世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ アメリカ大統領の挑戦 
2008年07月22日 (火) 22:49 * 編集 *
アメリカ大統領の挑戦アメリカ大統領の挑戦
(2008/04/25)
本間 長世

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アメリカ史の長老格である著者だが、大統領選便乗本とはいえ、「アメリカ史物語」三部作の最終作ということらしい。タイトルは都合上、こうなってしまったが、別に大統領に焦点を合わせたものではなく、アメリカ観察の古典であるトクヴィルの時代から、ブッシュ時代のネオコンまでをおさらいした通史みたいなもの。となると、前二作は、それ以前の話なのだろうが、アメリカ史を「帝国」や「消費文化」で語りたいなら、トクヴィルから始めるのが良いのだろう。そこに現代の「アメリカ批判」と通ずるものがあったのだろうが、ヨーロッパ人の「アメリカ批判」の雛形を作ってしまったので、その後の観察がそれを踏襲しなくてはならないのかどうかは分からない。とにもかくも、現代社会がめまぐるしく変化している中、アメリカには革命も起こらず、外国による占領も経験せずに、紆余曲折はあれど、この数世紀は変わらぬ社会を築いているということなのだろう。オバマが大統領になることが「革命」なのか、単なる「変化」なのかは現在のところ、不明だが、実のところ、強大な権力を擁するとされるアメリカ大統領にとっても、アメリカに「革命」をもたらす力はないということは言えるだろう。
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■ ニューヨークで夢をかなえる
2008年07月18日 (金) 09:39 * 編集 *
ニューヨークで夢をかなえるニューヨークで夢をかなえる
(2008/03)
西村 香英

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著者はアメリカで絵本作家として活躍している人らしい。留学生から、アーティスト・ビザを持つ身分になった訳だから、文字通り、ニューヨークで夢をかなえたのだろう。しかし、それには大変な苦労を要したのだよというのが、テーマになっている様だ。それは生き馬の目を抜くNYの競争社会(絵本業界では” bunny-bite-bunny”などと言うそうだ)で台頭しできたとまではいかなくても、対等にやっているのだから、タイトルに偽りはないだろう。とはいえ、女性絵本作家がイラストと、ワンポイント英会話とで構成するコラム本なので、スポ根みたいな話はしない。淡々と過ごしてきたNYでの日々を振り返るみたいな感じなので、ひょっとしたらNYに言ったら、自己実現できるのではないかと思ってるOLさんたちの夢を壊すようなこともない。たしかに、NYでは自分らしく生きることができるだろう。但し、お金とビザがあればという話である。そんな天国だが地獄だか分からない街を目指して世界中から人間が集まってくる訳だが、お金とビザというハードルは、日本人の場合、高くない様で、実のところ、決して低くはない。入国前にアドバンテージはあるが、入国後は親類に頼れる移民排出国の方が有利とも言える。独身女性に関しては相当、不利な立場にあることは言うまでもないだろう。そんなハードルをクリアしてみせたのだから、鼻高々でも良いし、それがアメリカ式自己表現かと思うのだが、このタイトルは出版社の都合で決められたものの様に思える。絵本作家が売る夢は、あくまで子どもたちへのファンタジーである。よって、他人のコイバナはあるが、自分のはナシ。
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■ アトミック・ゴースト
2008年07月13日 (日) 22:08 * 編集 *
アトミック・ゴーストアトミック・ゴースト
(2008/04)
太田 昌克

