AIに関しては少々で、豊田工業大シカゴ校学長としての日々を振り返ったもの。専門は音声学らしい。豊田工業大シカゴ校は豊田工業大とシカゴ大が共同設立した大学院とのことで、学長選定のゴタゴタから東工大学長選のゴタゴタに巻き込まれていた著者の話が来て、就任したらしい。資金的にはトヨタに頼るが、学長にはトヨタ色の薄い人が求められたそう。アメリカの大学では卒業生の寄付が大きな財源となっているので、学費を高くして富裕層子弟を取りこむこととが基本。大きな資金の運用利益がそのまま大学の運営費になる。もちろんこの辺はピンキリなのだが、トヨタが投機的な資金運用をOKしなかったこととで、ひと悶着あったらしい。日本の大学でも運用失敗で大きな損失を出したトコがあったぐらいだから、アメリカではもっと露骨だろうけど、トヨタがスポンサーというバックグランドは大学院の進学先が流動的なアメリカでは割と人気がったみたいで、いろんな国籍の米名門大出身者が集まったとのこと。豊田工業大からの内部進学制度があるのかどうか分らんが、豊田工業大本体も今では工業系屈指の大学ではあるか。、日本の侵略戦争に関してマレーシア人に謝罪したとか、ドイツは真摯に謝罪したので周辺国に受け入れられたとか唐突に書いたりしているのだが、父親が帰還兵で戦後は自衛隊員だったらしい。色々と確執がったみたいだが、この世代の大学人のコミュ力というのも感じさせられた。


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ハート出版だが、なんだかんだ言ってもこのテーマはやはり大手は難しいのかな。在日ウイグル人社会に分断があるのか、或いは片方が在日中国人社会に吸収されているのか分らんが、それぞれの理由により日本社会でもひっそり暮らす人が一番多かろう。ウイグル語教員はそもそもパイが少ないだろうが、それ勉強する日本人の多くはウイグルに確固とした方向性を持っているだろうから、必然的にその対抗軸には抵抗を示すこととなる。こうした構造では「親日」「反日」も武器になる訳で、モンゴルの楊海英が試みている「歴史認識」のベクトルを崩す作業の有効性も確認される。関岡英之との邂逅もその一環であるのだが、モンゴル同様、ウイグルにとっても非中国、非ソ連としての日本という選択肢は当時にあっては現実的であったのではないかという想像力である。実際にはモンゴルと違って、日本の影響力がそこまでウイグルに及んでいた訳ではなかったのだが、侵略者としての日本イメージを現実の侵略者である中国によって植え付けられたことによる反動が後に生じるのは無理が無い。


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天夢人という版元も初見だが、山渓コードなのか。よく分らんが、山渓別冊のガイドブックなどの発行元にもなっているみたいで、子会社かもしれん。と思ったら、インプレスのグループ企業らしい。山渓もインプレスに買収されているので、同系会社ではあるのか。著者は80年代からアメリカ関係のエッセイなどを出している人みたいで、同世代の片岡義男などと被るアメリカ憧憬の人。片岡の親はハワイ日系人だが、この著者の親はカナダ日系らしい。この時代の日本人でこういうバックボークは志向の決定的要素ではあったう。ビリー・ザ・キッド人気もこのアメリカ憧憬世代の特徴であるのだが、アウトローがもてはやされたでもある。日本だと、よど号グループも言及した「あしたのジョー」であるが、反米帝ではない人は拳銃強盗のビリー・ザ・キッドになるか。その足跡を辿る旅であるが、時代的には日本で坂本龍馬の空気を探る旅をするようなものではある。

