世界読書旅
ここ数年に読んだ海外関連本の感想など
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■ 核を売り捌いた男 
2008年05月16日 (金) 12:01 * 編集 *
核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実核を売り捌いた男ー死のビジネス帝国を築いたドクター・カーンの真実
(2007/11/13)
ゴードン・コレーラ

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「核を売り捌いた男」とはカーン博士のこと。著者はBBCの記者で、カーン個人の評伝としてではなく、カーンのネットワークの究明に努め、リビア、イラン、北朝鮮の旧「悪の枢軸」への核兵器移転の可能性を探っている。ということで、かなりの長編なのだが、BBCのアメリカ国務省担当特派員という身分が、こうした「情報戦」の役割の一端を担っている可能性というものはどうなんだろうか。カーンのあの「謝罪メッセージ」は、たしかに奇妙な幕引きにしか思えないのだが、はたしてCIAの圧力にパキスタン政府が応じたという筋書き通りなのだろうか。パキスタンの核が「対インド」を名目にして、インドの核が「対中国」を念頭にあったことを考えると、インドの核を容認し、パキスタンの核には厳しく対処するというアメリカの姿勢(当然ながら、日本のそれに準じている)は核のドミノ現象をインドで止めたいというところなのだろうが、実際には核のイスラーム化を一番恐れているのであろう。フセイン政権を力で打倒したことが、カダフィの決断を促したとするなら、イラク戦争にも意義があったというものだが、次のターゲットであるイランに全力を傾ける中で、北朝鮮が漁夫の利を得るのは、たまったもんではない。この本によれば、リビアの核はカーン・ネットワークに丸々依存していただけなので、その根元を断ち切れば、自主開発能力のないリビアは、西側が与えたエサに食らいつくより他はかった様だが、イランや北朝鮮はそう一筋縄でいくものではない。この時代に、カーン・ネットワークだけが独占できる技術や資材などがある訳でもなく、つまるところ、カーン・ネットワークが管理を逃れ、自由に行動できたことが、問題を複雑化させたということなのだろう。ただ、そうなると、なぜ、カーン・ネットワークが制約を受けなかったかということが問題になってくるが、これも9.11並みの陰謀論の世界と関係してくるかもしれない。ひょっとすると、リビアは最初から当て馬に過ぎなかったのではないかという疑念も生じてくる。
# * パキスタン * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 太ったインディアンの警告 
2008年05月16日 (金) 02:50 * 編集 *
太ったインディアンの警告 (生活人新書)太ったインディアンの警告 (生活人新書)
(2006/10)
エリコロウ

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「太ったインディアン」は何かを捩ったタイトルの様に思ったのだが、「痩せたソクラテス」じゃなくて、何だったか思い出せん。で、そんなことはどうでもよいのだが、これはタイトル通り、アメリカ・インディアンが白人食文化を受け入れたがゆえ、太って、病気になり、死んでいくというシャレにならないお話。著者はインディアンものを何冊か出している人らしいが、日本人。ダンナは白人っぽい。ジャンクフードの害については、もうタバコと同じくらい類書が出ているから、今さら啓蒙でもないんだろうが、在米の白人家庭に嫁いで、アメリカン・インディアンの研究をしているという、正に「最前線」にいる人から言われると、たしかに説得力がある。親族も俎上に載せているのだが、相手が日本語を読めないことをいいことに、もう言い放題。デブとか、チビ、ハゲといった身体的特徴をあげつらう表現は、向こうでは日本より許容度が高いのだろうが、日本だったら絶縁ものかもしれん。しかし、政府の食糧援助を背景としたインディアンの食生活の変化は、戦後日本のソレと重なる。ララ物資は日本に「粉もん」文化も根付かせたのだが、米飯が高カロリーで、身体によくないという認識もあったとは知らなかった。「節約遺伝子」は仮説に過ぎないらしいが、白人にとって米は遺伝子が受け付けない食物なのかもしれない。最近の「牛乳論争」もそうした文脈で争われている様だが、粉ミルクで育った世代が後世の遺伝子も変化させるには、何世代必要なんだろうか。肉食自体が、まだ100年くらいだが、「中国製」を常食する様になったのは、ここ10年くらいか。私の「節約遺伝子」もやはりパニクってしまったのだろうか。
# * 米国 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ ガイドブック 小林多喜二の東京
2008年05月16日 (金) 01:46 * 編集 *
こばたけ
ガイドブック小林多喜二の東京
「ガイドブック小林多喜二の東京」編集委員

