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2021年03月02日Tue [16:06] 中国  

近代中国の日本書翻訳出版史 



訳者も解説者も著者は研究者ではないので云々といったことを書いているのだが、経歴的には研究者であるし、内容的にも研究書であることに間違いないのだが、通史的扱いなのかな。このテーマで300年を網羅した「研究者」による本が他にあるのかどうか知らんが、データ、分析、解説の三拍子揃った分かりやすいものである。分らんが、現在の中国で日文翻訳は需要がかなりあって、それを目指す者も多くいるという背景もあるのかもしれん。所謂「字幕組」から正規の版権を獲った文学作品などに需要がシフトしている印象もある。現代中国語の語彙の相当数が日本語に由来していることも最近では多くの中国人が認知する様になっている。その嚆矢となった初期留学組の西洋本日本語重訳から、新中国需要と言うべき、科学書需要、内部発行の政治書、文革後の趣味本需要、そして現代の村上春樹、東野圭吾から漫画まで網羅しているのだが、中国の書誌データから漏れている日本書翻訳も相当あるのでは。日中関係がその翻訳出版と相関関係にあるのは間違いないが、戦後の友好ブーム、靖国、尖閣問題もあるのに、日本人の最大の対中好感度悪化案件である天安門事件には全く触れられていないのはお約束。

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2021年03月02日Tue [15:36] 米国  

世界を動かす変革の力



ブラック・ライブズ・マター運動共同代表の人とのこと。この運動がどこまで組織形態なのかは分らんのだが、オーガナイザーという職はアメリカでは確立されていて、日本の「オルグ」の様なマイナスイメージは無いと思われる。オバマもその経歴にオーガナイザーであったことを刻んでいる。訳者は人権学習コレクティブとなっているのだが、明石によると「多国籍のメンバーで2014年に設立した東京を拠点とする団体。国内外の研究者や旅行者などを対象に、通訳を介して日本におけるマイノリティの権利運動や差別の歴史について学ぶ機会を提供する。」で、運動体であることを示している。こうした運動体がむしろ分断を生み出しているという感覚は一般的であると思うが、運動体の目的は一般人を覚醒させ、革命を起こすことであるので、一般人の感覚に寄り添う戦略を立てたりはしない。つまりは信じる者だけが弱者を救えるという宗教であるのだが、マジョリティが強者であるという前提を受け入れる必要がある。著者の自伝的な部分は読み易いのだが、社会的には強者である自分を人種的に弱者の自分が打ち負かす物語である。

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2021年02月28日Sun [04:53] 東アジア  

ユニークな「日本文化」論 



日本僑報社かと思ったら、朝日新聞出版であった。中国メインでないということもあるんだろうが、ようやく古巣に認められたというか、朝日もこの流れに逆らえなくなったというか。そういう意図か分らんが、最近のに加え初期の中国人入選作文も載っていて、ほぼ全員、歴史認識触れ。中国人の作文からお約束の歴史認識が消えたのは2005年の暴動以降かな。最近はほぼ見かけない。分らんが、20年くらい前までは先生は満洲国時代に日本語を習得した人という学生が結構いて、先生は要求しなくとも、その辺の忖度は江沢民時代では常識でもあった。今はどこも若いネイティブ教師や帰国中国人が先生だから、その辺は野暮にはなろうし、そもそも興味はアニメとかなんだから、政治学習は糞というのが普通。日本女性の社会進出ガーとか書いているのはやはりハイキングで出会いそうなドイツ人。日本人は排他的だ自己主張せよとか言っているコスタリカ人(なぜかコスプレ)とかもいるが、こういうのは少数派。日本人はそれが慣習なんだからそのままで良いと書いているのは台湾人。中国人は日本に学べ式がまだ多数で、東欧は日本好き爆発型、スーダンとかパキスタン、イランといった国は自国を誤解しないで系。賞金もかかっているし、まあ大抵はユニークというか日本高評価だね。

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2021年02月28日Sun [04:05] 中国  

弁護士が語る中国ビジネスの勘所 



金融財政事情研究会のKINZAIバリュー選書というやつらしい。さすがにこんな選書も協会も全く知らんかった。よく分らんが、FP検定をしている社団みたいだが、別に日本FP協会(こっちは聞いたことがある)というNPO法人があって、FP検定はどっちで受けても、資格として認められるらしい。試験問題は別なのだろうか。これだと、どっちの方が受かりやすいとかありそうだが、合格率は8割くらいなのか。金藤力というと、金融畑の人かとも思ってしまうが、弁護士でキャストの中国駐在とのこと。中国で外国人弁護士はたぶん認められていないだろうが、中国人弁護士雇うにしても、日本の法律法人の需要は高いか。中国ビジネスの勘所は昔は共産党の偉いさんと付き合うというだけであったが、今は法務畑が機能することか。

