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2021年03月08日Mon [17:40] 中国  

世界権力の移行 



どういう意図で訳されたものかは分らんのだが、世界的な政治学者で、その見識の高さというより、中国の外交政策を探るという意味で着目されている研究者の様だ。基本的には国内向けに書かれたものであると思われるが、来るべき米国から中国への世界権力の移行に向けて備えるという点では中国国内は無論、海外でもリアリティが出てきたということなのかもしれん。経済力、軍事力は米国を超越できても、中国はソフトパワーの欠如がよく言われるのだが、民主主義の押し付けをしないという新たな自由主義が機能して、世界警察無しの世界が安定を保てるかというのは未知数ではある。朝貢システム復活という説に反発しているが、中国が今、第三世界で展開している政策がネオ朝貢システムではなく、公平な貿易取引であるというのには無理があるし、諸子百家を根底に置くなら、やはり往時の世界経済を前提にはしているのだろう。一つ興味深かったのは、日本を牽制するために韓国と戦略的関係を結んだ、安倍を倒すために韓国と連携したという記述がある点。中国が対日歴史認識から手を引くと同時に、韓国がその役割を前面で担うようになった訳だが、中国は日本国内の世論喚起にももう力が無いというという現実認識から韓国に引き継ぐことにしたのだろう。この辺も元寇を想起させるのだが、現代中国の政治外交分析もやはり、中国史の膨大な知識が必要とされるんだなあと改めて思い知った次第。

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2021年03月08日Mon [17:14] メキシコ  

21世紀のメキシコ革命 



博論ものだが、書籍化で大幅に読み物的にリライトしたらしい。メキシコの壁画運動は左翼芸術の原点でもあるのだが、そのルネサンスとしてオアハカのストリートアートを位置付けているのか。21世紀のメキシコ革命はより先住民性を前面に出したものになるのもリベラル全盛時代の趨勢というより、そこに国家の拠り所を求める必然性が隣国との関係、麻薬戦争、新自由主義の弊害で再度生じてきたからなのかもしれん。其の実、サパティスタ運動に欠けていたのも先住民性であって、マルコスも先住民ではなかったのだが、先住民性と政治性、軍事性の親和性は後者が外来文化である以上、併せ持つことには矛盾が生ずる。芸術もある意味、外来文化であるのだが、先住民文化と西洋文化或いはメスティーソ文化との混合が図りやすい、つまりは後者から前者にアプローチできるベクトルがある。日本人の版画家がそうした結合文化にコミットするのもやはり良いアクセントとして機能したのだろう。

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2021年03月08日Mon [16:52] 韓国  

もしも南北統一したら 



しかし、息が長い人である。ジャーナリストは表の顔で、実際は仲介業であるから、ビジネス的旗色が悪くなった小泉訪朝後の北朝鮮番組にはあまり出てこなかった様な気がする。その頃連日出ていた、重村、伊豆田といった面々が消えると共に復活してきた観もあるが、何てことない統一利権がその背景かと分かる本。朴槿恵も文在寅も批判しているのだが、結局のところ、日韓関係ではなく、統一事業の後退がその理由であった様だ。考えてみれば、統一こそが在日がリードしてきた運動であり、南北双方で在日が評価されるのは統一しかないのであるが、そこにどれだけ日本を巻き込んで、金と世論を持っていけるかが、今の命題であろう。教条主義的な歴史認識が障害になっていることは承知しているので、日本の利益という点を前面に出さなくてはならにのだが、例の日韓トンネル騒動にしても、やはり現実と夢物語の乖離が現時点では大きいので、後世に託すしかないんじゃないの。

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2021年03月08日Mon [16:26] 東アジア  

「反日謝罪男と捏造メディア」の正体 



ワック本。最近はタイトルで勝負している感があるなあ。それだけ競争が激しいということなのだろうが、競争無しの同人誌状態の左翼系からしてみれば、本は内容だけに価値があるというのは精神勝利法に近いものかもしれん。著者が吉見義明に今、日本にで精算業に従事している6万人に及ぶ韓国人女性(そんなにいるのか)の救済はしないのかと問うたら、余力があればと答えたというのは興味深い。現在進行形の問題はあくまで余力というのは歴史学者としては当然かもしれんが、この辺が日本人と韓国人の認識の違いかもしれん。吉見とか高木健一とかは稼業だから、それで良いかと思うが、世間一般の評判など全く気にしない、気にする必要性など感じない鳩山と安倍は水と油の様でやはりその育った環境の共通項はあるかな。