学習の友社 2008-03
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蟹工船が売れてるらしいから、こんなんも出るか。
# * 雑多 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 日中の経済関係はこう変わった 
2008年05月15日 (木) 23:06 * 編集 *
日中の経済関係はこう変わった―対中国円借款30年の軌跡日中の経済関係はこう変わった―対中国円借款30年の軌跡
関山 健

高文研 2008-02
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著者は1975年生まれの「外務省経済政策専門家」という人らしい。元々大蔵にいたそうだが、財務省で退職して、外務省に入り、現在は東京財団研究員でもあるという。外務省職員のまま東京財団で仕事が出来るのかどうか分からんが、香港大学や北京大学にも留学したそうな。中身はズバリODA史なのだが、版元が高文研というのも立ち位置がよく分からん。高文研にも不満分子がいるのは確認済みなのだが、中共プロパガンダの線も捨てきれん。高文の担当編集者がアマゾンで自演レビュー書いているのはキモい。この著者が実際にODA政策に携わった訳ではないのだそうだが、元々は北京大の修論ネタなのかもしれない。ODAの歴史に関してはおそらくその通りなのだろうが、終了の暁には中国も歴史から抹殺するだろうから、南京カードに対抗する上でも、「過去の鑑」として記録しておかなくてはならないだろう。「反日デモ」の時に、敵の狸外相とやりあって、ついでにODAの息の根を止めた町村が全てを台無しにしたみたいなことが書いてあって、親中の真紀子を評価したりしているから、てっきり、ODA存続論者かと思ったのだが、最後に町村を支持するとか書いている。アジアカップや反日デモにも憤懣を覚えない訳ではないとしている。バランスをとった様だが、感情論に流されてはいけないということらしい。たしかに、ODA自体元々、日本が始めたものだから、中国を怒らせるのは得策なのではないのかもしれない。とはいえ、「卒業」を「有終の美」に変えたところで、数兆円を費やしたODAの評価が定まることは今後もないだろう。リアリスト的には、中国の経済発展に少なからずの貢献があったと思っていいのだが、奴さんが「自力更生」という建前でいることは、公的には尊重していくことになるのだろう。その後釜に、合同での第三国支援を提唱しているが、これは気をつけた方がいいんじゃないか。朱建栄は、日本が資金を出し、ノウハウを持つ中国が現地で活動するなんて調子イイことをほざいているし。せめて、後釜ナンバーワンに位置づけている草の根援助資金は将来、日陰の立場に置かれないことを願うのみだが、その為にも、やはり「少数民族地域」に重点的に投下してほしいものだ。それもなるべく「同化」を伴わない分野で。大変難しい注文だろうが、一千万といっても血税なんから、ちっとは学習しないとね。
# * 中国 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ インドに呼ばれて 
2008年05月15日 (木) 11:32 * 編集 *
インドに呼ばれて―印度万華鏡インドに呼ばれて―印度万華鏡
(2007/08)
宮崎 佳代子