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LGBT研究がどうしても政治的になってしまう事の弊害は編者が指摘しているのだが、それはその担い手のほとんどが現在のところインサイダーに限られているというという事情はあろう。つまり「声を挙げる」という啓蒙主義が全面に出てしまっている訳で、その点に於いては地域研究の「他者に対する想像力」をお題目とした「誤解を正す」主義と相通じるものはあろう。東南アジアのLGBTというと、日本より自由であるというイメージがある一方で、イスラム教、仏教、キリスト教の価値観が支配的な世界であり、現実的には排除される属性である。強権政治のイメージがあるシンガポールやミャンマーでそうしたLGBT排除が行われているのは想像に難くないが、インドネシア、マレーシア、タイなども有形無形の圧力がある様で、カトリックのフィリピンも例外ではない。その中で、共産党独裁のベトナムがASEANの中でも一番LGBTに寛容であるというのは意外である。維新の大阪が同性婚の施策を掲げている点ということと関連づけているが、それは関係無さそう。大阪は同和問題からの人権関連事業があって、その延長線上にあるものという理解だが、それを言えば、社会主義も本来、人権を第一に掲げているのだから、LGBTにも対処しているというのはあるか。


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選挙前本なので、大統領選展望と両者の中国政策見解について。民主党政権誕生時に当選した人ということはぼんやりと記憶にあったのだが、中国人民大学客員教授などもしていたのか。2期目落選後は旧民主系とは決別とウィキにある。単純な反トランプでないことは読んでみて分かるのだが、予想は大方当たっているのではなかあろうか。トランプ当選の可能性の方が大きいが、バイデンの可能性も十分あり、バイデンはトランプ路線を修正するが、中国対抗策は継続し、より強固になる可能性もあると。トランプの反中はそもそも経済スキームが主であるから、そこに交渉の余地も妥協の余地もあったのだが、バイデンの場合は本人がどうであれ、人権スキームで動かざるを得なくなるので、こちらは中国共産党に交渉も妥協もその余地は無く、必然的に対抗路線となる。そう考えると、日本としても、いつ中国と妥協してしまうか分らず、日本を幾らカネを出すかでしか見ていないトランプよりもバイデンの方が良い訳で、ポスト安倍時代には結果オーライではあった。


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すっかり業界から足を洗ったのかと思っていたのだが、版元も出版も活動は続いていたのか。旅館の方は土地柄、大打撃というほどでもないかもしれんが、リモワには高コストではある。場所的にもインバウンド需要を掘った訳でもなく、出版もそうだが、老舗としてマイペースなんかな。

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宮島喬ももう80歳か。ヨーロッパと日本の比較ということになっているが、7割がた日本の話。フランス及びヨーロッパの件しか書いてこなかった印象があるから、ちょっと意外な感じがした。年齢とかコロナとかあって、海外情勢をアップデートしていくのは大変かと思うが、ヨーロッパを反面教師ではなく、モデルとして追従するという位置づけは変らんようではある。ヨーロッパに於いてはドイツの方向転換がターニングポイントになった様だが、この辺の「ドイツに学べ」教は日本とドイツの「共通性」を悪い意味で前提としている。ドイツがフランス型の同化政策に転じたとまでは言えないと思うが、フランスの郊外問題などに象徴される二世以降の社会不適合を親と同じ非熟練労働に就きたくないという意思で説明しているのは興味深い。某木村氏ではないが、学歴や文化資本が介在する子世代の階級上昇理論が破綻するのは経済停滞のみが理由では無かろう。移民二世が迎える反抗期は言葉が録に喋れず、低賃金労働に甘んじんている親に対する侮蔑感情が家庭内の父権主義と絡み合ったりもするので、親と同じ様な職業に就くことの忌避感があるのかもしれん。


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これも共同通信の人だが、団塊なのでOB。立ち位置は昨日のしばき隊記者に近いなのだろうが、場数を踏んでいる分、落ち着いている感じはする。韓国とは関わりはなく、六四時に北京支局にいて、北朝鮮、アルバニアにも取材に行ったそうだから、左翼に妙な幻想は抱いていない様だ。元々、アメリカが「夢の国」だった時代に留学したそうで、アメリカに関する観方は現地の民主党支持者に近い反トランプ。米帝ガーではないのだが、天安門事件は趙紫陽と学生が仕組んだクーデターとかよく分らん観方。