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著者はアメリカの核物質回収作戦の同行取材を許された世界のジャーナリスト3人のうちの一人なそうな。「サラリーマン・ジャーナリスト」の為の「ボーン上田賞」もとってるそうだが、共同のワシントン特派員だった人らしい。現在は社命で政策研究大学院に在籍中なのだとか。ということで、その目玉は回収作業ということなのだろうが、核物質を片手に本人が記念写真を撮ったりと、あまり緊迫感のないもの。ベトナムからロシアへの移送作戦なのだが、あまりにのんびりしているので、テロリストに襲撃されたらどうすんだなどとも思ったらしい。実はこれは公開用に仕組んだ演技だったなんてことだったら面白いのだが、実際どうだったのかは不明。目玉がこれだから、後はアメの関連人物にインタビューそて話を埋めていくしかないのだが、このテーマは何がホントで何がリークなのか分からんから、話が読めん。日本としては核廃絶という建前があるから、その辺は共同も世論に合わせなくてはいかんということだろうか。
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■ 留学カウンセラーは自分の子供をどう育てたか 
2008年07月11日 (金) 02:06 * 編集 *
留学カウンセラーは自分の子供をどう育てたか―アメリカの大学に進学した長男日本の大学に進学した次男留学カウンセラーは自分の子供をどう育てたか―アメリカの大学に進学した長男日本の大学に進学した次男
(2007/06)
栄 陽子

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またこの「カリスマ留学カウンセラー」の本を読んでしまったが、当然ながら、今回もプロモ本みたいなヤツ。前のは新書だったから控えめだったけど、この本はセミナーとか冊子の配布告知が入っている。副題に「アメリカの大学に進学した長男 日本の大学に進学した次男」と入っているので、二人の対比でも書いてあるのかと思いきや、息子の話は最初の30ページでおしまいにして、後は、親御さん向けの留学心構えを延々と記している(といっても全部で15分くらいで読んでしまったが)。で、日本の大学に進学した次男の話は実のところ書いてなく、書いてあるのはアメリカのボーディングスクールに編入した次男の話。その後帰国して、大学に進んだとみえるが、その辺は不明。日本の大学に進んだことが書いてあるのは、日大に入ったけど、やめてアメリカの大学に行ったという長男の方。なんでも偏差値35から、偏差値65に上がって、無事、新宿高校から日大に引っかかったという、カリスマ留学カウンセラーは偏差値がどういうものか、よく知らなかったのだとか。そのくせに、戸山は難しいから、新宿にしたとか言ってるのだが、日本では自堕落な生活をしていたのが、アメリカの大学に進んで逞しくなったそうな。次男は帰国して自堕落になってしまったのだろうか。親御さんとしては、その辺に幾らでも転がっている留学心得より、栄陽子が息子たちをどう育てたかの方が興味あるところだと思うのだが、これもタイトル騙しの本か。
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■ わいわいガヤガヤ アメリカ横断
2008年07月08日 (火) 13:25 * 編集 *
わいわいガヤガヤ アメリカ横断わいわいガヤガヤ アメリカ横断
(2007/01/17)
安部めぐみ+GIRLS TRAVELERS

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まあこれまで色んな本を読んできたが、このホンは一、二を争うアレ(上位は幾つか削除済み)かもしれん。まあタイトルからしてオヨヨなんだけど、期待通りというか、それ以上のものがあった。なんでも、この著者は社会人になって忘れかけていた熱い情熱を取り戻すために、女子大生だけのアメリカ横断旅企画を社内で立案したのだという。それが「GIRLS TRAVELERS」という三人組らしい。ところが、よく分からんが、「陰ながら応援するために」自らも「スタッフ」として同行し、結局、アメリカ横断したのは、女子大生三人と「スタッフ」。その「スタッフ」なのだが、企画に賛同したHISが、クルマも運転役もガイドも出したみたいで、女子大生三人はそのワゴンに乗ってアメリカ横断という次第。途中、運転役の人が病気になったりして、図らずもアムトラックとかグレイハウンド(かな?)も体験したみたいだが、LAからNYに、無事陸路でゴールイン。遂にやったね!ってことで書籍化。文芸社とかじゃなくて、これを「業務」としてやり遂げたことは、まあスゴイといえばスゴイのだが。
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■ ニューヨーク その後 
2008年07月06日 (日) 10:53 * 編集 *
ニューヨークその後―自由と希望の街はいまニューヨークその後―自由と希望の街はいま
(2007/12)
松本 百司

