![]() | 東アジア経済の変容―通貨危機後10年の回顧 晃洋書房 2009-05 売り上げランキング : 338956 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
前乗りトライショーが写ってる表紙はペナンかな。ということで、これまで「北東アジア」に限定されがちだった「東アジア」をASEAN+3の枠組みで捉えた経済書。友愛政権のおかげか、たしかに「東アジア」の概念は世に広まっている気はするのだが、実際にはASEAN+3というより、日中+@といった見方が多いのではなかろうか。その中にはASEANはもちろん豪NZ印も入らず、日中に韓がオマケといった感じで、日本は必然的に中国の支配下におかれるといった認識は東アジア共同体反対論者の「定説」となっているところだろう。日中の主導権争いは東南アジアの場で鮮明になっているということは、ASEANを中核に据えれば、ASEANを制したものが「東アジア」を制するということか。この本の主なテーマとなっている通貨危機後10年に関しても、アジア通貨基金をめぐり、日本を押さえ込む中国という構図が見えてくる。もっとも、その中国と手を組んでアジア通貨基金も安保理常任国入りも潰したのが米国であることは言うまでもない。同盟関係より「瓶の蓋」が機能したことが、「友愛政権」の誕生に繋がったとは思えんが、ここで主導権を自ら放棄してしまうくらいなら、まだ「価値観外交」の方がマシに思える。豪とか印を入れるとその周辺国まで面倒みることとなるのだが、その国情を考えれば中国と主導権争いするのに相応しい国は日本ではなくインドであろう。東アジア共同体論者はドイツを見習え、EUに倣えがお約束だが、EUにロシアが入っていないことと、トルコが入れない現実を直視せんといかんね。


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![]() | 会話にスパイス masmas おいしいスペイン語 日本放送出版協会 2008-09 売り上げランキング : 262281 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
N教のテキストに連載していたものらしい。在西の人の様だが、先日読んだペルー留学の人と同時期に連載していたのかな。私が視ていたのは山崎先生の時代だったが、アシスタントのスペインの子が「ジャマサキセンセ!」と言うのが可愛かったな。元TVEの娘と記憶しているが、今は何やってんだろ。まあ若いスペイン娘のその後の姿は想像に留めておいた方が良いのだが、この著者なんかも向こうではセニョリータで通るのだろう。教皇立大学なんてのがあるのは知らなかったが、そこの助教授からカルロス鶚世大の専任講師になったとのこと。N教テキスト連載なので、日常生活で使う簡単なフレーズでありながら、教科書には出て来ない様な言い回しを紹介している。スペイン独自(という言い方も変だが)の表現も多いので、「アンニョン・ハシムニカ」講座の時みたいに揉める訳ではないが、NHKはそれこそペルー留学の講師や、アシスタントを多国籍化して対応している。ジャマサキセンセもUNAMの留学だったな。興味深かったのは、著者が「よく外国語を話していて疲れるかと聞かれるが、外国語を話すと高揚感があり疲れない」としてる点。その点に関しては同意なのだが、著者の様な24時間環境の場合でも、常に高揚感を保っているのだろうか。喧嘩とか、ジョークが分からなかったり、周囲から浮いてしまったときとかはどっと疲れがでやしないか。もっとも、著者クラスだとネイティブ並みになっているのかもしれないが、そうなったらそうなったで、日本語の場面に影響してくるものなのだが。
