんが、同じくホロコーストの対象となった同性愛者は両者にとって埒外にあるものであろう。このカタログは2003年には出来上がっていたみたいだが、なぜかここにきて反差別国際運動日本委員会が版権をとって、解放出版から発売。ロマやユダヤの差別には怒りをみせるが、北朝鮮人民の受けている苦難には知らんぷりで、アウシュビッツ同様の強制収容所が現在も稼働している国を地上の楽園とする公家の武者小路公秀が序文を書いている。

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オリエンタル・ジプシーオリエンタル・ジプシー
関口 義人

青土社 2008-07-24
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ほとんどライフワークとして各地のジプシーを訪ねる旅を続けている著者だが、遂に欧州外に突入。前作に引き続き「ラティーナ」の連載ものだという。シリア、レバノン、ヨルダン、トルコ、イランと来て、ギリシャ、イタリアに戻る構成だが、中東圏のジプシーについては日本でもあまり知られてはいない。私もイラク戦争のときに、サダム・フセインに弾圧されたジプシーの記事を読んで知ったくらいのものだったのだが、ジプシーがインドから来たにしても、エジプトから来たにしても、ヨーロッパへは中東経由ということになるから、その末裔が住んでいてもおかしくはないだろう。実際に最初に定住したのはイランとされているらしいのだが、現在、中東地域に住むジプシーの多くはルーマニアなどの東欧圏からの流入組なのだという。ホロコーストからの逃避もあったらしいが、中にはイスラエルに追われて「パレスチナ難民」となったジプシーもいるのだという。これも皮肉な話だが、現在、イスラエルのジプシー人口は不明とのこと。一番多いのはトルコで、ギリシャとの住民交換でトルコ側に来た者と、ギリシャ側に行った者がいるという。これは宗教的な理由によるものだろうか。中東であれば欧州の様に外見的特徴が目立つわけでもなく、「他者」として意識されることなく、暮らしているらしい。もっともそれが「差別」より厄介な「無関心」によるものであることも明らかになる。とにかく興味が尽きない話が多いのだが、相変わらず「取材」の実際を詳らかに書く人なのだが、本人の言うところの「研究者」でも「ジャーナリスト」でもないその姿勢は好感が持てる。「研究対象」とか「救済対象」としてジプシーをみる様な上からの視点ではなく、プロデューサーが「原石」を「発掘」する様な貪欲な視点は読者にとってジプシーを理解するというより、ジプシーを近しいものに感じさせられる。実際、著者はジプシーを心から理解したことはないとしているし、金に汚い人間に出会うと親しみを感じたりもしている。最初に幾つか文化的背景の解明に命題を絞っているのだが、だんだんとその当初の目論見から外れ、専門であるジプシー音楽に傾いてしまっている。その辺りも、またジプシー的というか、親しみを感じる部分ではある。

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2008年07月25日Fri [11:59] ロマ/ジプシー | 本・雑誌 |読書メモ  

ジプシー

ジプシー 歴史・社会・文化 (平凡社新書)ジプシー 歴史・社会・文化 (平凡社新書)
(2006/06/10)
水谷 驍

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新書ではたぶん初ではないかと思われるジプシー本。著者は長年、この問題をやってきた人で、ジプシー文献の翻訳者としても知られているのだが、元々は経済学畑の様だ。この本ではそうした一般向けのジプシー啓蒙書の役割を十分果たしているし、既習者にも、まとめとして重宝する内容となっている。学究肌らしく、ジプシーとの接触を繰り返すことにより、過剰な思い入れや勘違いをしてしまったり、ジプシーを被差別民として定義することにより、階級史観から抜け出せないといったこととは無縁で、文献を整理し、それを相対化してまとめるという、基本ともいうべき研究方法が功を奏している感じもした。「ジプシー」といえば、相対化しないことには収拾が付かなくなるほど多種多様なサブグループが存在し、「ジプシー」という名称一つとっても、自称、他称、蔑称、はては商標として捉える者がいたり、バラバラであり、著者が「ロマ」ではなく、「ジプシー」をタイトルとしたことについても、様々な議論の遡上にあって、これが一番妥当であると判断したからであるという。啓蒙でもなんでもなく趣味の過疎ブログである私は面倒くさいので併記にしているが、「ロマ」を使うなら「ロマニ」の方が妥当の様だ。ただ、日本では「ロマ」がP・Cになっているので、とりあえずこれで良いだろう。とにかくそうした様々な議論をまとめてくれるのは貴重であり、インド起源説にも様々なバリエーションがあることや、フィンランドのカーロとか珍しいものや、ジプシー人口の数値の不確かさや、DNAにおける白人性といったものは勉強になる。フラメンコとジプシーの関係についても詳しいのだが、昔、大学の授業で、その辺をスペイン人(カスティーリャ人)教師に尋ねたら、フラメンコは元々アンダルシアの伝統であって、ジプシーとは全然関係ないという驚くべき答えが返ってきたことがある。この本によると「フラメンコ」という言葉自体がジプシーを意味していたこともあったというが、その起源については、影響があったのは間違いがないが、議論があるとしているのは、著者もスペイン人から似た様なことを言われたことがあったのかもしれない。最後はサンカまで出しての、「日本とジプシー」。完璧な入門啓蒙書である。

