FC2ブログ
2019年06月03日Mon [19:18] ロシア  

ツァーリと大衆



博論もの。夫はオスマン史研究者とのこと。絵入り本が読書の大衆化を成し遂げたという事は定説ではあろうが、その証明は計量学的に図れるものではないか。一つのヒントとして、非ロシア系による市場拡大という観点があるのだが、ロシア語ネイティブの非識字層よりも非ロシア系の知識層がロシア語絵入り本の作り手側にも買い手側に少なくない関与があったとするのはロシア語の大衆化という意味では妥当である。そこから大きな物語を結びつかせれば、帝国主義の発展ということにもなるのだが、読書の大衆化と知識人の反乱が帝国主義の崩壊へとも導いたとも言える。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年05月12日Sun [02:24] ロシア  

シベリア抑留者への鎮魂歌



シベ抑ものも定期的に出る観はあるのだが、書き手は大体同じ人。テーマ的にはイデオロギー系が参入しそうな感じもあるが、その手のものは意外と無い。中国組と違い、当局の犬となった者たちの評価は帰還後ほどなくして決まったからではあろう。石原吉郎ら文化人が台頭し、アウシュビッツや原爆同様、悲劇の文化化が図られたこともイデオロギーの介在の余地を無くす結果になった。少なくともソ連邦の後継国家であるロシアに謝罪と賠償を求める運動にはならなかった。そしてシベリア抑留を日本だけの物語にせず、日本人以外の抑留者にも焦点を当てる研究が広がりを見せているらしい。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年04月29日Mon [01:38] ロシア  

創造された「故郷」



カリーニングラード本はあまり無いというか、あまり読んだことないのだが、ロシアから見方とドイツからの見方、それ以外の周辺国の見方とでは三者三様であろう。これは日本という「第四者」ではなく、ロシア人の本だが、それがロシア人の一般的見方を表しているのか分からんし、著者の民族も国籍も分からんのだが、カリーニングラード大学でロシア・ドイツ関係史を研究していたらしい。戦後に住民の多数派が入れ替わったという点では樺太と同じであり、マジョリティとなった「ロシア人」が単一の民族で無いのも同じである。樺太同様、移住者が集められたのだが、カリーニングラードでも専門知識を持った者の適材配置といった処置がされた訳では無いらしく、ロシアと白ロシアのコルホーズ農民が移住局によって「自発的」に移住したのだという。追放されたドイツ人の統一後の「帰還」は色々と伝えられている通りなのだが、「プロイセン的精神」の追放、ソビエト愛国主義のあるべき歴史の創造は何だか最近のお隣の国みたいで。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年04月23日Tue [20:32] ロシア  

シベリア出兵



前に出た中公新書の「シベリア出兵」の内容は忘れたが、こちらは版元色が色濃いもの。毎日の記者であった人だそうだが、一貫して「平和」畑にいた人らしい。日本軍のシベリア出兵による住民虐殺が尼港事件やシベリア抑留を相殺できるかとなるとそれは無理なのだが、原爆や南京大虐殺でも使われるそもそも論として、シベリア出兵により、ロシアは日本に敵意を抱く様になったとは出来るか。極東の小国の衝撃を受けたという点では列強も同じなのだが、それを中国侵略の前段階とすれば、抗日史観で世界はまとまるというもの。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年04月14日Sun [14:14] ロシア  

ソ連のコメコン政策と冷戦



博論もの。博士課程に12年かけたらしい。しかし、博論書籍化は1年かかっていない。82年生まれだと、ギリソ連記憶がある人かと思うが、あったとしても、コメコンはほぼ崩壊状態であったはずである。冷戦終結を経済要因に求めると、その萌芽はコメコン内の矛盾にあったと思うが、ソ連から輸入されたエネルギーを再輸出して外貨を稼ぐというモデルは結局のところ、西側に依存した東側だけで廻らない経済であるから、矛盾を自主解決することはできない。ルーマニアのチャウシェスクなどはソ連に反抗した英雄として西側に祭り上げられていたことがあったが、この辺はむしろ朝貢システムに似た冊封国有利なところもあったろう。結局、中国王朝の崩壊と同じ末路をソ連を辿ることになった。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年03月22日Fri [18:07] ロシア  

共食いの島



「共産主義黒書」にも書いていた親子2代のソ連研究者らしい。フランス人だが、親はバルト・ドイツ人で、ロシア革命のときに家族でフランスに逃れたとのこと。父親はソ連軍のプラハ侵攻の絶望の中、パリで自死したそうだが、政治的背景があったのかは分からん。タイトル通り、人肉食の話になるが、スターリン時代にシベリアのグラークで起こったこと。絶海の孤島というのではなく、オビ川の中洲の島であり、背景に食糧難があったのはたしかだが、人肉食を行った者たちは他の囚人と比べてみても、格段に痩せこけているという訳でもなく、「犯罪者」の集団であったという。満洲で狼藉を働いたソ連兵もそうしたならず者たちであったとはよく言われるのだが、それが事実なのか、階級神話なのかは分からん。ガダルカナルのケースでは身分的な理由を聞いたことはない。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年03月07日Thu [15:39] ロシア  