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2021年03月07日Sun [04:27] 米国  

戦争の歌がきこえる



音楽療法士という職業はよく知らんのだが、老人ホームとかホスピスに行って、話を聞いて、歌を歌って癒しになる人らしい。デイサービスに行っていた親父が歌を歌わされるのが嫌だと言って、1日で行くのを止めてしまったのを思い出したのだが、おそらく自分がその立場になったら、自分もそう思うのではなかろうか。歌の趣味は年とともに変わると昔は思っていたが、童謡とか、民謡とか、クラシックとかなどは一向に好きになれんし、パンクとかを音楽療法士が歌ってくれることはまずないだろうし、逆に怒られそうだから、死期が近づいても音楽療法はご免こうむりたいものである。音楽はまあ耐えられるかもしれんが、個人的なトラウマとか、政治思想信条、歴史認識などを問われるのも面倒である。日本人として覚悟して行ったが、僕は日本兵を殺したんだと告白され、ドイツ兵としてナチに協力し、日本人と共に戦ったとか中帰連大会みたいなことになるし、その時代のことは話したくないという中国系の爺さんに対しては日本が侵略したからアメリカに来たはずだ、歴史を勉強して謝罪しなくてはとかは短絡的である。人間は人それぞれのストーリーがあり、戦争がその人生に影を落としていると決めつけることはむしろその人の人生を否定しているのではないかとも思える。

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2021年03月07日Sun [04:06] 東アジア  

移民が導く日本の未来 



国際交流の実務家とのこと。それほど明石的な感じはしないが、韓国とドイツをモデルケースにしているところくらいか。日本は韓国より貧しい、遅れているという言説は最近流行っているみたいだが、韓国の光と影の光の部分だけみればそうなるということであって、その問題点を指摘しないと、韓国称賛もただの私は嫌韓ではないですよというただのリベラル証明になってしまう。ベトナムやネパールで韓国が大人気で、日本は行きたくない国になっているというのだが、現実として数百万の借金をしてまで日本に行くとか、韓国から密航して日本へ移るバングラデシュ人とかの現実は奴隷制度だとか、情報弱者では説明するのは無理がある様な気がする。日本語教育の必要性と同化主義反対の主張は矛盾はしないかもしれんが、公権力を以て日本語を習得させるという形を取ると、十中八九反対の声が出るのでは。坂中論文から時代の意識が変わったとは思わんが、移民の受け入れは人道主義なのか国力維持なのかを明確にせず、曖昧にしてきたツケが廻ってきた様な気もする。

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2021年03月07日Sun [03:29] ロシア  

ロシアン・ルーレットは逃がさない



本家バズフィーの人ら。プーチン関係は向こうでは習近平なんかよりずっとネタとして大きくて、数も出ているのだろうが、やはりエンタメノンフィクション的にもソ連KGB的なものは今でも需要が高いんだろうな。ただロンドンがリアルで舞台になる時代だが、007は脇役に甘んじるしかない。プーチンも奥の院的存在で、関与があったのかどうか証明は無理。となると、国家権力と持ちつ持たれつのロシア人大富豪がトラブって殺されたという単純なストーリーになってしまう。その主体がプーチンなのかどうかは分らんけど、逆らったら殺す、裏切ったら殺す。邪魔者は殺すというマフィア・イメージに被るところが物語性に富んでいるということなのだろう。昔はブルガリアの件とか、東側でこうした手段は共有されていたのだろうが、ロシア一国主義の秘匿性がより脅威性を増している。