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ジプシー・ミュージックの真実―ロマ・フィールド・レポート ジプシー・ミュージックの真実―ロマ・フィールド・レポート
関口 義人 (2005/09)
青土社

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基本的には「中村とうよう系」の音楽評論(ちなみに連載は『ラティーナ』)なのだが、これが見事な社会評論になっているので驚いた。この著者の本は一冊読んではいたのだが、私は「ジプシー・ミュージック」には全く不案内かつ興味もなく、ボハン・マルコビッチとかファンファーレ・チョカーリアとか言われても、ああそれそれとか言える知識も触覚もない。極めて一般人的に映画『アンダーグラウンド』を傑作だと思ったり、著者がジプシー・ミュージックの世俗的な例外と位置づけるジプシー・キングスをかつて愛聴していた程度のものである。それが、アルバニアとかマケドニアといった東欧諸国のロマ・ミュージックを訪ねる300ページ強のコアな話についていけたのも、音楽話以外の社会・文化・歴史解説が的確(たぶん)で、限りなくロマを愛しながら、決してロマの応援団とは化さない著者の優れた観察力のなせる術だと思う。現地NGOとコンタクトをとる、ロマを「助手」として同行させるといった取材のルールを決めているのも、数多のガジョ研究者の失敗から学んだというより著者の経験値からきているものであろう。最後の「結論」も見事で、旅行記でありながら論文としての完成度も高い。「富」や「豊かさ」に興味がない、などと言えるのはその環境に一定の富が既に潜在的に備わっているからであるというのは至言である。「異系の神」(畏敬ではないのかな)の説明として、そのコミュニティから追放されれば、一転して悪魔の世界、地獄に陥る事であるとしているのもロマ社会を理解するひとつのキーワードとなるであろう。しかし、それでも足りないと思ったのか、付記を2つもつけてロマ研究の最新情報と「穢れ」の項を追加している。この辺には著者の対象に迫る上での誠実さを感じる。

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4882029715ジプシー差別の歴史と構造―パーリア・シンドローム
イアン・ハンコック

彩流社 2005-01
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著者はロマニ(ロマ)出自のクレオール語が専門の研究者。原著が1987年の第一部はロマに対する無理解と誤解・偏見を正す糾弾とも言うべき啓蒙書。当時はロマの多くが「鉄のカーテン」の向こう側に暮らしていた時代だが、「パーリアシンドローム」という言葉を使い、境界も所属も否定されたロマニが国民国家で生きる事のジレンマを訴えている。第二部はその後、現在に至るまでの数本の論文を収録したもので、こちらは具体的な問題点を挙げた上で、権利を主張するアメリカ的問題提起。ロマ二の混血性(その60%以上は欧州人であるしている)を明らかにしたり、ロマ二は全てジプシーであるのに、ジプシーはすべてロマニではないといった言説を使い、ロマニ民族以外の「ジプシー」の存在、ロマニ民族の下位カテゴリーの民族集団について言明しているのはかなり興味深い。

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2005年07月20日Wed [04:12] ロマ/ジプシー  

「ジプシー」と呼ばれた人々

4762013625「ジプシー」と呼ばれた人々―東ヨーロッパ・ロマ民族の過去と現在
ヴァレリア・ホイベルガー 加賀美 雅弘

学文社 2005-01
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日本人が編者で、執筆者のほとんどが外国人という変わった論文集。ついでになぜか英題がついており、こちらは「The ROMA」。「ジプシー」を差別語として、「ロマ」に言い換えるのが学界では常識(これは必ずしも正しくないらしい)となっているが、一般読者には「ロマ」が浸透していないとみた出版社の苦肉の策がこの並列表記か。中身は表面的な調査報告の様な感じ。執筆陣にロマの人がいるのかどうか分からないが、非ロマによるロマとの連帯を謳った本。あらためて言われてみれば、ロマがヨーロッパの殆どの国にいる少数民族という現実には驚く。唯一同じ様な立場の民族はユダヤ人であろうが、ホロコーストの悲劇を共有しながら、今日の社会的影響力が天と地ほどもあるのは悲しい現実。

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2005年06月30日Thu [21:46] ロマ/ジプシー  

ジプシーの謎

4422211668ジプシーの謎
アンリエット アセオ Henriette Ass´eo 遠藤 ゆかり

創元社 2002-11
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ビジュアル満載のジプシー読本。西欧人からみたロマの姿をちょっとオリエンタリズム入ってご紹介。中世の記述が多く、西欧人にとってロマは歴史問題でもある事を窺わせる。原書は1994年の出版だが、ユーゴスラビアやルーマニアでのロマの平均寿命は29~31歳としている。当時は両国とも混乱期ではあったが、ほんまかいな。

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