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この著者はNY在住の画家、写真家とのこと。美術系の里文出版ということは、もしかしたら、その筋では有名な人なのかもしれない。『ああああ』(あ出版  1966)という著書もあるらしい。よく分からんが、その当時に「あ」という字を描く前衛芸術をしていたそうで、37歳だった1970年に渡米して、色んな仕事をしてきたらしい。タイトルの意味は、「9.11後」ということなんだろうが、それは最初の60ページ超で終わり、あとはNY四方山話。日本語誌の連載していたこともあるそうだが、それとは別のものらしい。とはいえ、コラムの寄せ集めみたいで、何か脈略のない話が続く。本人も認めている様に、 1970年以降の日本の事情については疎い様で、微妙にズレている感じもする。日本で前衛やっていた時に、時代の関係だろう、政治的な問題に巻き込まれ嫌気がさして渡米したそうだが、9.11に関しては立派なアメリカ人っぽいことを書いている。まあ現場で体験すればそう思うのも無理なかろうが、日本で活字になるのは、返す刀でアメリカの報復やそれに協力する日本を非難し、「イスラーム」には同情的なものばかりだから、「イスラム原理主義」を非難したものは何か新鮮にも思える。おそらくは当時のアメリカはそれ一色だったのだろうし、その情報を日々受け続けた日本人がその影響を受けないはずはなかろう。当時の新庄選手のコメントなども思い出したのだが、そこに住む「ニューヨーカー」は愛国主義を超越した連帯感みたいなものも生じたのではなかろうか。全く外国人には理解されない「愛国心」という点では、最近の長野や世界各地の中国人と、当時のアメリカ人は同質のものだと思うが、大国の人間が自分たちを「被害者」と規定して、他者の同情を得られることはあり得ないということか。それなら、「他者」の同情を得るより、それを圧倒する独善的なパワーを見せつけた方が得策なのだろう。
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■ アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか? 
2008年07月04日 (金) 01:38 * 編集 *
アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?アメリカのベジタリアンはなぜ太っているのか?
(2007/06/26)
矢部 武

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この著者は色んな大手から何冊も出しているのだが、「あさ出版」っていうのは聞いたことがないトコだ。今回もいつも通りの、アメリカ社会病巣話なのだが、ちょっとネタ切れな感じ。それで新書には採用してもらえなかった訳ではなかろうが、肥満、宗教、ジェンダー、整形、戦争、格差と定番ばかり。最後に、取材の為、アメリカに行ったなどと書いているのだが、なんか弁明しているみたい。中身を読む限り、その形跡はほとんど窺えない。川田龍平と結婚した人を更に軽くした様なものだから、「反米もの」と言うほどの器ではないのだけど、「アメリカ人」ってそんなに単純化できるものだろうか。とはいえ、東大卒元プロ野球某選手みたいに、アメリカに失望して帰国したという訳ではない様で、アメリカ社会は病んでるが、アメリカという国には希望があるというよくあるパターンの思考らしい。世の「反米」の皆さんも大方そんなとこであろう。それもロックフェラーの工作なのかもしれんが、反米原理主義が育たないのは、こうやって適当にガス抜きしてるからかな。マイケル・ムーアもビルダーバーグ側らしいが、こうしたやり方で、帝国イメージを払拭させるのも、民主主義を維持するためにも必要なことなのだろう。
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■ アメリカの世界戦略 
2008年07月02日 (水) 02:01 * 編集 *
あめ
アメリカの世界戦略―戦争はどう利用されるのか (中公新書 1937)
菅 英輝