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![]() | シベリア抑留―未完の悲劇 (岩波新書) 岩波書店 2009-09 売り上げランキング : 8990 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「戦艦大和」に続いて、岩波新書のタブー崩しを担ったのは67年生まれの毎日記者だが、この世代より上の起用は色々と軋轢がありそうだな。このテーマに関しては先にジュニア新書の方で露払いがあったのだけど、こちらは全体像を捉えた総合編。左翼メディアの常として、拉致問題や東京大空襲同様、抑留は日本政府の関与があったという結論に導かれてはいるのだが、かといって、ソ連の行為を免罪する訳でもなく、その不当性も不法性にも十分踏み込んでいる。崩壊後20年近く経ち、ようやく岩波もソ連の亡霊から解き放された様だ。抑留協も平均年齢が85を超えるというのだから、洗脳組が影響力を行使出来る訳もなく、その先棒を担いだ「岩波文化人」を遠巻きに批判した箇所もある。一方、崩壊しなかった中国は革命の代を継いで、「中帰連」から「撫順の奇跡を受け継ぐ会」なるものを組織させたが、その中心人物を岩波に送り込む事に成功したから、当分、中国で処刑された日本人についてなどは岩波で扱うことはなさそうだ。まあ中国もスターリン評価に関しては今になっても保留したままだから、間接的にはシベリア抑留についても中立ではないのだが、ロシアの情報発掘が進めば、このテーマについても中国の「協力」が浮かび上がってくるのかもしれない。


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![]() | チャイナ・ガールの1世紀―女性たちの写真が語るもうひとつの中国史 李 子雲 三元社 2009-07 売り上げランキング : 402730 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
原題は「美鏡頭ー百年中国女性形象」というものらしい。近代から現代にかけて残された中国女性のポートレイトから、中国女性の100年を読み解くというものだが、割合は写真8文2くらいで写真が満載なので、この手のものに萌える人たちにはタマランものだろう。ただし「人体芸術」はなし。20世紀初頭だと、さすがに写真が残っているのは有名人か妓女か金持ちかといったところなのだが、撮る方も自ずとプロになるので、現代の様に、容姿からその区別がつくというものではない。実際に当時の技女のミスコンは「ミス・キャンパス」名で行われていたらしく、それはミスコンといえば、「校花」を選ぶミス・キャンパスが代名詞であったからの様だ。当時の日本の女学校でミスコンが行われていたかどうか知らんが、中国人のミスコン好きは結構年季が入ったものだったのか。それにしても北京培華女子校のチャイドレをアレンジした制服は今でも結構通用するんじゃないかな。秋瑾から宋三姉妹をはじめ、有名革命女士も総ざらいだが、天津第一女子師範時代の鄧穎超は意外とカワイイ。それがその数年後の周恩来との結婚写真では完全に林真理子になっており考えさせられる。しかし、ミスコンもそうだが、中国人が大好きのスター風結婚写真は当時からの習慣だったのか。周恩来のこんな写真が残っているとはビックリ。王光美はあの衝撃のピンポン球ネックレス姿ではなく、その原因となったインドネシア訪問時の姿。劉少奇が中山服姿なのは時代だけど、王光美のチャイドレも十分地味だけどね。張抗抗って作家は全く知らんのだけど、その知青時代はむちゃくちゃカワイイじゃん。銀歯もチラっと見える日本人好みの顔だ。その20年後くらいの姿かな。作家編にも出てるけど、やはり一番品がある顔つきしてるね。この人の作品の翻訳が出てるかどうか分からんが、久々に原書に挑戦しちゃおうかな。


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![]() | 自然のこえ 命のかたち―カナダ先住民の生みだす美 国立民族学博物館 昭和堂 2009-10 売り上げランキング : 339811 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
現在開催中のみんぱく展示会のパンフかな。カナダ先住民アートというものが昔から存在した訳ではなく、政府指導の下、定住、観光、失業対策を兼ねて始まったというのは、世界各地の先住民アートと同じ様な歴史であろう。もっとも、先住民に限らず、伝統芸術と呼ばれるものが意外と新しいものであることは、芸術というマーケットが発生したのが人類史上においては、結構最近のことであること考えれば当然ではある。そんな創成された芸術作品を鑑賞し、幻想の伝統を保護することは大切なのだろうが、一番最後に45年前に本多勝一が行った「カナダーエスキモー」村の現在を特集しているのは意味深い。ホンカツの出世作は、もう半世紀近くも前の事になるのか。当時のホンカツは「主流でない」という点だけで、カナダエスキモーも中国共産党も同じくピュアなものに思えたのだろう。アメリカ黒人やニューギニア高地人もベトナム人も然りである。45年後の彼らの姿は予想通りのものであるが、名声を欲しいままにしながら、老いては詐欺師呼ばわりされて没落したホンカツに「カナダエスキモー」の老人の姿が重ならなくもない。