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2021年02月28日Sun [03:47] ブラジル  

カズのまま死にたい



何回か読んだことはあるのだが、日経に連載されていたコラム。さすがに「私の履歴書」ではない。本当にカズのまま死んでしまったら、「私の履歴書」にもお呼びがかからないか。たぶんカズよりも、将来的な協会会長、FIFA委員が見ている宮本とか長谷部の方が「私の履歴書」に近いかもしれん。実際、60近くになって監督修行から始めるのも難しそうだし、アルゼンチンにおけるマラドーナみたいな存在でもないから、引退後は中田英みたいに気ままに過ごすのだろう。中田とはあまり接点ないのかと思っていたのだが、一緒に食事に行く仲らしい。ジャニー喜多川とかマイク・タイソンとか田原俊彦とかもそんな関係みたいだから、今更、サッカー人脈に頼って生きていくことはないか。

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2021年02月27日Sat [02:55] 米国  

同性婚論争



博論もの。元々ゲイカルチャーに興味があって入ったそうだが、本人の自己認識に関しては書いていない。運動調ではないが、アカデミアのリベラル基準に則している。アメリカでこの問題が政治イシューとして大きくなるのは反対運動もアクティブであるからであって、その背景にキリスト教があることは言うまでもない。日本では完全に少数者の権利問題であり、反対も賛成も別世界の話といった反応が多いかと思う。自然の摂理としては間違っている様に思えるが、それが神の意志に反しているから違法だということにはならない。LGBTQとかフェミもそうだけど、基本、反対者という敵を作って、正義の抵抗という形をとらないと運動として認識されないという致命的欠点があるので、どうしても政治に利用されてしまう。アメリカの様に神の正義と普遍的人権の正義みたいな神学論争にならない以上、国を二分するような盛り上がりにはならないのだが、夫婦別姓の方だと旧守派という打倒すべき敵があるのでやりやすいか。そんなことを思っていたら、早速共産党が落とすべき議員のリストを作って公開した。こういう足を引っ張る政治屋があるから、伝統は安泰ではあるのだが、二大政党制だと分断になっていたかもしれんね。

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コロナ本としてはわりと早い時期に出てたんだな。マスコミや野党から韓国を見習えの大合唱が起きていた時期だったから、クオンも速攻で翻訳したんだろう。勝利宣言とまではいかんが、K防疫なるものの誇りみたいなものを書いている人が多い。日本は近代医学を我が国にもたらした国だが、その日本が教えを乞うてきていると、何か微妙に気を遣った言い方も。とはいえ、日本の医療従事者の手記を集めても、そうした国威発揚的なものは出てくるだろうし、逆にこういう時期だからこそ必要なものかとは思う。外国人からの感染ということはハッキリ意識共有されている様で、それは韓国の偏見というより、MARSの記憶が引っ張ってきた部分であろう。身分的なことを書いている人もいて、韓国では今まで医者は金持ちみたいな見方しかされていなかったが、今回の件で、尊敬を受ける様になったとか。この辺、看護師はどういう感じなのだろうか。

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2021年02月26日Fri [02:56] 中国  

日本華僑社会の歴史と文化 



明石の「中国社会研究叢書 21世紀「大国」の実態と展望」。こんなシリーズ出てたんだな。「中国系新移民の新たな移動と経験」とかそそられるが、2018年の本だと、図書館で見つけても借りないマイルール。基本的に去年以降の本しか読まないし、感想上げないのだが、梶谷高口本も時機を逸してしまった。でもって、明石の案内見ると。去年3冊出ているので、これは潰していく。というか「中国のムスリムからみる中国」、「中国・台湾・香港の現代宗教」とかめちゃくちゃツボである。後者は統一教会研究の櫻井義秀編か。ただ、書き手は中国人が主体であるみたいで、その辺どの程度「敏感」に触れるのかは分らん。その点、この在日華僑関係は無難なテーマであるのだが、編者も含めてオール中国人体制である。実際、日本の中国関係文系は中国人の日本学位組がたぶん多数派になってしまっているとも思われるので、日本人は排除したというか、たまたまそうなったということかもしれん。在日華僑社会としても、日本人研究者よりも新華僑研究者を育てたい意向はあるだろうし、身内感は将来的な組織存続にも関わってくる。あえて横浜、神戸をメインに据えなかったのも研究の拡張を図る意味があったとも思われるが、長崎、九州をメインに函館も。横浜、神戸はもはや日本華僑社会の原型を留めていないというもあるのかもしれん。

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2021年02月26日Fri [02:23] エチオピア  