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元日航スッチーのインド旅もの。「企画」っぽいから、別にいいんだけど、400ページ超は長すぎねえか。ゴミ本らしく200ページ以下にしてくれれば助かったのだが、コーヒー2杯分くらいの時間を浪費にてしまった。ということで、著者のインド旅の一挙手一投足を読まされてしまったのだが、インドでは女性が得か、男性が得かということを改めて考えさせられてしまった。普通は女性が損。男性も損だけど、女性よりマシといったところなのだが、男は一般インド女性とはデートすら困難なのに、女性はその気はなくても、ウジャウジャ寄ってくる。そういう連中は得てしてダメ元のウザいインド男ばかりなので、男性免疫がない女性以外はムリムリ最低。となるのだが、どうも奴さんも相手を選んでいるところがあるみたいで、ビジネスクラスなどに乗ると、それ相応な男が寄ってくるものらしい。スッチーだからその辺は百戦錬磨なのだろうか。ギリギリの線で「擬似恋愛」も「ウルルン旅」もゲットしてしまうのだから、さすが旅の達人というか。ビジネスはスッチー割引で乗れるのかもしれんが、ミネラルウォーターを沸かして飲むような旅でも、それなりに愉しめるもんなんだな。と改めて納得。もっとも、「地獄への扉」みたいな宿に泊まって、一膳飯屋のパニも飲み干す様な旅も、向こうさんからみれば、苦行の愉しみとしか映らんだろう。まあ、それは否定できないことは確かなのだが。しかし、スッチーのナンパ対策はマニュアル化されているらしいが、FとYだと、その応対ってやっぱ違うのかな。
# * インド * Comment (0) * Trackback (0) *
■ フェア・トレードを探しに
2008年05月15日 (木) 10:53 * 編集 *
フェア・トレードを探しに FAIR TRADE TRAILフェア・トレードを探しに FAIR TRADE TRAIL
(2008/03)
三浦 史子

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ただの礼賛本かと思ったら、そうでもなかった。
# * 雑多 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 日本のシンガポール占領 
2008年05月15日 (木) 02:18 * 編集 *
日本のシンガポール占領―証言=「昭南島」の三年半日本のシンガポール占領―証言=「昭南島」の三年半
(2007/01)
リー・ギョク・ボイ

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なんか既読感はあったのだが、1996年に出たヤツを増補改題したものらしい。教科書問題かなんかで揉めていた時に、シンガポールからの援護射撃風に翻訳されたものだったと思う。あの頃は陸培春がまだ健在だったのだが、最近聞かないところみると、まだ、ほとぼりは冷めていないのかな。ということで、最近また日本が「右傾化」してるというので再版と相成ったらしい。監訳は学習院高等科の先生とのことなのだが、この訳者は梨の木とか明石から、その筋の本を何冊か出しているみたい。この本でも最後に内容と関係なく、延々と「右翼教科書」糾弾を繰り広げているのだが、ヒロヒトの戦争責任も問えという立場の人らしい。学習院って意外と自由な校風なんだな。一方、肝心のシンガポール人の方なのだが、これも意外に日本人に対して甘いところがあって、日本も悪いけど、それを以って英国を免罪することは許さんという主張が明確に出ている。初版には、訳者だったかが、この著者のオバサンに「英国人ってホント、マヌケでしょ」みたいなことを言われたなんて書いてあった記憶があったのだが、今回はそれが見当たらない。とにかく、「右翼歴史修正主義者」の攻撃で忙しかったみたいだ。まあシンガポール人としても、大きな顔してたイギリスが、あっけなくバカにしてた「東洋人」に占領されてしまったのだから、後の独立運動や、白人不信の契機になったことは否定できるもんではないだろう。もっとも、それは独立国家の現在にとっては、あくまで「過去」の問題であって、今尚「抗日戦争」を戦っている中国共産党は訳が違うというものである。著者と訳者の間にもその辺に微妙なズレがある様な気もするのだが、ただ、「右派修正主義者」を弾劾しているだけでは、学習院の生徒さんたちもポカーンだろう。やれ、戦争反対だ、平和だ、九条だとかワンパターンでアジっていても、若者はそのジジイ連中が、チベット問題一つとっても、中国には何も言えないことを見抜いているからねえ。
# * シンガポール * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 中国人のDNA 
2008年05月14日 (水) 23:17 * 編集 *
中国人のDNA―世界の常識に逆らう人たち中国人のDNA―世界の常識に逆らう人たち
(2007/11)
鷲尾 謙治