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![]() | 語学の西北―スペイン語の窓から眺めた南米・日本文化模様 現代書館 2009-03 売り上げランキング : 495359 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
早稲田のスペ語教師ということで、このタイトルなのだが、「スペ語」というと卑猥な感じがするとのこと。自分も前にその様に思って、「スペ語」と言っていた学生に意見した事があったのだが、本人は何が卑猥なのかさっぱり分からないと不思議そうだった。たしかに「スペ語」とか、「マンU」を卑猥だと思うのはある年代以上のオッサンだけなのかもしれない。その「スペ語」が卑猥と思う年代の著者はスペイン語教師としては最高峰の学歴を持ちながら、スペインにもヨーロッパにも行った事が無いという。留学先はペルーで、しかもフジモリ政権初期の一番危険な時代か。旅行先の南米各国ではペルー人に見られたとのことだが、これは本人がペルー人に同化したというより、フジモリの関係の方が大きいのではなかろうか。湾岸戦争発生時に同じ国にいた事が判明し、親近感も覚えるのだが、アジア系の多いペルーと違って、他の南米諸国に行くと緊張したというのは私と全く逆だ。あの当時のリマは街歩きだけでもヒヤヒヤのところがあったし、チーノ口撃も他国より頻繁だった。よく分からんがアジア系が多いから、口撃側も「チーノ」にすぐ反応できるのだろう。これがエクアドルなどだと遠巻きに眺めたりするだけなのだが、アルゼンチンとかチリになると、見て見ぬふりをするという「先進国対応」だ。自分も日本では「ガイジン」を見ればそうしている。ペルーの兵隊などはどっちがテロリストか分からぬくらい銃を持って、目出し帽を被り軍用トラックの荷台に満載されているイメージしかなかったのだが、著者は兵隊さんとも仲良くなったそうでうらやましい。そんなペルー話は面白いのだが、スペイン語とも南米とも関係ない話が多過ぎるな。自動車保険とか、千葉ロッテとか、ブログじゃないんだから、ごった煮にするのは禁じ手だろう。最後の在日学生とのメール交換も関連性がないとは言えないが蛇足な様な気がする。読み物なんだから、何も教育的にまとめなくても。

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![]() | フランスの小さなお城に住む 中央公論事業出版 2008-11 売り上げランキング : 250683 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
著者の「フランスの田舎の生活」シリーズの一環で、その第一冊目だという。しかし、中公事業出版というと自費だろうが、そんなシリーズにして続くのだろうか。今のところ、第2弾が出ている形跡はないのだが、まとめて契約すると安くなったりするものなのかもしれない。もっともフランスのお城に住むくらいの悠々自適の人だから、カネの問題は大したことがないのかもしれない。前に出したという「僕の女房はフランス人」は読んだ記憶があったのだが、読んでいたのは別の著者の「妻はパリジェンヌ」という本だったか。そのため、「マリー・テレーズ」がどうのこうのと言われても、それが誰だかピンと来ないのだが、長男だけが仏語名で、娘2人は日本名というのは、嫁さんの連れ子なのかな。もっとも息子も幼児期から育てているみたいだから、男は日本人風だと受けが悪いが、女は日本人女性だとフランス娘より有利なところがあるのかもしれない。モロッコにも十五年いたそうだけど、モロッコで本を出すつもりはない様だ。というかフランス脳になってしまうと、モロッコなどフランスの一部みたいな感覚なのかもしれない。