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2021年03月07日Sun [02:41] 中国  

JUSTICE 



正義もすっかり政治用語になってしまった今、もはや幅広く世論を喚起するより、特定勢力の結集というところに的を絞った方が運動効力的には正しいか。中国が歴史認識カードを韓国に引き継がせた今、中国の残党も厳しい状況に陥っているみたいだが、その親玉である童増が日本の左派弁護団と組んだものらしい。中国の愛国民族主義者と日本の左翼という組み合わせは奇妙な様で、中国の民主活動家はもはや歴史認識などはイシューとならない。韓国の進歩派が歴史認識運動を展開してくれなかったら、VANKとか徐敬徳などと組まざるを得ないことにもなるだろう。本勝の「中国の旅」からもう半世紀になろうとしているので、こうしたネオ中国の旅みたいなものは今の人にとって逆に新鮮なのかもしれん。

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2021年03月04日Thu [03:27] 東アジア  

吉田謙吉が撮った戦前の東アジア 



カバー買いしそうな物。吉田謙吉は築地小劇場のデザイナーだった人らしい。ということは転向組かもしれんが、当時の前衛は左であったというだけの話で、満洲への視察記者に応募したのもイデオロギー要因は無さそう。朝鮮は豊田四郎監督作品のロケハン・撮影であったみたいで、この「奥村五百子」という作品は東京発声と新日本映画研究所制作。戦前なので、新日本映画研究所は戦後の新日本系列とは関係ない。その写真は娘さんが管理していたそうだが、2017年に新たに発見されたものらしい。戦前に出版されたりもしたそうだが、映画も現物はフィルムセンターにも残っていないし、写真集もあったとしても入手困難だろう。量的には厳選されたのか限られたのか分らんが、当時の地図なども入れてある。読み物的はこのくらいがちょうど良いが、大型本写真集も出るのだろうか。

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2021年03月04日Thu [03:03] イタリア  

メドゥーサの首 



韓国語版が原著になるらしい。韓国語で書ける人だったのか知らんのだが、韓国留学は2006年ということで、明らかに兄二人の事件と関係しているのだろう。イタリア憧憬はプリーモ・レーヴィらユーロコミュニズムをリードしたイタリア共産主義運動から来ているみたいだが、その辺はナチスと日本、在日朝鮮人とユダヤ人を同列視する最近の韓国のニーズにもマッチしている様だ。とはいえ、イタリアでおばさん詐欺師を見抜いたとか、ドロボーが多いから気を付けるとかナチュラルに書いており、そうしたポリコレはまだ韓国では問題にはならんか。

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2021年03月04日Thu [02:11] チベット  

ルンタ 



本職は写真家で、写真集とセットのものらしい。女性かと思ったのだが、自分と同じ汚いパッカーおっさんであった様だ。チベットも中国側は難しくなって長いから、旅行記需要はあるみたいで、先日は80年代のが出ていて読んだ。こちらはわりと最近のものと思われるが、そのスタンスは別人なのにあまり変わらんか。河口慧海に藤原新也が加わったといったところだが、日本人にとってチベットとは己の鏡であると同時に永遠の他者である。

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2021年03月02日Tue [16:06] 中国  

近代中国の日本書翻訳出版史 



訳者も解説者も著者は研究者ではないので云々といったことを書いているのだが、経歴的には研究者であるし、内容的にも研究書であることに間違いないのだが、通史的扱いなのかな。このテーマで300年を網羅した「研究者」による本が他にあるのかどうか知らんが、データ、分析、解説の三拍子揃った分かりやすいものである。分らんが、現在の中国で日文翻訳は需要がかなりあって、それを目指す者も多くいるという背景もあるのかもしれん。所謂「字幕組」から正規の版権を獲った文学作品などに需要がシフトしている印象もある。現代中国語の語彙の相当数が日本語に由来していることも最近では多くの中国人が認知する様になっている。その嚆矢となった初期留学組の西洋本日本語重訳から、新中国需要と言うべき、科学書需要、内部発行の政治書、文革後の趣味本需要、そして現代の村上春樹、東野圭吾から漫画まで網羅しているのだが、中国の書誌データから漏れている日本書翻訳も相当あるのでは。日中関係がその翻訳出版と相関関係にあるのは間違いないが、戦後の友好ブーム、靖国、尖閣問題もあるのに、日本人の最大の対中好感度悪化案件である天安門事件には全く触れられていないのはお約束。

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