中央公論新社 2008-03
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新書だからこれで良いのかもしれないが、何か掴み所がない印象。朝鮮戦争からベトナム戦争、「ブッシュの戦争」までアメリカ式戦争の特徴と問題点を政策決定者の証言を交えて分析とあるけど時系列に書かれている訳でもなく、その事実のおさらいをしている様な感じにさせられる。学生さんが入門書として読むには適していると思うが、パックス・アメリカーナの本質を追求するには、反米、親米、リアリストのいずれかに立脚した方が分かりやすいだろう。イラクが明らかな失敗に終わった現在、アメリカも無理して単独行動主義に走ることもなかろうし、イランや北が相手ではその価値もなかろう。経済効果や選挙戦を睨んだ戦争は、もはや割に合わない時代に突入しているのではなかろうか。中国が旧ソ連と同じくらい力をつけ、ニュー冷戦の世紀を迎える可能性はあるが、台湾が落ちても、日本やアセアンに「中華ドミノ」が起きるとは考えにくい。むしろ「民主主義国家同士では戦争をしない」という法則が全世界に適用される時代の方が早く到来するだろう。アメリカの新世界秩序はそこで完成する訳だが、戦争という人類が生んだ最高最悪のショーが本当に終幕を迎えることができるのだろうか。
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■ GHQカメラマンが撮った戦後ニッポン ー普及版ー 
2008年06月30日 (月) 12:16 * 編集 *
senngo.jpg

ー普及版ーとなってるのは、前に豪華版が2冊も出ているからなのだが、版型を小さくしたこの本で使われている写真は大型本と重複しているのだろう。2年位前に新丸ビルでやってた展覧会のヤツかと思うのだが、アーカイブス出版はこれにカネをつぎ込んだのか、最近、倒産の運びとなった様だ。まさか、カバーに今にも噴き出しそうな顔の昭和天皇、皇后の写真を使ったからという訳ではなかろうが。それにしても、これらの写真はデジタル加工でもされたのだろうか。やたら鮮明になっていて、再現ドラマみたいに感じる。ある年代以上の人は幼い頃の記憶は白黒で残っているというのだが、私も自分が生まれる前の世界は白黒だと思っていた。色覚異常の人でも「白黒の世界」に生きている人はいないと思うが、カラーの東京PXなんて映画の世界だ。ここに載っている写真を撮った人は、GHQ専属カメラマンとして来日して、14年間も日本の写真を撮り続けた人らしい。つまり進駐軍撤収後も日本に居続けたということなのだが、アルバニア出身の移民だったのだとか。そうした出自が敗戦国ニッポンに惹かれた理由なのか分からぬが、除隊後の行動についてはよく分かってないらしい。いずれにしても、当時の日本がガイジン天国であったことは間違いない。イラク侵攻の責任が日本にあるとしたら、こういう間違った教訓をアメリカに与えてしまったということであろう。それにしても、戦後一面の焼け野原であった東京が、短期間でここまで復興するものだろうか。銀座なんてほとんど無傷の様にも思える。焼け野原にも復興した東京にも印象操作があったと見るべきなのか。
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■ 観光コースでないシカゴ・イリノイ 
2008年06月28日 (土) 02:32 * 編集 *
かんこ
観光コースでないシカゴ・イリノイ
(2008/04)
デイ 多佳子