何でもラバトへの機中でトルシエ夫妻と知り合ったそうで、ラバトの日本料理屋を尋ねられて、いい所を知っていると言ってみたものの、実はラバトには日本料理店モドキが数件あるだけで、困った末、大使館公邸にトルシエを招待してもらったという。まあトルシエなら大使も嫌とは言えないというか、十分過ぎる賓客であろう。トルシエはたしか当地でイスラムに改宗したはずだが、何を食わせたのかな。もっとも日本にいる時にチュニジア人のコーチと一緒にチャーハンとギョーザを食ってる写真が出たこともあったから、その辺はあまり気にせんのかもしれんけど。
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![]() | 語源を知って読みたい漢字 PHP研究所 2009-07-24 売り上げランキング : 313523 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
漢字本だが、阿辻先生の様な中国語プロパーでなく「正しい日本語研究会」の人が書いた本なので、主に日本語における漢字の使い方を正す本。漢字熟語の日本語読み下しテストが延々とあるのだが、こういうのってどっかの国語テストで出るものなのかな。四字熟語も定番のものが多い。どれが中国語起源なのか分かると助かるのだが、愛用していた日中四字熟語辞典はもはや蔵の中。中華の「華」と「夏」が同じ語源だというのは日本人には同音で分かりやすいけど、中国人の若いのとかだと知らない子もいるかもね。「呉音」で同じだったのかどうか分からぬが、粤語だと今でもその痕跡はあるな。北京語だと全然違う音になってしまっているけど、そうすると「華夏」というのは「和倭」みたいなものか。
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![]() | 司馬遼太郎の歴史観―その「朝鮮観」と「明治栄光論」を問う 高文研 2009-08 売り上げランキング : 42607 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
高文研の本で今や稀少になった旗田巍史観の生き残りの著者であるから、その狙いは言わずと知れたもののなのだが、今更、「坂の上の雲」に噛み付いてもねえ。とにかく司馬は日本が朝鮮に与えた苦痛を書いていないからいけないとの一点張りなのだが、史実でもなんでもない小説に歴史家を名乗る者が批判してどうする。あの小説が「日本人の元気の素」となっているのが気に食わない様だが、中塚が奉ずる韓国、北朝鮮人の歴史観などその全てが「韓国、北朝鮮人の元気の素」ではないのかね。中塚の様にその歴史観に異議を呈す歴史学者がいたら、韓国では社会的抹殺、北朝鮮では身体的に抹殺されるというのに。その辺が奇妙にも日本の思想学問の自由を表す証左ともなってしまっているのだが、朝鮮の歴史を全て抵抗史観で捉えるのは如何なものか。その事実がないものでも「萌芽論」ででっち上げるのは古田博司の指摘している通りだが、その抵抗史観の「萌芽」自体が、戦後北朝鮮の金日成思想であり、しいてはマルクス主義と民族主義の共存がなった戦後一時期の共産主義思想から一歩も抜け出ていないものである。金大中事件に関して、神谷不二が「人権問題だけで韓国を責められない、踏み込みすぎるとかえってマイナスとなる」と韓国の軍事政権をあまり非難するなとコメントしたとし、和田春樹がその静観論を批判したとしているのだが、何だか、神谷は亡くなったが、今の北朝鮮に関して左右が入れ替わってしまった様で面白い。中塚は北朝鮮による拉致をでっちあげだと大見得を切った男だが、そんな人間に司馬の歴史観を批判されても、共に「民族の元気の素」である司馬と金正日の歴史観のどちらに普遍性があるかは答えが出ているんではないかな。日本が別にそう宣伝している訳ではないのに、日露戦争で日本がロシアを破った事を賞賛する第三国の人は多いが、北が国家ぐるみで「萌芽」をばらまいている主体思想は資金が続いていないのか、さっぱり芽が出る気配はない。世界の知っている歴史がやはり「真実の歴史」になるんじゃなかろうか。

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