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副題は「世界の常識に逆らう人たち」。また中国人は犯罪者のDNAとか言い出すヤツかと思ったのだが、そこまで酷くはないが、まあその線の本。著者は高校の英語の先生をしていた人らしいのだが、退職後に中国の大学で日本語を教えるという、よくあるパターンで、西安に4年ほど滞在したとのこと。そうしてまた「中国通」が1人誕生した訳だが、この本は西安の日本語科主任の先生に勧められて書いたのだという。その中国人の先生もリップサービスで言ったまでのことだろうが、まさかこんな「傷害中国人的感情」の本を書かれるとは思ってもいなかっただろう。黄文雄とか石林(石平のことか?)の本をよく読んでる人らしく、中国人に対する違和感をそれで納得させたみたい。この手の退職教師は中国側としても安く使えるから重宝しているのだが、教師の側としても、例えお小遣いにもならぬ給料であっても、中国人の学生がら日本では得られなかった師弟関係が得られるとあって、これまではうまく機能してきた様にみえる。しかし、現在、西安だけで大学が100校というのはホンマかいな。東京でも大学はそんなになかろう。そんな時代にあっては、大学もピンキリで、学生もピンキリ。そのうち学級崩壊や小日本老師呼ばわりされる退職先生も出てくるのだろう(実際、中国語が不自由なことをいいことに、言い放題だった授業を目撃したこともある)。幸か不幸か、この著者はそうした動きには気がつかなかったみたいだが、在勤中に西北大学事件とアジアカップ事件に遭遇して、怒り心頭に達した様だ。それで、学生に議論を吹っかけたりしたそうだが、日本語学科の学生はそんな墓穴を掘る様なマネはせんだろう。結局、怒りの矛先を向ける所がなくなって、やはり日本人の勤勉さが一番とかジジ臭い結論になってしまうのだが、「女性上位で家庭安泰」というのは、ちょっとムフフ。中国ではあまりなさそうだけどね。
# * 中国 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ ソ満国境1945 
2008年05月14日 (水) 14:22 * 編集 *
ソ満国境1945ソ満国境1945
(2007/08)
土井 全二郎

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著者の肩書きは「朝日新聞元編集委員」というものになっているのだが、光人社らしい戦史ものを多く書いている人の様で、これも大陸における終戦時の秘話を集めたもの。中国や朝鮮に対してはその過酷な体験も遠慮勝ちになってしまうところが多いのが、ソ連に対しては、殆どの証言者が悪感情を隠さない。「シベリア帰り」をGHQが恐れた様に、抑留者の多くを「スターリン主義者」に育てて、帰還させた筈なのだが、帰国後に「社会主義の祖国」へ貢献する人材はそう多くなかったとみえる。「日本新聞」など、ラーゲリ内の「革命」は成果があった様だが、それも単なる生存競争に過ぎなかったということであろう。その意味では、「中帰連」の後継組織まで作ってしまう中共は恐ろしいのだが、その意味でもロシアの方がいい加減であり、それがその後の国家の運命にも反映されているということなのであろう。しかし、ソ連兵の乱暴狼藉は、囚人の仕業という説があるとは知らなかった。たしかにヨーロッパ戦線で、そうした話はあまり聞かないのだが、満州国境に雪崩れ込んだ先兵は、シベリアの流刑者だったのか。もっとも、欲求不満の赤軍女性将校が関東軍兵士を逆レイプしたという胡散くさい伝説は別としても、赤軍兵士が規律のとれたものであれば、最終章の様な悲劇は生じなかったとも思う。泉靖一が堕胎手術に失敗たなんて話が出てくるのは意外だが、中国や韓国の「歴史認識」というものは、日本人がソ連に対して議論の余地なしとしているのと同質のものなのかもしれんね。
# * ロシア * Comment (0) * Trackback (0) *
■ カメラは時の氏神
2008年05月14日 (水) 13:38 * 編集 *
カメラは時の氏神―新橋カメラ屋の見た昭和写真史カメラは時の氏神―新橋カメラ屋の見た昭和写真史
(2008/01)
柳沢 保正

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栄枯盛衰のカメラ屋一代記か・
# * 雑多 * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 神の棄てた裸体 
2008年05月14日 (水) 02:00 * 編集 *
神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く神の棄てた裸体―イスラームの夜を歩く
(2007/09)
石井 光太