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私は嫌韓ネトウヨでしたが、暖かい在日コリアンの人たちに出会い、歴史の真実を知ることによって、正義が無い日本で反差別運動に立ち上がることにした。という人らしい。無知な学生時代ならまだしも、これが現役の共同通信記者だというから呆れる。日本人は歴史を知らない、知れば韓国の歴史認識が正しいということになるはずだ。戦犯国加害者の子孫として反省するはずといった所謂良心的日本人テンプレを体現した人なのだが、左翼にしても、右翼にしても、宗教にしてもやはり、極端な信仰を持つ人は一般人の気持ちなど取るに足らないものと考える傾向が強い。それにしても、「知人」ということになっているが、東日本大震災は日本への天罰だと韓国人に言われ、おかしいと思わず、それは日本人が酷い目をあわせてきたからだとか思えるというのはスゴイな。そこまでできればある意味大したものだが、一部の活動家の主張を在日朝鮮人の総意だとするのは危険なことで、総連にも朝校にも不満を抱いている多くの在日を無視するのは記者として以前に人間としてどうか。桜井誠かしばき隊みたいな極端な選択を求めるからどっちもどっちとなるんで、北朝鮮を「特殊な体制」で済ませてしまうのも無理がある。ヘイトスピーチは限定的だと言いながら、歴史認識とクロスさせるからおかしくなる。結局、韓国で連帯している人たちの「尹美香保護法」とやっていることは変らん。

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「留学生新聞」創刊者の在日中国人物語第2弾。前のはもう6年前で、CCCに売り込んだものだったそうだが、今回は鉄道系版元の社長が出版に熱心だったみたいで、あとがきで、これからは中国人だ、島国日本人はダメみたいなつまらんことを書いている。とはいえ、留学生新聞の中の人が選ぶ相手なので、六四前来日の同世代の人たち。留学生新聞は政治的な記事も扱っていた記憶があるが、本人は帰国後はすっかり体制に順応しているみたいで、そうした話は一切なく、苦労話と成功話のみである。〇〇でガンを直すとか、怪しい商売も散見しているが、皆、コロナ支援金には感謝を評しており、この辺は日中平等に政治不満は無しといったところか。かつて「新華僑」と称された人たちが今やバリバリのオールドカマーということになったのだが、こうした気負いが無い「新新華僑」ほど日本とか中国とか関係なく、自分の好きな道を行くという風にはならない様だ。


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台湾には戦後世代の日本時代趣味者が多くいると思われるが、その第一人者らしい。良くも悪くも台湾アイデンティの一角に組み込まれているので、特大な非難を浴びることもないというのもあるが、そうした市場が近年大きくなっていうことも感じる。台湾博覧会1935は日本の左派ポリコレ風に言うと日本の侵略による植民地台湾に於いて帝国主義皇国ニッポンの支配確立を内外に知らしめることを目的としたといった枕詞が付くのだろうが、今となっては台湾のルーツを辿る記憶の確認作業である。駅のスタンプは日本が始めたものであるというのは知らんかったが、韓国の鉄道などは戦後も残存していたところはあったのだろうか。日本では今でもスタンプラリー的な行事は盛んであるのだが、商店とかホテルとかがスタンプを用意していることはもうあまり無かろう。その意味に於いては日本の歴史は台湾と共有されている。


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Amazonも楽天も書影がおかしい気がする。どういう意図か分らんが春風社がこれで登録したのだろう。内容はあくまで政治的見地、宗教的見地における意見の相違を教員は如何に担保するかといったもので、障害者などの人権スキームの議論は対象としていない(と感じた)。アメリカも日本みたいに教員の左翼思想が大勢なのは大学以降に限られるみたいで、この辺は学校の意思決定がどこにあるかというところに収斂されるか。概ねそれは地域の政治指示基盤と相関していると思われる。進化論が未だに争点となっているのもそういうことであるが、これは云わばアメリカの歴史認識であり、日本の教科書問題と共通するところもある。生徒が教員の主張に逆らえないというのも日米同じであるのだが、教師の政治的中立性は議論の進行調整役という形で担保されるのだろう。何だか「白熱教室」みたいなまとめになってしまったが、「戦争は悪である」といった議題を白熱させる展開にもっていくには、戦争は正しいという反対意見が必要であり、米国のディベート教育があらかじめ役割を決めるのもそのためである。


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