ソ連歌謡 



その昔、芳賀書店に向かう客で満杯のエレベーターをその前に階で降りることに軽い優越感を味わった記憶があるが、新世界レコ-ドも閉店して10年以上になるのか。というかよく2000年代まで保ったと言った方が良いと思うが、やはりこうした常連客に支えられてきたからであろう。新世界レコードと芳賀書店が同じ古書センターに存在したというのもベルリンの壁を彷彿させるものであったのだが、生き残った芳賀書店も倒産寸前だったみたいだし、この先の展望も厳しいので、単純に資本主義が勝利したというのものでもない。当時は聴いてみる手段もなかった時代なので、東側世界のレコードをジャケ買いする勇気はなかったのだが、そこに陳列されているのが、体制音楽ではないという雰囲気は感じていた。今となってはソ連でロックもエロ本も禁制ではなかったということは分かっているのだが、この本で紹介されている盤面を見る限り想起されるのはソ連という体制ではなく、70年、80年代の洋楽の雰囲気である。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年03月02日Sat [18:25] ロシア  

プーチンのユートピア



70年代に家族で亡命したロシア系イギリス人とのことだが、ロンドンから来たロシア人というのはロシアでプレゼンスが高いのか。実際は人は変わっても町は変わらないロンドンよりもモスクワの方が変化が大きく。より活動的であるというのは確かではあろう。プーチンが幾ら独裁専制であっても、人々は成功も享楽も掴むことができる訳で、運命ではなく才覚で人生を切り開くタイプの人間にはユートピアではあろう。とはいえ、こうした生き方がソ連時代に無かった訳ではなく、愛人稼業もヘルズ・エンジェルズもソ連に存在した。一寸先が闇になるのは同じであるが、それが政治的理由か経済的理由かの違いはある。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年02月13日Wed [14:51] ロシア  

ウオッカの歴史



原書房の食の図書館も底なし沼みたいになってきたが、このシリーズは一国完結にしないのが特徴。それがポリコレなのかmそいれんが、仮に「寿司」が出たとしても日本以外の記述が多くなるだろう。ウォッカもロシアのものというイメージが強いのだが、その起源は定かではないとのこと。ポーランドとウクライナが起源に名乗りを上げているのは分かるが、そもそも蒸留酒であれば、これはもう起源追求は無理である。ただ、ウォッカ=ロシアというイメージに関しては日本はもしかしたらガラパゴスなのかもしれない。アメリカではウォッカ・ブランドを立ち上げるのがセレブの流行というのもある様だし、中国のウォッカ市場でトップのシェアを占めるのがイギリスの企業だという。中国ではウォッカの出荷数が既に白酒を超えたというのはにわかには信じられんのだが、そうなのか。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年01月21日Mon [02:58] ロシア  

かわいいロシアのA to Z



かわいいロシアと言えば、マトリョーシカなのはチェブラーシカが可愛くないからという訳でもなかろうが、日本人で日本人形を可愛いと思う人はあまりいないのと同じく、ロシア人もマトリョーシカが可愛いなどとは思わんのだろう。A to Zなので苦肉の策なのかヨーグルトとか教会とかも入っていて、ロシア人にこのヨーグルト可愛いとか、あの教会カワイイなどとほざいたら、イミフになるんでは。御茶ノ水のニコライ堂などはちょっとカワイイと感ずるが。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2019年01月20日Sun [02:49] ロシア  

プーチンとロシア革命



産経モスクワ支局長で、産経連載のものらしい。河出は最近左派側っぽいが、産経産の本も出すのか。別に左になった訳ではなく、柱である文芸部門の韓国利権が理由かもしれんが、テーマが一応ロシア革命でもあるから、左だとしても整合性はあるか。プーチンとロシア革命のコラボというより、クロスオーバーさせたものだが、ロシアの愛国主義が帝政復古に向かわないのはそれ以後がどうあれ革命には意義があったという国民のコンセンサスがあるからであろう。中国で共産党が下野する日が来たとしても、帝政復古は無論、国民党回帰が起こるとは思えない。とはいえプーチンも習近平も疑似帝政であることは間違いない訳で、その意味では伝統主義者ではある。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑

2018年12月31日Mon [05:48] ロシア  

プーチンとロシア人



1980年に出したものが元なのか。プーチン=ロシア人=ソ連人という論法は分かりやすい。そこにあるのは強烈な大国意識とその裏返しである劣等感ということになるのだが、トランプはその支持基盤、習近平はその実力の点でプーチンには及ばないので、世界で一番影響力がある人間ということは確かに言えるか。プーチンが内包するソ連は強権であって、ゴルバチョフ、エリツィンに欠けていたからこそプーチンが待望されたのだろう。サンクトペテルブルグ人でベルリンにいたというのも「ヨーロッパ性」を感じさせ、クレムリンの「野蛮性」を稀釈しているのかもしれん。ロシアの「野蛮」はタタール人の遺伝子とされるそうだが、それ自体が神話である。

Comment:0 | Trackback:0 | Edit | Page Top.↑