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このシリーズで米本土が登場するとは意表をつかされるのだが、明石、五月、第三、彩流とその筋で本を出してきた著者が現在住んでいるところということで、人物本位の企画ものかもしれん。その路線から外れた芙蓉出版から出た、日系兵士の本は読んだ記憶があるのだが、彩流から出た『大きな女の存在証明』という本は気になるな。なぜか愛車と共に写っている近影をみると、たしかに著者は日本人女性としては大柄な感じだが、アメリカに行ったことと、米人と結婚したことが、それと関係あるのかは分からん。「大女」もまたマイノリティーなのだろうが、そのこと自体は、ここで書かれている黒人や先住民と連帯できる性質のものでもないだろう。この地域は色んな有名人を輩出しているのだが、高文研的にはエメット・ティルや「アル・カポーン」がヒーローで、ロナルド・レーガンにはそっけない感じ。「左翼のメッカ」とか「モルモン教」の話はあるのだが、「シカゴ学派」の話は無しか。アーミッシュはこの辺にも住んでるそうで、アーミッシュの家でランチを食べるツアーなんてものもあるそうだ。しかし、アメリカとカナダにしかいないと書いているが、パラグアイ、ボリビア、メキシコ、ベリーズにもコミュニティがあったはず。締めは「キャンプ・エリス」で、自分はアメリカ人でないことを確認か。靖国とか皇居に行ったら自分は日本人だと確認できるのかな。
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■ あなたのTシャツはどこから来たのか? 
2008年06月26日 (木) 01:16 * 編集 *
あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実あなたのTシャツはどこから来たのか?―誰も書かなかったグローバリゼーションの真実
(2006/12)
ピエトラ リボリ

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ちょっと前に話題になった本。なるほど、たしかにこれはアメリカ版「バナナと日本人」だ。かの国でも、児童労働の問題で、ナイキとかウォルマートが糾弾されて久しいから、こういう本も出るべくして出て、称賛されるべくして称賛されたというところだろう。その「手段」はTシャツだけでなく、ゆりかごからロケットまで、ありとあらゆる製品でのアプローチが可能かと思うが、アメリカから中国を往復してアフリカに辿りつく旅が、ポスト共産主義運動としての反グローバリゼーションに対する反証になっている様に思える。中国の「女工哀史」やアフリカの「白人のお古」といった、定型的な批判からは距離を置いたというか、反論する形でグローバリゼーションの動きを捉えているのは、著者がそれでも自由主義経済を信奉している証左にもなろう。その辺は「バナナ」や「エビ」の日本人とアメリカ人の違うところである。おそらくは、そうした観点からの批判も出ているかと思うが、チャイナタウンのスウェット工場や、国内で古着に頼る生活をしている貧困層など、アメリカ国内で完結する「Tシャツ」の行方は興味の対象外となっている。もっとも、この本がアメリカで話題になったのも、グローバリゼーションというものを対象にしたからであって、わざわざ中国やアフリカに行かなくても、アメリカに中国やアフリカがあることは自明のことだったのかもしれない。アメリカの高賃金も中国の低賃金と同じく、産業の空洞化を招いているという説明は秀逸だが、日本の中古輸出がもたらす第三世界の雇用についてもちょっと考えさせられる。
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■ シアトルからの手紙 
2008年06月24日 (火) 11:49 * 編集 *
シアトルからの手紙 (ガリバーBOOKS)シアトルからの手紙 (ガリバーBOOKS)
(2007/10)
碓井 静照

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これもよく分からん本なのだが、ガリバープロダクツというのは広島地場の出版社で、著者は広島県医師会会長というお方なのらしい。この版元から何冊も著書を出しているらしく「ガリバーBOOKS 碓井静照 ベストヒットシリーズ」と銘打って、巻末にズラッとタイトルが並んでいる。もしかしたら広島では知らぬ者がいない有名人なのかもしれない。広島の日野原か養老かといったところなのだろうか。その「ベストヒット・ヒロシマ」は、専門の核戦争防止から、宮本武蔵、徐福、宮島とレパートリーがある様だが、これは在米被爆者の健康診断で米国に赴いた時にしたためたものをまとめたものらしい。カバーは野球場のスタンドの風景になっているのだが、イチローを観にいったなんて話は全くなく、ブラジル移民とか、モンゴル不思議旅とか、不老長寿考とかのごった煮。著者自身の被爆体験も入ってるが、こういうのが定番のスタイルなのかもしれない。しかし、ブラジルの日本人移民がオーストラリア移民の下で多く働いたとか、親戚がサントス開拓の為チリに移民したという話は何か違うような気もするのだが、大先生に間違いはないか。
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