エチオピア高原の吟遊詩人 



研究者みたいだが、映像人類学という分野だそう。音楽之友社でもあるので、旅日記風のホンになっている。本編としては映像作品の方かもしれん。差別される吟遊楽師の集団がエチオピアにあって、子どもたちとの交流がメインになっている様だが、こうしたグループは世界中にあるものだが、ジプシー(ポリコレ的にはロマ)の様なグローバル化したものはむしろ少数で、大抵はその言語的制約により国境の中に限られる芸能集団ではある。もちろん日本にもそうした集団がいること、いたこと、被差別の歴史を持つというは共通であるのだが、国家的に伝統芸能に昇華したり、国境の外から「発見」されたりすると、その具象は消滅するということにもなる。エチオピアも国外人口が多い国ではあるのだが、著者の作品が海外で上映されたところ、在外エチオピア人から批判が集中したのだという。所謂、国の恥部を海外に領布する外国人という立場にされた訳だが、こういうのは反論は難しいものである。

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2021年02月26日Fri [01:52] 東アジア  

帝国日本における越境・断絶・残像 モノの移動



先日読んだ人の移動編が良かったので、期待したのだが、こちらはそれほどでもなかった。とううか、これに限らず、自分の評価は関心があるか無いかで決まっているので、自分の関心はモノより人。崔吉城がいない分、日本側の正しい植民地主義反省言説がイニシアティブをとっており、その意味ではオーソドックスなスタイルになっている。台湾に残る神社遺構に驚かなくなってしまった自分を韓国人研究者の思いで相対化させたりしている人もいる。沖縄にコロニアル建築が残っていないのは戦火が要因であることもたしかなのだが、戦後も文化的に日本との断絶が無かったからだと弾劾している人もいる。台湾の親日言説に対する違和感表明ももうお約束みたいになっているが、これはもう台湾が決めることであるから、台湾人のお気持ちを察して代弁するというのも、ある意味植民地主義と紙一重なのかもしれん。

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2021年02月25日Thu [03:54] ドイツ  

愛国とナチの間 



朝日のベルリン支局長だった人らしい。ドイツプロパーというのはもう新聞社には存在しないのだろうが、ドイツに倣ってみたいな言説を採る輩も、もう特派員には起用されない様だ。つまりはもう歴史認識はローカルイシューそれも日中から日韓に縮小した状態なので、ここで愛国とナチの間というタイトルを付けたところで、それはドイツ国内の分断であり、翻って日本はみたいな話にはもうなっていない。著者が意識しているのも日本の右傾化ではなく、トランプ政権後の世界的ナショナリズムの台頭であろう。その原動力が難民の存在であることはヨーロッパでは否定のしようがない。ただ、ドイツはナチスの反省から或いはメルケルのリベラル志向から難民を受け入れているといった言説は検証が必要であると思われる。日本でも自民党側から移民受け入れ議論が出ている通り、ドイツもその国力を維持するには人口も労働力も必要であるという動機は得てして無視される傾向にある。つまりは愛国と移民受け入れは矛盾するものではないのだが、ドイツも日本同様、愛国は長年否定されてきた概念であり、そこにドイツ的なものが含まれるというのは一般的理解であろう。自国の文化は否定されるのに、移民の文化は称揚され、保護されるという不満が生じるのも無理はないと思うが、この辺は国旗国歌が否定され、日本は四季があって好きと言ったらネトウヨ認定される我が国も危うい芽があるのかもしれん。

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2021年02月25日Thu [03:32] 中国  

闘う村落 



械闘を日本語にするとそうなるかというタイトルなのだが、このテーマ、結構日本人好みみたいで、阿南友亮や安田峰俊といったディープ中国派の学位論文だったりする。その中でも陸海豊はその激しさを歴史に轟かせており、辛亥革命後、ソヴィエト政権時代、つい10年ほど前には烏坎事件などもあった地。阿南の論文もたしか海陸豊だったと思うが、安田は客家だったかも。私などには密輸の拠点なのだが、中国人は麻薬の供給地というイメージみたいで、要するに中国でも悪名高い地域である。行ったのは一度だけで、当然、身の危険を感じることなどなく、ごく普通の中国地方都市といった感じではあった。ただ械闘はこの地域独特ではなく、広東省の田舎ではどこでもあった話なので、海陸豊がサンプルとして選ばれるのはその激しさというか、外部の記録性にあるかもしれない。この本もキリスト教宣教師の活動についてが大きな部分を占めるのだが、この地域が海道である故、香港や東南アジアに多くの人が流出している。陸海豊ソヴィエト政権は共産党史では重要な一頁であるのだが、海豊県ソヴィエト政権、陸豊県ソヴィエト政権は別々に成立したもので、陸海豊ソヴィエト政権はあくまで便宜上の名称とのこと。何でもこの時代に200人以上の首をはねた有名な死刑執行人がいたそうで、そうしたことも陸海豊の恐ろしイメージに繋がっているのだろう。

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