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この著者はデビュー作が、かなり評判になり、私も読んで感心したのだが、その続編とも言うべき、この本には違和感が拭えない。イスラーム圏の性についての体験的ルポは、あまりない(夕刊紙で誰かやっていた様な記憶はあるが)ものだし、こうして単行本として出るのは、「タイ売春読本」とは、また違ったリスクもある。それこそ「処女地」に近いものであるからにして価値は高いとも思える。著者は前作の印税を注ぎ込んで旅に出て、インドネシアからパキスタン、ヨルダン、レバノン、イラン、マレーシア、ミャンマー、アフガニスタン、インド、バングラデシュと売春宿に住み込んだり、路上生活者の生活に密着したりと、イスラームの性に濃密に接近する。しかしだ、この全てが、わずか半年の期間の体験であるというのは、到底信じられない。世界が悲惨で満ち溢れているのは事実としても、これがメタフィクションであることは、誰しも分かることではなかろうか。優れたノンフィクションはその辺をギリギリの線で勝負してくるものだが、ここまで明らさまだと、最初から「小説」と銘打った方が良いのではないかとも思う。もっとも『東方見聞録』とか、『何でも見てやろう』同様、「処女地」を開拓したものが、「処女」を自由に料理する権利があるということを否定するつもりはない。
# * 南アジア * Comment (0) * Trackback (0) *
■ 漢方読みの漢方知らず 
2008年05月13日 (火) 23:57 * 編集 *
漢方読みの漢方知らず―西洋医が見た中国の伝統薬 (DOJIN選書 6)漢方読みの漢方知らず―西洋医が見た中国の伝統薬 (DOJIN選書 6)
(2007/06/01)
吉田 荘人

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化学同人の「土人選書」はこんな本も出していたのか。副題は「西洋医が見た中国の伝統薬」で、これも医者が書いた本。この著者は上海医科大学客員教授も務めたという人で、中医にも造詣が深い人の様。「蒋介石秘録」なんて本も書いているみたいだが、これは「かもがわ出版」か。思想にも大陸派なのかもしれない。そのことが関係しているのか、「化学同人」なのか分らぬが、思い切った漢方薬批判を展開している。なんでも中国、台湾でも「中医」の利用率はかなり低いそうで、若い医師ほど西洋医学を選択することが多いのだそうだ。中国政府が中医と西医の割合を均等にしようとしている点にも批判的で、科学的根拠のない中医より、医者も患者も西医を選択するのは当然だとしている。そうした漢方の祖国の状況にも関わらず、日本で漢方に副作用がないなどという「伝説」がまかり通っているのは許せないらしい。日本で処方される漢方薬は、その実、エキスを抽出しただけの化学製品であることは事実なのだが、所謂、民間療法や漢方信仰の危険を存分に指摘している。しかし、クスリをやたら出す医者は信用する必要はないとしながら、医者の出すクスリを自分の判断で飲むのを止める患者を糾弾するのは矛盾しているのでなかろうか。自分の体のこと自分で判断するというのは正論なのだが、そこに医者としての矛盾があるのかもしれない。著者がどういうきっかけで中国と関わるようになったのかは知らぬが、中国の医学史は、あまり読む機会がないので、結構興味深かった。「中体西用」で、入ってきた西医と中医の間で、相当な戦いがあったらしく、「中医」という呼称も、その時に「国医」から改められたものらしい。非科学だとして「反西医」運動の先頭に立ったのは汪兆銘だそうで、最近の中国政府の「中医振興策」はその辺も関係あるのかと疑ってしまう。もっとも、それは自らが「西医」であった孫文の影響によるものかもしれない。孫文はその「肝臓癌の末期においても、周囲が勧める中薬を飲むのを拒否していたそうだが、汪兆銘も中医にかかっていたら、名古屋なんぞで死ぬこともなかったのかもしれない。もっとも、その場合でも、もっと悲惨な最期が待っていただろうが。
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